オークス
レース回顧
チェルヴィニアは6枠12番スタートから12番手の外につけ、メンバー最速タイの34.0秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分24秒0。ヴィントシュティレ、ショウナンマヌエラが大逃げして前半5F57.7秒のハイペース。3番手以下は流れており、実質は前半5F59秒台。後半5F61.4秒、上がりは35.1秒、ラップは12.2−11.5−11.4秒で尻上がり。連対した2頭はレースの上がりを1.1秒上回る最速の34.0秒で上がっている。チェルヴィニアはルメール騎手が道中外からステレンボッシュをマークして外に出させないようにし、自分は外からスムーズに進めてきっちり差し切った。パドックでは一度使ったことで8キロ絞れて馬体の造り、気配が良くなっていた。
前走桜花賞は長期休み明け、大外18番枠、馬体8キロ増、経験のない前半5F58.1秒の流れ、テン乗りのムルザバエフ騎手が影響して13着に終わったが、ルメール騎手に戻って巻き返した。落馬負傷から復帰して東京G1では[1−2−0−0]で全て連対している。母はオークス2着馬チェッキーノ。近親にハッピーパス、コディーノ、キングストレイル。ハッピートレイルズ一族は93年マイルCSのシンコウラブリイ以来31年ぶりのG1制覇となった。秋は秋華賞に直行する可能性が高そうだが、右回りの桜花賞で惨敗したため、毎日王冠から天皇賞(秋)で左回りに拘ってくる可能性もある。半馬身差の2着ステレンボッシュは1コーナーに入るときには既に右後肢の蹄鉄が外れていた。まだ勝負づけは済んでいない。
2歳時に東京芝1600m以上で前半5F60.0秒以内、後半4F45.9秒以内で勝った馬は、グランアレグリア(新馬・45.7秒、サウジアラビアRC・45.7秒)、サリオス(サウジアラビアRC・45.5秒)、コントレイル(東スポ杯2歳S・45.7秒)、チェルヴィニア(アルテミスS・45.6秒)、ステレンボッシュ(赤松賞・45.9秒)の5頭。ステレンボッシュは桜花賞を制し、チェルヴィニアはオークスを制した。数年に1、2頭しか出ないが、今後のこのラップに注目していきたい。
ステレンボッシュは4枠7番から9番手につけ、メンバー最速タイの34.0秒で内から捌いて抜け出したが、外からチェルヴィニアに差されて半馬身差の2着。道中ルメール騎手にマークされて外に出せず、直線で内を突いて馬群を捌いて伸びてきたが、外からスムーズに進めたチェルヴィニアに最後交わされた。レース後に右後肢の落鉄が判明。直線で抜け出すときに走りのバランスが悪かったのはそのせいか。
パドックでは馬体4キロ減で全体的に引き締まってオークス仕様の仕上げに映った。戸崎騎手は東京芝2400m重賞[0−6−2−33]で未勝利。オークスは[0−4−0−8]で4回目の2着。落鉄とルメール騎手にマークされたのが余計だったが、戸崎騎手の乗り方は悪くなった。来週のダービーでも戸崎騎手は1番人気のジャスティンミラノに騎乗する。ルメール騎手のレガレイラが2番人気でオークスと同じ構図になる。
ライトバックは少し出遅れた後に折り合いを欠いて道中15番手を進み、メンバー3位の34.1秒で上がって0.4秒差の3着。4コーナーで外から武豊騎手のスウィープフィートに前に入られて追い出しが遅れ、馬群に突っ込んでスムーズさを欠いたことが堪えた。桜花賞では坂井騎手のライトバックがスウィープフィートを外に出させないようにブロックしている。
武豊騎手はライトバックとチェルヴィニアをまとめてブロックしようとしていた。やられたらやり返すということか。道中折り合いを欠き、連対した2頭より後ろから狭いところを割って3着を確保したことを評価したい。スムーズなら末脚の威力は2頭より上の可能性がある。秋に向けてどこまで気性面が成長してくるか注目したい。秋はローズSから秋華賞を目指すことになりそうだ。
クイーンズウォークは1枠2番から5番手につけ、メンバー7位の34.7秒で早めに抜け出したが、最後に一杯になって0.4秒差の4着。川田騎手が早めに動いて勝ちに行ったぶん甘くなったが、やはりG1ではまだケリ値が足りないのだろう。過去10年で480キロ以上は[0−1−2−23]。今回482キロのチェルヴィニアが勝ったが、522キロのクイーンズウォークは伸び切れなかった。
スウィープフィートは出遅れて最後方からメンバー5位タイの34.5秒で上がって0.6秒差の6着。武豊騎手は4コーナーでライトバックとチェルヴィニアをまとめてブロックしようとしたが、いい脚を長く使えず、直線では自分が伸び切れなかった。血統的には距離をこなすタイプだが、芝2400mは微妙に長いのだろう。パドックでイレ込んでテンションが高かったことも影響している。
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