宝塚記念
2001/01/07 中山競馬場 芝1600m

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相馬眼予想

 春のグランプリレース宝塚記念。今年の春は散々天気に悩まされたが、最後まで 悩まされそうだ。日曜日の天気予報は、曇りときどき雨で雨の確率は50%となって いる。う〜ん、いったいどんな馬場状態なんだ? 今年の天気予報が弱気な予報なの か雨の予報が多くなっている気がする。最近の天気の傾向からも、雨はそんなに降ら ず、良からやや重くらいの馬場になると考えて予想することにする。

 テイエムオペラオーとグラスワンダーどちらが勝つかが今年の最大のテーマだろう。 今年になって3連勝のテイエムオペラオーに対し、今年2連敗でいいところなしの グラスワンダー。普通に考えたら、テイエムオペラオーが圧倒的に有利だが、はた して競馬はそんなに簡単なのだろうか。2頭のあとを追うのは、G1で2着実績の あるラスカルスズカとステイゴールド。ラスカルスズカの兄サイレンススズカが宝 塚記念を勝ったときの2着がステイゴールドと何か因縁めいたものも感じさせる。 今回、実力的に勝負になるのは、この4頭だろう。

 サイレントハンターが逃げて、これにジョービックバンが続く展開。サイレントハ ンターがハイペースの逃げで好走していること、また調子が非常にいいだけにハイペ ースの逃げになるだろう。ジョービッグバンがこれに競い掛けるかというと答えは ノーだ。ジョービッグバン山田騎手の父親が、サイレントハンター大久保厩舎の助手 という関係上、山田騎手が競い掛けることはしないだろう。サイレントハンターが ハイペースで離して逃げる展開になる。こうなると、有力各馬の仕掛けどころがに 難しく、特に1番人気のテイエムオペラオーは、後ろにグラスワンダーを置くだけ に非常に難しくなるだろう。

 各騎手たちは、ハイペースの展開と読んで末脚を生かす競馬をするはずだが、 テイエムオペラオーの動きに合わせたレースになるだろう。ただし、グラスワンダー だけは、昨年スペシャルウィークを負かしたのと同じように力勝負に持ち込みたい ので、早めにスパートすることになる。グラスワンダーがスパートすれば、テイエム オペラオーもスパートしないわけもいかず、一気に厳しいレースの始まりになる。 テイエムオペラオーは、ハイペースのレースを遠ざかっているだけに、最後は末脚 が鈍る可能性がなくもない。それを狙って末脚勝負したいのが、ラスカルスズカの 武豊騎手。切れ味なら負けないものがあるのは、天皇賞で実証済みでペース判断は 抜群なので、差し切れる位置からのスパートになるだろう。ステイゴールドは、ハイ ペースのレースは歓迎でグラスワンダーのスパートが早ければ早いほど有利になる。

 ◎グラスワンダー  有馬記念を勝って以降、日経賞6着、京王杯9着と凡走しているが、今回はそのときと は調子が違う。調教での脚捌きは好調時に見せるもので、特に前脚の掻き込みの鋭さは 非常に目を引いた。叩き3戦目の今回は毛づやも良くなり、動作ひとつひとつをとって も好調時の気配と威圧感が戻ってきている。昨年の有馬記念は勝ったが、そのときより も逆に調子がいいように思える。グランプリ3連覇を成し遂げている実力馬の調子が戻 れば、好走しない訳がないだろう。更に今年の宝塚記念は、荒れ馬場を苦にしないグラ スワンダーに有利に働く。例年の宝塚記念は、その週に仮柵を外して内がグリーンベル トになり、そこを通った馬が好走している。今年は2週早まったこともあり、既に仮柵 が外され内側も荒れており、全般的に馬場が荒れているのだ。プラス雨が降って少し重 くなることを考慮すれば、掻き込み鋭いグラスワンダーが有利になるのは間違いない。 道中は中団より後ろにつけてテイエムオペラオーを徹底マーク。3コーナー手前から ペースを上げて、直線で一気に突き放す昨年と同じ競馬で1着でゴール。力勝負に持ち 込めば、負けることはないだろう。乗り変わった蛯名騎手の気合のムチで怪物が目を覚 ます。勝って凱旋門賞に行く。

