安田記念
レース回顧

モズアスコットは中団の後ろを進み、直線で馬群を捌いてメンバー最速タイの33.3秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイム1分31秒3はレコードと同タイム。ウインガニオンが逃げて前半3F34.2秒、5F56.8秒の速い流れ。最後まで11秒台のラップが続き、スピードと上がりの速さが問われるレースになった。モズアスコットは道中ロスなく回り、直線でスワーヴリチャードが抜け出した後にできたスペースを突いて伸びてきた。ルメール騎手の好判断が勝利をもたらした。除外対象だった馬が藤沢和厩舎の3頭の回避によって急遽連闘で出走し、重賞初制覇がG1制覇。しかもレコードと同タイムなのだから大したもの。昨年9月に500万条件を勝ったときに相馬眼ニュースで取り上げた馬がG1を制した。2走前のマイラーズCで前半5F57.2秒のハイペースで先行して2着に粘ったが、こういうタフなレースを経験すると心肺機能が強化され、馬は強くなるのだろう。矢作厩舎はスーパーホーネット、グランプリボスで安田記念2着3回(6、13、16番人気)。9番人気のモズアスコットでようやく安田記念を制した。今後は休養して秋はマイルCSが目標になりそうだ。スピードがあるため、スプリンターズSを使う可能性もある。

アエロリットは2枠4番スタートから内ラチ沿いの3番手につけ、メンバー6位タイの34.0秒で抜け出してクビ差の2着。大外枠からウインガニオンが勢いをつけてハナを切ったため、逃げずに内ラチ沿いをロスなく回り、タイミングよくスパートして粘り込んだ。レースのラスト5Fは57.1秒でラップは11.3−11.3−11.4−11.4−11.7秒。このラップでタイム差なしの2着に粘ったのは立派。前走ヴィクトリマイルは休み明け、稍重の馬場、左前脚の落鉄、上がり勝負が影響して0.1秒差の4着に終わったが、叩き2戦目、パンパンの良馬場でパフォーマンスを引き上げた。昨年のNHKマイルCを2番手から抜け出して1分32秒3の好タイムで勝った馬。1年経ってさらに地力が強化され、強くなっている。これで牡馬混合G2以上では[1−2−0−0]。ルージュバックもそうだったが、タフなレースになる牡馬相手の方が力を発揮しやすいのだろう。今後は休養して秋に備える予定。現時点ではマイルの方が確実だが、毎日王冠から天皇賞(秋)を使う手もありそうだ。

スワーヴリチャードは5番手からメンバー5位の33.9秒で抜け出しかけたが、最後に脚色が鈍って0.1秒差の3着。直線で外に行った後に内に行くロスが響いた。外にいたサングレーザーに併せに行ったら、内のアエロリットの方がしぶとく、再度内に併せに行ったというのが正解か。単に直線で苦しがってヨレた感もある。これまで経験のないハイペースで好位につけたぶんいつもほど切れる脚を使えなかったが、初マイルで1分31秒4で走って3着なら悲観する内容ではない。レース慣れすればもっと走れそうだ。馬体が10キロ減っていつもより細めの造りだった。Mデムーロ騎手は夏バテがあったのかもしれないとコメントしている。今後は休養して秋は天皇賞(秋)で復帰し、ジャパンCが最大目標になる。

サトノアレスは後方3番手からメンバー最速タイの33.3秒で大外から追い込んで0.2秒差の4着。直線で差し切る勢いで伸びてきたが、ラスト100mで脚色が鈍った。勝ったモズアスコットと同じ最速上がりを繰り出したが、モズアスコットは内をロスなく回って内から捌いてきた。0.2秒差はそのぶんなのだろう。2歳時に朝日杯FSを勝った馬が古馬G1で通用することを示し、早熟ではないことを証明した。今後は仏G1のジャックルマロワ賞(直線芝1600m)に使うプランがあるようだ。藤沢和厩舎はタイキシャトルでジャックルマロワ賞を制している。

サングレーザーは8枠15番スタートから7番手につけ、メンバー3位タイの33.7秒で上がって0.2秒差の5着。直線で一瞬見せ場を作ったが、ラスト1Fを過ぎたところで脚色が鈍った。初の東京、初の58キロで1分31秒5で走って0.2秒差の5着なら悪くない。前週のダービーを勝った福永騎手が勝てる位置につけたぶんいつもほど切れる脚を使えなかったが、現時点の力は出している。マイラーズC勝ち馬は安田記念で不振が続いている。今後は休養して秋はスワンSからマイルCSを目指すことになりそうだ。

ペルシアンナイトは7番手につけたが、直線で前が壁になって追い出しが遅れ、ラスト1Fから追い出してメンバー6位タイの34.0秒で伸びて0.4秒差の6着。直線でスペースを確保できず、かなり脚を余している。まともなら勝ったとは言わないが、上位争いできたのではないか。参考外の一戦。

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