朝日杯3歳S
2000/12/10 中山競馬場 G1 芝1600m

| Home | 展望 | 調教 | 予想 | 結果 | 回顧 | 2000年結果 |

出走有力馬
タガノテイオー テイエムサウスポー エイシンスペンサー
ネイティヴハート タイムトゥチェンジ ウインラディウス
グラスエイコウオー エアヴァルジャン[回避] メイショウドウサン

 新馬の前から、これは凄い馬と言い続けてきたタガノテイオーが有力。顔つき、 馬体からくる威圧感は名馬のそれ。体は小さいが秘められたパワーは素晴らしい ものがあるので、今回も期待したい。あとは、これも追いかけているテイエムサ ウスポー。この時期の仕上がりは他馬を圧倒しており、強めの調教で馬体減りさ えなければ好勝負必死だろう。他では、2戦2勝のエイシンスペンサー、地方馬 代表のネイティヴハート、1600m実績あるタイムトゥチェンジ、素質馬ウイ ンラディウスあたり。

調教診断

タガノテイオー
 栗東DWで直線強めに追われ、もの凄い伸びを見せ、好調をアピール。全体時 計は遅いが、ラストの伸びは出色。馬体減りもなく、G1制覇に向け体勢整った とみたい。
ネイティヴハート
 水沢ダートでラスト強めに追われ、力強い伸び脚で併走馬を突き放した。雪の 舞い降りる中、迫力のある動きを見せて好印象。脚捌きも実にスムーズで前走か らの上積み十分。
エイシンスペンサー
 栗東CWで馬なりで併走馬に先着。実に柔らかいフォームでラストの伸びも上 々。この柔軟さは他の馬にはないもので、かなりの好素材。重賞実績はないが好 勝負できそうだ。
グラスエイコウオー
 美浦坂路を一杯に追って、好タイムを叩き出した。これだけ一杯に追われても まっすぐに駆け上がれたところを評価。具合はいいだけに初芝さえこなせばチャ ンスはありそう。
テイエムサウスポー
 栗東CWで馬なり調教。先週、坂路で50秒台を出しているだけに軽めに終始 したが、馬体減りもなく、脚捌きもスムーズでまずまずの仕上がり。夏から強め に追われているので前走からの上積みはないが、力は出し切れそう。

勝負馬券予想

 さあ3歳牡馬の総決算、朝日杯3歳S。今年は新馬から追いかけてきたタガノ テイオーが順調に仕上がったので、自分の相馬眼を信じてこれを本命にしたい。 もう1頭追いかけてきたテイエムサウスポーを対抗と考えてきたが、調教を見る 限り、どうしても上積みが感じられないので、こちらは3番手に降格。もし、こ の2頭の決着したら、非常に悔しい思いをするだろうが、状態の良さを最優先し て予想してきたこの場においては、これが妥当な結論だと自信を持って勝負して みたい。では、いつも通り、各馬の状態と展開を含めて予想していこう。

 まず各馬の状態だが、特に良く見えたのが、ネイティヴハート。直線での伸び脚 は迫力十分で前走からかなりの上積みを感じさせる。現時点での完成度が非常に 高いので、好勝負できそうだ。京王杯3歳Sのレースぶりで底を見せた印象もあ ったが、それを却下して狙ってみたいほどの仕上がりだ。タガノテイオーも抜群 の切れ味を見せ、前走からの上積みが感じられる。あとは、エイシンスペンサー の柔らかさのある走りにかなりの素質が感じられた。現時点で1番人気も、その あたりをみんなが感じているからだろう。エリカ賞で楽勝したクロフネに新馬戦 で勝っているのも、人気の理由だ。テイエムサウスポーは、上積みはないが、調 子自体は悪くない。完成度が高い馬なので、不用な競馬はしないと思うが、この 馬よりは絶好の動きを見せたネイティヴハートを上位に取りたい。

 次に展開だが、逃げるのは、カルストンライトオ。1200m戦で出遅れながら、 ハイペースで逃げて楽勝しているスピードは、このメンバーでは一枚上。現時点 で逃げないと良さが出ないタイプでもあり、かなりのハイペースで逃げることに なるだろう。これを追いかけるのが、ジーティースマイルとグラスエイコウオー だが、最初からハイペースなら競い合いはしないはず。こんな展開では、いかに も差し追い込み馬が有利になりそうだが、果たしてそうなのだろうか。ハイペー スを追走した馬が、3、4コーナーでバテて下がってくれば、後方の馬は馬群を 捌くのに苦労しそう。また、今の中山の馬場は内の方が明らかに伸びるので、後 方一気の競馬ではかなり辛そうだ。好位から中団につけて、直線で早めに抜け出 す競馬ができる馬が有利になりそうだ。ただし、ハイペースでこの競馬をするに は、それなりの底力が要求されることを付け加えておく。

