天皇賞(秋)
レース回顧
アーモンドアイは3番手の外からメンバー3位の33.1秒で抜け出すと外から伸びたフィエールマン、クロノジェネシスの追撃を完封してレースを制した。勝ちタイムは1分57秒8。ダノンプレミアムが逃げて前半3F36.5秒、5F60.5秒の緩い流れ。後半5Fは57.3秒、上がりは33.6秒、10.9−11.1−11.6秒。スローペースで後半に高速ラップの持続力と瞬発力が問われるレースになった。アーモンドアイは昨年内をロスなく回って直線で抜け出して3馬身差で圧勝したが、今年は外を回ったこともあり2着に半馬身差まで詰められた。ただし昨年0.5秒差の2着ダノンプレミアムに0.4秒差をつけており、2着フィエールマン、3着クロノジェネシスがアーモンドアイに詰め寄ったともいえる。アーモンドアイは史上初となる芝G1−8勝を達成した。ルメール騎手は天皇賞(秋)3連覇。春を含め天皇賞は5連勝となった。パドックでは絶好調という感じではなかったが、このレベルの馬になると普通に仕上がれば力は出せるのだろう。これで休み明けは7戦7勝となった。馬体を見る限り一度使った上積みが見込まそうだが、5歳牝馬だけにどこまで上向いてくるか。無敗の3冠馬デアリングタクト、コントレイルはジャパンC出走が決定。馬優先で体調次第になるが、現役古馬最強馬としてジャパンC出走を期待したい。
フィエールマンは後方3番手から直線で外に持ち出すとメンバー最速の32.7秒でガツンと伸びて0.1秒差の2着。スタートでキセキ(武豊騎手)に寄られて位置取りが悪くなったことが堪えたが、天皇賞(春)を2連覇した実力馬がスローの瞬発力であらためて能力と末脚の威力を見せつけた。馬体は12キロ減っていたが、前走8キロ増で少し太かったこともあるのだろう。ただしパドックを見るといつもより地味で8分程度の仕上がりに映った。前走天皇賞(春)はルメール騎手が直線で鞭7発、ラスト1Fから鞭6発を入れたが、今回福永騎手は直線で鞭3発、ラスト1Fから鞭1発しか入れなかった。福永騎手は想定よりもフィエールマンの末脚が凄過ぎてアーモンドアイを差し切ってしまうと焦ったのではないか。スタートでキセキに寄られなかったら見え見えの八百長競馬になっていた可能性があるだけにある意味良かったか。次走は有馬記念に向かう予定。社台の使い分けもあるが、これまで中6週以下で使ったことがないため、間隔を空けたいのだろう。
クロノジェネシスは9番手の外からメンバー2位の32.8秒で伸びて0.1秒差の3着。スタートでキセキに寄られて位置取りが悪くなり、直線で手前を替えて内に切れ込れ込んで内にモタれたことが響いている。それでも宝塚記念を圧勝した馬が良馬場の上がり勝負で能力を示す3着。斉藤崇厩舎は仕上げが上手いが、今回は調教で攻めておらず余裕残しの仕上げだった。ジャパンCの叩き台にする馬は2〜4着に負けることが多いが、その通りの結果になった。次走ジャパンCは無敗の3冠馬デアリングタクト、コントレイルと戦うことになる。雨で馬場が悪化したらデアリングタクトとの一騎打ちになりそうだ。
スカーレットカラーは離れた後方2番手からメンバー4位の33.7秒で追い込んで1.4秒差の9着。スローペースでも隊列が縦長になったこと、直線で馬場の荒れた内めを突いたことが堪えた。ただしフィエールマン、クロノジェネシスは外を回って32秒台で上がっており、外に出しても馬券圏内は厳しかったか。結果的にG1馬3頭が強かった。昨年のエリザベス女王杯は馬体14キロ増、今回も14キロ増。調教で攻めて仕上げたときに限って大幅増で出走してくるあたり、厩舎レベルが低い可能性がある。
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