オールカマー
レース回顧
●宝塚記念を惨敗したゴールドアクターが得意の中山で復活
●宝塚記念勝ち馬マリアライトは不得意の休み明けで5着
●データ通り1、2番人気でのガチガチの決着にはならず
ゴールドアクターは中団から早めに動いてメンバー3位の34.4秒で上がり、最後はサトノノブレスとの叩き合いをクビ差で制した。エーシンマックスが大逃げして前半5F59.9秒の平均ペース。2番手以下は6馬身離れており、実質は前半5F61秒台のスローペース。ゴールドアクターが勝った有馬記念は前半5F64.7秒、日経賞は前半5F61.8秒。その2戦ほど流れは遅くなかったが、全面野芝で時計の出やすい馬場だったことを考慮するとゆったりとした流れ。ゴールドアクターは中団に控えて流れを位置取りで調整し、自身が得意の上がり勝負に持ち込んで最後は力で捻じ伏せた。
速い流れを経験していない点にウィークポイントがあるが、クリールカイザー(田辺騎手)が強気なレースをせず、流れが落ち着いたことがプラスに働いている。前走宝塚記念はGW中の長時間輸送が影響したのかパドックでイレ込んでいたが、今回はイレ込んでいなかった。馬体は6キロ増でも太くなく、陣営が得意の中山で復活させようといつもの休み明けより仕上げていた。これで中山芝2200〜2500mは[4−1−0−0]で重賞3連勝。今後はジャパンCから有馬記念に向かう予定。東京ではAR共和国杯を勝っているが、ベストは器用さを生かせる中山コース。有馬記念2連覇が最大目標になる。
サトノノブレスは1枠1番から好位につけ、勝負どころで外から早めに動いたが、ゴールドアクターに交わされてクビ差の2着。スタートを決めて流れに乗り、スムーズなレースができたが、最後はG1馬の底力に捻じ伏せられた。前走宝塚記念は2戦連続の馬体減、稍重の力のいる馬場で8着に終わったが、リフレッシュしたことで馬体が10キロ増え、気配が良くなっていた。土曜の雨で渋った馬場が日曜の午前中に良に回復したことも良かったのだろう。これで2、3ヶ月の休み明けは[3−2−0−0]。G2、G3で5番枠より内枠なら[3−1−2−1]。今回は好走する条件が揃っていた。
ツクバアズマオーは出遅れて後方からメンバー最速の34.3秒で追い込んで0.2秒差の3着。前にゴールドアクターを見ながら、勝負どころで大外を回さずロスが大きくならないように進め、最後はバテな強みを生かして伸びてきた。OP入りしてからまだ連対はないが、レースを使われながら着実にパフォーマンスを引き上げている。パドックではまとまり感のある馬体でスムーズな歩様。北海道で滞在したときよりもむしろ調子が良さそうに映った。これで過去10年のオールカマーで吉田豊騎手は[0−0−5−3]。3着は7、8、6、12、6番人気で必ず人気薄を持ってきている。来年も注意したい。
クリールカイザーは離れた2番手につけ、直線で先頭に立ったが、ラスト1Fで一杯になって0.3秒差の4着。昨年のAJCCを勝ったときのラスト6Fは11.9−12.1−12.0−11.4−11.2−12.0秒。緩急のあるラップで後続に脚を使わせて粘り込んだが、今回は12.1−12.3−12.2−12.1−11.3−12.0秒。大逃げした馬がいるため、実質は上がり勝負。速い上がりを繰り出せないため、後続に早めに来られる展開では厳しい。持ち味を生かせなかった。パドックでは少しイレ込んでいたが、馬体の張りが良くなって大きく見せていた。復調してきている。
マリアライトは中団からメンバー5位の34.5秒で伸びて0.3秒差の5着。勝ったゴールドアクターと上がりは0.1秒しか遅くないが、大外をブン回し、勝負どころでなかなかエンジンが掛からず、そこで引き離されたことが堪えた。最後に差を詰めていたように一杯になって負けたのではない。これで休み明けは[0−0−3−2]で3着止まり。今回はいつもの休み明けより仕上げていたが、やはり久々は走らないタイプということなのだろう。昨年のオールカマーと同様にいかにも休み明けという負け方だった。稍重以上では[4−0−1−0]。良馬場に回復したこともマイナスに働いた。
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