皐月賞
レース回顧
ジオグリフはスタートを決めて外の5番手につけ、直線で外からメンバー4位タイの34.3秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分59秒7。先週の春雷Sは1分6秒8が出たが、良発表でも荒れた緩い馬場で時計が掛かった。アスクビクターモアが逃げて前半5F60.2秒。後半5F59.5秒、ラップは12.3−12.0−11.4−11.5秒。内が荒れた馬場で外枠から外を回った馬が有利になった。ジオグリフは前走ルメール騎手が好位につけたこともあり、スタートを決めて好位につけたことが大きかった。2着イクイノックスは向こう正面で折り合いを欠いたが、ジオグリフはテン乗りの福永騎手が折り合いをつけ、前にいたイクイノックスをいい目標にして上手く乗っている。
高松宮記念のナランフレグ、大阪杯のポタジェ、桜花賞のスターズオンアースに続き、重賞で善戦していた馬がG1を制した。ドレファン産駒の初年度産駒がG1初制覇となった。サンデー系牝馬に付けられる貴重な種牡馬として社台が購入した馬。母アロマティコは秋華賞&エリザベス女王杯3着馬。末脚がしっかりした走る馬だった。近親にダービー2着のインティライミがいる。ドレファンは短距離馬のため、ダービーは距離不安が囁かれそうだ。強烈な決め手があるイクイノックス、ダノンベルーガが相手にパンパンの良馬場で決め手勝負では見劣るが、タフな流れで持久力勝負になれば出番があるかもしれない。ノド鳴りと言われた馬が皐月賞制覇。社台の情報には惑わされないようにしたい。
イクイノックスは大外枠から7番手につけたが、向こう正面で掛かって上がって行き、メンバー8位タイの34.6秒で抜け出したが、外からジオグリフに差されて0.1秒差の2着。昨年11月の東スポ杯2歳Sから異例のローテーションでルメール騎手でも3番人気だったが、見せ場十分の走りで2着を確保した。向こう正面で折り合いを欠かずにジオクリフの後ろで進めていれば勝っていたかもしれない。馬体が10キロ増えたことで全体的に実の入りが良くなり、踏み込みがしっかりしていた。キタサンブラック産駒の初年度産駒。今後のダービー前哨戦ではキタサンブラック産駒のガイアフォース、ブラックブロッサムも出てくる。ダービーはキタサンブラック産駒が3頭出しになるかもしれない。イクイノックスは疲れが残りやすいタイプだが、馬体が成長したことでどこまで回復が速くなっているか。左回りでは2戦2勝。東スポ杯2歳Sをメンバー最速の32.9秒で圧勝している。ダービーではダノンベルーガとの末脚比べが見られそうだ。
ドウデュースはスタートは出たが徐々に位置取りが悪くなって道中15番手を進み、大外からメンバー最速の33.8秒で追い込んで0.3秒差の3着。これまで中団より前につけるレース巧者ぶりを発揮していたが、今回は武豊騎手が展開を読み違えたのか、スタート後に他馬に前に入られて行けなかったのか、位置取りが後ろ過ぎた。武豊騎手はこれまで皐月賞で3着以内に入った8戦のうち6戦が追い込みとなった。07年の皐月賞で後方から最速タイの33.9秒で追い込んで3着に入ったフサイチホウオー(安藤勝騎手)はダービーで単勝1.6倍の断然人気に支持され7着に終わっている。ドウデュースは切れより地力タイプ。最速上がりで3着に入ったのは、結果的に後方から着狙いのレースになったことによるものなのではないか。最速上がりは過信しないようにしたい。次走はダービー。パンパンの良馬場の決め手勝負では見劣るため、何らかのアドバンテージが欲しいところ。
ダノンベルーガは1枠1番から荒れた内の5番手を進み、直線で内からメンバー8位タイの34.6秒で上がって0.3秒差の4着。1〜3着馬は14、18、12番枠。ダノンベルーガは内が荒れて外枠から外を通った馬が有利な馬場で1枠1番から終始荒れた内を通ってきたことを考えるとよく走っている。馬場のいい外を通ったイクイノックスとは0.2秒差。JRAは社台に忖度し、社台の2頭を外枠に配置している。ダノンの馬はG1で不利な枠に入ることが多いが、今回は最も不利な1枠1番だった。ダノンベルーガは直線でイクイノックスに交わされるときに俺より速い馬がいるのかという感じでイクイノックスを見ていた。これでスイッチが入るのではないか。まだ鍛えられておらず素質だけで走っていたが、勝負根性があることが分かった。こういう馬は走ってくる。左回りは2戦2勝で上がり最速の33.1秒、33.7秒(稍重)。距離をこなすタイプ。ダービーでは不利な8枠に入れられそうだが、それでもチャンスがありそうだ。
アスクビクターモアは前半5F60.2秒のマイペースで進み、メンバー14位の35.3秒で上がって0.3秒差の5着。中盤に12.8秒と緩め、ラスト4F12.3−12.0−11.4−11.5秒。弥生賞は中盤に12.5秒に落としたが、ラスト4Fは11.8−11.5−11.4−12.3秒。前半の流れ、馬場の違いはあるが、もう少し早めにラップを上げて後続を脚を使わせても良かったか。舌がハミを越していたが、最後止まったというより切れ負けでバテてはいない。昨年のタイトルホルダーのように長距離で覚醒する可能性がありそうだ。
キラーアビリティは出遅れた後に最内から追い上げて道中は中団を進み、直線で最内から追い上げたが伸び切れず0.9秒差の13着。内が荒れた馬場でずっと内を通って全く走っていない。今年のG1で横山武騎手は5、6、9、10、13着。走るごとに着順を落としている。
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