天皇賞(春)
レース回顧
テーオーロイヤルは7枠14番スタートから4番手の外につけ、4コーナーで2番手に押し上げるとメンバー3位の35.0秒で抜け出して2馬身差で圧勝した。勝ちタイム3分14秒2は過去10年で2位の好タイム。マテンロウレオが逃げて前半5F59.7秒の速い流れ。持久力勝負に持ち込みたいディープボンドが2番手につけたことで道中13秒台のラップがなく、スタミナと体力が問われるステイヤー向きの展開になった。テーオーロイヤルは前のドゥレッツアをマークして進み、4コーナーで競り落とすと直線で一気に抜け出して圧勝。芝3000m以上の長距離重賞を3連勝でG1初制覇を飾った。
外枠から外を回って捻じ伏せる強い内容で一気にパフォーマンスを引き上げた。22年の天皇賞(春)でタイトルホルダーに真っ向勝負を挑んで3着に入った馬が6歳になって完全に本格化した。半兄メイショウハリオは5歳になって本格化し帝王賞を制している。ステイヤーズS、ダイヤモンドS、阪神大賞典で合計10キロ走った馬が芝3200mの天皇賞(春)でさらにパフォーマンスを引き上げたのだから驚く。ここまでスタミナがあり、タフな馬はいただろうか。芝3000m以上の長距離戦でもう国内には敵はいない。秋は豪G1のメルボルンC(芝3200m)が視野に入る。
ブローザホーンは12番手からメンバー最速の34.6秒で大外から猛然と追い込んで0.3秒差の2着。位置取りが後ろ過ぎて届かなかったが、タフな流れで直線で他馬が一杯になる中、大外から強烈な末脚で突っ込んできた。日経新春杯を前半5F58.3秒の速い流れで大外から最速の35.8秒で差し切った馬。前走阪神大賞典は中盤に13秒台のラップが5F続いて切れ負けしたが、今回は道中息の入らないタフな流れになってスタミナと決め手を生かせた。小柄な馬だが、かなりのスタミナがある。これで芝2500m以上は[3−1−1−1]。道悪をこなすため、次走は馬場が渋ることが多い宝塚記念に使ってきそうだ。
ディープボンドは3枠6番手からスタートを決めて2番手につけ、4コーナーで先頭に立ってメンバー7位タイの35.6秒で上がって0.4秒差の3着。これで天皇賞(春)は2、2、2、3着。前走阪神大賞典は上がり勝負になって7着に終わったが、今回はスタミナと体力が問われる展開になって本来の力を発揮した。7歳になっても天皇賞(春)ではパフォーマンスが落ちていない。
タスティエーラは中団につけ、メンバー6位の35.4秒で上がって0.8秒差の7着。直線で外からジリジリと伸びてきたが、前を捕まえるところまではいかなかった。昨年3冠で2、1、2着に入った馬が、その後は6、11、7着。ダービーは勝ちタイムが2分25秒2でオークスより2.1秒遅くレベルが低かったが、今回も4歳馬のレベルの低さがあらためて証明された。
サリエラは1枠1番から6番手につけ、メンバー12位の38.3秒で上がって3.5秒差の12着。1枠1番から1周目のスタンド前で武豊騎手は外に出し、その後はずっと外を回っていた。折り合い面を考慮したのかもしれないが、本質的にステイヤーではないだけにタフな流れで外々を回っては厳しかった。折り合いが難しく、微妙なさじ加減が必要な馬。ルメール騎手で見直したい。
ドゥレッツァは6枠12番から3番手につけ、勝負どころで一杯になって後退し5.6秒差の15着。昨年は逃げたタイトルホルダーが4コーナーで競走中止したが、同じようなレースぶりだった。菊花賞は中盤に13秒台のラップがあったが、今回は前半の流れが速く、中盤に13秒台のラップがなかった。そのあたりも影響もありそうだが、後日軽い熱中症の疑いと診断された。次走はルメール騎手、中距離で巻き返しを期すのだろう。
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