富士S
レース回顧

ヴァンドギャルドはスタートを決めて中団につけ、直線で外からメンバー最速の34.6秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分33秒4。スマイルカナが逃げて前半3F33.8秒、途中から掛かったシーズンズギフトが先頭に立ち、前半5F57.4秒のハイペース。3番手以下は6馬身程度離れており、実質は平均か少し速い流れ。内が荒れた馬場で外を通った馬が1〜3着を独占した。ヴァンドギャルドは重賞では出遅れなどで3着止まりに終わっていたが、福永騎手がスタートを決めて中団の外で流れに乗り、直線できっちり差し切って重賞初制覇。調教診断に「リフレッシュして活気が戻り、馬体のバランスが良くなった」と書いたが、パドックでも馬体の造りが目立っていた。2、3歳時にハードな使い方をしたが、藤原英厩舎が間隔を空けながら大事に使ってきたことが良かったのだろう。次走はマイルCSでG1獲りを目指すことになりそうだ。10月の東京の重賞で連対した馬は全て社台系生産馬。サリオス、サラキアはシルクHC、ヴァンドギャルドは社台RH。社台の馬が勝つパターンが続いている。

ラウダシオンは3番手からメンバー3位タイの35.2秒で抜け出したが、外からヴァンドギャルドに差されて0.2秒差の2着。休み明けで馬体が16キロ増えて少し余裕があり、G1馬のため同じ3歳のタイセイビジョンより2キロ重い56キロを背負っていたが、NHKマイルC勝ち馬が速い流れで先行して能力を示した。NHKマイルCでレシステンシアを負かしたのはダテではない。3歳時に安田記念を制したリアルインパクト産駒。東京マイルも合っているのだろう。パワータイプで少し時計の掛かる馬場が合うタイプ。次走はマイルCS。今年の京都は時計が掛かっている点はプラスに働きそうだ。斉藤崇厩舎の仕上げは着実に進化している。

ケイアイノーテックは後方2番手からメンバー2位の34.7秒で追い込んで0.4秒差の3着。18年のNHKマイルC勝ち馬が約2年半ぶりに馬券に絡んだ。今年の安田記念では後方から早めに動いて0.7秒差の5着に入り、2着アーモンドアイとは0.3秒差だった。シーズンズギフトが掛かって流れが速くなったことがプラスに働いている。勝ち切れないレースが続いているが、馬体は筋肉量が増えて充実してきている。直線に坂があるコースのマイル戦がベスト。馬場、展開が向けば復活Vがあってもおかしくない。

ペルシアンナイトは中団からメンバー3位タイの35.2秒で伸びて0.5秒差の4着。富士Sは休み明けで出走し5、5着だったが、札幌記念を使った今年はひとつ着順を上げた。直線で伸び切れなかったのは、馬場の荒れた内を通ったことが影響している。過去3年のマイルCSは1、2、3着で馬券圏内を確保。人気にならないタイプに変貌しているため、今年も注意したい。

ワーケアは中団から伸び切れず0.9秒差の8着。上がりはメンバー8位タイの35.8秒。これまで前半5F60秒を切るレースを経験したことがない馬が、今回は前半5F57.4秒の速い流れ。直線で伸び切れなかったのは、経験のない流れも影響したのだろう。外に馬がいると怯んで伸び切れないように映る。少し距離ロスがあっても外々を回って差すレースをすると一変するのではないか。

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