桜花賞
2001/04/08 阪神競馬場 G1 芝1600m

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レース展望
テイエムオーシャン ダイワルージュ フローラルグリーン
リワードアンセル ポイントフラッグ ハッピーパス
サクセスストレイン ムーンライトタンゴ タイムフェアレディ

不安要素あるも断然の能力を持つテイエムオーシャンが中心

 牝馬クラシック第一弾「桜花賞」。今年の主役は、テイエムオーシャンです。昨年 の最優秀3歳牝馬で、これまで牝馬には負けておらず、年明け初戦のチューリップ賞 でも楽勝とくれば、この馬で仕方ないと思う人も多いのではないでしょうか。馬体の 充実も著しく、一週前の調教でもいい動きを見せているので、よほどのアクシデント がない限り、勝つ確率は相当高いと思います。敢えて死角を探すとすれば、外枠を引 きスタートで気合をつけ過ぎて掛かった場合、超ハイペースに巻き込まれて直線で失 速した場合、G1の独特の雰囲気で馬がイレ込んだ場合が考えられます。このあたり は、枠順と各陣営の出方から整理していこうと思います。

 あとは、母に名牝スカーレットブーケを持つダイワルージュです。ここまで4戦3 勝2着1回で、阪神3歳牝馬Sでテイエムオーシャンに敗れたのみで他の馬には負け ていません。阪神3歳牝馬Sでは、久々と馬体減で完調ではなかったので、逆転の余 地は残っていると思います。前走のアネモネSは、久々でしたが、きっちりとリワー ドアンセルを差し切って、実力をアピールしました。掛かることもなく、好位からの 競馬ができるので、安定感はダイワルージュの方が上かもしれません。テイエムオー シャン同様、こちらもかなりやれそうです。

 他では、ナリタトップロードの半妹で、2戦2勝のフローラルグリーンに魅力を感 じていますが、中間の熱発で順調な仕上げとは言えないだけにどうでしょうか。最終 調教の動きに注目したいところです。あとは、小さい馬体でも、秘めた切れ味と勝負 根性は素晴らしいものがあるリワードアンセル、雄大な馬体が印象的で、上位グルー プと差のないレースをしているポイントフラッグ、シンコウラブリイの妹で、堅実な 走りが目に付くハッピーバスあたりが気になるところです。500万条件の前走で、 鮮やかな差し切り勝ちを演じたムーンライトタンゴにも一発の魅力を感じます。


 【ミニデータ】
 ・桜花賞のポイント
 ・過去10年の連対馬のうち19頭が前走4着以内。前走で大敗した馬の巻き返しは難しい。
  唯一10着から巻き返したチアズグレイスは極端な不良馬場が敗因だった。
 ・過去10年の連対馬のうち16頭が1600mを経験し、そのうち13頭が連対経験あり。
  1600mを2回使って連対できていない馬が好走するのは難しい。
 ・過去10年(2回は京都)で阪神コース未経験で連対したのは、ユキノビジンのみ。

2000年桜花賞1着 チアズグレイス2着 マヤノメイビー

調教診断

テイエムオーシャンとダイワルージュ絶好のデキ

テイエムオーシャン
 栗坂でラスト強めに追われ、併走馬を3馬身突き放す切れ味を見せました。追わ れてからの反応も抜群で、前走より更に調子が上がっています。相変わらず、馬体 の張りも良く、きびきびとした動きにも好感が持てます。このデキなら、チューリ ップS以上の走りを期待していいでしょう。
ダイワルージュ
 南Wで馬なりでしたが、ラスト11秒8の切れ味を見せ、好調をアピールしまし た。1週前に強めにやっているので、今週の馬なりの調教は、牝馬にとってテンシ ョンを上げないためにも理想的でしょう。ひと叩きされ馬体が引き締まり、非常に 良く見えます。力を出せるデキだと思います。
フローラルグリーン
 栗坂で一杯に追われ、好タイムをマークし、最後までしっかりと伸びました。か なり馬体が絞れ、ここ目標と目一杯に仕上げています。中間の熱発はありましたが 、これだけ追えるのですから、それほど気にしなくても良さそうです。ただし、3 週連続強めの調教をしているので、馬体減やコズミなどをパドックで確認したいと ころです。
リワードアンセル
 南Wで馬なりでしたが、小気味いいフットワークで余力を残して併走馬に先着し ました。首の使い方が上手く、競馬センスを感じさせます。前走、馬体が減ってい たこともあり、この中間は軽めの調教ですが、動き自体は前走より良くなってきて います。勝負根性があるので、混戦に強いタイプです。

