宝塚記念
レース回顧

リスグラシューは大外枠からスタートを決めて2番手につけ、メンバー最速の35.2秒で抜け出して3馬身差でレースを制した。勝ちタイム2分10秒6は優秀。キセキが逃げて前半5F60.0秒、後半5F58.9秒。緩い流れで前に行った馬が1〜4着を独占したが、道中緩急のある流れになり、スタミナ&地力が問われるレースになった。リスグラシューはこれまで控えて差すレースをしていたが、レーン騎手がスタートを決めて2番手につけ、メンバー最速上がりでキセキを子供扱いし3馬身差で圧勝。得意の阪神、緩い馬場と条件が揃っていたが、これまでにないレースで一気にパフォーマンスを引き上げた。これで昨年秋から外国人騎手が騎乗してから[2−3−1−0]でG1を2勝。2歳時から活躍していた牝馬。奥手のハーツクライ産駒が完全に本格化した。これで過去10年で8枠が7勝となった。社台の使い分けもあり、秋はコックスプレート(豪G1、芝2040m)、ブリーダーズCターフ(米G1、芝2400m)のどちらかに向かうことになりそうだ。今年の重賞でレーン騎手は[6−0−1−6]で勝率46%、単勝回収率340%、複勝回収率110%。短期免許で重賞6勝は新記録となった。

キセキはハナを切ってマイペースで進め、メンバー3位の35.8秒で上がって0.5秒差の2着。2番手につけたリスグラシューに直線で交わされて3馬身差をつけられ完敗。スタートが遅く押してハナを切ったこともあるが、やはり直線に坂があるコースだと詰めが甘くなる。阪神では[1−3−2−1]で勝ったのは新馬戦のみ。中山では[0−0−0−2]。これで昨年秋以降のG1では3、2、5、2、2着でローテーションが厳しかった有馬記念5着を除き3着以内を確保している。今後は同厩のロジャーバローズと一緒に凱旋門賞に挑戦することになった。2頭でフランスに遠征し、前哨戦を使って凱旋門賞に向かうことになりそうだ。

スワーヴリチャードは4番手からメンバー2位の35.7秒で上がって0.8秒差の3着。2着キセキとは2馬身差。逃げたキセキはラスト2F11.4−12.9秒でラスト1Fが1.5秒落ちたが、スワーヴリチャードはキセキの上がりを0.1秒しか上回れず、最後はジリジリだった。昨年のジャパンC3着のときも最後はジリジリ。スローペースにならないと最後は詰めが甘くなる傾向がある。これまで5勝しているが、前半5Fは全て60.4秒以上の緩い流れだった。流れが緩み、かつ極端な上がり勝負にならないと一変する可能性がある。

アルアインは3番手からメンバー7位の36.1秒で上がって1.1秒差の4着。大阪杯と同様に内をロスなく回って先行したが、直線で前の2頭に離され、ジリジリとしか伸びなかった。大阪杯はスローペース、時計&上がりが掛かる緩い馬場、ロスなく回れる内枠と全てが上手く噛み合って勝ったが、今回直線で伸び切れなかったのは、距離1F延長が良くなかったのだろう。2番手につけたリスグラシューに最速上がりで突き放されたように力負け。大阪杯から直行したが、仕上がりは悪くなかった。

レイデオロは6番手の内から伸び切れず1.3秒差の5着。上がりはメンバー5位タイの36.0秒。この流れならもう少し前につけてしぶとい脚を使える馬だが、馬場の内側が緩くそれが影響した模様。いつもよりパドックで煩かったようにドバイ遠征明けで仕上がりもひと息だったか。前走ドバイシーマクラシックで掛かって逃げて惨敗したため、ルメール騎手が内で控えて攻め切れなかった面もあるのだろう。海外は[0−0−0−2]、関西では[1−0−1−1]、関東では[6−2−0−1]。秋は天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念が目標になるが、社台&ルメール騎手はアーモンドアイがいるため、リスグラシューと同様に使い分けする可能性が高そうだ。社台が強い馬を持ち過ぎているため、本来なら見れる対決が見れないのは非常に残念だ。

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