エリザベス女王杯
レース展望
3歳馬と古馬が争う女王決定戦。今年は4冠を目指すスティルインラブ、初の外国馬参戦など例年以上に注目度が高い。今年の牝馬クラシックで3戦とも1番人気に支持されたアドマイヤグルーヴ、古馬ではマーメイドSで完全復活したローズバド、今年連対を外していないレディパステルなどかなりの好メンバーが揃った。各馬不利なく力を出し切る熱い一戦を期待したい。
まずは3冠馬スティルインラブ。秋華賞は外から力で捻じ伏せる強い内容。ローズSと全く違うレースぶりだったが、秋華賞の競馬がこの馬本来の姿。今回は京都外回りの2200mだが、2400mのオークスを勝っているように距離はこなせる。例年通り、スローの上がり勝負になってもオークスで見せた33.5秒の切れ味があれば対応できそうだ。ただ死角がない訳ではない。ここには書かないが、馬を良く見ている人なら気付くだろう。それでも好走する確率は高いが、秋華賞のときほど高くはない。
アドマイヤグルーヴは秋華賞でスティルインラブに3/4馬身差の2着。現時点での完成度の差で負けた印象が強いが、目一杯に仕上げていなかったのも事実。脚質的に内回り2000mより外回り2200mの適性が高いのは明らか。秋華賞で陣営が攻めなかったのか、それとも攻められなかったのかは、今回の調教過程と最終調教の動きで明らかになる。完成度の高いスティルインラブと古馬に現時点でどんな戦いが挑めるか。トゥザヴィクトリー、ファインモーションで2連勝中の武豊騎手の秘策を読み切りたい。
ローズバドは重馬場のマーメイドSで調教師さえも驚かせる走りで完全復活。秋初戦の府中牝馬Sではレディパステルに敗れたとは言え、メンバー最速の33.7秒の切れ味で2着を確保した。昨年は覇気がなかったが、今年のローズバドは違う。1週前調教でも最後ひと伸びして先着と走る気を見せた。01年のエリザベス女王杯で33.4秒の鬼脚でトゥザヴィクトリーにハナ差まで迫ったように舞台に不足はない。あとは展開。今年G1で2着6回の横山典騎手の腕にも期待がかかる。
レディパステルは今年4戦して[2-2-0-0]で連対率100%。昨年より馬が完成されレースぶりが安定してきた。ただし府中牝馬Sの後に足元に疲れが出てこの中間順調さを欠いた。田中清厩舎は天皇賞(春)のトーホウシデンでも直前にアクシデントがあったが、本番を前に順調さを欠いたのはやはり痛い。エリザベス女王杯は01年4着、02年3着に好走しているが、脚質に幅の出た今ならそれ以上を狙うことも可能だろう。どこまで仕上がってくるかにかかっている。
あとは3歳馬はヘヴンリーロマンス、古馬はダイヤモンドビコーとスマイルトゥモローに少し注目したい。ヘブンリーロマンスはローズSのときは調子を崩していたが、前走1000万条件で牡馬を負かしたように、ここにきて調子を上げてきた。スティルインラブとアドマイヤグルーヴと同じサンデー産駒だが、2頭とは違うものを持っている。それが最大限に生かせれば好走する可能性がある。
ダイヤモンドビコーは牡馬混合戦だと[2・0・0・6]で牝馬限定戦だと[5・5・0・4]で全く成績が違う。4歳以降に限定すると牡馬混合戦[0・0・0・5]に対し、牝馬限定戦[3・3・0・1]と違いは顕著だ。パドックを良く見ている人には牡馬混合戦で好走できない理由は言うまでもないだろう。今回は牝馬限定戦で鞍上はペリエ騎手。ただしまだ色々と条件はつく。
スマイルトゥモローは今回からパシュファイアー(目の部分に網状の膜がついた覆面)をつける。鞍上は天皇賞(秋)でゴーステディに騎乗していた吉田豊騎手。どういうレースをするかは書かないが、ここの読みが今回のポイントのひとつ。4歳馬では唯一の参戦。現4歳牝馬の世代が弱いという評価を否定するつもりはないが、スマイルトゥモローはオークス馬ということを忘れてはいけない。
あとはアナマリーとタイガーテイルの外国馬2頭。白井での調教を見る限りは2頭とも輸送で調子を落としているということはなさそう。京都芝2200mではどんな馬体をした馬が走るかをイメージできる人にとっては、どちらの馬に適性があるかはすぐに分かるだろう。あとは金曜に京都の本場馬で追うようなので、その動きを見て最終的に判断したい。レーティングは2頭とも日本馬最高のスティインラブの[110]を上回ることを付け加えておく。
2003/11/13
競馬アナリストGM
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