皐月賞
レース回顧

エポカドーロは離れた4番手からメンバー4位の35.1秒で前にいた3頭を交わして先頭に立ち、2着に2馬身差をつけてレースを制した。稍重で勝ちタイムは2分00秒8。アイトーンが逃げて前半5F59.2秒。前の3頭が飛ばし、離れた4番手以下は実質少し緩い流れ。こういう展開になると第二グループの先頭にいる馬が勝つことが多いが、まさにその通りの結果になった。エポカドーロは無理に前を追いかけず、自分が逃げているような形に持ち込み、前走スプリングSと同様に直線でスパッと抜け出した。末脚に持続力があり前に行ってバテないタイプ。戸崎騎手が持ち味をフルに引き出した。相馬眼的に道悪巧者で渋った馬場も味方している。戸崎騎手はJRA騎手になった13年以降、芝G1で牡馬に騎乗すると[0−1−0−41]だったが、この条件で初めて勝ち、クラシックも初制覇となった。次走は日本ダービー。1番人気に支持されない皐月賞馬は不振なデータがある。距離2400m、決め手など課題はあるが、立ち回りの上手さでどこまで踏ん張れるか。

サンリヴァルは5番手からメンバー5位タイの35.2秒でしぶとく伸びて0.3秒差の2着。勝負どころでエポカドーロに離され、最後まで差を詰めることができなかった。展開と位置取りがマッチして上手くなだれ込んだが、馬場が渋って差し追い込み馬の決め手が削がれたことも良かったのだろう。関西馬だが、芙蓉S1着、ホープフルS4着、弥生賞4着と中山芝2000mに拘って使ってきた陣営の成果が実った。ルーラーシップはこういう上がりの掛かるレースでしぶとい脚を使う馬が多い。昨年の皐月賞でクリンチャーを4着に持ってきた藤岡佑騎手が積極策で上手く持ち味を引き出した。次走は日本ダービー。決め手不足は否めないが、07年に2着に粘ったアサクサキングスのようなレースをすれば可能性はなくはない。07年の皐月賞はヴィクトリー、サンツェッペリンで前残りだった。

ジェネラーレウーノは2番手からメンバー13位の37.6秒で上がって0.6秒差の3着。クビ差の4着ステルヴィオの上がりはメンバー最速タイの34.8秒。上がり2.8秒差で差されなかったのは、差し追い込み馬が控え過ぎた感が否めないが、一緒に前に行ったアイトーンは8着、ジュエンヴァルロは15着に終わっただけにジェネラーレウーノの粘りは評価できる。前半5F59.7秒で流れた京成杯を2番手から押し切ったのはダテではなかった。東京芝2000mの未勝利戦では前半5F64.1秒のスローペースで逃げて2馬身差で圧勝したが、ラスト3Fが11.5−11.1−11.5秒の高速ラップだった。単なる前に行って粘り込む地力タイプではない。次走は日本ダービーは叩き2戦目。今回目一杯に走った反動がないことが条件。

ステルヴィオは後方からメンバー最速タイの34.8秒で追い込んで0.6秒差の4着。直線で馬群を捌いて伸びてきたが、4番手以下が離れた展開で隊列が縦長になり、いかにも位置取りが後ろ過ぎた。最後に前と脚色が一緒になったのは、距離2000mと渋った馬場が影響したのではないか。次走はNHKマイルC、日本ダービーのどちらかになりそう。体型的に距離2400mは長く映るが、近年のダービーは流れが緩んで上がり勝負になりやすい。パンパンの良馬場で上がり勝負になれば対応できるかもしれない。

キタノコマンドールは最後方からメンバー最速タイの34.8秒で追い込んで0.6差の5着。4着ステルヴィオとはハナ差。前半は11番手にいたが、向こう正面で最後方まで下がり、4コーナーでは寄られて大外をブン回すロスがあった。最後はいい脚を長く使って伸びてきたが、小回りの中山でさすがにあの位置からでは届かない。テン乗りだったこともあるのかもしれないが、Mデムーロ騎手らしからぬ騎乗だった。中山に輸送して馬体12キロ増。パドックでは太く映らなかったが、次走ダービーに向けて余裕残しの仕上げだった。全姉デニムアンドルビーは東京芝2400mのオークス3着、ジャパンC2着。キタノコマンドールは芝2000mもこなせるが、もっと長い距離が合っており、すみれSの走りから左回りが合っている。相馬眼的に東京芝2400mがベストの可能性が高い。ダノンプレミアム、ブラストワンピースに対抗できるのではないか。

ワグネリアンは中団の後ろから伸び切れず0.8秒差の7着。上がりはメンバー5位タイの35.2秒。切れより地力タイプのサンリヴァルと同じ上がりだった。勝負どころで外を回って置かれ気味になり、直線で前が詰まったこともあるが、これまでの走りを考えると物足りない内容だった。馬体は2キロ増で太くはなかったが、ダービーに向けて調教で攻めておらず余裕残しの仕上げ。そのあたりも影響したのだろう。上がりの掛かる緩い馬場も堪えたか。次走のダービーはパンパンの良馬場で内枠からロスなく進めれば巻き返しがあってもおかしくない。弥生賞、皐月賞と長距離輸送が続いたため、勝負の仕上げを施したときに輸送して大幅馬体減、イレ込みがないことが条件になる。

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