エリザベス女王杯
レース回顧
レガレイラは荒れた内を避けて9番手の外を進み、直線で外からメンバー最速タイの34.2秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分11秒0。エリカエクスプレスが逃げて前半5F59.9秒。後半5F59.0秒、上がりは34.9秒、ラップは11.6−11.6−11.7秒。例年は中盤にラップが12秒台後半に落ちるが、今年は12.3秒までしか落ちず、前に行った馬には厳しいレースになった。外から捲ると思われたリンクスティップ(レガレイラと同じサンデーR)が好位につけて前にプレッシャーをかけたこともある。レガレイラは中団の外で前を射程圏に入れて進み、直線で外から差し切り、2着に0.3秒差をつけて快勝。
昨年の有馬記念を勝った馬が牝馬限定G1で能力の違いを見せつけた。昨年のエリザベス女王杯は5着に終わり、これまでの重賞3勝は全て中山だったが、京都外回りでも全く問題なかった。調教診断で1位評価にしたが、パドックでは馬体、気配が目立ち、仕上がりの良さが際立っていた。3歳時は取りこぼしがあったが、古馬になって馬体が成長し安定して高パフォーマンスを発揮できるようになっている。まだウィークポイントはありそうだが、スーパーホースに近づいている。次走は有馬記念で2連覇を目指す予定。戸崎騎手は京都芝G1を28戦目で初勝利。今年の芝2200m重賞で1番人気に支持されたときは4戦4勝となった。
パラディレーヌは1枠1番から内ラチ沿いの7番手を進み、勝負どころで少し押し上げ、4コーナーから直線で外に持ち出すとメンバー4位タイの34.7秒で上がって0.3秒差の2着。土曜は馬場の内側が荒れて外差しが決まったが、日曜は土曜に踏み固められたことで内を通った馬も連対していた。岩田望騎手が各馬が避けた荒れた内をロスなく回り、直線でスムーズに外に出してかなり上手く乗っている。ただし荒れ馬場をこなす馬でないとあの乗り方はできない。前走秋華賞は大外枠から大外をブン回して0.2秒差の3着に終わったが、今回はロスなく回って2着に入った。切れより持続力と地力で勝負するタイプ。少しタフな馬場が合っている。
ライラックは後方2番手からメンバー最速タイの34.2秒で追い込んで0.4秒差の3着。中盤にラップが落ちず、例年よりタフなレースになり、4コーナー最後方から強烈な末脚を繰り出して突っ込んだ。前走アイルランドTでは後方から2位の32.3秒で上がって0.1秒差の4着。今年6歳になったが、ここ4戦の上がりは1、2、2、1位で末脚の威力が増している。差し馬向きの展開になったこともあるが、テン乗りの藤岡佑騎手が後方でタメたことが上手く嵌まった印象。エリザベス女王杯は4年連続出走で2、4、6、3着。タフな馬場の芝2200mにピンポイントに適性があるのだろう。次走は香港ヴァーズまたは有馬記念の予定。
リンクスティップは大外16番枠から6番手につけ、外から徐々に上がって4コーナーで3番手に押し上げるとメンバー7位の35.0秒で上がって0.4秒差の4着。ガツンと切れる脚がなく、いい脚を長く使えるため、外から捲るレースを得意にしているが、好位につけて前にプレッシャーをかけていた。サンデーRはリンクスティップのCデムーロ騎手に外を回って早めに動いて差し馬向きのレースにし、勝てるようならそのまま勝ってもいいという指示だったのではないか。パドックではこれまでより馬体を大きく見せ、華奢な面がなくなってきていた。まだ未勝利戦しか勝っていない1勝馬だが、持ち味を生かせれば重賞制覇のチャンスがありそうだ。
ココナッツブラウンは道中11番手の外を進み、メンバー3位の34.6秒で上がって0.5秒差の5着。直線で外から逆手前のまま伸びてきたが、前にいたリンクスティップを捕まえられず、外からライラックに交わされた。4コーナーから直線でレガレイラを外からブロックできそうだったが、横山武騎手に替わって社台の有力馬に騎乗している北村友騎手がそれをできる訳がないか。レガレイラを外に出させたことで外に振られ、追い出しが遅れるロスがあった。下り坂でスピードに乗った状態で外に出せれば3着に突っ込めたのではないか。輸送すると馬体が減る馬だが、当日は2キロ増でテンションも許容範囲だった。上村厩舎が上手く仕上げている。
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