1999/12/26 有馬記念 芝2500m |
グラスワンダー VS スペシャルウィーク徹底研究 |
「スペシャルウィークがグラスワンダーに勝つには?」 有馬記念のポイントは、ずばりスペシャルウィークとグラスワンダーの 駆け引きです。スペシャルウィークは、ジャパンカップを制覇しましたが、 ここでまたグラスワンダーに負けると第三の馬になってしまうため、 グラスワンダーにだけは、絶対に負けることは許されません。 宝塚記念での武豊スペシャルウィークの作戦は、3コーナーからの ロングスパートでグラスワンダーの末脚を封じ込めるものでした。 3コーナーからのロングスパートで11秒台を連発し、グラスワンダー以外の 馬をぶっちぎりましたが、グラスワンダーにはあっさり差されました。 グラスワンダーの良いところは、朝日杯3歳Sで見せたようにいい脚を 長く使えるところなので、宝塚記念での武豊の作戦は、グラスワンダー が後方を進んでいない限り、うまく行きません。そう、武豊はグラスワンダー の長所を逆に引き出してしまったのです。今回の武豊は、それが分かっている はずです。 グラスワンダーは、抜け出すときの瞬発力はものすごいが、その瞬発力を 使った後は、少しだけスピードが落ちます。安田記念でエアジハードに差さ れたのも、毎日王冠でメイショウオウドウに迫られたのも、これが影響して います。両方ともに東京の左回りで手前の変え方がぎこちないなどの 理由もありますが、自身が持つものずごい瞬発力のせいで、今回も 最後はスピードが落ちるはずです。 そこにスペシャルウィークに逆転の目があります。今のスペシャルウィークは、 天皇賞、ジャパンカップと追い込んで勝っています。そのため、今回の武豊は、 グラスワンダーの直後につけ、徹底的にマークし、ゴール直前で少しだけ グラスワンダーを差す競馬をするはずです。また、グラスワンダーを差して 勝ってこそ、価値があるというものです。 「ローテーション&調子」 スペシャルウィークは、天皇賞(秋)、ジャパンカップを勝っているため、 今回は余力がないとか、またジャパンカップでの日本最先着馬は、 有馬記念ではこないと言われています。 スペシャルウィークと同じようなローテーションでタマモクロスは有馬記念 で2着しています。 <タマモクロス> 春天1着、宝塚1着、秋天1着、JC2着、有馬2着 <スペシャルウィーク> 春天1着、宝塚2着、京都大賞典7着、秋天1着、JC2着 タマモクロスの有馬記念は、飼い葉食いも悪く、調教も良いとは言えない 状況でとても本調子には思えなかったが、それでも2着しました。 オグリキャップには負けましたが、スーパークリーク、サッカーボーイには先着 しており、やはり強い馬は強いの一言でジンクスにとらわれる必要はありません。 スペシャルウィークは、京都大賞典に出走していますが、太い馬体で7着 と激走していないので、疲れもほとんど残っていないはずです。 今回のスペシャルウィークは、調教もよく、好調子を持続しています。 スペシャルウィークとグラスワンダーの宝塚記念ローテーションは、それぞれ 2ヶ月ぶりと叩き3戦目です。スペシャルウィークは、480キロと夏場にも関わ らず絞り込みが足りない状況、対してグラスワンダーは、叩き3戦目で好調 (夏場に弱いが涼しい日が続き好調を持続できた)でした。 今回の有馬記念は、スペシャルウィークが叩き4戦目、グラスワンダーが2ヶ月 ぶりと宝塚記念と逆になっています。 グラスワンダーは、調教から絶好調とは言えない状況です。調教で的場が ステッキも抜いた瞬間のグラスワンダーの反応はさすがだが、久々のためか、 鞭を打った瞬間に手前を変えていました。また、好調時よりも首が高く、脚の かき込みの素早さが欠けて見えます。グラスワンダーでなければ、好調といえる内容 ですが、グラスワンダーの好調時を知っているだけに不安です。 「結論」 スペシャルウィークが、グラスワンダーに勝つ! スペシャルウィークに勝てる馬がいるかは、最終決断をご覧下さい。 |
勝負馬券1点予想 |
逃げ馬不在でスタート後は各馬の出方を伺うため、前半は超スローの展開。
スタンド前の歓声で掛かる馬もいるが、平均ペースよりやや遅いペースで
道中は進む。グラスワンダーは中団、スペシャルウィークはグラスワンダーを
徹底マークの展開。ナリタトップロードは先行し絶好の手応えで3コーナー
から上がって行く。その手応えを見て、的場は、スペシャルウィークにマーク
されていても、グラスワンダーが絶好調でないだけに、また1番人気の重圧
