オークス
レース回顧

ラヴズオンリーユーは中団を進み、直線で馬群がバラけてから追い出すとメンバー最速の34.5秒で外から差し切ってレースを制した。勝ちタイム2分22秒8は従来のレコードを0.8秒上回るオークスレコード。ジョディーが逃げて前半5F59.1秒。道中最も遅いラップが12.3秒。後半5F59.2秒でラスト4Fは11.7−11.4−11.6−12.3秒。ある程度前につけた馬が有利な馬場だったが、前半流れて道中のラップが落ちずに消耗戦に傾いたことで差し馬が突っ込めるレースになった。ラヴズオンリーユーは直線でMデムーロ騎手が追うと他馬が一瞬止まって見えるような伸び脚で一気に差し切った。これまで9頭以下の少頭数、3戦連続出遅れ、メンバーも強くなく、長距離輸送、芝2400m、左回り、外枠、18頭の多頭数と課題が多かったが、全てをクリアして無敗でオークスを制した。ドバイターフを勝ったリアルスティールの全妹。リアルスティールは東京で共同通信杯、毎日王冠を勝ち、天皇賞(秋)で2着に入ったように左回り巧者だった。今後はひと息入れて秋はローズSから秋華賞、エリザベス女王杯を目指すことになりそうだ。一頓挫あった後に忘れな草賞を使い、その後一気に仕上げたオークスでレコード勝ち。激走の反動が出る可能性があるため注意したい。

カレンブーケドールは4番手につけ、外から早めに押し上げて直線で先頭に立ち、メンバー5位の35.1秒で上がってクビ差の2着。ラヴズオンリーユーに交わされた後も懸命に食い下がっていた。相馬眼的に激走があるとみて穴馬にして本命◎で狙ったが12番人気で激走した。過去10年でスイートピーS組は[0−0−0−22]、G1で連対がない津村騎手で検討対象から外した人が多かったのではないか。新馬戦でダノンキングリーの上がりを0.4秒上回って頭差の2着に入り、出遅れて外から早めに上がって行ったスイートピーSで相馬眼的に重賞を勝てる能力があるセリユーズに勝ったことはやはりダテではなかった。津村騎手は勝負どころで早めに動いて勝ちに行ったが、結果的にもうワンテンポ仕掛けを遅らせていれば、もっと際どいレースになったのではないか。今後は休養して秋は紫苑SまたはローズSから秋華賞を目指すことになりそうだ。

クロノジェネシスは1枠スタートから内の4、5番手につけ、メンバー7位の35.4秒で伸びて0.4秒差の3着。速い流れで前に行き、芝2400mでいつもほど切れる脚を使えなかった。小柄な馬だけに荒れた内を通ったことも影響している。前走桜花賞は道中スムーズさを欠き、直線で追い出しが遅れるロスがあった。今回はそのあたりを考慮して北村友騎手が好位につけたのだろうが、流れを考えるともう少しタメるレースをした方が良かったか。それでも正攻法のレースをして3着に入ったように確かな地力がある。ヴィクトリアマイルを制したノームコアの半妹。ひと夏越してどこまで馬体が成長してくるか。

ウィクトーリアはスタートで立ち上がって後方を進み、メンバー2位の34.6秒で伸びて0.5秒差の4着。最後に馬群を捌きながら伸びてきたが、出遅れて位置取りが悪くなったことが堪えた。フローラSの前までは逃げて2勝していた馬が、戸崎騎手に乗り替わって2戦連続出遅れ。心肺機能が高い馬。流れを考えるともっとまともな走りができれば勝ち負けできたのではないか。昨年秋に陣営がマイルの赤松賞を使ったのも失敗だった。本来はオークスで勝ち負けできる馬。母ブラックエンブレムは秋華賞馬。今後は休養して紫苑Sから秋華賞を目指すことになりそうだ。

シェーングランツは後方から大外を回ってメンバー3位の34.0秒で追い込んで0.7秒差の7着。桜花賞で10キロ減った馬体がさらに4キロ減っていた。例年の少し時計の掛かる馬場で平均程度のペースならウィクトーリアと勝ち負けできるレベルの馬。ルメールファーストでコントラチェックを桜花賞に使わず、オークス向きのシェーングランツを阪神に3戦連続輸送してマイル戦を使い馬体減。桜花賞馬グランアレグリアはオークスを使わず、NHKマイルC5着。藤沢和厩舎は馬優先主義から騎手優先主義に変わっている。今年は3番人気以下では未勝利。1、2番人気で外国人騎手が騎乗したときだけマークすればいい。馬券的な妙味が皆無の厩舎になっている。

[Home]