朝日杯FS
レース回顧

グレナディアガーズは1枠スタートから3番手につけ、メンバー7位タイの34.5秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイム1分32秒3はレコード。ルメール騎手のモントライゼ(キャロットF・社台)が逃げて前半3F33.7秒、5F56.9秒のハイペース。先週の阪神JFはJRAが散水したのか、重い馬場で芝1600mより長い距離に適性のある馬が1〜3着に入ったが、朝日杯FSは先週より乾いた馬場で長い距離の適性は問われなかった。同日9RのサンタクロースHは芝1400m巧者のトリプルエースが1分32秒6で勝っている。JRAがスピードの絶対値が高いグレナディアガーズ向きの馬場に設定している。グレナディアガーズは1枠からスタートを決めて先行し直線で抜け出す正攻法のレースで快勝。人気のレッドベルオーブ、ステラヴェローチェに勝つのは、道中楽に前につけられるスピードがあり、速い上がりを繰り出して抜け出す馬という見立てで穴馬◎で狙って正解だった。

今年のG1で川田騎手は[0−1−1−15]で勝っていなかったが、やはり1枠は助け船だった。1〜3着馬はノーザンF生産馬だが、馬主は1着がサンデーR、2着は大野氏、3着は東京ホースR。今年のG1でノーザンF生産馬は社台の馬が勝つ傾向があり、個人馬主で勝ったのは金子氏(社台の超お得意様)のみ。今の競馬(特に重賞)は社台の思惑を読まないと勝ちにくくなっている。個人馬主の馬に騎乗した騎手は社台の馬に忖度して勝たないので注意したい。川田騎手&中内田厩舎は17年の朝日杯FSをダノンプレミアム(1枠1番)で制している。もうこんなに人気がないことはなさそうだが、春のG1でも注目していきたい。19年以降の芝G1で川田騎手は[1−6−5−24]1勝のみ。今回グレナディアガーズで勝ったが、これで流れが変わるとは思わない。

ステラヴェローチェは中団から馬群を捌いてメンバー最速タイの33.5秒で伸びて0.1秒差の2着。横山典騎手が直線で内に切れ込んだ後に外に持ち出して上手く捌いてきた。直線でスムーズなら際どいレースになっていた。新馬戦が稍重で1分36秒4、サウジアラビアRCが不良馬場で1分39秒6。初めての良馬場で高速決着に不安があったが、1分32秒4で走って不安を払拭した。クロノジェネシスと同じバゴ産駒で道悪巧者だが、この走りなら良馬場でも問題ない。3戦ともマイル戦を使っているが、体型的に距離をこなしそうなタイプだけに来年のクラシックに向けてホープフルSを使う手もあったか。今後は高速決着のレースに使ったことがマイナスに働く可能性が少しある。今年の芝G1でノーザンF生産馬は馬主が社台なら[11−10−4−39]だが、社台でない馬は[1−3−7−54]でソダシ(社台の超お得意様の金子氏)の1勝のみ。ステラヴェローチェはノーザンF生産馬で馬主は大野氏。こういうことを書くと社台が修正してくる点を付け加えておく。

レッドベルオーブは7番手からメンバー4位タイの34.2秒で伸びて0.4秒差の3着。直線で外から伸びてきたが、福永騎手が勝負どころで動かずに前と離されたことが堪えた。勝ったグレナディアガーズより上がりは0.3秒速いため、勝負どころでもっと強気に動いていれば差は詰まったのではないか。同じノーザンF生産馬でもグレナディアガーズはサンデーR、レッドベルオーブは東京ホースR。今年のG1でノーザンF生産馬は社台の馬が勝つ傾向。騎手が忖度したとは言わないが、その差もあるのだろう。大事に育てる藤原英厩舎の管理馬がなせここまで使い、3戦連続で高速決着。これは何を意味するのか。これまで平地G1で東京ホースRのノーザンF生産馬は[0−0−4−21]で3着止まり。レッドベルオーブ(1人気)はノーザンF生産馬。ちなみに平地G1で東京ホースRの社台F生産馬は[4−4−4−28]。競馬新聞には書いてない。

バスラットレオンは3番手からメンバー10位の34.8秒で伸びて0.5秒差の4着。前走京都2歳Sは先行して6着に終わったが、距離短縮でしぶとく伸びて見せ場を作った。札幌2歳S3着馬。札幌2歳Sを勝ったソダシは阪神JF1着、2着ユーバーレーベンは阪神JF3着。消耗戦になった札幌2歳Sはレベルが高かったのだろう。バスラットレオンは体型的にマイル前後が合っている。今回はまだ太め残りだった。

カイザーノヴァは後方2番手からメンバー最速タイの33.5秒で追い込んで0.7秒差の8着。大外から最速上がりで追い込んできたが、位置取りが後ろ過ぎた。デイリー杯2歳Sは1分32秒4のレコード決着、朝日杯FSは1分32秒3のレコード決着。いい脚を長く使えるが、それほどスピードがないためレコード決着では厳しかった。外を回って最速上がりを繰り出したように能力はある。条件が揃えば超絶の一発がありそうだ。

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