 本命は、タガノテイオー。初めて見たときから、これは凄い馬と惚れ込んだ逸材。 必ずや来年のクラシックに出走できると言い続けてきたが、前走の東京スポーツ 杯3歳Sで重賞制覇し、それも現実のものになりそうだ。まだ馬体は小さいが、 中に秘められた能力は非常に高いものがあるので、ハイペースで力勝負になる今 回は、能力を発揮するのに絶好の舞台に思える。調教で見せた末脚も素晴らしく 、状態面は万全。抜群の競馬センスとスピードで、今回は楽に好位につけられる はずだ。3コーナーから徐々にスパートし、直線入り口で先頭に立ち後続を突き 放す強い競馬で1着でゴール。不利な外枠を引かずに、一番いい真中の偶数枠を 引き当てたのもプラスに働きそう。ここを勝って余裕を思ってクラシックを迎え て欲しい。

 対抗は、ネイティヴハート。京王杯3歳Sのレースぶりで底を見せた感じはあっ たが、今回の調教での動きを見て対抗に抜擢。馬自身が走ることに集中できてお り、陣営のやる気度も含めて、今回は目一杯の勝負は間違いない。持ち前のスピ ードで好位につけてラストの切れを生かす競馬。前脚の掻き込みが鋭い走法から 今の中山が馬場は合いそうなのも良く、絶好のデキからも不用な競馬はしないだ ろう。菅原勲騎手の渾身の手綱捌きに期待したい。

 あとは、底力あるテイエムサウスポーと好素質馬エイシンスペンサーをぜひとも 抑えたい。テイエムサウスポーは、内枠だけに包まれるのを嫌って早めの競馬に なるはず。前走逃げて勝っていると言っても、急坂の待ち受ける中山で同じ競馬 ができるかと言うと難しい気がしてならない。現時点での完成度と底力は上位だ が、調教の動きも含めて3番手の評価が妥当なところだ。エイシンスペンサーは、 早いペースを経験していないだけに不安な点もあるが、好素質と柔らかい走りを 評価して、4番手にマークしておきたい。

 一発大穴なら、グラスエイコウオーの前残りだろう。美浦坂路を一気に駆け上が った勢いは、侮れないところだ。芝未経験なので人気はないが、距離は問題ない だけに芝さえこなせば、上位にきてもおかしくない。後ろがごちゃつけば、この 馬の粘り込みがあってもいいはずだ。

    勝負馬券:馬連 タガノテイオー − ネイティヴハート

     ◎タガノテイオー
     ○ネイティヴハート
     ▲テイエムサウスポー
     △エイシンスペンサー
     注グラスエイコウオー

レース結果
  2000年6回中山4日( 12月 10日) 11R  
  第52回 朝日杯3歳ステークス(GI) 
  サラ系3歳 1600m 芝・右 外  
  (混)牡・せん(指) オープン 馬齢 
  本賞金: 5300、 2100、 1300、 800、 530万円 発走 15:20 
 ------------------------------------------------------------------------------
 着 予 枠 馬         馬名        性齢 重量      騎手   タイム   馬体重  人気
 ------------------------------------------------------------------------------
   1   2  3    メジロベイリー   牡 3 54.0kg  横山典弘 1:34.5  486Kg  +8 10  
   2 ◎ 4  8 (市)タガノテイオー   牡 3 54.0kg  藤田伸二 1:34.6  426Kg  -4  1  
   3 ○ 7 14 [地]ネイティヴハート  牡 3 54.0kg  菅原勲  1:34.7  474Kg  +4  4  
   4   6 12 (父)メイショウドウサン 牡 3 54.0kg  安田康彦 1:34.7  458Kg  -6 12  
   5 ▲ 1  2    テイエムサウスポー 牡 3 54.0kg  和田竜二 1:34.8  504Kg +14  5  
   6 △ 5 10 (外)エイシンスペンサー 牡 3 54.0kg  四位洋文 1:35.0  476Kg  -4  2  
   7   5  9 (市)マイネルカーネギー 牡 3 54.0kg  吉田豊  1:35.5  464Kg +10 13  
   8   2  4    ウインラディウス  牡 3 54.0kg  岡部幸雄 1:35.6  490Kg   0  3  
   9   6 11    タイムトゥチェンジ 牡 3 54.0kg  池添謙一 1:35.7  438Kg  -2  6  
  10   8 15 (市)カルストンライトオ 牡 3 54.0kg  小池隆生 1:35.7  492Kg  +4  8  
  11   7 13 (外)ロッキーアピール  牡 3 54.0kg  後藤浩輝 1:35.8  454Kg  +2 14  
  12 注 3  5 (外)グラスエイコウオー 牡 3 54.0kg  村田一誠 1:35.9  466Kg  +2  7  
  13   4  7 (父)ジーティースマイル 牡 3 54.0kg  吉永護  1:35.9  480Kg  +8 16  
  14   1  1 (外)ユノピエロ     牡 3 54.0kg  田中勝春 1:36.0  464Kg  -2 11  
  15   3  6 (外)フィールドスパート 牡 3 54.0kg  河内洋  1:36.9  498Kg  +4  9  
  16   8 16 (父)フォーユアラヴ   牡 3 54.0kg  柴田善臣 1:37.2  468Kg  -2 15  
 ------------------------------------------------------------------------------
  天候:曇  芝:良  
  ハロンタイム  12.3 - 11.2 - 11.5 - 11.7 - 11.7 - 12.0 - 11.9 - 12.2  
  上り  4F 47.8 - 3F 36.1 
  2コーナー  15(2,7)(6,16)(1,3,8,10,14)(4,5,11)12(9,13)  
  3コーナー  15,7(2,6,16,14)(3,8,10)(1,4,11)5(9,12)-13  
  4コーナー  15(2,7)(3,14)6(4,8,16,10)(1,5,11)(9,12)13  

