安田記念
レース回顧

ロゴタイプは前半5F59.1秒のスローペースで逃げ、メンバー5位タイの33.9秒でまとめて押し切った。勝ちタイムは1分33秒0。前半3Fは35.0秒。その後12.0−12.1秒と流れが緩み、ラスト3Fは11.3−10.9−11.7秒。緩い馬場で上がりだけのレースになった。ロゴタイプはハナを切って内ラチ沿いの最短コースを進み、2番手につけたモーリスが直線で外に持ち出して追い出しを我慢する中、早めにスパートして後続を引き離し、最後まで脚色が衰えなかった。モーリスの上がりを0.1秒上回っている。芝コースは午後になって良馬場に回復。東京は内から乾くため、馬場が乾く途中で内を通った馬が有利になることが多い。モーリスが外に持ち出したことで内を通った馬はロゴタイプしかいなかった。スローペースでも最速上がりが33.5秒と上がりが掛かったのは緩い馬場の影響なのだろう。そのあたりが上手く噛み合っての勝利。着を狙うのではなく、勝つにはどう乗ればいいのかを考えて乗った田辺騎手の強気の作戦が見事に嵌った。これで芝1600mでは[3−1−1−2]、関東圏では[3−1−1−0]。12年の朝日杯FS勝ち馬がマイルで完全復活を果たした。父ローエングリンは安田記念に4年連続出走して3、5、17、18着。父の無念を息子が晴らした。この日は6月5日(ロゴ)。父ローエングリンは05年の6月5日の安田記念で6番枠に入っていたが、奇しくもロゴタイプも6番枠に入っていた。今後はマイル路線に拘ってマイルCS、香港マイルに向かうことになりそうだ。

モーリスは2番手からメンバー10位の34.0秒で上がって0.2秒差の2着。昨年から続いた連勝は7でストップした。スローペースで行きたがって折り合いを欠き、上がりも遅かったが、それでも2着を確保したところが底力か。昨年の安田記念は3番手からメンバー8位タイの34.5秒で伸びてクビ差の辛勝。今年は折り合いを欠いたこともあるが、左回りだと右回りより切れない面もあるのだろう。香港遠征後の中4週でいつもと違う東京競馬場での調整が影響したとも言えなくもないが、パドックを見る限り、仕上がりは悪くはなかった。陣営は距離を延ばすことを視野に入れていたが、スローペースで折り合いを欠いたことでためらう可能性が出てきた。ここにきて馬体がさらにマッチョ化し、短い距離の方に適性が傾いてきている感もある。今回の結果を陣営がどう判断し、今後のレースを選択してくるか注目したい。

フィエロは中団の後ろからメンバー最速の33.5秒で伸びて0.2秒差の3着。モーリスには完敗が続いていたが、今回はハナ差まで迫った。モーリスが折り合いを欠いたが、フィエロは折り合いがつき、直線でごちゃつく馬が多い中、外からスムーズなレースができた。坂のある東京コースは苦手だが、陣営は東京の坂を克服させるために馬場の荒れた時間帯に坂路でかなり攻めていた。その成果で馬体が絞れ、パドックではいつもより後肢の踏み込みが力強くなっていた。外から被せられると良くないため、昨年と同じ10番枠でも外に2頭しかいなかったことも良かったのだろう。今年7歳になったが、東京で3着に入ったように今が充実期。京都芝1600mは[1−3−1−1]、休み明けを除くと[1−3−0−0]。14年の六甲Sを勝ったときに相馬眼ニュースで取り上げた馬。マイルCSでG1初制覇を期待したい。

サトノアラジンは中団からメンバー2位の33.6秒で伸びて0.2秒差の4着。最後に馬群を捌きながら鋭く伸びてきたが、前残りの展開、緩い馬場でいつもほど切れる脚は使えなかった。昨年のマイルCSと同様に0.2秒差の4着。マイルG1は流れが緩むレースが続いている。その点で流れが速くなりやすい芝1400mの方が嵌りやすい。

リアルスティールは3番手から失速して11着。前半折り合いを欠いて頭を上げていたが、中盤からは折り合っていた。直線で伸び切れなかったのは、前半に折り合いを欠いたこともあるが、緩い馬場が合わなかったのではないか。馬格はあるが、全兄ラングレーと同様に非力な面があるのだろう。ドバイ遠征明けで仕上がり過ぎた影響もあるか。レベルの高い中山記念3着馬。今後は中距離路線になる。

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