天皇賞(春)
レース回顧

ジャスティンパレスは1枠1番から道中内ラチ沿いの8番手を進み、1、2コーナーで外に出して少しずつ押し上げるとメンバー最速の34.9秒で抜け出して2馬身半差で圧勝した。勝ちタイムは3分16秒1(稍重)。ディープインパクト産駒が天皇賞(春)4連勝となった。タイトルホルダーがハナを切った後に大外枠からアフリカンゴールドが強引にハナを叩いて前半5F59.7秒の速い流れ。後半に12.8−12.9−13.3−13.2秒とラップが落ちて上がりが35.3秒、ラップは11.9−11.5−11.9秒。前半の流れは速かったが、タイトルホルダーに異変があったことでラスト6、5Fが13.3−13.2秒に落ちて上がり勝負になった。

ジャスティンパレスはルメール騎手が内ラチ沿いをロスなく回って脚をタメ、タイトルホルダーの異変で結果的に上がり勝負になったことがプラスに働いた。今開催の京都外回りのレースは内がごちゃつきやすく、外枠の馬が活躍していたが、ルメール騎手が1、2コーナーで外に出して自分のスペースを確保しながらレースを進めていた。ジャスティンパレスは昨年馬体が細身に映ったが、阪神大賞典で馬体が16キロ増えてパワーアップしていた。今年8年目の杉山厩舎はデアリングタクトで牝馬3冠を制覇。最近の重賞で活躍が目立つので注意したい。ジャスティンパレスは母パレスルーマーが米G1馬を出した良血馬。ディープインパクトの後継種牡馬になる馬。荒れ馬場の宝塚記念は使わずに秋はジャパンCが目標になりそうだ。

ディープボンドは5番手の外から勝負どころで2番手に押し上げ、メンバー5位タイの35.6秒で上がって0.4秒差の2着。これで天皇賞(春)で3年連続2着となった。前走阪神大賞典は休み明け、本番前のレースで馬体が10キロ増えて少し太めが残っていたが、今回は馬体が10キロ絞れて引き締まっていた。やはり前走は阪神大賞典3連覇よりもG1初制覇の方を優先した仕上げだったのだろう。稍重で前半流れが速くなって地力が問われるレースになったことがプラスに働いている。タフなレースを経験してきた強みを生かせた。

シルヴァーソニックは13番手から少しずつ押し上げ、4コーナー9番手からメンバー2位の35.1秒で上がって0.6秒差の3着。穴馬が6番人気で激走した。レーン騎手が勝ちに行かず着狙いの騎乗が上手く嵌まった印象。今年7歳になったが、レッドシーターフハンデキャップを勝ち、天皇賞(春)3着と長距離戦で安定して走っている。オルフェーヴル産駒でスタミナがあるため、簡単にはバテない。

ボルドグフーシュは後方から徐々に押し上げ、メンバー7位タイの35.9秒で上がって1.2秒差の6着。最初のスタンド前で外に出して押し上げたり、ずっと外を回って脚を使ったことが堪えた。川田騎手は長距離戦で実績が少ないが、なんとなくわざと負けるように騎乗していたように映る。母ボルドグザグ(仏G3勝ち馬)は社台が購入したが、活躍馬が出ないため、2020年の繁殖馬セールで売却した後にボルドグフーシュが活躍した経緯がある。ジャスティンパレスは社台が後継種牡馬にしたいディープインパクト産駒で母パレスルーマーはノーザンファーム所有。そのあたりの大人の事情が働いたのではないか。菊花賞、有馬記念で先着したジャスティンパレスにこんなに負ける馬ではない。

アスクビクターモアは好位の内につけたが、勝負どころで前にいたタイトルホルダーが下がってきたことで位置取りが悪くなり、直線でも伸び切れず1.9秒差の11着。持ち味のロングスパートができなかったが、タフなレースになっただけにロングスパートしても厳しかったか。田村厩舎の管理馬は馬本位で調教で攻めないこともあり、タフなレースになると力を出せない馬が多く、重賞で差し追い込みて連対する馬は少ない。アスクビクターモアは菊花賞をレコード勝ちしたが、日経賞9着、天皇賞(春)11着で見どころなし。今回は仕上がりが良かっただけに少し深刻になる。

タイトルホルダーは押してハナを切った後にアフリカンゴールドに来られて2番手に控え、1コーナーで先頭に立ったが、4コーナーで脚に違和感を感じた横山和騎手が止めて下馬し競走中止。診断の結果は右前肢跛行。大事に至らなくて良かったが、レース前から横山和騎手はしきりに脚元を気にしていた。何か異変を感じていたのではないか。レースでは道中ずっとアイアンバローズ(陣営の指示で先行策)にマークされたことも堪えた。13年以降、前走道悪の芝重賞で0.6秒差以上で圧勝した馬は、次走芝G1では[1−2−2−3]で1勝のみ。タイトルホルダーは前走不良馬場の日経賞を2着に1.3秒差をつけて圧勝していた。

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