秋華賞
レース回顧

デアリングタクトは道中13番手の外を進み、勝負どころで早めに動いて4コーナーで5番手に押し上げ、メンバー2位タイの35.8秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは2分00秒6(稍重)。マルターズディオサが逃げて前半5F59.4秒(稍重)の速い流れ。後半5Fは61.2秒、上がりは36.4秒、ラップは12.4−11.9−12.1秒。上がりの掛かる消耗戦になり、後方を進んだ馬が掲示板を独占した。デアリングタクトは外を回って自分から動いて抜け出し、直線で後続を完封し優勝。史上初となる無敗の牝馬3冠を達成した。直線では逆手前のまま遊びながら走っており着差以上の内容。休み明けで馬体が14キロ増えて8分程度の仕上がりだった。陣営は秋華賞は勝てるため、次を見越して仕上げていたのだろう。パドックでいつもより煩かったのは、馬が走るのに納得した仕上がりでなかったせいか。過去10年で秋華賞勝ち馬はジャパンCで[2−0−0−1]で3冠牝馬ジェンティルドンナ、アーモンドアイが勝っている。アーモンドアイ、クロノジェネシス、2冠馬コントレイル、菊花賞馬と対決が楽しみだ。

マジックキャッスルは道中11番手を進み、勝負どころから直線でデアリングタクトが通った後ろを進み、直線で少し内に切れ込んでメンバー2位タイの35.8秒で伸びて0.2秒差の2着。大野騎手がデアリングタクトが直線で抜け出すとみて尾行し、大外をブン回さなかったことが良かったのだろう。オークス5着、紫苑S4着は直線でごちゃついて脚を余していた。半兄ソーグリッタリングは京都巧者。穴馬で狙ったが、激走する下地はかなり揃っていた。馬場が稍重に回復したことも良かったのだろう。陣営が浜中騎手から大野騎手に替えて勝負を懸けてきたのは、3冠牝馬アパパネ、アーモンドアイを出した国枝厩舎の意地か。重賞で2着が3回ある1勝馬。適条件を選んで使っていけばどこかで重賞を勝てそうだ。

ソフトフルートは出遅れて最後方を進み、大外からメンバー最速の35.7秒で追い込んで0.3秒差の3着。前走夕月特別を2分00秒0で4馬身差で圧勝した馬が9番人気で激走した。最後方から大外をブン回すロスのあるレースでいい脚を長く使っている。スプリンターズSでも最後方からアウィルアウェイが3着に突っ込んでいる。中山も京都も今年は馬場が重く、雨の影響もあるが、内が荒れるのが早い点に注意したい。来年2月で定年になる松田国調教師の管理馬はタイムフライヤー、ハギノアレグリアス、サムシングジャスト、サトノウィザード、ソフトフルートなど走る馬が次々と出てきている。

パラスアテナは後方から捲ってメンバー2位タイの35.8秒で追い込んで0.4秒差の4着。3着とはハナ差。紫苑Sで大外18番枠から外を回って2着に入ったのはダテではなかった。これで稍重では1、4、2、4着。ルーラーシップ産駒で少し緩くて上がりの掛かる馬場もこなすのだろう。444キロの小柄な牝馬だが、パドックではバランスのいい馬体が目立っていた。相馬眼的に良馬場で一変する可能性があるので注意したい。

リアアメリアは5番手から勝負どころで先団に取りついたが、直線で一杯になって1.8秒差の13着。ローズSは前半5F60.9秒、後半5F59.0秒。今回は前半5F59.4秒、後半5Fは61.2秒。上がりの掛かる消耗戦で先行して押し切る地力がないのだろう。17着のクラヴァシュドールもそうだが、中内田厩舎の管理馬は3歳秋または古馬になると急に走らなくなるので注意したい。

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