相馬眼予想

 今年の桜花賞のポイントは、テイエムオーシャンの取捨でしょう。断然の1番人 気で、前日オッズは単勝1.3倍。週の初めに指摘したテイエムオーシャンの死角 を、ひとつずつ整理して予想していきます。

 まず枠順ですが、真ん中の8番枠を引きました。内枠に逃げ脚鋭いテンザンデザ ートとオイスターチケットが入ったので、それらを見て進められそうです。また外 枠には、それほど前に行きたい馬がおらず、外から被せられることもなさそうなの で、この枠は絶好枠と言っていいでしょう。大きなアドバンテージがあると思いま す。

 次に超ハイペースに巻き込まれて直線で失速した場合ですが、騎乗する本田騎手 は差しても勝てると宣言しており、これは超ハイペースなら抑えるということを示 唆しています。掛かり癖があるので上手く抑えられるかですが、この中間、掛かり 癖を矯正しようと前に馬を置いて、それを抜かないでマイペースで進める調教を繰 り返しやっています。今では、前に馬がいても落ち着いて走れるようになってきて いるので、阪神3歳牝馬Sのように掛かることはないと思います。ハイペースにな っても、うまく抑えて進められそうです。

 次にG1の独特の雰囲気で馬がイレ込んだ場合ですが、こればかりはパドックを 見てみないと何とも言えません。ただし、以前からイレ込む馬ではないので、それ ほど心配する必要はないと思います。最終調教もテンションを上げるほど強めでな く、また中間の馬体減もなく、前日追いでもゆったりとした調教して絶好の気配を 保っているようなので、イレ込む可能性はかなり低いと思います。

 以上、3つの死角を整理したわけですが、全てクリアしました。ほとんど死角が ないというのが、今回の結論です。また、今週から阪神コースはAコースになり、 内の2.5mがグリーンベルトで絶好の状態です。好位を進んで直線早めに先頭に 立つテイエムオーシャンは、このグリーンベルトを通れるので有利です。断然の1 番人気ですが、勝つのはテイエムオーシャンだと思います。

 問題は2着争い。テンザンデザートとオイスターチケットがハイペースで逃げて 、それを早めにテイエムオーシャンが交わすということを考えると差し馬を狙うべ きでしょう。馬体の充実が著しく、今までで1番のデキに仕上がったダイワルージ ュがその1番手だと見ています。人気馬同士の組み合わせでオッズはつきませんが 、強い馬が強い競馬をすることは当然のことなので、これが今回の勝負馬券です。

 本命は、テイエムオーシャンです。チューリップ賞を快勝した後も順調に調教を 消化し、最終調教でも追われての反応が抜群で、ほぼ完璧に仕上がっています。馬 体の充実も著しく、ボリュームのある馬体から洗練された大人の馬体になってきて います。実績、能力、調子、枠順と全ての条件が揃っているので、ここで負けるわ けにはいかないでしょう。道中は好位を進み、4コーナーからスパートして直線で 早めに先頭に立つと、一気にセーフティリードを広げて1着でゴール。デビュー以 来ずっと騎乗して、この馬の全てを知り尽くしている本田騎手が、力を引き出して くれるでしょう。ここは無事に通過すると思います。

 対抗は、ダイワルージュです。久々のアネモネSを快勝して、阪神牝馬3歳S2 着の実力をアピールしました。中間の調教も順調で、今週は軽めの調教でしたが、 ラストは切れ味を見せ、万全の仕上がりです。ハイペースになっても、最後の踏ん 張りが利くところがこの馬の持ち味で、今回は流れ的にその持ち味を生かせそうで す。雄大な馬体は非常に目立ち、ひと目見たときから雰囲気を感じさせてくれた馬 。母が名牝スカーレットブーケで、血統的にも魅力があります。ダイワの馬に騎乗 すると類稀な強さを発揮する北村騎手が、力を出し切ってくれるでしょう。

 あとは、サクセスストレインです。2月のクイーンCを勝って以来2ヶ月ぶりの 出走になりますが、仕上がりはいいようです。最終調教でも、重心を低くして首を 使った走りを見せ、好調をアピールしていました。こういう走りをするタイプは 、心肺面が強いので、ハイペースで力を出し切れると思います。騎乗する木幡騎手 も相当燃えており、勝負気配が漂っています。クイーンCでハッピーパスを差し切 ったのに人気がないので、馬券的にも魅力たっぷりです。

