エリザベス女王杯
レース回顧

ラッキーライラックは1枠スタートから8番手を進み、直線で最内を突いてメンバー最速の32.8秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分14秒1。クロコスミアが逃げて前半3F37.6秒、5F62.8秒のスローペース。ラスト4Fからペースアップし、ラップは11.6−11.5−11.4−11.7秒。前に行った馬が粘り込んで完全前残りになりかけたが、ラッキーライラックがこれまで見せたことがない末脚を繰り出して復活Vを飾った。昨年の桜花賞以降は詰めが甘く勝ち星がなかったが、スミヨン騎手に乗り替わってスローペースで中団で脚をタメたことでレースぶりが一変した。前半5F56.1秒のハイペースになったヴィクトリアマイルで好位から33.5秒で上がって0.1秒差の4着に入った馬。これくらい緩い流れなら切れる脚を使えるということなのだろう。土曜のデイリー杯2歳Sではレッドベルジュールが最内を突いて強烈な末脚を繰り出し勝っている。最内が伸びる馬場設定だったのではないか。勝ちタイムは前日の2勝クラスより0.3秒遅く、上がりをまとめていてもレースレベルはそれほど高くない。次走は香港ヴァーズに向かう予定。牡馬を相手に真価が問われる。

クロコスミアは前半5F62.8秒のスローペースで逃げ、勝負どころで後続を引き離しメンバー18位(最下位)の34.8秒で上がって0.2秒差の2着。この上がりで2着に粘ったところにいかにスローペースで後続が動かなかったかが分かる。スローを察知して道中動いたのはセンテリュオのルメール騎手だけ。京都芝2200mは前が残りやすいとはいえ、この流れを放置して逃げた馬に粘られるのはどうなのか。クロコスミアはエリザベス女王杯で3年連続2着。前半5Fは62.0秒、61.4秒、62.8秒で今年が最も遅かった。テン乗りの藤岡佑騎手はしてやったりか。今年のヴィクトリアマイルで5番手から33.5秒で上がって3着に入ったが、4着ラッキーライラックとはハナ差だった。スローペースで後半のスピードが問われ、ヴィクトリアマイルのスピードが利いたのではないか。次走は有馬記念に向かう予定。ラストランになる。

ラヴズオンリーユーは2番手から逃げたクロコスミアを追ってメンバー12位タイの33.8秒で伸びて0.2秒差の3着。2着クロコスミアとはクビ差。長期休み明けの影響なのか、勝負どころで反応が悪く、そこで前に離されたことが堪えた。最後までジリジリと伸びて地力は示している。休み明けで3歳馬同士の秋華賞ならともかく、古馬相手のエリザベス女王杯では荷が重かったか。馬体は16キロ増えて少しパワーアップしていたが、まだ少しバランスが整っていない印象を受けた。次走は香港ヴァーズに向かう予定。

クロノジェネシスは5、6番手からメンバー3位タイの33.3秒で伸びて0.3秒差の5着。好位から33.3秒で上がっており勝ってもおかしくない走りをしているが、勝負どころで前に離されたことが堪えた。前に行ったオークス馬ラヴズオンリーユーを交わすことができず、これでオークスに続き2連敗。秋華賞はやはりメンバーに恵まれたのではないか。半姉ノームコアは4歳になってヴィクトリアマイルを制している。馬体はまだ強くなる余地がある。今後はひと息入れて来年に備える予定。

スカーレットカラーは5、6番手を進み、直線で外からメンバー8位タイの33.6秒で上がって0.6秒差の7着。直線で外に出して追ったが、前との差が詰まらず、最後は一杯になった。府中牝馬Sは前半5F58.3秒、今回は62.8秒でその差4.5秒。初の芝2200mが影響したとも言えなくもないが、馬体が14キロ増えて太め残りだったことが堪えたのではないか。相馬眼的にG1で通用する能力はあるが、まだ厩舎力が足りないのかもしれない。次走は有馬記念に向かうプランがある模様。

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