菊花賞
レース回顧

ドゥレッツァは大外17番枠からスタートを決めてハナを切り、途中で内ラチ沿いの3番手に控えて直線に向くとメンバー最速の34.6秒で抜け出して3馬身半差で圧勝した。勝ちタイムは3分3秒1。前半5F60.4秒、中盤5F64.1秒、後半5F58.6秒。中盤に12.9−13.1−13.0秒に落ちて後半4Fの持続力&決め手勝負になった。ドゥレッツァは前に行って最速上がりで抜け出して圧勝し、ダービー馬タスティエーラ、皐月賞馬ソールオリエンスを全く相手にしなかった。やはりホンコンJCT、日本海Sの走りはレベルが高かったのだろう。

これで20年以降の芝G1でルメール騎手は大外枠では[4−4−0−1]。これを知っていれば大外枠を割り引く必要はない。2020年以降、芝1800m以上、ルメール騎手、尾関厩舎、馬主がキャロットFなら[6−0−1−0]。前走3勝Cを勝って重賞初挑戦で不利な大外枠に入った馬。ルメール騎手のデータの裏付けはあったが、本命で狙ったのは相馬眼的にソールオリエンス、タスティエーラを超えるとみていたため。他馬がバテたところから高速ラップを繰り出せる心肺機能の高さは今後も大きな武器になる。今後は疲れが出なければ、登録している香港に遠征することになりそうだ。

尾関調教師はクラシック初制覇。スリーセブンシーズで凱旋門賞に挑戦したが、ルメール騎手が直線で外に出さず狭いところに突っ込んで4着に終わった。レース後のインタビューで尾関調教師は悔しくて泣いていた。ルメール騎手は今回、尾関厩舎のドゥレッツァで期するものがあったのではないか。快心の騎乗もあるが、ゴールでのガッツポーズはそのあたりも含まれているのだろう。キャロットFはセントライト記念を勝ったレーベンスティールが菊花賞を回避し、ダービー馬タスティエーラが出走するのにも関わらず、ドゥレッツァをルメール騎手で出走させた。今後も社台の思惑をある程度考慮していきたい。

タスティエーラはスタートは出たが外から来られて道中9番手を進み、メンバー2位の34.8秒で上がって3馬身半差の2着。勝負どころでソールオリエンスの横山武騎手にマークされて外に出せずに仕掛けが遅れたが、モレイラ騎手が外を回さずに馬群に突っ込んで持ってきた。3着ソールオリエンスに0.3秒差をつけたが、勝ったドゥレッツァが強過ぎた。それでもダービーから直行で連対したようにダービー馬がある程度の能力を示した。長距離を走れないことはないが、今後は中距離を使っていくのではないか。それほど決め手がないところが、今後ネックになる可能性がある。

ソールオリエンスは11番手の外からメンバー3位タイの35.1秒で上がって0.9秒差の3着。横山武騎手が控えて後ろ過ぎない位置につけ、勝負どころでタスティエーラを外からマークして自分がガツンと切れる脚を使えば勝てる算段だったが、いつもの切れる脚が使えなかった。4コーナーは大外から無難に回ってきたが、直線で伸び切れなかったのは距離が長かったのだろう。今後は2000m前後の中距離を使って行くことになりそうだが、小回りの中山なら芝2500mもこなせる。ソールオリエンス、横山武騎手も中山が得意なため、有馬記念に使ってくるのではないか。

リビアングラスは3番手から3コーナーで先頭に立ち、メンバー13位の35.9秒で上がって1.0秒差の4着。前に行ってスタミナを証明したが、上がり勝負になって切れ負けした。キャリアを積んで地力が強化されれば、長距離重賞でやれそうなタイプ。

サヴォーナは出遅れて後方を進み、向こう正面で5番手に押し上げ、メンバー11位タイの35.6秒で上がって1.0秒差の5着。出遅れずに中団から上がって行く形なら馬券圏内があったかもしれない。今後も長距離路線を使って行くことになりそうだ。

ハーツコンチェルトは5番手につけたが、勝負どころで外から来られて位置取りが悪くなり、メンバー7位の35.3秒で上がって1.0秒差の6着。いい脚を長く使えるため、松山騎手が早めに動いて行くレースをすれば結果は違ったかもしれない。芝3000m以上で松山騎手は[1−0−2−18]、重賞では[0−0−2−14]、G1では[0−0−0−13]で不振が続いている。

マイネルラウレアは後方から最内を突いてメンバー3位タイの35.1秒で上がって1.0秒の7着。4〜7着は3着ソールオリエンスと0.1秒差でほとんど差がなかった。ゴールドシップ産駒で持久力が優れたタイプ。中盤に流れが緩んで上がり勝負になったことが堪えた。

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