エリザベス女王杯
レース回顧

ジェラルディーナは大外18番枠スタートから11番手につけ、大外からメンバー最速の35.4秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分13秒0(重)。ローザノワールが逃げて前半5F60.3秒。中盤に流れが緩んで後半5F60.4秒、上がりは36.4秒、ラップは11.9−12.3−12.2秒。内が荒れた重馬場で上がりの掛かる消耗戦になり、11番枠より外枠から外を回った馬が1〜5着を独占した。ジェラルディーナはパドックでテンションが高かったが、レースでは外を回って折り合い、最速上がりで差し切ってG1初制覇。昨年から西宮S、チャレンジC、京都記念、阪神牝馬Sと4戦連続阪神を使い、今年は芝2200mの京都記念、オールカマーを使ったのはエリザベス女王杯を最大目標にしてきたため。前走オールカマーのパドックでは馬体が成長してバランスが良くなり、相馬眼的に評価できるレベルに到達していた。G1は狙って獲るもの。陣営の思惑通りに成長させることができたことが今回の勝利に繋がったのだろう。

成長力あるモーリス産駒で母はG1を6勝した名牝ジェンティルドンナ。良血馬の素質が開花し、さらにパフォーマンスを引き上げた。オールカマーは横山武騎手、エリザベス女王杯はCデムーロ騎手で勝ったが、昨年夏から福永騎手が騎乗して折り合い、レースを教えてきたことが大きいことも付け加えておく。斎藤崇厩舎は昨年ステラリア(松山騎手)で2着。今年はCデムーロ騎手を確保して勝負にきていた。これで阪神で行われた3年は18番枠、16番枠、18番枠が優勝。阪神芝2200mは内回りで直線は短いが、エリザベス女王杯はタフなレースになるため外枠の差し馬が活躍している。ジェラルディーナは来年も現役を続行する予定。次走は未定だが、ひと息入れてG2を使いながら宝塚記念を目指すことになりそうだ。さらに気性が成長するとドバいなど海外遠征が視野に入る。

ウインマリリンは6番手から勝負どころで早めに上がってメンバー4位タイの36.1秒で抜け出したが、外からジェラルディーナに交わされて0.3秒差の2着。大外から伸びたライラックの追撃を凌ぎ切って2着同着に持ち込んだ。レーン騎手が馬場のいい好位の外につけて終始スムーズなレースをして力を出し切った。過去2年のエリザベス女王杯は4、16着に終わったが、今年は手塚調教師がコメントした通り、過去2年よりも馬の状態が良かったのだろう。オークスでデアリングタクトの2着があり、昨年は牡馬を相手に日経賞、オールカマーを制した実力馬。小回りの中山が合うため、次走は有馬記念の可能性が高そうだが、今年のジャパンCは例年よりメンバーが手薄なため使ってくるかもしれない。

ライラックは後方2番手からメンバー2位の35.5秒で追い込んで0.3秒差の2着同着。クラシックは桜花賞16着、オークス11着、秋華賞10着に終わり、今回出走した日本の3頭馬4頭の中で最も人気がない12番人気。新馬戦で心肺機能の高さを示し、フェアリーSを最後方から捲って2冠馬スターズオンアースを差し切った馬。外枠から馬場のいい外を通って差した馬が有利な展開&馬場になったことが大きく味方したが、あらためて心肺機能が高いことを示した。今年を含め、過去10年のエリザベス女王杯でMデムーロ騎手は[2−0−3−2]、弟のCデムーロ騎手も騎乗したときは[1−1−1−0]。今年のG1でMデムーロ騎手は[0−1−0−12]で初めての馬券圏内に入った。

アカイイトは最後方からメンバー3位の35.7秒で追い込んで0.7秒差の4着。昨年は勝負どころで大外から早めに捲って圧勝したが、今年は捲らずに追い込みに徹していた。エリザベス女王杯はリピーターが活躍するレース。阪神芝2200mの適性は高いが、今回は幸騎手が最後方から消極的なレースをしたことが堪えた。先週のみやこSではサンライズホープで大外捲りで勝ったが、今回動かなかったのは大人の事情か。

ナミュールは道中8番手の外を進み、メンバー4位タイの36.1秒で外から伸びて0.7秒差の5着。道中1番人気のデアリングタクトをマークして外に出させないようにし、最後までデアリングタクトに勝たせないように騎乗していた。横山武騎手はコーナーでぶつけられる不利があったとコメントしているが、デアリングタクトをマークし過ぎたことが影響したのではないか。重馬場をこなして地力勝負に対応できることを示した。

デアリングタクトは2枠4番から8番手の内を進み、メンバー8位の36.5秒で上がって1.0秒差の6着。松山騎手は馬場のいい外に出そうとしたが、横山武騎手のナミュールにブロックされて最後まで外に出せなかった。調教の動きが良くなり、だいぶ復調してきているが、内が荒れた重馬場で外枠の馬が上位を独占したように内枠がアダになった。次走は中1週でジャパンCになりそうだ。無敗の3冠牝馬の復活を期待したい。

ルビーカサブランカはスタートして内に入れて後方3番手を進み、内からメンバー7位の36.4秒で追い込んで1.2秒差の8着。横山和騎手が荒れた内に入れたが、外が有利な馬場&展開で完全に裏目に出た。午後のレースで内を通った馬が伸びていたため、それを考慮した乗り方か。昨年12月に同コースのオリオンSを外から追い込んで勝ったとき同じ前後半5F60秒台。この流れなら外を回せば上位争いできた可能性がある。

ピンハイは2枠4番から内ラチ沿いの6番手につけ、メンバー11位の37.2秒で上がって1.5秒差の9着。内が荒れた重馬場で1、3、4着馬は後方から外を回って追い込んだ馬。荒れた内を通って好位につけるレースでは厳しかった。間違っても社台のジェラルディーナを差さない乗り方のように見えたのは気にせいか。西宮Sが強過ぎて社台にマークされたため、まずは社台が勝たせたい馬がいないレースで賞金を加算したい。

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