  <払戻金・給付金> 
  単勝 03 4,050円 10番人気  枠連   2- 4   950円  2番人気
  複勝 03   810円 10番人気  馬連  03-08 8,860円 25番人気
     08   150円  1番人気  ワイド 03-08 2,180円 25番人気
     14   220円  4番人気      03-14 3,400円 38番人気
                          08-14   570円  3番人気

レース回顧

 直線でタガノテイオーとの叩き合いを制したメジロベイリーが、3歳牡馬 チャンピオンの座につきました。未勝利を勝ったばかりでG1を制覇しまし たが、天皇賞馬メジロブライトの半弟という良血を考えれば、それほど驚く ことではないのかもしれません。予想では無印にしてしまい、この馬の素質 を見抜けなかったわけですから、反省しないといけません。自分の中に未勝 利を勝ったばかりの馬という先入観が少なからずあって、チェックが粗雑に なってしまいました。先入観を捨てて馬を見るというのが基本なので、今回 のことを反省して次回に生かしていきたいと思います。

 2着したタガノテイオーは、左後脚粉砕骨折で予後不良になってしまいま した。ずっと追いかけてきた馬なので残念でなりません。かなりショックで す。レースのあと藤田騎手が「ゴール前200mで音がしたので、その時に 折れたと思う」と話したことで物議をかもし出しました。何で折れたのが分 かったのに追うのをやめなかったのか、G1を勝ちたいから脚が折れている のが分かっていて追いまくったのではないか、という批判を多く耳にしまし た。このあたり、自分なりに整理してみましたが、藤田騎手としては、ゴー ルを過ぎて脚がおかしいのが分かってから、結果的にあそこでという感じだ ったのではないでしょうか。脚が折れていることが分かれば、さすがに追う ことはしないと思います。もし藤田騎手が無理にタガノテイオーを止めて転 倒でもすれば、ひどい事故になっていたでしょう。騎手はみな命がけで騎乗 していることも、考慮して上げたいところです。また、直線の勝負どころで 馬の走法が大きく変わらないのに止めるということも勇気がいることです。 藤田騎手の言い方が悪かったかもしれませんが、騎手を責めるのはどうかと 思います。

 競馬にタラレバは禁物ですが、敢えて言わせてもらいます。もしタガノテ イオーが無事だったら、間違いなくクラシックで活躍していたでしょう。今 回勝てたかどうかは別にして、必ずやクラシックでいい走りができた馬だと 今でも思っています。では、回顧です。

 メジロベイリー は、6,7番手を進み、4コーナーで4番手まで押し上げると、直線でタガ ノテイオーとの叩き合いを制して1着でゴール。直線で追われると首を使っ た走りで豪快に伸びました。バネの利いた走りから、かなりの瞬発力を感じ させます。半兄がメジロブライトで、父がサンデーサイレンスに変わりまし たが、切れ味は受継いでいるようです。馬体は486キロと馬格もあって、 パドックでも良く見せていました。今後はクラシックを目指すことになりま すが、予後不良になってしまったタガノテイオーの分までいい走りを見せて もらいたいと思います。次週のラジオたんぱ賞に出走する人気馬3頭(クロ フネ、ジャングルポケット、アグネスタキオン)も相当強いですが、この馬 も脚の使いどころさえ間違わなければ、互角に戦えるだけの能力を持ってい ます。血統的に距離が伸びても大丈夫なので、兄メジロブライトが果せなか ったクラシック制覇も夢ではないでしょう。

