天皇賞(春)
レース回顧

フィエールマンは大外枠から中団につけ、メンバー最速の34.6秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは3分16秒5。途中からキセキがハナを切って前半5F63.0秒のスローペース。中盤に流れが緩まず、ラスト5F60.4秒で12.5−11.9−11.9−11.9−12.2秒。ラスト4Fの持続力勝負になった。フィエールマンは昨年の天皇賞(春)を外から早めに上がって勝ったが、今年は昨年より緩い流れで中団に控え、仕掛けを遅らせて最後に差し切った。2着に12番人気のスティッフェリオが粘ったのは、フィエールマンが早めに動かなかったこともあるのだろう。元々久々を苦にしないタイプ。休み明けでも調教で動いていたように上々の仕上がりだった。これで天皇賞(春)2連覇を達成。ルメール騎手は天皇賞4連勝となった。次走はひと息入れて宝塚記念に向かうことになりそうだ。

スティッフェリオは内ラチ沿いの離れた3番手を進み、メンバー2位タイの35.1秒で抜け出してフィエールマンにハナ差の惜しい2着。大逃げした馬がいると離れた2、3番手につけた馬が粘り込むことが多いが、その通りの結果になった。昨年のオールカマーを逃げ切った馬が11番人気で波乱を演出。予想に「芝2200m以上、G3以上、後半5F59.2秒以下、ラスト4Fが12秒以下で勝った馬はフィエールマン(天皇賞春1着、AJC杯2着)、スティフェリオ(オールカマー1着)、ミッキースワロー(オールカマー2着)の3頭のみ」と書いたが、この3頭で決着した。スティッフェリオは前走日経賞でミッキースワローに0.2秒差の3着に負けたが、1キロ重い57キロを背負っていた。天皇賞(春)と相性のいいステイゴールド産駒。北村友騎手が内でロスなく進めたことも大きかった。次走は宝塚記念に向かう予定。

ミッキースワローは後方から早めに上がってメンバー4位タイの35.3秒でまとめて0.4秒差の3着。早めにフィエールマンを交わして前に行き、直線でフィエールマンと一緒に伸びてきたが、早めに動いたぶん最後に一杯になった。結果的に横山典騎手が早めに動いたことがマイナスに働いたが、勝負どころであそこまで前と離れていて動かないというのも難しい話。パンパンの良馬場が合うタイプ。JRAは土曜の夜に散水したのか、馬場が少し緩く映った(泥が蹴り上げられている)ことが影響したのではないか。今後は休養して秋に備える予定。

ユーキャンスマイルは中団から最内を突いてメンバー2位タイの35.1秒で伸びて0.4秒差の4着。陣営の指示かもしれないが、テン乗りの浜中騎手が内を突いて伸び切れなかった。モタれる面を考慮したのかもしれないが、外が伸びる馬場で内を突いたのはマイナスだった。これでG1では3、5、4、5、4着。善戦止まりが続いている。

トーセンカンビーナは出遅れて最後方からメンバー4位タイの35.3秒で追い込んで0.7秒差の5着。大外を回って早めに動いてフィエールマンにプレッシャーをかけたが、直線で伸び切れなかった。前走阪神大賞典より3キロ重い58キロを背負い、いい脚を長く使って力は出している。もう少しスタートが上手くなれば長距離重賞を勝てそうだ。

キセキはスタンド前で外から先頭に立ち、メンバー12位の36.8秒で上がって0.8秒差の6着。武豊騎手がスタートを決めて3番手につけたが、スタンド前でスイッチが入ってハナを切って飛ばし過ぎたことが堪えた。道中ほとんどラップが落ちず、最も遅いラップが12.7秒。これではさすがに厳しかった。仕上がりは良かったが、出遅れ癖、折り合いなど課題がある。

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