マイルCS
レース回顧

セリフォスは少しスタートが遅く道中14番手を進み、直線で大外からメンバー最速の33.0秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分32秒5。ピースオブエイトが逃げて前半5F58.5秒。上がりは34.0秒、ラップは11.6−10.8−11.6秒。雨で馬場悪化が懸念されたが、朝に雨が上がった後は降らずに稍重から良に回復。時計、上がりの速い馬場で流れが緩んで上がり勝負になった。セリフォスは直線でごちゃついた馬が多い中、大外から豪快に差し切ってG1初制覇。10Rの再度山特別でムーア騎手がフィデルで内を突いて最速の33.2秒で差し切ったことで騎手心理が内に傾き、内から中を通った馬がごちゃついたが、セリフォスは大外からスムーズなレースをすることができた。

富士Sをメンバー最速の33.2秒で差し切って勝ったが、今回は2キロ増の56キロが懸念され、レーン騎手でも6番人気だった。斤量以上に藤岡佑騎手からレーン騎手の乗り替わりによるパフォーマンスアップの方が大きいのだろう。中内田厩舎は休み明けの方が成績が良く、今回は叩き2戦目で馬体が4キロ減って腹目が少し細くなっていた。能力が抜けていたというより、レーン騎手でスムーズなレースができたことが大きかったのではないか。父ダイワメジャーは06、07年のマイルCSを制しており、史上初の父子制覇となった。デビューから全て芝1600mを使ってきた馬。今後はひと息入れて安田記念を目標にローテーションを組み立てることになりそうだ。

ダノンザキッドは内めの7番手を進み、メンバー3位タイの33.5秒で上がって0.2秒差の2着。直線で狭くなって馬体が接触する不利があったが、持ち前の勝負根性でしぶとく伸びてきた。昨年のマイルCSは0.2秒差の3着、今年の安田記念は0.2秒差の6着、関屋記念は0.1秒差の3着、毎日王冠は0.2秒差の3着。勝ち切れないが、必ず勝ち馬と0.2秒差以内の接戦をしていた。今回は2枠3番から道中ロスなく進められたこと、少し荒れて緩い馬場がプラスに働いている。叩き3戦目で安田隆厩舎が仕上げてきたことでパドックでは雄大な馬体が目立ち、気合が乗っていた。近走シュネルマイスター、サイオスには先着を許していたが、今回先着したのは仕上がり面の差もあるのだろう。20年のホープフルSを勝った馬。次走は香港カップに向かうことになりそうだ。

ソダシは4番手からメンバー7位タイの33.8秒で上がって0.3秒差の3着。直線で他馬と接触する不利があった。外から伸びてきたソウルラッシュに交わされそうだったが、最後にひと伸びして3着争いをハナ差で制した。3、4コーナーで少し控えて前と離され、流れが緩んで上がり勝負になったことが堪えている。ラストの踏ん張りを見るともう少し前につけても良かったか。それでも先行して最後までしぶとく伸びて自分の力は出している。府中牝馬Sで左回りの芝1800mの適性を示しため、来年はドバイターフを狙うのではないか。世界に白毛の怪物をお披露目したい。

ソウルラッシュは9番手からメンバー6位の33.7秒で上がって0.3秒差の4着。直線でソダシの外から鋭く伸びてきたが、最後にフラフラしてソダシすら交わせなかった。芝1600mの稍重以上では3戦3勝。3走前に勝ったマイラーズCは稍重だった。雨が降らずに良馬場に回復したことがマイナスに働いている。ひと叩きされたことで馬体の張りが良くなり仕上がりは良かった。心肺機能が高い馬。もっとタフなレースで外国人騎手が騎乗すればG1を勝てるのではないか。

シュネルマイスターは9番手からメンバー3位タイの33.5秒で上が手0.3秒差の5着。直線で外にエアロロノアがいて外に出し切れず、最後に前にいたソウルラッシュがフラフラしたことで伸び切れなかった。それでも33.5秒で上がって0.3秒差まで追い上げたのは底力なのだろう。パドックでは馬体の造り、気配が地味に映った。1番人気だったが、パドックを見る限り、次の香港マイルが最大目標なのではないか。

ジャスティンカフェはスタートでソダシに寄られて15番手を進み、直線で馬群に突っ込んでメンバー2位の33.2秒で上がって0.4秒差の6着。前にいた2頭がフラフラしたため、馬群を捌くのに手間取ったことが堪えた。これだけロスがあって勝ったセリフォスとは上がり0.2秒差。福永騎手が馬の能力と末脚の威力を信頼して最初から外に出すレースをしていれば勝ち負けできたのではないか。馬はG1レベルに到達している。

ロータスランドはスタートを決めて4番手につけ、メンバー9位の33.9秒で上がって0.4秒差の8着。直線で内から先頭に立って見せ場を作ったが、最後は馬場のいい外を通った馬に切れ負けした。稍重以上[3−2−0−0]の道悪巧者。雨が降らずに良馬場に回復したことがマイナスに働いている。パドックではバランスのいい馬体が目立ち、走る馬独特の雰囲気を醸し出していた。条件が揃えばG1を勝ってもおかしくない。

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