 ○ラスカルスズカ  天皇賞(春)で2着後、確勝を期して望んだ金鯱賞を3着と敗退し人気を下げているが、 金鯱賞の仕上げは宝塚記念を意識した仕上げとレースだったため、そんなに問題視する 必要はないだろう。何より2000mのハイペースのレースを使えたことを重視したい。 長距離ばかりを使っていると中距離ではペースに戸惑ってしまい敗退するケースがよく あるので、それを心配しなくて良いのは心強い。今週の調教は軽めで夏負けが心配され ているが、19日に坂路で強めに追われており、上々の動きを見せており好調だ。 天皇賞で2着しているが、元々中距離の方がいいタイプで今回は最後の直線でよれる ことはないだろう。間違いなく切れが増すはずだ。道中はテイエムオペラオーとグラス ワンダーの出方を見ながら後方を進み、直線勝負に徹する競馬。仕掛けどころが難しい が、絶好調の武豊騎手なら差し切れる位置とタイミングを外さないだろう。今度はテイ エムオペラオーを差し切ると見た。ただし、予想以上に馬場が悪化すると切れは鈍るの で当日の馬場状態のチェックは必要だ。

 ▲ステイゴールド  目黒記念を勝って重賞ウイナーの仲間入り。宝塚記念は、一昨年2着、昨年3着と得意 なレースで充実した今年は勝つチャンスがあると言っていいだろう。調教は、今まで 出したことのないような好タイムで最後の伸びも上々。使い込んでいるが、今がまさに 絶好調だ。今年に入ってから、レースでも調教でも体が良く伸びて大きく見せていると ころに好感が持てる。道中は中団につけ流れに乗り、各馬が早めのスパートしたら、 ひと呼吸おいてスパートし末脚勝負に持ち込みたいところ。厳しいレースになり、 上がりが掛かれば、好走する確率は増すはずだ。競馬を完全に覚えたステイゴールドと 安藤勝騎手の初コンビ。どんな競馬を見せてくれるか楽しみだ。期待したい。

 △テイエムオペラオー  今年に入って3連勝で天皇賞制覇し、今回は1番人気。調教の動きも良く、力は出せる デキだ。ただし2200mなら、そんなに各馬とそんなに差はないと見る。実際、京都 記念2200mでテイエムオペラオー57キロ、ステイゴールド58キロで着差が 0.2秒。近走でハイペースの中距離戦を経験していない点も少々不安だ。グラスワン ダーが積極的に仕掛けてくるだけにどう対処するか。1番人気にとらわれない競馬を 和田騎手ができれば、連対するチャンスはあるだろう。

    勝負馬券:馬連 グラスワンダー − ラスカルスズカ

     ◎グラスワンダー
     ○ラスカルスズカ
     ▲ステイゴールド
     △テイエムオペラオー

レース結果
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 着 予 枠 馬         馬名        性齢 重量      騎手   タイム   馬体重  人気
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   1 △ 1  1 (市)テイエムオペラオー 牡 5 58.0kg  和田竜二 2:13.8  470Kg  +2  1
   2   4  4 (外)メイショウドトウ  牡 5 58.0kg  河内洋  2:13.8  508Kg   0  6
   3   8 10    ジョービッグバン  牡 6 58.0kg  山田和広 2:13.9  452Kg  -4  9
   4 ▲ 3  3    ステイゴールド   牡 7 58.0kg  安藤勝己 2:14.1  432Kg  +2  5
   5 ○ 7  8    ラスカルスズカ   牡 5 58.0kg  武豊   2:14.3  470Kg  -2  3
   6 ◎ 8 11 (外)グラスワンダー   牡 6 58.0kg  蛯名正義 2:14.7  506Kg  -4  2
   7   6  7    メイショウオウドウ 牡 6 58.0kg  飯田祐史 2:15.4  452Kg  -2  7
   8   5  5 (市)マチカネフクキタル 牡 7 58.0kg  幸英明  2:15.6  510Kg -12 10
   9   7  9    オースミブライト  牡 5 58.0kg  武幸四郎 2:15.6  440Kg   0 11
  10   2  2    サイレントハンター 牡 8 58.0kg  吉田豊  2:16.3  482Kg  -6  8
  11   6  6 (外)マチカネキンノホシ 牡 5 58.0kg  岡部幸雄 2:16.3  532Kg  -2  4
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  天候:雨  芝:良  
  ハロンタイム  12.9 - 11.6 - 11.2 - 12.6 - 12.4 - 12.1 - 12.4 - 12.6
                  - 11.7 - 12.1 - 12.2  
  上り  4F 48.6 - 3F 36.0 
  1コーナー  2,4,10(1,6)5,11,9,7,8,3  
  2コーナー  2-4,10,1,6,5,11-9,7,8-3  
  3コーナー  2-4,10,8,1,11,5,6,7(3,9)  
  4コーナー  8(2,4)10(3,1)11(5,7)6,9  

