天皇賞(秋)
レース回顧

イクイノックスはスタートを決めて3番手につけ、直線に向くとメンバー3位の34.2秒で抜け出して2馬身半差で圧勝した。勝ちタイム1分55秒2は従来のレコードを0.9秒更新するレコードタイム。芝2000mの日本レコードとなった。ジャックドールが飛ばして前半5F57.7秒の速い流れ。イクイノックスを除き、前に行った馬が直線で一杯になり、後方から追い込んだ2頭が2、3着に突っ込んだ。イクイノックスは速い流れの経験が少なく、速い流れで前に行くとジリ気を出す可能性があったが、全く問題ない強いレースぶりで能力の違いを見せつけた。

前半5F57.7秒、後半5F57.5秒。2F目から最後まで11秒台のラップ。高速馬場とはいえ、これまで競走馬では考えられないラップだった。速い流れで2、3着に追い込んだ2頭が入ったことがイクイノックスの強さを裏付けている。パドックでは春より研ぎ澄まされて全体的にしっかりとし、馬体の造り、気配が目立っていた。ようやく能力に馬体が追いついて本格化してきた。馬がレースをよく知っており、騎手の指示に従順でどんなレースでもできるため、ほとんど死角がない。次走ジャパンCに向かう予定。3冠牝馬リバティアイランドとの初対決が楽しみだ。

ジャスティンパレスは出遅れて10番手を進み、4コーナーでは最後方。直線で大外に持ち出すとメンバー最速の33.7秒で上がって0.4秒差の2着。阪神大賞典、天皇賞(春)を勝ち、宝塚記念で3着に入った馬が芝2000mの高速決着に対応して最速上がりで2着に突っ込んだ。展開が嵌まったとはいえ、大外からプログノーシス、ダノンベルーガを交わして1分55秒台で走ったことを評価したい。陣営は長距離で走っているが、本質的には中距離馬とコメント。横山武騎手はヴィクトリアマイルのウンブライルなど、東京で時々大外から持ってくる。怪物がいなければ、天皇賞春秋連覇だった。

プログノーシスは道中離れた最後方を進み、メンバー2位の33.9秒で追い込んで0.6秒差の3着。勝負どころで脚を使って少し押し上げたこともあるが、直線に入ってからの反応が悪く、いつもほど切れる脚を使えなかった。それでも最後までしぶとく伸びてダノンベルーガとの叩き合いを頭差で制して3着を確保。川田騎手は最初からイクイノックスを負かす気はないような騎乗だった。陣営は芝2000mがベストと考えているため、ジャパンCには使わずに香港カップを目指すことになりそうだ。

ダノンベルーガは8番手の内を進み、メンバー4位の34.3秒で上がって0.6秒差の4着。モレイラ騎手が直線で馬群を捌いて伸びてきたが、いつもより速い流れで伸び切れなかった。昨年は1分57秒7で走ってイクイノックスに0.2秒差の3着に入ったが、今年はイクイノックスに差を広げられた。G1では4、4、3、5、2、4着で必ず掲示板を確保。勝ち切れないが、少しずつパフォーマンスを引き上げている。ひと叩きしたことで馬体、気配が良くなり、後肢の踏み込みも良くなっていた。

ガイアフォースは2番手を進み、メンバー7位の35.5秒で上がって1.0秒差の5着。2番手につけて持久力を生かすレースをしたが、前半5F57.7秒の流れが速過ぎた。それでも最後までしぶとく伸びており、1分56秒2で走って地力を示した。国東特別を1分56秒8のレコードで走ったが、それよりも速い時計で走って自分の力は出している。

ドウデュースは4番手から伸び切れず1.4秒差の7着。道中3頭併せの真ん中で力みながら走っていた。休み明けで速い流れで道中力んで走っては厳しかった。武豊騎手が4R終了後に腹帯を取ろうとした時に右太ももを蹴られ負傷し、テン乗りの戸崎騎手に乗り替わったことも堪えた。馬体がマッチョ化してきている。次走は武豊騎手でジャパンCに向かう予定。

[Home]