日本ダービー
レース回顧

ロジャーバローズはスタートを決めて離れた2番手につけ、直線で早めに抜け出しメンバー11位の35.1秒で上がってレースを制した。勝ちタイム2分22秒6はダービーレコード。リオンリオンが大逃げして前半5F57.8秒のハイペース。2番手は9馬身程度離れており、前半5Fは59.6秒前後。先週のオークスが前半5F59.1秒。実質の流れはそれほど速くない。ロジャーバローズは2番手から浜中騎手が勝負どころで早めに仕掛けて先頭に立ち、ラスト2Fを11.9−12.0秒でまとめて押し切った。Cコースに変更されて馬場の荒れた内がカバーされ、高速馬場で内を通って前に行った馬が止まりにくい状態。大逃げする馬がいると2番手につけた馬が抜け出して勝つことが多いが、その通りの結果になった。3番手以下が3馬身程度離れており、そのアドバンテージも大きかった。さらにサートゥルナーリアが出遅れて後方からのレースになったことで皐月賞にようにヴォロックス、サートゥルナーリアが早めに上がって前を捕まえに来なかったことも有利に働いている。上がりはメンバー11位の35.1秒。過去10年良馬場で行われたダービーの勝ち馬でこの上がりは最も遅い。馬場、展開、有力馬の動きなど全てが噛み合っての勝利。過去10年で1枠1番は[3−2−1−4]だったが、また1枠1番の馬が激走した。JRAはサートゥルナーリアに危険を感じ、ロジャーバローズの長距離適性を見抜いて1枠1番に入れたのではないか。角居厩舎は12番人気のロジャーバローズが勝ち、1番人気のサートゥルナーリアが4着。サートゥルナーリアは皐月賞を勝っており、角居厩舎は違う馬で2冠を達成した。今後は未定だが、オーナーは凱旋門賞に挑戦させたい意向。近親にドバイシーマクラシックを制したジェンティルドンナがいる。ダービーがフロックではなかったという結果を期待したい。

ダノンキングリーは内ラチ沿いの5番手を進み、直線で徐々に外に出してメンバー7位の34.5秒で伸びてクビ差の2着。道中ロスなく進めて脚をタメ、直線で伸びてきたが、戸崎騎手はロジャーバローズは捕まえられると考えたのか、左鞭を入れて外に併せに行った。結局、外からサートゥルナーリア、ヴェロックスは上がって来ず、最後はロジャーバローズに切れ替えて追ったがクビ差届かなかった。ダノンキングリーはサートゥルナーリアの隣枠で戸崎騎手はサートゥルナーリアが出遅れたのは分かっている。さらに大逃げした馬がいるレースでは2番手につけた馬が勝つことが多いだけに直線でロジャーバローズに併せに行っていれば勝っていたのではないか。ロジャーバローズの上がりを0.6秒上回っている。皐月賞はJRAが馬場、枠順でサートゥルナーリアをアシストし、ダノンキングリーは荒れた内を通る内枠に入れられている。皐月賞、ダービーとも勝ち馬とはタイム差なし。まともなら無敗の2冠馬になっていたのではないか。今春のG1でJRAはダノンの馬を不利な枠に入れていたが、ダービーではダノンキングリーをサートゥルナーリアの隣枠に入れている。JRAは週中にサートゥルナーリアの馬体を見てこれは危ないと分かったのでは。おそらく角居調教師も分かっている。今年の3歳牡馬で最も相馬眼的に評価してきた馬が皐月賞&ダービー2着。相馬眼ニュースで取り上げた馬は、昨年アーモンドアイが牝馬3冠とジャパンC、ワグネリアンがダービー、ルヴァンスレーヴがJDD、南部杯、チャンピオンズC、モズアスコットが安田記念を制した。ダノンキングリーはまだ本格化しておらず、これから強くなる。秋は菊花賞、天皇賞(秋)のどちらに向かうか、陣営は悩むことになりそうだ。