  <払戻金> 
  単勝 01 190円 1番人気  枠連   1- 4 1,140円  5番人気
  複勝 01 110円 1番人気  馬連  01-04 1,190円  5番人気
     04 370円 6番人気  ワイド 01-04   570円  6番人気
     10 830円 9番人気      01-10 1,400円 16番人気
                       04-10 3,550円 30番人気

レース回顧

 テイエムオペラオーが優勝し、グラスワンダーが骨折。明と暗がはっきりした形に なったが、完調で出走してきたグラスワンダーにも拍手を送りたい。競馬に「たられば」 は禁物だが、グラスワンダーが無事に走っていれば、テイエムオペラオーを苦しめて いただろう。テイエムオペラオーとグラスワンダーの直線での叩き合いを見れなかった のは、競馬ファンとして非常に残念だ。レース後のグラスワンダーの痛々しい姿には、 背筋が凍る思いだったが、最悪の状況にならなくて本当に良かった。勝ったテイエム オペラオーは、今年になって負け知らずの4連勝。それも人気でマークされる立場での 勝利だけに相当な強さと言っていいだろう。秋は天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念に 向かうが、今の強さなら3連勝するかもしれない。まずは、1番人気が勝てない 天皇賞(秋)にどう挑むか今から楽しみだ。では、回顧です。

 △テイエムオペラオーは、4、5番手につけ、 いつも通り折り合いに専念。3コーナーで内からラスカルスズカ、外からグラスワンダー がスパートするとそれに合わせてスパート。直線に向きジョービッグバンと合わせて一気 に伸び最後はメイショウドトウをかわして1着でゴール。相変わらず4コーナーでは 手応えが悪くなったが、直線ではしっかり伸びて強さをアピールした。良馬場発表でも 直前の雨で馬場が重くなったのも、他が苦にする分、有利になった感はある。パドックで は、あまり気合を表に出さないが、落ち着いて周回し踏み込みもしっかりしていた。仕上 がりとしては、天皇賞よりいいくらいで、腹下の筋肉の張りが素晴らしく力強さを感じた。 久々のハイペースのレースに不安だったが、サイレントハンターの逃げが思ったより スローだったので、何も問題なかった。ただし、このあたりが天皇賞(秋)の課題として残った のは確かだ。今年になって負け知らずの4連勝でG1を2勝。この強さは本物だ。しかし、 忘れていけないのは、何と言っても和田騎手の冷静さだろう。断トツの1番人気だと 騎手の緊張から馬が折り合いを欠いたり、人気の重圧で早仕掛けになったりとするものだ。 それをどっしりと構えて自分の競馬に徹することができるのだから大したものだ。 このコンビで秋競馬を盛り上げてくれることは間違いないだろう。ただ、これだけ強い馬 を負かす馬を探すのも予想の楽しみでもある。現時点では、走法が改善された場合の ナリタトップロードと本調子に戻って切れが倍増した場合のアドマイヤベガの2頭 (昨年の3強)に期待したい。忘れてはいけないのが、ステイゴールドで今度はG1を 勝つのを当てたい。有馬記念では、4歳馬のアグネスフライトとエアシャカールもこれに 加わり、さらに楽しみになる。今から、WAKUWAKUだ!!

