有馬記念
レース回顧

レガレイラはスタートは遅かったが上手くフォローして内めの6番手につけ、勝負どころで3番手に押し上げるとメンバー最速タイの34.9秒でシャフリヤールとの叩き合いをハナ差で制した。直線では外から伸びたシャフリヤールの方が勢いがあったが、最後にひと伸びして抜かせなかった。勝ちタイムは2分31秒8。ダノンデザイルが逃げて前半5F62.8秒のスローペース(過去10年で最も遅い)。後半5F57.9秒でラップは11.3−11.4−11.6−11.5−12.1秒。スローペースで前に行ったダノンデザイル、ベラジオオペラが粘るところに上がり勝負に強く鋭い決め手があるレガレイラ、シャフリヤールが突っ込んでワンツーを決めた。

レガレイラは、皐月賞6着はテン乗りの北村宏騎手、ハイペースで位置取りが後ろ過ぎたこと、ダービーは超スローペースで大外から追い込み、ローズSはスローペースで最後方から追い込み、エリザベス女王杯は外に出せず馬群に突っ込んで他馬と接触したことが影響して善戦止まりが続いたが、ホープフルSを勝った12月の中山で復活Vを飾った。3歳牝馬の優勝は1960年のスターロツチ以来64年ぶり。前走ルメール騎手が中団の馬込みでタメたことが今回に繋がっている。戸崎騎手は14年にジェンティルドンナ、木村厩舎は22年イクイノックスで制しており、どちらも有馬記念2勝目となった。今後はドバイSC、宝塚記念、凱旋門賞などが視野に入る。

シャフリヤールは大外16番枠から10番手につけ、勝負どころで5番手に押し上げるとメンバー3位の35.0秒で上がってハナ差の2着。昨年の有馬記念で穴馬○(1枠2番)で狙った馬が大外枠から10番人気で激走した。日曜の中山芝で大外枠は[2−1−0−3]。内が荒れて外差しが決まりやすい馬場だったが、北西の風が強かったこともあるか。Cデムーロ騎手の積極的な騎乗とシャフリヤールの上がり勝負に強い適性が上手くマッチした印象。22年のジャパンCで外枠から大外を回って最速タイの33.7秒で上がって0.1秒差の2着に入ったように末脚の持続力も兼ね備えている。昨年は大外枠のスターズオンアース(ルメール騎手)が2着。外枠は不利だが、外国人騎手は侮れない。

ダノンデザイルは前半5F62.8秒のスローペースで逃げ、メンバー8位の35.4秒で上がって0.2秒差の3着。ダービーは前半5F62.2秒、後半5F56.8秒で後半が驚異的。菊花賞で内に拘り過ぎたこと、1枠1番からスローで逃げて後半5F高速ラップにするのが最も勝つ可能性が高いと考えて逃げの手に出たのだろう。2番手につけた横山和騎手のベラジオオペラは全く競りかけなかった。勝ち馬とは0.2秒差で後半5Fは58.1秒。初めて逃げたこともあるが、ラスト1Fがダービーとは違った。ダービーより16キロ重い520キロ。絞り切れない何からの理由があるのか。大型馬はクリソベリル、エフフォーリアなどスジ力が落ちると復活できないことが多い。その点は考慮しておきたい。

ベラジオオペラは2番手からメンバー9位タイの35.5秒で上がって0.3秒差の4着。横山和騎手は横山典騎手のダノンデザイルが逃げたため道中動けず、レースが上がり勝負になったことが堪えた。昨年のダービーでタイム差なしの4着に入ったように距離は守備範囲なのだろう。ダービーを勝ったタスティエーラは天皇賞(秋)2着、2着ソールオリエンスは宝塚記念2着、4着ベラジオオペラは大阪杯1着、6着ホウオウピスケッツは天皇賞(秋)3着。4歳馬はレベルが低いといわれるが、ダービーで上位争いした馬はG1で通用している。ベラジオオペラは先行力があり、レースセンスがいい。今後も堅実に走りそうだ。

アーバンシックは出遅れた後に少し押して内ラチ沿いの7番手に押し上げ、メンバー4位タイの35.1秒で上がって0.5秒差の6着。出遅れて前半に脚を使ったこと、勝負どころで前にいたスターズオンアースが下がってきたことで動けずに位置取りが悪くなって仕掛けが遅れたことが堪えた。菊花賞を勝ったようにスタミナがあるだけにもっと流れた方が力を出せるが、スローの上がり勝負で内でごちゃついては厳しかった。ローシャムパークが早めに捲ればもっとタフなレースになりそうだったが、外からシュトルーヴェにマークされて動けなかった。もっと能力があれば不利を克服して馬券圏内に突っ込んでもおかしくないが、現時点ではそこまでの能力がないのだろう。

ローシャムパークは12番手から4コーナーで8番手に押し上げ、メンバー6位の35.2秒で上がって0.5秒差の7着。向こう正面で外からシュトルーヴェにマークされて動けず、得意の捲りができなかった。ただしスローペースで後半5F57.9秒になっただけに途中から強引に捲っても厳しかったか。前走BCターフはシャフリヤーニに先着しただけに物足りない内容。これでマーカンド騎手は芝重賞[0−1−0−16]で連対はステイヤーズS2着のシルブロン(12人気)のみ。今回の7着はこれまで騎乗していたルメール、戸崎騎手を確保できなかったことも影響している。

シュトルーヴェは12番手からメンバー9位タイの35.5秒で上がって0.8秒差の10着。流れが緩んで後半57.9秒。緩い流れで強引に捲る馬がおらず、レースが上がり勝負に傾いて厳しくなった。日経賞でボッケリーニに勝ったが、ボッケリーニに京都大賞典で勝ったヴェラアズールはジャパンC、日経賞で勝ったタイトルホルダーは天皇賞(春)、宝塚記念、チャレンジCで勝ったベラジオオペラは大阪杯を勝っている。目黒記念も勝ったが、2着シュヴァリエローズは京都大賞典、ステイヤーズSを連勝している。G1で通用する力はありそうだが、今回は流れが向かなかった。

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