天皇賞(秋)
レース回顧

ドウデュースは出遅れて後方2番手を進み、大外からメンバー最速の32.5秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分57秒3。ホウオウピスケッツが逃げて前半3F35.9秒、5F59.9秒のスローペース。上がりは33.7秒、ラップは11.1−11.1−11.5秒。今週からBコースに変更されたが、今開催の東京はスローペースでも単純に前残りにならず、外から強烈な末脚で突っ込める馬場状態だった。ドウデュースは武豊騎手が腹を決めて後方で脚をタメ、2位を0.5秒上回る強烈な末脚で大外一気を決めた。直線では脚の回転の速さが他馬と違っていた。

直線一気を決めたダービーはメンバー2位の33.7秒。今回はそれを1.2秒上回る強烈な末脚だった。ダービーを勝ってから3走ごとに勝つレースが続いている。G1は朝日杯FS、ダービー、有馬記念に続き4勝目。芝1600mから芝2500m、2、3、4、5歳で勝っており、万能タイプの種牡馬として価値が高まっている。今年一杯で引退種牡馬入りが決まっており、次走ジャパンCを使って有馬記念がラストランになる予定。ジャパンCは3歳馬ダノンデサイル、ジャスティンミラノは出走せず、4歳牝馬リバティアイランドは今回惨敗。日本代表としてがんばってもらいたい。

タスティエーラは3枠4番からスタートを決めて3番手につけ、メンバー7位タイの33.4秒で上がって0.2秒差の2着。有馬記念6着、大阪杯11着、天皇賞(春)7着に終わった馬が休み明け、馬体18キロ増、9番人気で激走した。これで東京では[2−1−0−1]。前半5F60.4秒のスローペースになったダービーを4番手からメンバー9位タイの33.5秒で抜け出して勝った馬。東京の上がり勝負が合うのだろうが、これまで後半5F58秒台しかで走ったことがない馬が57秒台で走って一気にパフォーマンスを引き上げた。逃げたホウオウピスケッツが3着に粘っており、松山騎手が好位で流れに乗れたことも大きかった。

ホウオウビスケッツは前半5F59.9秒で逃げ、メンバー12位の34.0秒で上がって0.3秒差の3着。ノースブリッジが出遅れたことで単騎マイペースで進めることができた。ラスト2F手前から追い出して後続に2馬身差をつけたが、ラスト100mで脚色が鈍ってドウデュース、タスティエーラに交わされた。昨年のダービーは超大穴馬(16番人気)で狙って0.2秒差の6着。今回は大穴馬で狙って8番人気で激走した。昨年から相馬眼的にG1で通用する馬になるとみていたが、地力が強化され、ようやくG1で通用することを証明した。4歳になってから[2−1−3−0]で堅実に走っている。今後は香港G1が視野に入りそうだ。

ジャスティンパレスは出遅れて12番手を進み、直線で前が壁になって内に切れ込みながらメンバー2位タイの33.0秒で上がって0.3秒差の4着。昨年の天皇賞(秋)は大外から2着に突っ込んだが、今年は4コーナーから直線でドウデュースにマークされて外に出せなかった。最後の脚色を見る限り、スムーズなら馬券圏内があったかもしれない。ディープインパクト産駒で緩い流れの上がり勝負は合っているのだろう。昨年天皇賞(春)を勝った馬。今回休み明けで使っただけに次走はジャパンCに使ってくるか。

レーベンスティールは11番手からメンバー4位の33.2秒で上がって0.5秒差の8着。2コーナーでシルトホルンが内に斜行してダノンベルーガが躓き、それをよけたキングスパレスが大きく外に寄れた煽りを受けて外に振られて位置取りが悪くなった。その後キングスパレスが折り合いを欠いてフラフラしたことで動くに動けなかった。直線では外から勢いをつけて上がってきたドウデュースに被せられた。21年以降の東京芝2000mでルメール騎手は8枠で3番人気以内なら[10−1−3−0]だったが、今回は前にいたキングスパレスが想定外だったか。これまで5勝しているが、非根幹距離の内枠でしか勝っていない。今回かなり仕上げたこと、昨年香港ヴァーズで惨敗したことを考えると今後は休養して来年の大阪杯を目指す手か。

リバティアイランドは7番手から徐々に押し上げて3コーナーで3番手につけ、メンバー13位タイの34.1秒で上がって0.8秒差の13着。直線で川田騎手が追ったが、ラスト300mで失速して馬群に飲み込まれた。1986年以降の天皇賞(秋)で半年以上の休み明けは[0−3−1−27]、前走海外に出走した馬は[0−1−0−7]で未勝利。3冠牝馬リバティアイランドでもデータを覆せなかった。昨年のジャパンC2着は1枠1番から内ラチ沿いをロスなく回っていた。今回は7枠12番から外を回っていた。1週前調教で栗CWでラスト10.8秒の猛タイムを出したが、昨年のジャパンCより22キロ重い492キロだった。成長分もあるが、絞り切れなかった面もあるか。3冠牝馬デアリングタクトは秋華賞の後8戦未勝利だった。ここにきて馬体がマッチョ化してきている。次走陣営はどこを使ってくるか。

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