 また、内枠でじっくり脚を溜め、直線で馬群を割って勝負根性を掻き立てる騎乗 で上位争いできそうなリワードアンセル、中間の熱発をものともせず、強めの調教 をしてオークスよりここ一本に勝負をかけてきたナリタトップロードの妹フローラ ルグリーンを抑えたいと思います。

     ◎テイエムオーシャン
     ○ダイワルージュ
     ▲サクセスストレイン
     △リワードアンセル
     注フローラルグリーン


レース結果
  2001年2回阪神6日( 4月 8日) 11R  
  第61回 桜花賞(GI) 
  サラ系3歳 1600m 芝・右  
  牝(指) オープン 定量 
  本賞金: 8900、 3600、 2200、 1300、 890万円 発走 15:40 
  天候:晴  芝:良  
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 着 予 枠 馬         馬名        性齢 重量      騎手   タイム   馬体重  人気
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   1 ◎ 4  8    テイエムオーシャン 牝 3 55.0kg  本田優  1:34.4  444Kg  +8  1
   2   7 13 (父)ムーンライトタンゴ 牝 3 55.0kg  四位洋文 1:34.9  410Kg  +4  4
   3 ○ 6 12    ダイワルージュ   牝 3 55.0kg  北村宏司 1:34.9  478Kg  -8  2
   4   8 16    ハッピーパス    牝 3 55.0kg  岡部幸雄 1:34.9  446Kg  +2  3
   5   2  3 (父)マイネカプリース  牝 3 55.0kg  安藤勝己 1:34.9  454Kg  -8 13
   6   1  1 (父)オイスターチケット 牝 3 55.0kg  秋山真一 1:35.0  450Kg -10 17
   7 ▲ 7 15 (市)サクセスストレイン 牝 3 55.0kg  木幡初広 1:35.1  442Kg  -6  6
   8   4  7 (市)テンザンデザート  牝 3 55.0kg  和田竜二 1:35.1  440Kg  -4 14
   9 △ 3  5    リワードアンセル  牝 3 55.0kg  後藤浩輝 1:35.2  404Kg  -4  7
  10   3  6 (市)リキセレナード   牝 3 55.0kg  福永祐一 1:35.4  442Kg  -6 11
  11   5  9    ネームヴァリュー  牝 3 55.0kg  松永幹夫 1:35.6  444Kg   0 12
  12   1  2 (父)タケイチイチホース 牝 3 55.0kg  佐藤哲三 1:35.7  448Kg  +4 10
  13   7 14 (父)ポイントフラッグ  牝 3 55.0kg  武幸四郎 1:35.7  510Kg   0  8
  14 注 6 11    フローラルグリーン 牝 3 55.0kg  河内洋  1:35.9  430Kg  -6  5
  15   5 10 (父)タシロスプリング  牝 3 55.0kg  池添謙一 1:35.9  472Kg  -8 15
  16   8 17 (父)ツァリーヌ     牝 3 55.0kg  小池隆生 1:36.2  414Kg  -2 18
  17   2  4 (市)フィールドサンデー 牝 3 55.0kg  藤田伸二 1:36.2  466Kg  -4  9
  18   8 18    ビッグエリザベス  牝 3 55.0kg  村本善之 1:38.1  440Kg  -4 16
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  ハロンタイム  12.4 - 11.3 - 11.7 - 12.3 - 11.8 - 11.4 - 11.4 - 12.1  
  上り  4F 46.7 - 3F 34.9 
  2コーナー  10(7,8)(3,11)(1,4,5,9,16)(6,12,18)(15,17)13-(2,14)  
  3コーナー  10(7,8)(3,11,9)(4,5,16,18)(1,6,12,15)(14,13,17)2  
  4コーナー  (*10,8)(7,9)(3,18)(11,16)(1,6,4,5,15)(14,12)(2,13)17  

  <払戻金> 
  単勝 08 130円 1番人気  枠連   4- 7   460円  2番人気
  複勝 08 100円 1番人気  馬連  08-13 1,080円  3番人気
     13 290円 4番人気  ワイド 08-13   590円  3番人気
     12 130円 2番人気      08-12   220円  1番人気
                       12-13   830円 10番人気

レース回顧

 テイエムオーシャンが、直線楽に抜け出してG1制覇。この強さをどう 表現していいのか悩みますが、現時点での強さは、ここ10年でもトップ レベルだと思います。これでオークスでも1番人気は確定ですが、掛かり 気味に行くことで評価を下げる人も多いのではないでしょうか。このあた りをどう整理していくか、競馬新聞などの予想がどんなものになるかも興 味があるところです。ダンシングブレーヴ産駒の桜花賞馬キョウエイマー チはオークスで大敗しましたが、同じ産駒のテイエムオーシャンはどうな るでしょうか。オークスが、今から楽しみです。では、回顧です。

