神戸新聞杯
レース回顧

●サトノダイヤモンドが菊花賞に向けて好発進も本番は若干不安あり

●北海道で3戦した上がり馬ミッキーロケットが大躍進の2着

●菊花賞がスタミナの問われる消耗戦なら伏兵の一発がありえる

サトノダイヤモンドは中団の外からメンバー2位の34.2秒で上がり、最後はミッキーロケットとの叩き合いをクビ差で制した。勝ちタイムは2分25秒7。3着には3馬身差をつけた。ロードヴァンドールが逃げて前半5F61.4秒のスローペース。ラスト4Fから最後まで11秒台のラップが刻まれ、スピードの持続力が問われるレースになった。サトノダイヤモンドは中団の外から前を射程圏に入れながら進め、直線で楽々と抜け出したが、最後にミッキーロケットに詰め寄られた。ゴール前でひと伸びして抜かせなかったのは底力なのだろう。道中少し掛かって行きたがっていたが、ルメール騎手が上手くなだめていた。

馬体は増減なく太め感はなかったが、ダービーのときほど仕上げていなかった。春より馬体が成長して実の入りが良くなり、少しパワーアップしていたが、胸の深さはそれほど変わっていなかった。ダービーは前半5F60.0秒、神戸新聞杯は61.4秒の緩い流れだったが、皐月賞は58.4秒のハイペースで3着に負けている。ダービー前の仕上げで直線で不利もあったが、長距離向きの心肺機能がそれほど高くないのではないか。芝3000mの菊花賞がスタミナが問われる消耗戦になるとそこがネックになる可能性がある。今年の3歳牡馬の一線級は世界で通用するレベル。菊花賞が消耗戦にならなければ、杞憂に終わる可能性が高い。

ミッキーロケットは大外枠スタートから中団を進み、メンバー最速の34.0秒で鋭く伸びてクビ差の2着。4コーナーで前が詰まり頭を上げるシーンがあったが、直線で追い出すと鋭く伸びてサトノダイヤモンドに迫った。春はスプリングS5着、皐月賞13着に終わった馬が、大きくパフォーマンスを引き上げ、菊花賞の出走権を確保した。皐月賞の後に早々と休養に入り、夏の北海道で3戦して力をつけたのだろう。休み明けの馬が多い中、前走から馬体を10キロ絞って仕上げてきたように、使われたアドバンテージが大きかった。バテにくい馬である程度スタミナを備えている。菊花賞は今回馬体を絞って激走した反動がないことが条件。

レッドエルディストは後方から外を回ってメンバー3位の34.5秒で追い込み0.5秒差の3着。前の2頭に離されたが、4コーナーで内からぶつけられて外に大きく振られるロスがあった。予想通り、夏を越しての成長度、距離適性の差で同厩のエアスピネルを逆転。夏を越して馬体が成長し、全体的にしっかりとしていたが、休み明けのぶん少し脚捌きに硬かった。次走は上積みが見込める。過去10年の菊花賞で神戸新聞杯3着馬は[4−1−1−3]。菊花賞で激走する馬は距離が短い神戸新聞杯で3着に負けることが多い。末脚の威力とスタミナを兼ね備えた馬。菊花賞がスタミナが問われる消耗戦になると一発の可能性がある。

カフジプリンスは中団の後ろからメンバー5位の34.6秒で伸びて0.5秒差の4着。直線で前が壁になり、追っても反応がなかったが、ラスト1Fでエンジンが掛かると鋭く伸びて3着レッドエルディストに頭差まで迫った。勝負どころでズブくエンジンの掛かりが遅いが、相馬眼的にかなりのスタミナを備えている。前走丹頂Sはごちゃついて6着に終わったが、新緑賞、阿寒湖特別を連勝したのは、やはりダテではなかった。グラスワンダーに似た雰囲気があり、長い距離でいい脚を長く使えるタイプ。賞金的にギリギリで菊花賞に出走できそう。真っ向勝負では少し足りないため、ロスなく回って直線で内を突くなど一発狙いの騎乗が必要になる。

エアスピネルは後方3番手から大外を回ってメンバー3位タイの34.5秒で追い込み0.7秒差の5着。芝1600mでデビューした馬が距離を延ばすごとに着順を落としている。サトノダイヤモンドとは皐月賞が0.1秒差、ダービーが0.4秒差だったが、さらに差を広げられた。これまで5番手以内につけて上手く立ち回るレースをしていたが、今回は武豊騎手が最初から追い込むレースを選択していた。前に行って惨敗すると菊花賞の楽しみがなくなるとことを考慮したのだろうか。馬体の造りから中距離が合うタイプ。次走の菊花賞はスローペースでそれほどスタミナが問われず、かつ好位の内で距離ロスを進めるなど条件がつく。

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