シリウスS
レース回顧
●休養が多かった5歳馬マスクゾロが3連勝で重賞初制覇
→前走ジュライSの圧勝がターニングポイント
●2着ピオネロは脚抜きのいい馬場で内ラチ沿いの絶好位
→距離、右回りにメドもベストはダ1800m
●アポロケンタッキーは休み明けと重ハンデで少差の3着
→地方交流の長距離重賞で活躍できそうな馬
マスクゾロはハナを切ってマイペースで進み、メンバー5位の36.4秒で後続の追撃を振り切って重賞初制覇。稍重の脚抜きのいい馬場で前半5F60.5秒の平均ペース。最後はピオネロに詰め寄られたが、クビ差で何とか凌ぎ切った。直線で斜行してピオネロの進路を妨害したため、秋山騎手は過怠金10万円が課せられている。前走ジュライSで逃げてメンバー最速の36.0秒でまとめて6馬身差で圧勝したのは、やはりダテではなかった。1600万条件やOP特別で一気にパフォーマンスを引き上げて圧勝した馬は、それがターニングポイントになって重賞を勝つことが多い。良馬場の阪神ダートでは[0−0−0−3]だけに前日の雨で馬場が渋ったことも良かったのだろう。これで稍重以上では[4−0−0−1]で勝率80%。流れが速くなって消耗戦にならなければ、57.5キロのアポロケンタッキーを完封する可能性があると有力馬診断に書いたが、その通りになった。パドックでは休み明けでも2キロ増で太め感なく仕上がっていた。秋の最大目標チャンピオンズCに向けてどこまでパフォーマンスを引き上げられるか注目したい。
ピオネロは内ラチ沿いの3番手につけ、メンバー3位タイの36.2秒で伸びてクビ差の2着。外枠スタートから内ラチ沿いの絶好位につけた福永騎手が上手く乗っている。降着はなかったが、直線で前にいたマスクゾロが外に寄れた煽りを受けた。それがなければ、かなり際どいレースになっていた。2走前に不良馬場の白川郷Sを1分50秒4で勝ったように脚抜きのいい馬場をこなすタイプ。前走BSN賞のラスト3Fが尻上がりラップ。距離をこなす下地はあったが、距離2000mにメドがあった。ただし脚抜きのいい馬場で内ラチ沿いをロスなく回ったことが有利に働いたことを考慮したい。やはり距離は1800mがベストか。パドックでは雄大な馬体目立ち、きっちり仕上がっていた。松永幹厩舎はアウォーディー、ラニ、アムールブリエなどダート実績馬が揃っている。次走はラニとの兼ね合いを考慮し、みやこSか武蔵野Sになりそうだ。
アポロケンタッキーは外枠スタートから4番手につけ、メンバー2位の36.1秒で伸びてクビ+頭差の3着。和田騎手が押して先行したが、内ラチ沿いをロスなく回って前に行った2頭を交わすところまで行かなかった。休み明けで1、2着馬より1.5キロ重い57.5キロを背負い、ずっと外を回って早めに仕掛けたことを考えると強いレースをしている。3着に負けたが、能力、適性で負けたのではない。これでダ2000〜2100mは[4−1−1−0]。大排気量エンジンを搭載しており、他馬が苦しくなったところでひと脚使えるタイプ。もっと激しいレースで上がりが掛かった方が持ち味を生かせる。今回も仕上がりは良かったが、叩き2戦目は[3−0−0−0]。次走は上積みが見込める。パワータイプで地方ダートもこなすタイプ。まずは賞金を加算する必要があるが、今後は白山大賞典、ダイオライト記念など地方交流の長距離重賞で活躍できそうだ。
ミツバは後方2番手から早めに上がってメンバー最速の35.8秒で伸びて0.4秒差の4着。脚抜きのいい馬場で前残りになり、後方2番手からでは厳しかった。過去10年のシリウスSで前走オークランドRCT勝ち馬は[4−0−0−1]だが、勝った4頭は好位&中団差し、負けた1頭は追い込みだった。ミツバは阪神ダートが得意だが、追い込みタイプだった。それでもメンバー最速上がりで4着に入ったことである程度重賞で通用するメドは立った。ひと叩きされて馬体が引き締まっており、調子は上向いていた。もう少し馬体がボリュームアップすれば、底力が強化されるのではないか。
カゼノコは最後方からメンバー3位タイの36.2秒で内から追い込んで0.6秒差の5着。3、4コーナー中間で外の馬が内に寄れた煽りをつけて躓く不利があった。最後は内から伸びてきたが、前が残る展開ではさすがに厳しかった。休み明けで馬体は2キロ増だったが、最終調教、パドックでも少し腹目が太く映った。これが体型なら距離はもっと短い方が合っている。休み明けを除き稍重以上では[2−2−1−0]。脚抜きのいい馬場になったときは特に注意したい。
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