日本ダービー
レース回顧

ダノンデザイルは3枠5番から押して内ラチ沿いの2番手につけ、道中は3、4番手を進み、直線で最内を突いてメンバー4位タイの33.5秒で抜け出し2馬身差で圧勝した。勝ちタイムは2分24秒3。エコロヴァルツが逃げて前半5F62.2秒のスローペース。後半5F56.8秒、上がり33.8秒。後半5Fのラップは11.7−11.3−11.1−11.2−11.5秒。これまで芝2400m以上のレースで後半5F56.8秒以内だったのは、サートゥルナーリアが勝った神戸新聞杯(前半5F63.4秒、後半5F56.6秒)のみ。このときのラップは12.5−11.8−10.8−10.2−11.3秒でラスト3Fが高速ラップだったが、今回はラスト5Fが全て11秒台のラップ。これまで問われたことない異次元の高速ラップの持続力が問われるレースになった。ダノンデザイルは内ラチ沿いの最短コースを通って直線で最内を突いて抜け出してきた。横山典騎手がスタートを決めた後に押して内ラチ沿いの2番手につけたことがかなり大きかった。

皐月賞はレース直前で横山典騎手が違和感を感じて取り消したが、その後の診断で右前肢跛行が判明。横山典騎手の皐月賞の判断がなければ、ダービー制覇はなかったかもしれない。皐月賞は1分57秒1のレコード決着でストレスの大きなレースになったことも出走しなかったダノンデザイルにはプラスに働いている。京都2歳Sのときはマイラーに映ったが、京成杯では馬体が成長して距離をこなすタイプに変貌していた。今回は除外明けで調整が難しく、1週前に栗CWで好タイムを出しても状態は良くなった模様。パドックでも好調には見えなかった。京成杯の向こう正面でレース中にボロをした馬。ダイワメジャーは新馬戦のパドックで横になろうとし、オルフェーヴルは新馬戦のゴール後に池添騎手を振り落としていた。大物は他の馬とは何かが違うのだろう。56歳の横山典騎手は最年長G1勝利となった。秋は神戸新聞から菊花賞を目指すことになりそうだ。

ジャステミンミラノは少し出遅れた後に外から上がって4番手につけ、メンバー8位の33.9秒で上がって0.4秒差の2着。岩田康騎手のエコロヴァルツが逃げ、2番手に横山典騎手のダノンデザイル、3番手に武豊騎手のシュガークン、5番手に川田騎手のシックスペンス。ベテラン騎手がジャステミンミラノを内に入れないように騎乗して外を回らせ、かつ前半5F62.2秒のスローペースに持ち込んでジャスティンミラノが負けるならこの形というレースを作った。共同通信杯は前半5F62.7秒のスローペースでラスト3Fの上がり勝負、皐月賞は前半5F57.5秒のハイペースで上がりが掛かる地力勝負。スローペースで後半5Fが異常に速いレースは経験していなかった。ダービーを知り尽くしているベテラン騎手が作ったレースに封じ込まれたが、他の人気馬が見せ場なく終わる中、2着を確保したことを評価したい。

勝ったダノンデザイルは内ラチ沿いをロスなく回って最後まで最短コースを走ったが、ジャステミンミラノは終始外を回り、勝負どころで外から上がってきた馬に少し同調し、4コーナーから直線でMデムーロ騎手にブロックされ、それでも伸びてきたが、後半5F56.8秒の異次元の上がりに対応できなかった。勝負どころでサンライズアースが上がって行ったときに一緒に動く手もあった。そこで動かなかったことで位置取りが少し悪くなり、追い出すタイミングが早まっている。戸崎騎手は東京芝2400m重賞[0−6−2−33]で未勝利。ダービーは[0−3−0−7]でエポカドーロ、ダノンキングリーに続き3回目の2着。オークスは[0−4−0−8]でステレンボッシュが4回目の2着だった。ジャステミンミラノは夏は休養して秋に復帰する予定。神戸新聞杯から菊花賞か、それとも毎日王冠から天皇賞(秋)か。

シンエンペラーは少し出遅れた後に押し上げて道中馬込みの9番手を進み、メンバー2位タイの33.4秒で上がって0.6秒差の3着。最後は他馬が伸び切れない中、唸るような末脚で伸びてきた。他馬が一杯になったところでしぶとい脚を使うタイプ。これが底力なのだろう。京都2歳Sのパドックではこじんまり見えていたがようやく馬体を大きく見せるようになっていた。3歳春になって馬が成長してきたのと矢作厩舎がダービーに合わせてきたこともあるのだろう。凱旋門賞馬ソットサスの全弟。秋は凱旋門賞に挑戦する予定。

レガレイラは道中10番手の内を進み、4コーナー13番手から直線で外に持ち出すとメンバー最速の33.2秒で上がって0.6秒差の5着。ルメール騎手はスタート後に押して好位につけようとしたが、馬が進んで行かず位置取りが悪くなり、直線で内から外に持ち出す大きなロスがあった。スローペースで後半5F56.8秒で後方から追い込むのは厳しかった。位置を取れず、馬群を捌けない弱みがモロに出た印象。この流れなら32秒台で上がれそうな馬。右回りの調教、ホープフルSの走りを見ると右回りの方が合うのだろう。

アーバンシックは出遅れて14番手を進み、メンバー4位タイの33.5秒で上がって1.1秒差の11着。勝ったダノンデザイルと同じ上がりを繰り出したが、後方のまま全く見せ場なかった。後方から早めに上がったサンライズアースは4着、コスモキュランダは6着に入った。この流れで後方から追い込むのは物理的に厳しかった。横山武騎手は先週[0−0−1−13]、5番人気以内では[0−0−1−8]。5月は[3−4−8−34]で勝ったのは未勝利と1勝C。2勝C以上は[0−1−2−17]。ここにきて三浦化している。

皐月賞は前半5F57.5秒 後半5F59.6秒、日本ダービーは前半5F62.2秒 後半5F56.8秒。メイショウタバルが取り消したことで真逆にレースになった。この流れでは後方からではノーチャンスだが、それでも後方から動いたのは池添騎手とMデムーロ騎手だけだった。全く違う流れで皐月賞を勝ち、ダービーで2着に入ったジャステミンミラノは能力の絶対値が高い。相馬眼的に評価できる馬。今は先行して抜け出すレースをしているが、まだ色々な引出しがあるのではないか。秋の更なる飛躍を期待したい。

[Home]