ヴェロックスは外枠スタートから7、8番手を進み、メンバー3位タイの34.3秒で上がり、最後にサートゥルナーリアを差し返して0.4秒差の3着。外枠スタートで位置取りが悪くなり、外々を回されたことが影響している。いつもの先行抜け出しのレースができていれば、もっとやれたのではないか。直線では外からサートゥルナーリアが来てから川田騎手は追い出している。いつもは強気な川田騎手がここ一番で弱気な騎乗だった。予想に書いたように追うと頭が上がり前脚の掻き込みが大きくなるのが死角。こういうタイプは一気に追うと上体が起き上がるため、徐々にスピードに乗せた方がいいが、それができなかった。最後にひと伸びしてサートゥルナーリアを差し返したことは評価したい。東京コースでも走れないことはないが、小回りで直線に坂のあるコースが合っている。今後は休養して秋は神戸新聞杯から菊花賞を目指すことになりそうだ。阪神芝2200mの宝塚記念が合いそうなタイプ。来年出走したら注意したい。

サートゥルナーリアは出遅れて中団の後ろを進み、大外からメンバー最速の34.1秒で伸びて0.5秒差の4着。外から鋭く伸びてヴォロックスを交わして前を追ったが、最後は一杯になってヴェロックスに差し返された。皐月賞で2、3着馬とタイム差なしの接戦で勝った馬が4戦4勝で無敗だったこともあり、単勝1.6倍の断然人気。しかもテン乗りでは勝てないレースでレーン騎手がテン乗りだった。やはり単勝1.6倍は過剰人気だったのではないか。2000年以降に単勝1倍台に支持された馬は、ディープインパクト1着、フサイチホウオー7着、ドゥラメンテ1着、サートゥルナーリア4着。フサイチホウオーはダービーの後12、8、11、15、15着と惨敗が続き引退した。サートゥルナーリアは大外を回って最速上がりを繰り出したように能力はある。大外をブン回したとはいえ、最後の止まり方を見ると現時点で距離は2000m前後がベストなのではないか。陣営は芝1600mでデビューさせている。ホープフルSから直行し、余裕残しの仕上げで皐月賞を勝ったが、最終調教ではダービー向きの馬体に変化していなかった。角居調教師は危険を感じていたのではないか。JRAも危険を感じ、ダノンキングリーを外隣、スタミナのあるロジャーバローズを1枠1番に配置している。皐月賞は2、3着馬とタイム差なし。JRAの馬場、枠順のアシストがあったことが大きかったのではないか。新馬、萩S、ホープフルSを連勝したが、メンバーは強くなかった。社台が有力馬を使い分けることで連勝している馬が評価される傾向がある。無敗で単勝1.6倍のサートゥルナーリアが4着。断然人気でも真の実力と適性を見抜いて死角があれば軽視すべきということを示しているのではないか。サートゥルナーリアは凱旋門賞に挑戦するプランが白紙になった。秋は菊花賞か、天皇賞(秋)か。社台の使い分けで敢えて長距離戦の菊花賞を使う可能性もありそうだ。

ニシノデイジーは後方の内を進み、直線で内からメンバー3位タイの34.3秒で伸びて0.5秒差の5着。皐月賞では掛かって外から上がって行こうとしたが、勝浦騎手がサートゥルナーリアの外につけたらダメと懸命に押さえことで2.0秒差の17着。今回は4着サートゥルナーリアに頭差まで迫った。昨年勝った東スポ杯2歳Sは前半5F60.4秒、後半5F58.1秒でラップは全て11秒台。高速ラップの持続力が問われるレースだった。陣営は重い馬場の中山が合うと判断してホープフルS、弥生賞、皐月賞を使ったが、軽い東京コースの適性が高いのではないか。大逃げで隊列が縦長になり、サートゥルナーリアが出遅れて後方からのレース。ヴェロックス、サートゥルナーリアが早めに前を捕まえに行くレースになっていれば、馬券圏内に突っ込めたかもしれない。それでも距離をこなして能力を示した。秋はトライアルを使って菊花賞に向かうことになりそうだ。

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