菊花賞
レース回顧

アーバンシックはスタートを決めて8番手の外につけ、勝負どころで3番手に押し上げるとメンバー3位の35.6秒で差し切って2馬身半差で圧勝した。勝ちタイムは3分4秒1。エコロヴァルツがハナを切った後にメイショウタバルがハナを奪って前半5F62.0秒。中盤5F61.7秒、後半5F60.4秒。エコロヴァルツ、メイショウタバル、ピースワンデュック、シュバルツクーゲルが次々に先頭に立ち、後半に向けて流れが速くなるサバイバルレースになり、中団より後ろから外を回ってきた3頭で決着した。京都芝3000mは内枠が有利だが、馬場の内側が荒れており、外を通った馬が有利になっていた。JRAは社台馬主の馬を外枠に配置してアシストしている。京都は馬場が荒れても内が有利になることが多いが、そうならなかったのは、JRAが馬場造園課に外が有利になるような設定にするように指示を出したのではないか。

アーバンシックは中団の外から勝負どころで押し上げるスムーズなレースで圧勝した。これでルメール騎手が騎乗してセントライト記念、菊花賞を2連勝。馬が成長したこともあるが、横山武騎手とルメール騎手ではレベルが違うのだろう。3歳初めに相馬眼ニュースで取り上げようとしたが、出遅れを含め馬が幼いため取り上げなかった馬。2着ヘデントールは新馬戦でジャスティンミラノの2着に入ったときに次走の狙い馬で取り上げた馬。3着アドマイヤテラは1勝Cを勝ったときに次走の狙い馬で取り上げた馬。以前から目をつけていた3頭で決着した。ただし2、3着馬は前が激しく入れ替わるサバイバルレースになって展開が向いたこともある。アーバンシックは秋になって心身とも成長して本格化したが、パドックでは前捌きが少し硬くなっていた。今後は状態面次第で有馬記念になりそうだ。

ヘデントールはゆっくり出て後方2番手を進み、3コーナーから徐々に進出し、4コーナーで5番手に押し上げるとメンバー4位タイの35.8秒で上がって0.4秒差の2着。直線で先に抜け出したアドマイヤテラを最後に交わして2着を確保。外を回っていい脚を長く使ったが、結果的に位置取りが後ろ過ぎた。ヘデントールはルメール騎手で[4−1−0−0]。前2走はルメール騎手が騎乗して6、4番手につけて勝っている。戸崎騎手は京都でG1を勝ったことがない。各陣営はG1の前にルメール騎手を乗せてG1でルメール騎手を確保できるかが勝利の分かれ目になるということを感じたのではないか。ルメール騎手は3着アドマイヤテラにも前2走騎乗していた。パドックでは馬体、気配とも目立っていた。木村厩舎は以前は関西で不振だったが、関西遠征でも仕上げのブレがなくなってきている。次走は有馬記念に使ってきそうだが、ルメール騎手を確保できないとAJCCもあるか。

アドマイヤテラは出遅れて最後方から外を回って徐々に押し上げ、4コーナーで先頭に立つとメンバー6位の36.3秒で上がって0.4秒差の3着。2着ヘデントールとはハナ差。最後方から大外を回っていい脚を長く使って見せ場を作ったが、さすがに最後方から大外捲りでは厳しかった。京都新聞杯は外から捲って0.5秒差の4着に終わったが、これが菊花賞に布石だったのだろう。前走2勝Cを勝った馬が一気にパフォーマンスを引き上げた。まだ条件馬だが、長距離戦なら重賞で通用することが分かったため、出走できればステイヤーズS、ダイヤモンドSに使ってきそうだ。

ショウナンラプンタは10番手から勝負どころで押し上げ、メンバー4位タイの35.8秒で上がって0.4秒差の4着。道中ロスなく回って直線で内から伸びてきたが、最後は外から伸びた馬に切れ負けした。これで芝2200m以上は[1−1−1−2]で青葉賞2着、神戸新聞杯3着、菊花賞4着と重賞で善戦している。人気になりにくいタイプ。長距離戦で注意していきたい。

ビザンチンドリームは出遅れて後方3番手を進み、メンバー最速の35.4秒で上がって0.5秒差の5着。4コーナーで他馬と接触して態勢を崩す不利があり、直線でも前のヘデントールがフラフラしたことでスムーズさを欠く不利があった。あれだけ不利があって最速上がりを繰り出したように長距離適性が高い。出遅れ癖を解消してもう少し立ち回りが上手くなれば長距離G1で激走できるのではないか。

ダノンデサイルはスタートを決めて内ラチ沿いの3番手につけたが、外から前に入られて徐々に位置取りが悪くなり、4コーナー15番手から外に持ち出すとメンバー2位の35.5秒で上がって0.7秒差の6着。前が入れ替わる激しいレースになり、外から前に入られて位置取りが悪くなったことが堪えた。外が伸びる馬場だったが、横山典騎手はダービーで内を突いて勝ったため、それを踏襲したかったこともあるか。馬体18キロ増でまともに走ったのは最後の直線だけ。次走は1着賞金5億円のジャパンCに使ってくるか。

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