 ◎タガノテイオー は、6.7番手を進み、直線で馬場の真ん中を猛然と追い込みましたが、メ ジロベイリーとの叩き合いに敗れて2着まで。4コーナーでの手応えから楽 勝するかと思いましたが、結局2着に負けてしまいました。ゴールした後の 1コーナー過ぎで藤田騎手が下馬しましたが、そのとき既に左後脚がフラフ ラでどうしょうもない状態になっていました。左第1趾骨粉砕骨折で予後不 良。新馬の前に初めて見たときにビビッと感じ、それ以来ずっと追いかけて きましたが、最悪の結果になってしまいました。藤田騎手によるとゴール前 200mのところで骨が折れる音がしたそうです。骨折しながらも、最後ま で全力疾走をやめなかったタガノテイオーの集中心には、拍手を送りたいと 思います。徐々に調子を上げて成長していく馬がクラシックで活躍しますが、 まさにそれにピッタリと当てはまる馬でした。無事に走っていれば、クラシ ックでも十分に好勝負できた馬だと思います。新馬戦と札幌3歳Sでタガノ テイオーに勝ったジャングルポケットが、今後活躍することでタガノテイオ ーの強さを証明してくれるでしょう。自分の相馬眼を証明してくれたタガノ テイオーのことは、今後も馬を見る上での1つの大きな形として記憶してお きたいと思います。

 ○ネイティブハート は、5,6番手を進み、3,4コーナーで捲くり気味に進出し、直線外から 鋭く伸びましたが、前を捕らえ切れずに3着まで。直線で良く伸びてはいま すが、最後は前の2頭と脚色が一緒になってしまいました。伸びそうで伸び ないところを見ると直線の坂が影響した感じもありますが、距離が少し長か ったのかもしれません。パドックでは張りのある馬体は目立っていましたが、 少しイレ込むような感じで周回していました。今回の3着で皐月賞出走の夢 はなくなりましたが、距離的にマイルの方がいいので、今後はNHKマイル Cを目指して欲しいと思います。東京コースは2戦1勝2着1回と得意にし ているので、出走できれば上位争いできるでしょう。東京コースは直線が長 く坂もあってタフなコースですから、もうワンパンチ末脚の切れとスタミナ が欲しいところです。

 メイショウドウサン は、後方3番手を進み、4コーナーでも後方のままでしたが、直線大外から 一気に伸びて4着まで追い上げました。馬場のいい大外を豪快に伸びました が、如何せん道中の位置取りが後ろ過ぎました。こういうタイプは前に行く といい脚が使えないので、よほど展開が味方しないと勝ち切るのは難しいで しょう。パドックでは、450キロ台の馬とは思えないほど大きく見せてい ましたが、少しイレ込み気味で周回していました。今後はクラシックとNH KマイルCのどちらを目標にするのか分かりませんが、気性的なことを考慮 すると短い距離の方が良さそうです。これまでかなり使い込んで仕上げてい るのが気掛かりですが、馬っぷりはいいので、穴馬にマークしたい馬です。

 テイエムサウスポー は、2,3番手を進み、直線内で持ち前の粘り腰を発揮しましたが、最後は 差し馬4頭に交わされて5着敗退。京王杯3歳Sを逃げ切ったので、今回も 前に行く競馬をしましたが、直線の坂で力尽きてしまいました。元々スパッ と切れる脚がないジリ脚タイプなので、積極的な競馬で活路を開いたという 経緯があります。陣営もこの競馬で負けたのなら、仕方ないといった感じで しょうか。夏の小倉3歳Sで2着した頃から坂路で好タイムを出し、仕上が りの早さを武器にしていたところがありましたが、ついに力のある馬に追い つかれた感じがします。距離が伸びていいタイプではないので、クラシック はどうでしょうか。

 エイシンスペンサー は、中団を進み、直線に向いて追われましたが、ジリジリとしか伸びずに6 着敗退。道中少し掛かって折り合いを欠いていたようで、それが最後の伸び 脚に影響したようです。馬体と走りに柔らかさがあって非常に良く見えます が、道中掛からずに楽に進められないとせっかくの能力を発揮できません。 まずは気性の成長を望みたいところです。レースを重ねるたびにうるさくな っているような感じがあるので、パドックと返し馬を注意して見たい馬です。

 カルストンライトオ は、出脚鋭くハイペースで逃げましたが、直線でバテて10着敗退。スピー ドまかせに行って最後はバテましたが、距離が短くなればもっとやれそう感 じがあります。実際1200m戦で2戦2勝の実績を残しているし、馬体が まだパンとしていない状態でこれだけ走れるのですから、もっと成長すれば かなりのスピード馬になりそうです。今回は距離が長かったことが敗因なの で、評価を下げない方が良いでしょう。


| Home | 展望 | 調教 | 予想 | 結果 | 回顧 | 2000年結果 |