 メイショウドトウは、2番手と先行し、直線で 一度はジョービッグバンにかわされたが、差し返して2着を確保。今年の充実ぶりをその まま継続した走りで完全に力を出し切っている。G1初挑戦で2着とその力がG1級だっ たことを証明した。雨が降っていた金鯱賞も勝ったように力のいる馬場は得意のようだ。 今後は秋のG1戦線に向かうことになると思うが、もう少し末脚の切れを磨いて欲しい。 堅実な走りは買えるが、G1で強力にプッシュするには、やはり切れる脚が必要だろう。 余談だが、この馬の顔は本当にカワイイ。女性ファンも一杯いそうだ。

 ジョービッグバンは、3番手を進み、4コー ナーで置かれ気味だったが、テイエムオペラオーに合わせて差し込み惜しい3着。 今回も逃げずに差す競馬で結果を残した点は評価に値する。末脚の伸びも素晴らしく、 これぞ本格化といったところ。500万条件を勝ったばかりで函館記念を勝ったのが、 フロックでなかったことを証明した。パドックでは、馬体の成長が伺え、特に脚がスラッ と伸び、背が高くなった印象。もう少し腹回りにたくましさが出れば、もっと活躍できる だろう。ニ千が適距離だけに陣営の今後の勝負は天皇賞(秋)か。夏をうまく過ごして 更に成長した姿が確認できれば、間違いなく好勝負できるだろう。

 ▲ステイゴールドは、最後方からの競馬で 3コーナー手前からスパート。馬場の悪い内を捲くり、4コーナーで先団に取り付いたが、 直線の伸びは今一歩で4着まで。安藤勝騎手を持ってしても4着と言われているが、 思い切った最後方からのレースで上位に食い込んだ点は、さすがに安藤勝騎手だし、 前残りの不利な展開を後方から差してきた点は、さすがにステイゴールドで満足できる 結果だ。今年になって、きついローテーションの中、全て堅実な結果を残せている ステイゴールドには拍手を送りたい。最後方からの競馬を覚えたことで、今後本当に楽し みになった。特に天皇賞(秋)は、2年連続2着と得意にしているだけに昨年のスペシャル ウィークと同じ最後方からの競馬で勝つかもしれない。期待したい。

 ○ラスカルスズカは、後方2番手を進み、 意表を突く最内からの捲くりの競馬。馬場のいい外をまわる各馬を尻目に4コーナーで 先頭に立ち、直線入り口で2馬身の差をつけたが粘り切れずに5着敗退。武豊騎手の 作戦にはビックリさせられたが、逆にこれくらいの作戦をしないとテイエムオペラオー を負かせないということが武豊騎手の頭にあるということだろう。雨が降って馬場が ラスカルスズカにマイナスになったことも、この作戦の引き金になった気がしてなら ない。実際、テイエムオペラオーが、内のラスカルスズカ、外のグラスワンダーの動き を見てスパートしており、早仕掛けで直線失速すれば、作戦成功になっていたのだが、、、。 内をまわったラスカルに約3馬身のアドバンテージがあったが、それをものともせず に差し切ったテイエムオペラオーの強さが現時点では一枚上だ。夏負けが心配されて いたが、パドックでは踏み込みも深く、首の動きも実にリズミカルで調子は良く見えた。 今後は兄が果たせなかった天皇賞(秋)を目指すが、重賞未勝利でもあり、賞金的にも 出走は難しいかもしれない。出走すれば、当然応援したい。今年になって、レースを 重ねるたびに馬が小さくなって威圧感がなくなってきているのが少々気がかりだが、 夏を上手く過ごせれば、出走数が少ないだけにまだまだ上積みが期待できるだろう。 秋に成長した姿を見せて欲しい。

 ◎グラスワンダーは、7番手で折り合いも つき、いい頃の走り。3コーナー手前からスパートし、3コーナー過ぎでテイエム オペラオーと馬体を合わせたが、直線入り口で置かれ気味。直線で蛯名騎手が追った が、いつもの伸びが見られずに6着敗退。3コーナーの行きっぷりは、いつもの グラスワンダーでこれならと思ったが、骨折していては伸びないのも当然の結果だ。 パドックでは、腹回りがスッキリしており、気合もあっていい感じで周回していた。 これなら復活できると思わせる出来だっただけに残念だ。骨折で引退と何か寂しい気 がするが、種牡馬として頑張ってもらいたい。独特な前脚の掻き込みを持った子供が 現れることを期待したい。先に引退した同期のエルコンドルパサー、スペシャル ウィークと種牡馬としての戦いが始まる。3頭の子供が、いつの日か戦うことになる が、その際は父親が戦った奇跡を胸に思い切った予想をすることにしよう。


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