中山金杯
レース回顧

ヒシイグアスは5、6番手につけ、直線で外からメンバー3位の34.5秒で差し切りレースを制した。勝ちタイムは2分00秒9。ロザムールが逃げて前半5F62.0秒のスロペース。後半5F58.9秒、ラップは12.1−11.8−11.5−11.3−12.2秒。スローペースで前が残りやすい展開になり、中団より前につけてひと脚使った2頭で決着。ヒシイグアスは好位の外から抜け出す正攻法のレースで重賞初制覇。セレクトセールで1億476万円で取り引きされた堀厩舎のハーツクライ産駒。以前は決め手不足で詰めが甘かったが、ここにきて末脚の威力が増している。過去10年で前走3勝クラス出走馬は[1−0−2−11]で1連対だったが、前走3勝クラスを勝った軽量馬2頭で決着。やはり例年よりメンバーレベルが低かったのだろう。ヒシアマゾン、ヒシミラクル、ヒシアケボノなどを出したヒシの馬主は息子に替わったが、ヒシとしては06年のヒシアトラス(エルムS)以来の重賞制覇となった。今後は中山記念から大阪杯を目指すことになりそうだ。

ココロノトウダイは内枠スタートから8番手の内を進み、直線で外に出してメンバー最速タイの34.4秒で伸びてクビ差の2着。丸山騎手が直線まで内でタメて狭いところを捌いてきたが、最後はヒシイグアスに競り負けた。これまで中山[0−0−0−2]、福島[3−1−0−0]で直線が平坦なコースを得意にしていたが、初めて急坂のある中山で連対した。大型馬でパワーがあるため、時計、上がりが掛かる今の中山は合っているのだろう。これまで内枠に入ったときに好走している点を考慮しておきたい。今後は小倉大賞典を使ってひと息入れ、夏は七夕賞(福島)、小倉記念を使ってサマー2000シリーズの優勝を目指す手か。

ウインイクシードは外枠スタートから2番手につけ、メンバー8位タイの35.2秒で粘って0.3秒差の3着。昨年の6番人気で2着、今年は13番人気で3着に激走した。過去10年で8枠は[0−1−0−22]だったが、戸崎騎手がスタートを決めて楽に2番手につけ、スローペースで進められたことが良かったのだろう。休み明けを除き、良馬場の中山芝1800〜2200mでは[2−4−2−2]。この条件では堅実に走っている。

ヴァンケドミンゴは外枠スタートから3番手につけ、直線で伸び切れず0.9秒差の11着。陣営の指示なのか藤岡康騎手が外枠を嫌ったのか、いつもとは違う先行策で勝ちにきたが、勝負どころで早々と手が動き、直線で一杯になった。これまで差すレースをしてきただけに馬が少し戸惑った面もあるか。叩き3戦目で仕上がりは悪くなかった。[4−1−1−0]の福島巧者。直線に急坂がある中山では[0−1−1−6]で不振が続いている。

ディープボンドは外から前に入られて位置取りが悪くなり、直線で前が壁になってまともに追えず14着に終わった。それほど切れる脚がないため、スローペースで中団の後ろからでは厳しかった。全く力を出していないため参考外の一戦だが、本質的にはもう少し長い距離が合っている。18年以降の芝重賞で和田騎手は2番人気以内では[0−1−1−8]、4歳以上では[0−0−0−5]で不振が続いている。

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