皐月賞
レース回顧

サートゥルナーリアは外枠スタートから7番手につけ、メンバー最速の34.1秒でヴェロックスとの叩き合いを頭差で制した。勝ちタイムは1分58秒1。ランスオブラーナが逃げて前半5F59.1秒。後半5Fは59.0秒でラスト3Fは11.7−11.6−11.4秒で尻上がり。中盤にラップが3F12秒台に落ちたことである程度前につけた馬が有利になった。サートゥルナーリアはスローペースしか経験していなかったが、平均ペースで外を回ってメンバー最速上がりで差し切り能力を証明。ただし土曜から中団の外から差した馬が活躍していたようにJRAがサートゥルナーリアが走りやすい馬場を造ってきた感が強い。サートゥルナーリアは最も伸びるところを通れる6枠12番、ダノンキングリーを内が伸びない馬場で2枠4番。桜花賞でダノンファンタジーが7枠15番から外を回って4着に終わったようにJRAは社台を優遇しダノンを不利な枠順に入れている。これが本当に公正競馬なのだろうか。

サートゥルナーリアは外からプレッシャーをかけられることはなかった。直後にいたニシノデイジーが外から上がって行こうとしたが、勝浦騎手がサートゥルナーリアの外につけたらダメと懸命に押さえていた。社台の期待馬を邪魔したら大変なことになる。これが今の競馬の現状なのだろう。社台はルメールファーストのため、社台がどの馬を勝たせたいのか誰でも分かる。朝日杯FSからぶっつけで桜花賞を制したグランアレグリアに続き、ホープフルSからぶっつけで臨んだサートゥルナーリアが制した。ノーザンファーム天栄、ノーザンファームしがらきで乗り込んだ馬は休み明けでも問題ない。次走は日本ダービー。母シーザリオはオークス、半兄エピファネイアはジャパンCを制している。無敗のダービー馬が誕生する可能性は高そうだが、ダービーを意識した余裕残しの仕上げで皐月賞で一気にパフォーマンスを引き上げた反動がないことが条件。初の左回りで極端に上がりの速いレースになると死角を見せる可能性が少しある。

ヴェロックスは5番手から早めに動き、メンバー2位の34.4秒で上がって頭差の2着。ごちゃつかず自分のペースを守れればいい脚を使うタイプ。川田騎手がスムーズに進め、ラスト3F11秒台の尻上がりラップを繰り出し、ほぼ完璧なレースをしている。若駒S、若葉Sを先行して最速上がりで圧勝してきたことがダテではない。直線でサートゥルナーリアに寄られていなければ、もっと際どいレースになっていた。トライアルの弥生賞、スプリングSに出走した馬は6着以下に終わっている。皐月賞の有力馬は中山のトライアルは使わないというのが主流になりつつある。次走は日本ダービー。距離2F延長でサートゥルナーリアとの差を詰められるのかどうか。ジャスタウェイ産駒はまだ重賞を勝っていない。

ダノンキングリーは2枠4番から内ラチ沿いの4番手に進み、直線で内からメンバー4位タイの34.5秒で抜け出しかけたが、外から2頭に交わされて頭+ハナ差の3着。1、2着馬と同タイムの1分58秒1で走っている。JRAはサートゥルナーリア向きの馬場にしてダノンキングリーを伸びない内に入れている。もっと公平な条件なら勝っていたのではないか。共同通信杯でアドマイヤマーズを子供扱いしたのはダテではなく、かなりの能力がある。次走は日本ダービー。相馬眼的に今度はサートゥルナーリアに有利な条件になるが、ダノンキングリーは共同通信杯でメンバー最速の32.9秒で楽勝している。内枠からロスなく回ってレースが上がり勝負に傾けば逆転の可能性があるが、JRAはダノンキングリーを不利な外枠に入れるのだろう。

アドマイヤマーズは5、6番手の内を進み、直線で外に出してメンバー9位タイの34.9秒で伸びて0.4秒差の4着。前の3頭に2馬身差をつけられたが、最後までしぶとく伸びていた。勝負どころで前に馬がいて追い出しが遅れ、レースのラスト3Fが11.7−11.6−11.4秒で尻上がりでは厳しかった。これまでのレースぶりからもっと前に行くと思われたが、Mデムーロ騎手は距離2000mを考慮したのか、少し消極的な騎乗だった。次走はNHKマイルC。芝1600mは4戦4勝だが、前半5Fは59.5秒が最速でまだ厳しい流れを経験していない。Mデムーロ騎手が強気に攻めたときにプラスにもマイナスにもなる可能性がある。

タガノディアマンテは後方を進み、大外からメンバー2位の34.4秒で追い込んで0.8秒差の6着。差しが決まりにくい馬場だったきさらぎ賞で大外から2着に突っ込んだのはダテではない。レースのラスト3F11秒台の尻上がりラップで届かなかったが、こういう馬は消耗戦になると突っ込んでくる。半兄タガノトネールと同様に心肺機能が高いのではないか。使い込まれている点が気になるが、レースが消耗戦になりそうなときは注意したい。

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