宝塚記念
レース回顧

クロノジェネシスは外枠スタートから7番手につけ、勝負どころで進出して4コーナーで先頭に立つとメンバー最速の36.3秒で後続を引き離し6馬身差で圧勝した。3着はさらに5馬身差。1番人気で4着のサートゥルナーリアに2.1秒差をつけた。トーセンスーリヤが逃げて前半3F34.6秒、5F60.0秒の平均ペース。ラスト6Fから12.4−12.4−12.4−11.9−12.1−12.3秒とラップが落ちず、上がりの掛かる消耗戦になった。クロノジェネシスは外を回って早めに押し上げ、2位を0.9秒上回る上がりで他馬を圧倒。馬体が10キロ増えてまたパワーアップしていた。重馬場の京都記念でカレンブーケドールに2馬身半差をつけて楽勝したのはダテではなかった。これで道悪では4戦4勝。生産牧場で水掻きがついていると言われるほどの道悪巧者。直前の雨がプラスに働いたが、この圧勝はそれだけではない。昨年の宝塚記念を勝ったリスグラシューのパフォーマンスを超えている。安田記念は桜花賞馬グランアレグリアが優勝。ここにきて昨年の3歳牝馬G1を勝った馬が活躍している点に注意したい。4歳牡馬は低レベルの可能性がある。今後はひと息入れて秋に備える予定。海外遠征を視野に入れているが、コロナの関係で国内専念か。アーモンドアイ、コントレイルとの頂上対決を楽しみに待ちたい。

キセキは出遅れて後方を進み、3コーナー手前から徐々に押し上げ4コーナーでクロノジェネシスの直後につけるとメンバー2位の37.2秒で伸びて1.0秒差の2着。3着モズベッロに5馬身差をつけたが、勝ったクロノジェネシスが強過ぎた。出遅れて武豊騎手が追い込むレースに切り替え、不良馬場の菊花賞を勝ったときのように外から捲ってきた。クロノジェネシスが外から上がって前を一掃したことで10番手以下につけた馬が2〜5着に入ったように展開も味方したのだろう。キセキはルーラーシップ産駒で不良馬場の菊花賞を勝ったように道悪が得意。直前の雨で馬場が悪化したことがプラスに働いている。結果的に出遅れたこともプラスに働いた。近走は出遅れたり、掛かったりしてまともなレースができなかたが、久々に本来の力を見せた。これでG1で4度目の2着。父ルーラーシップと同様に勝ち切れないレースが続いている。

モズベッロは12番手から徐々に進出し、メンバー4位タイの37.6秒で上がって1.8秒差の3着。直線でサートゥルナーリアが外から来るともうひと伸びして3着を確保した。タフな馬場をこなす地力タイプが消耗戦になって地力を発揮し、12番人気で穴をあけた。武豊騎手のキセキが出遅れてトーセンスーリヤが逃げて流れ、直前の雨で馬場が悪化し、クロノジェネシスが早めに動いて前を一掃。これらが全てプラスに働いた。日経賞を勝ったミッキースワローは天皇賞(春)3着、2着モズベッロは宝塚記念3着、3着スティッフェリオは天皇賞(春)2着。上がりの掛かるタフなレースで好走した馬がG1で激走した。このあたり秋に向けて注意したい。

サートゥルナーリアは10番手からメンバー4位タイの37.6秒で伸びて2.1秒差の4着。最後に止まって3着モズベッロを交わせなかった。ルメール騎手は重い馬場で距離2200mが長かったとコメント。10番枠より外に入った馬が1、2、3、5、6着。馬場の内側が荒れて内を通った馬が壊滅状態になっただけに3枠5番にマイナスに働いたぶんもあるのだろう。直前の雨でさらに馬場が悪化したことも厳しかった。3頭出しの角居厩舎は6番人気のキセキが2着。多頭出しは人気薄を狙えという競馬の格言通りになった。サートゥルナーリアはメンバーの弱い金鯱賞を勝ったが、メンバーの揃った古馬相手のG1では6、2、4着と勝ち切れないレースが続いている。

ラッキーライラックは5番手から4コーナーで2番手に押し上げたが、直線で一杯になって2.5秒差の6着。エリザベス女王杯、大阪杯は上がり勝負で内から抜け出して勝ったが、今回は重い馬場で上がりの掛かる消耗戦になり、強気なレースをして失速した。サートゥルナーリアと同様に渋った馬場で消耗戦だと妙味が距離が長いのだろう。

トーセンスーリヤは逃げて2.8秒差の7着。少し捌きに硬さがあったが、前に行った馬が失速する中、7着に粘ったことを評価したい。ここにきて調教の動きが目立つようになり本格化気配がある。秋はG2、G3で激走があるのではないか。横山和騎手も成長している。この人馬は秋に活躍する可能性があるので注意したい。

ダンビュライトは3番手につけたが、直掩で一杯になって3.1秒差の9着。勝負どころで早めにクロノジェネシスに来られたが、バッタリ止まらずに9着に踏ん張った。メイショウテンゲンが5着に突っ込む完全前崩れの消耗戦では厳しかった。G2では[2−1−2−2]で複勝率71%。秋のG2で注意したい。

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