から早仕掛けしないわけがないだろう。今の中山は、例年より芝の状態は
良いが、内が荒れているので先行馬は外々を回る。中団から追い込む
グラスワンダーは、大外を回らなければならず、先にスパートしたナリタ
トップロードより、3馬身はロスがある。ナリタトップロードの良いところは、
先行しても、長くいい脚が使えるところ。調教絶好の今回は、直線で
一気に他馬を突き放し1着でゴール。問題は2着。グラスワンダーが追い
込むが、さらに外から武豊スペシャルウィークが猛然と追い込みゴール直前
でグラスワンダーを差し切って2着。先行するナリタトップロードに道中少しでも
不利があれば、スペシャルウィークが差し切ってしまうだろう。
3コーナーでグラスワンダーの手応えがあまりに悪いとスペシャルウィークも
動けず、ファレノプシスが浮上する。エリザベス女王杯は、直線で前が詰まる
連続で実質100mくらいしか追えない致命的な不利。それでも0.3秒差の
3着でまとっもなら勝っていたかもしれない。京王杯SCでグラスワンダーと
0.2秒差、札幌記念でセイウンスカイと0.1秒差でG1牡馬と互角に戦える
底力を秘めているのは間違いない。鞍上も蛯名でこの大一番で大いに燃え
直線で鬼のように鞭打ち、エアジハード引退の悔しさをきっと晴らすだろう。 勝負馬券は、馬連1−3(ナリタトップロード&スペシャルウィーク) ◎ナリタトップロード ○スペシャルウィーク ▲ファレノプシス △グラスワンダー |
レース結果 |
1着△グラスワンダー 2着○スペシャルウィーク 3着 テイエムオペラオー 4着 ツルマルツヨシ 5着 メジロブライト 単勝:7番 280円 枠連:2−4 450円 馬連:3−7 470円 ワイド :3−7 240円、7−11 620円、 3−11 750円 |
レース回顧 |
スローペースで予想通りグラスワンダーをスペシャルウィークが徹底マークの展開。
ナリタトップロードは1馬身出遅れてスタート。先行する予定だったので、
少し気合つけると掛かり、1周目の3コーナーでは、掛かったのを押さえるため、
馬が首を上げ、その後も折り合いを欠いていました。4コーナーでツルマルツヨシと
グラスワンダーに早めに来られ、直線は馬場の悪い内を通ることになってしまいました。
グラスワンダー、スペシャルウィークに勝つには、3コーナーからのロングスパートし、
4コーナーで馬場の良い外を周り、追い込み馬を大外に追いやらないと
いけなかったのですが......。 渡辺騎手には、トップロードが絶好調だっただけに、もっと積極的に騎乗して 欲しかったですね。絶好調なだけに、大事に乗り過ぎたところもあったと思いますが、 トップロードの強さを信じて早めにスパートをして欲しかったです。 来年の天皇賞(春)では、渡辺騎手のリベンジに期待するし、また、それができる騎手だと 思っています。トップロードの実力がこんなものではないことをきっと証明してくれるでしょう。 グラスワンダーは、プラス12キロでパドックではコズんで見え、決して良い状態では なかったけれども、仕掛けたときの反応の良さと瞬発力はすばらしいですね。 調教のときもステッキを抜くと反応し、ムチを打てば即座に瞬発力を繰り出すし、 よほど頭がいいのでしょうね。また、スペシャルに一度差されても差し返す根性は すごいの一言。 スペシャルウィークの武豊は、予想通り、グラスをマークしゴール前でグラスの スピードが落ちたところを差し切るという作戦でした。スペシャルも調子は絶好では なかったけれど、さすがに能力が高く、末脚はすばらしいものがありますね。 惜しまれるのは、ゴールしたときの武豊。きわどいレースの時は、馬の首がよく伸びるように、 長手綱ぎみに手を前に伸ばし、立ち上がるようなフォームをするのですが、 今回はグラスのいる右側を見ていて、その動作がありませんでした。確かにゴール手前 では差していたし、スピードも違っていたので、まさかグラスが差し返すとは思えない 状況でしたが.....。 テイエムオペラオーは、4コーナーで手応えが悪くなり、騎手の手もかなり動いて いましたが、結局、首差の3着まできいるところをみるとかなり力がありますね。 追い込んでくるときの目つきが鋭く、絶対前を捕らえてやるという顔になっているところが 気に入りました。来年の活躍が期待できそうです。 有馬記念が、今年のベストレースだと思います。ゴール手前の50mで 4頭が鼻面を揃えたところは、鳥肌が立つくらいの迫力がありました。 |