有馬記念
レース回顧

タイトルホルダーが逃げて前半5F61.2秒のスローペース。後半5Fは59.6秒、上がりは35.9秒、ラップは12.2−11.4−12.3秒。グッドラックH(芝2500m、2勝C)は前半5F63.2秒のスローペースでアケルナルスター(7人気)が14番手から最速の36.0秒で大外一気を決めて優勝。2着は8番手の外から2位の36.4秒で上がったダノングレーター(13人気)。馬場の内側が荒れ、スローペースでも外差しが決まやすくなり、有馬記念では後方からボルドグフーシュ、ジェラルディーナが2、3着に突っ込んだ。

イクイノックスは中団の外を進み、勝負どころで馬なりのまま押し上げて先団に並びかけるとメンバー2位の35.4秒で楽々と抜け出して2馬身半差で圧勝した。勝ちタイムは2分32秒4。道中もっと速く走りたくて少し折り合いを欠き気味だったが、勝負どころで上がって行くときの手応えが他馬とは全く違っていた。絶対能力の違いを示す強い勝ち方でキタサンブラックとの父子制覇を達成した。やはり皐月賞で外から上がって直線で抜け出したレースぶりは有馬記念にマッチしていた。左回りで直線の長い東京コースで最速上がりを繰り出しており、東京向きの切れ者と思われているが、小回りの中山、荒れ馬場でも全く問題なく、さらにパフォーマンスを引き上げた。

パドックでは一度使ったことで馬体の張りが良くなり、後肢の踏み込みが力強くなっていた。ようやく体質が強化され、デビュー以来最高の仕上がりに映った。パドックを見てイクイノックスに勝たれると思った人が多かったのではないか。新馬戦を勝ってからずっと相馬眼的に高評価して全て本命で狙ってきた馬。天皇賞(秋)、有馬記念を連勝して現役最強を証明した。まだ道悪は未知数だが、スーパーホースになったのではないか。今年はG1で[2−2−0−0]で2着に負けた皐月賞、ダービーは大外18番枠だった。タイトルホルダーに勝ったことで年度代表馬に選出される可能性が高い。来年は日本のトップホースとして海外にその名を知らしめることになりそうだ。相馬眼的にまだこれから強くなる。

ボルドグフーシュは2枠3番から後方2番手を進み、勝負どころで外に出して押し上げるとメンバー最速の35.2秒で上がって0.4秒差の2着。菊花賞でも勝負どころで一気に押し上げたが、テン乗りの福永騎手が後方で脚をタメていい脚を長く使える持ち味を引き出した。スローペースのグッドラックHでアケルナルスターが大外一気を決めたようにこの日の中山はスローでも外差しが決まりやすかったことがかなりプラスに働いている。今年は[2−2−3−0]で上がりは全てメンバー最速。後方から追い込んでいるため2、3着が多いが、来年は天皇賞(春)を狙えそうだ。有馬記念で福永騎手は[0−1−1−12]。最後の有馬記念騎乗で初めて連対した。

ジェラルディーナは3枠5番から出遅れて後方を進み、メンバー3位の35.7秒で外から追い込んで0.7秒差の3着。Cデムーロ騎手が勝負どころで大外を回さず、直線で馬群に突っ込んでから外に持ち出し、そこからしぶとく伸びてきた。勝負どころでボルドグフーシュと一緒に外を回ったら4着以下に終わったのではないか。出遅れて厳しいレースになったが、Cデムーロ騎手が上手くフォローして馬券圏内を確保した。イクイノックス、ボルドグフーシュには離されたが、初の芝2500m、メンバー強化、出遅れを考えるとよく走っている。

エフフォーリアはスタートを決めて7番手につけ、メンバー6位の36.3秒で上がって0.8秒差の5着。昨年の天皇賞(秋)、有馬記念を制した馬だけに物足りなさが残るが、外差しが決まりやすい馬場で前に行った馬の中では最先着。スローペースでも34秒台で上がった馬がおらず、ラップ以上にタフなレースだった。大阪杯9着、宝塚記念6着より内容は良くなっており、順調に使えるようになれば復活するのではないか。馬体は12キロ増えていたが、ほとんどが成長分。来年の復活を期待したい。

ディープボンドは大外18番枠から3番手につけたが、直線で一杯になって1.2秒差の8着。不利な大外枠でもタイトルホルダー、ブレークアップが前に行ったことで楽に3番手につけることができたが、外差しが決まる馬場で粘り込めなかった。川田騎手は輸送トラブル(早く出発したジェラルディーナ、ボッケリーニを除く関西馬は雪の影響で中山に輸送するのに大幅に時間が掛かった)の影響があったとコメント。中山&東京では[0−1−0−4]。阪神では[2−3−0−1]。阪神大賞典で注意したい。

タイトルホルダーは7枠13番からスタートを決めてハナを切り、前半5F61.2秒のスローペースで逃げたが、直線ですぐに捕まって1.7秒差の9着。4コーナーから直線入り口でアドバンテージを取って粘り込むのがパターンだが、勝負どころでペースアップしても後続を引き離せず、直線では余力が残っていなかった。パドックでは馬体、気配が地味に映った。凱旋門賞を使った疲れがあったか。外差しが決まる馬場もマイナスに働いている。横山和騎手は前半5F63.2秒のスローペースのグッドラックHでアケルナルスターに騎乗し大外一気を決めている。スローでも外差しが決まる馬場でスローで逃げたことが良くなかったが、タイトルホルダーの仕上がりを考慮すると速い流れで飛ばすほど強気になれなかったのではないか。

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