京成杯AH
レース回顧

トロワゼトワルは4番手から2番手に押し上げ、メンバー8位の35.3秒で逃げたスマイルカナをハナ差交わしてレースを制した。勝ちタイムは1分33秒9。スマイルカナが逃げて前半3F35.0秒、5F58.3秒。昨年は前半3F33.3秒、5F55.4秒のハイペースだったが、今年は流れが速くならず、前に行った3頭で決着。トロワゼトワルは昨年逃げ切ったが、今年はスマイルカナを行かせて2番手につけ、直線でひと脚使って叩き合いを制した。横山典騎手の絶妙な騎乗で京成杯AH2連覇を達成。これで横山典騎手は京成杯AH最多の6勝目(2位は5勝の野平祐二氏)となった。安田隆厩舎はセントウルSを同じロードカナロア産駒のダノンスマッシュで勝ち、東西の重賞を制した。トロワゼトワルは7〜9月は[5−1−0−2]、重賞では[2−1−0−1]。夏場は堅実に走っている。

ロードカナロアを管理した安田隆厩舎は、ロードカナロア産駒で重賞に出走すると[11−5−3−28]で最多の11勝(2位は7勝で国枝厩舎、全てアーモンドアイ)。1番人気は[8−0−2−5]、4番人気以内は[11−3−3−15]、5番人気以下は[0−2−0−13]。4番人気以内なら馬券に絡めておきたい。ちなみにロードカナロアで高松宮記念3着(1人気)、函館スプリントS2着(1人気、単勝1.3倍)に終わった福永騎手は[0−0−0−3]に終わっている点に注意したい。重賞以外で3番人気以内なら[8−2−1−3]で乗れている。

スマイルカナは途中からハナを切ってマイペースで進み、メンバー11位タイの35.6秒でまとめてハナ差の2着。柴田大騎手が馬を信頼して途中から思い切って行かせたことが結果的にプラスに働いている。前走米子Sは同じように途中から一気にハナを切って押し切ったが、今回はトロワゼトワルの横山典騎手に上手く乗られた。横山典騎手はスマイルカナの米子Sのレースを見てハナを切ると途中から一気に来られるとみて2番手に控えたのだろう。スマイルカナはコース的にロスのある大外16番枠から前半外を通ったことを考えると強いレースをしている。上がりは35.6秒。この上がりで差し馬が突っ込めないのはメンバーレベルが低いのではないか。これで右回りの芝1600mでは[3−1−1−1]、中山では[2−1−0−0]。この条件では堅実に走っている。

ボンセルヴィーソは3番手からメンバー4位タイの35.2秒で伸びてハナ+ハナ差の3着。今年の京都金杯を14番人気で3着、ダービー卿CTを12番人気で2着に入った馬が13番人気で穴をあけた。前残りの展開が味方したが、ダービー卿CTに続き、木幡巧騎手が上手く乗っている。これで重賞では[0−3−5−1]で複勝率88.9%。朝日杯FSとNHKマイルCで3着があるように地力があるが、連続して好走することが少なく、決め手がないため好走しても人気にならないタイプ。馬券に絡めておいて損はない。

シゲルピンクダイヤは6番手からメンバー4位タイの35.2秒で上がって0.3秒差の5着。馬体が18キロ増えて全体的にしっかりし、パドックではイレ込まず落ち着いて周回していた。心身とも成長してきている。以前は出遅れて追い込むレースが多かったが、最近は中団あたりで流れに乗れるようになっている。昨年の桜花賞でメンバー最速の32.7秒で追い込んでグランアレグリアの2着に入った馬。渡辺薫調教師の仕上げ方次第で覚醒してもおかしくない。

アルーシャはダッシュがつかず後方を進み、メンバー最速の34.7秒で追い込んで0.4秒差の6着。最後に外から突っ込んできたが、前が残る展開で位置取りが後ろ過ぎた。心肺機能が高いため、もっと速い流れで上がりの掛かるレースが合っている。昨年以降の重賞で藤沢和厩舎は3歳[5−3−0−27]、4歳[5−3−1−18]だが、5歳以上は[0−0−4−23]で3着止まり。タワーオブロンドン、レイエンダなど5歳になると急に走らなくなる馬が多い。

アンドラステは内枠から6番手につけたが、ごちゃついて後方に下がり、直線でスペースがなく、ほとんど追えずに0.6秒差の10着。小回りコースで揉まれた経験が少ない点もあるのか、スムーズさを欠いてまともに走れなかった。広いコースで見直したいが、中内田厩舎の管理馬は古馬になると急に走らなくなるので注意したい。

ルフトシュトロームは1枠1番スタートから中団で揉まれて後退し、直線で全く伸びずに最下位の16着。馬体が24キロ増えて少し太い造りだったが、全くレースにならなかった。今年の重賞でサンデーレーシング(ルフトシュトローム)は[10−7−5−41]で10勝だが、トロワゼトワルの社台RHは[1−6−7−38]で1勝のみ。大人の事情もあるか。

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