セントウルS
レース回顧

ファインニードルは8枠14番スタートから6番手につけ、メンバー3位タイの34.6秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分8秒8。重馬場でラブカンプーが逃げて前半3F33.3秒のハイペース。開幕週で馬場がいいため、重馬場でも極端に時計は掛からなかった。ファインニードルは休み明け、58キロを背負って外枠を克服し、セントウルS2連覇を達成。パドックを見ると陣営がいうほど仕上がりは悪くなく、1頭だけ次元の違う馬体&雰囲気を醸し出していた。春の高松宮記念を勝っており、この勝利で春秋スプリントG1制覇に向けて一歩前進した。昨年のスプリンターズSは12着に終わったが、夏場に使い込んでいた。今年は夏に休養して理想的なステップ。スプリンターズS3連覇が懸かるレッドファルクスとの対決が楽しみだ。川田騎手は欧州遠征から帰国し、いきなり重賞制覇。この秋は大暴れするかもしれない。

ラブカンプーは2枠2番からハナを切って前半3F33.3秒で飛ばし、直線でネロを引き離したが、最後にファインニードルに差されて0.2秒差の2着。サマージョッキーズシリーズの優勝が懸かった福永騎手のネロに競られて厳しい展開になった。内枠から抜群のスタートですぐにアドバンテージを取り、内ラチ沿いをロスなく回り、直線で目一杯に追って粘らせた。軽量52キロ、ラブカンプーのスプリント能力が高いこともあるが、Mデムーロ騎手のスタートでアドバンテージを取る技術、粘らせる技術もあるのだろう。これで芝1200m以下は[2−5−1−0]、スプリント重賞は[0−3−1−0]。小柄な3歳牝馬が真夏に新潟、小倉に遠征してもへこたれずに頑張っている。父ショウナンカンプ、母の父マイネルラヴ。来年のアイビスSDが楽しみだ。

グレイトチャーターは後方2番手からメンバー最速の34.2秒で追い込んで0.3秒差の3着。得意の道悪で7番人気で激走した。外枠スタートで外を回らないようにするため、一旦下げてロスなく回ったぶん位置取りが悪くなった。グレイトチャーターを除くと6着まで道中6番手以内につけた馬。前走北九州記念で4着に入ったのではダテではなく、力をつけているのだろう。これまで稍重以上では[2−2−0−1]、休み明け(新馬戦含む)を除くと[2−1−0−0]で上がりは全てメンバー1、2位。昨年の桂川Sは不良のタフな馬場だったが、強烈な末脚で差し切ったようにかなりの道悪巧者。アレスバローズのように流れと位置取りが噛み合うようになれば、どこかの重賞で連対できるのではないか。

ネロは5枠9番から押して前に行ったが、ラブカンプーが速くてハナを切れず、直線で一杯になって0.4秒差の6着。2着ラブカンプーとは0.2秒差。ネロはスタートが速くなく、外めの枠で前半脚を使っており、ラブカンプーとの着差はその差。逆に言うとMデムーロ騎手はゴールでの少しの差を制すには何がポイントになるのかを分かっている。16年のセントウルSは5番手から伸びて0.2秒差の2着。道悪巧者で好位からのレースができるだけに福永騎手が強引に行き過ぎたか。ラブカンプーのMデムーロ騎手が勝つとサマージョッキーシリーズ優勝、負ければ福永騎手が優勝。このあたりも微妙に影響したのではないか。

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