 ◎テイエムオーシャンは、3番 手を進み、4コーナーで先頭に並びかけると、直線で楽に後続を突き放し て1着でゴール。例によって、向こう正面で掛かり気味に行きましたが、 チューリップ賞と同じように直線で鋭く伸びました。この強さは本物で、 今年の3歳牝馬の中では断然の能力を持っています。今の調子を維持でき れば、牝馬3冠も夢ではないでしょう。現時点での強さは、ここ10年で もトップレベルだと思います。次走はオークスになりますが、血統的に距 離は問題ないので、折り合いさえつけば勝てると思います。掛かり気味に 行くところから、距離不安という話が出てきそうですが、陣営も当然24 00mを意識した調教してくるでしょうから、そこだけに固執した予想は したくはありません。1991年にイソノルーブルが逃げ切ったように、 逃げ馬でも能力があれば逃げ切れるレースです。能力を重視した予想をし たいと思います。

 ムーンライトタンゴは、後方3 番手を進み、直線で大外から鋭く伸び、粘るダイワルージュを差し切って 2着を確保。410キロと馬体は小さいですが、秘めた切れ味は相当なも のがあります。テイエムオーシャンには離されましたが、持ち味を発揮で きたので価値ある2着です。ダンスインダザークの初年度産駒で、血統的 にもオークスは楽しみです。馬体の小ささが気になる人もいるかもしれま せんが、同じような馬体のアドラーブルが桜花賞2着、オークス1着して いることからも、それほど気にする必要はないでしょう。今の切れ味は、 まさしく東京向きです。桜花賞の疲れが完全に取れ、調教でいい動きを見 せれば、上位争いができると思います。

 ○ダイワルージュは、もっさり としたスタートで後方を進み、直線で伸びましたが、テイエムオーシャン の影は踏めずに3着まで。後方から行って切れ味を生かすタイプではない ので、好位につけられなかった時点でこの結果を覚悟しました。パドック 、返し馬では落ち着いていましたが、枠入れを嫌がり、覆面を被せられて 枠入りしました。相当にイレ込んでいたようです。調子が良かっただけに 、非常に残念な結果です。次走はオークスになりますが、距離が伸びるの は不安がないので、こなせると思います。ただし、切れ味勝負ではどうし ても見劣るので、流れが向くかがポイントになります。

 ハッピーパスは、中団を進み、 早めに仕掛け直線で2番手に立って粘りましたが、最後は2頭に交わされ て4着。テイエムオーシャンは別格として、直線半ばで2番手に踊り出た ときには、この馬が2着と思いましたが、早めに仕掛けた分、最後は止ま りました。競馬センスはいいものを持っていますが、もうワンパンチ足り ない印象です。馬体はまだ若いところを多分に残しているので、今後の成 長に期待したいと思います。次走はオークスになりますが、はっきり言っ て距離が長い感じがします。距離克服に向け、陣営がどんな調教をしてく るか、そのあたりに注目して取捨を決めたいと思います。

 ▲サクセスストレインは、後方 を進み、直線で追い込みましたが、内に刺さって伸び切れずに7着敗退。 内に刺さったのが気になりましたが、レース後に陣営が右回りだと内に刺 さると話していました。重い印をつけましたが、それを把握していなかっ た自分を責めるしかありません。また、美浦にいるときはふっくらして良 く見えましたが、当日はマイナス6キロと減り過ぎていたのも気になった ところです。輸送で減ったのだと思いますが、このあたりに関東馬が桜花 賞で好走する難しさを感じてしまいます。次走はオークスになりますが、 今度は得意の東京コースなら力を出し切れるでしょう。母の父が長距離の ノーアテンションというのも魅力のひとつです。

 △リワードアンセルは、中団を 進み、直線で目一杯追いましたが、いつもの切れ味を見せずに9着敗退。 3,4コーナーで馬群に包まれたときに、他馬に跳ね飛ばされて後方から の競馬になったようです。逆に他馬を跳ね飛ばす勢いが欲しいところです が、今の小さい馬体ではこうなってはどうしょうもありません。馬体がマ イナス4キロと減っていたのも誤算で、今後はまず馬体が回復しないと好 走は難しいでしょう。スピードタイプなので、オークスはどうでしょうか。


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