ジャパンC
レース回顧

アーモンドアイは1枠1番からスタートを決めて内ラチ沿いの3、4番手につけ、向こう正面で2番手に押し上げ、メンバー2位の34.1秒で逃げたキセキを交わしてレースを制した。勝ちタイム2分20秒6は従来のレコードを1.5秒上回るレコードタイム。キセキが逃げて前半5F59.9秒、後半5F57.2秒。2F目が10.8秒、5F目から11秒台のラップがラスト2Fまで続きラスト1Fが12.0秒。スピード、末脚の持続力、能力の高さが問われるレベルの高いレースになった。アーモンドアイは緩みのない流れで2番手から抜け出す強い内容で快勝。例年ならキセキが逃げ切っていたが、世界レベルの怪物がいた。3歳牝馬がこの走り。世界を驚かせたのではないか。秋華賞を使ったことで馬体の張りが良くなり、重厚感のある造りがひと際目立っていた。今回の仕上がりを見ると秋華賞は7分程度だったのではないか。牝馬3冠と同年のジャパンCを制したジェンティルドンナはその後ジャパンC、ドバイシーマクラシック、有馬記念を勝ち、引退後に顕彰馬に選出された。アーモンドアイは今年の年度代表馬は確定。来年春はドバイ(シーマクラシックまたはターフ)、秋は凱旋門賞を目指すことになりそうだ。日本競馬を背負っていくスーパーホース。今後もレースぶりをしっかりと目に焼き付けていきたい。

キセキは前半5F59.9秒で逃げて、後半5Fを57.5秒、上がりをメンバー4位タイの34.7秒でまとめて0.3秒差の2着。前走天皇賞(秋)で逃げて前半5F59.4秒、後半5F57.6秒で1分57秒0で走り3着に粘った馬。距離が2F伸びたが、同じような流れで持ち前のスタミナとバテない強みを生かして粘り込んだ。3着スワーヴリチャードには3馬身半差をつけており、例年なら逃げて圧勝してもおかしくないレベル。アーモンドアイが強過ぎただけで自分の力は出しいる。不良馬場の菊花賞を勝った後に大不振に陥ったが、今秋に前に行くレースをして復調してきた。関西馬が東京に輸送して毎日王冠、天皇賞(秋)、ジャパンCというローテーションで結果を出したのはウオッカ(角居厩舎)くらいしかいない。キセキは元・角居厩舎の管理馬だった。東京3戦目でデキ落ちが懸念されたが、パドックでは筋肉が浮き出て馬体の張りが良くなって大きく見せるようになっており、さらに調子を上げていた。次走は未定だが、状態面に問題がなければ有馬記念に向かうことになりそうだ。14年のジャパンCを先行して好タイムで圧勝したエビファネイア(角居厩舎)は有馬記念で5着に終わった。今回レコードで走っただけに陣営のケアが重要になる。

スワーヴリチャードは内ラチ沿いの4、5番手からメンバー4位タイの34.7秒で上がって0.9秒差の3着。レコード決着で1、2、3着馬は内ラチ沿いをロスなく回ってきた馬。スワーヴリチャードは少し出遅れたがすぐにリカバリーし、1コーナーで内ラチ沿いに入れたことがかなり大きかった。出遅れた後に外々を回って追い上げるレースをしていたら惨敗していたのではないか。Mデムーロ騎手は大一番で好騎乗が多い。左回り巧者で東京コースは得意だが、予想に書いた通り、直線の長い東京より直線の短いコースの適性が上回りつつあるのではないか。前走天皇賞(秋)で惨敗したこともあるが、陣営は今回調教で攻めていなかった。アーモンドアイがいたこともあるが、適性を見抜いて目標を有馬記念に切れ替えたのではないか。大阪杯で後方から捲って後半5Fを57.1秒でまとめて勝った馬。次走有馬記念でビッシリ仕上げてきたら要注意。

シュヴァルグランは6、7番手からメンバー3位の34.5秒で伸びて0.9秒差の4着。4コーナーから直線で外に出してCデムーロ騎手が目一杯に追ったが、3着スワーヴリチャードにクビ差まで追い上げるのが精一杯。3000mをこなすスタミナがあり、もっと時計が掛かった方がいいタイプ。2分20秒6のレコードでは時計が速過ぎた。過去10年で6歳馬は[0−0−0−24]。前年の勝ち馬シュヴァルグランでも馬券圏内に入れなかった。次走有馬記念で引退する予定だったが、引退を撤回し来年も現役を続ける模様。

ミッキースワローは後方2番手から大外をブン回してメンバー最速の33.9秒で追い込んで1.3秒の5着。内が有利な馬場で大外を回って最速上がりを繰り出したが位置取りが後ろ過ぎた。内ラチ沿いを通って前に行った馬が残る展開では厳しかった。予想に書いたが、これまで関東圏では全て最速上がりを繰り出している。次走は有馬記念に向かう予定。過去10年の有馬記念で最速上がりを繰り出した馬は[3−2−0−5]。展開が嵌まるか、横山典騎手の神騎乗があれば一発があるかもしれない。

サトノダイヤモンドは中団からメンバー9位タイの34.7秒で伸びて1.3秒差の6着。直線でもモレイラ騎手が目一杯追ったが、伸び切れなかった。京都大賞典を勝って完全復活と言われたが、レースレベルは低く、やはり全盛期のデキには戻っていないのだろう。池江調教師は渾身の仕上げを施して何とかしようという意思が感じられた。池江厩舎は今年リーディング10位と低迷しており、G1も勝っていない。この後の巻き返しに注意。

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