エリザベス女王杯
2000/11/12 京都競馬場 G1 芝2200m

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出走有力馬
トゥザヴィクトリー フサイチエアデール シルクプリマドンナ
ファレノプシス ニホンピロスワン トーワトレジャー
ヒシピナクル エイダイクイン クリスマスツリー

 重賞2連勝中のトゥザヴィクトリー、G1制覇に王手をかけた。昨年の秋華賞は、 1番人気で13着に敗退し、馬連900倍の馬券を演出してしまったが、今年のG1も1番人 気になりそうだ。荒れるのか、堅い決着になるのか、逃げ馬だけにそのペース次第というとこ ろもあり、非常に読みづらいというのが今の印象だ。この馬の取捨がポイントになるのは間違 いないので、しっかりと展開を読んで決めることにしよう。1週前の調教は、ほぼ完璧な動き を見せていたことを付け加えておく。

 あとは、昨年2着のフサイチエアデール。昨年のエリザベス女王杯は、メジロドーベル とこの馬で勝負馬券を当てて、非常においしい思いをしたので、今年も乗って見たい気持ちは 正直ある。東京コースでは切れが鈍るので、前走の3着も納得がいかなくはないが、どちらか というと春の方が調子は良かったような感じがする。そのため、このひと叩きで、どれくらい の上積みがあるかに掛かっている。調教で、力強い脚捌きが見られれば狙ってみたい。

 4歳馬ではシルクプリマドンナとニホンピロスワンだが、古馬に比べると何 となく迫力に欠ける感じは否めない。ただし、2キロ差があるので、流れに乗れればチャンス はなくはないだろう。2頭ともに、秋華賞は脚を余して負けたので、疲れもなく、また、今年 は秋華賞から中3週とローテーション的にも楽になっているので、そのあたりに期待がかかる。

 牝馬2冠のファレノプシスは、今回が引退レース。昨年は直線で前が詰まって、実質 追えたのはラスト50メートル。完全に脚を余しており、前が開いていればもっと際どかった のは間違いない。今年も昨年と同じステップで望むが、仕上がりはいいようだ。牝馬のレース で活躍している松永幹騎手が騎乗するのは魅力だ。

調教診断

トゥザヴィクトリー
 栗東DWで強めに追われ、絶好の動きを披露し好調をアピール。脚捌きがやわらかく、追っての 反応が抜群で今年一番のデキ。あまりのデキの良さに気持ち悪いところもあるが、このデキなら逃 げてもそう簡単には捕まらないだろう。展開次第で本命にしたい。

フサイチエアデール
 栗東坂路で強めに追われて、軽快な脚捌きでラスト鋭く伸びた。絶好調まではいかないが、前走 よりかなり良化した感じで納得のいく仕上がり。差し脚が生きる流れになれば、好走できそうだが、 問題なのは最内枠。これを横山典騎手がどう乗りこなすかが課題だろう。

ファレノプシス
 栗東坂路で一杯に追われ、50.9秒の好タイムを出した。3ヶ月の休み明けになるが、十分に 乗り込まれ、太め感もないので力は出せそうだ。引退の花道を飾るか。

シルクプリマドンナ
 栗東DWで一杯に追われ、ラスト切れ味を見せた。直線でムチを入れられると、体を沈み込ませ て伸びたところは評価できるが、今ひとつ迫力に欠ける感じ。それでも秋華賞のデキはキープして いるので、まともな競馬ができればチャンスはあるだろう。

ニホンピロスワン
 栗東CWでラスト一杯に追われて、まずまずの伸びを見せた。馬場が悪かったためか、跳びが小 さい走りが気になったが、調子は悪くない。前崩れの展開になれば、出番はありそう。

プリモディーネ
 栗東CWで一杯に追われ、好タイムを出した。タイムはいいが、全体的には、まだ腹回りに余裕 があり重い感じ。馬体は成長しているので、一発ありそうな気もするが、狙いづらいというのが正 直なところ。

勝負馬券予想

 桜花賞馬ファレノプシス、プリモディーネ、オークス馬ウメノファイバー、シルクプリマドンナ 、秋華賞馬ファレノプシス、ブゼンキャンドルと牝馬G1馬が5頭が揃った今年のエリザベス女王杯。 どの世代の牝馬が強いのか、非常に興味があるところだ。

 予想の上でのポイントは、重賞2連勝中のトィザヴィクトリーの取捨。逃げ馬のため各馬に厳しくマークされること、昨年の秋華賞で1番人気を裏切って 敗れたことが、どうしてもネックになってなかなか本命にできないというのが正直なところだ。それで も、本命はトィザヴィクトリー。重賞2連勝の勢いは、他のど の馬にもないもので、2200mでも持ち前のスピードを生かし切れば、好勝負できるとみたい。3連 勝でG1制覇だ。

 まず展開だが、逃げたいのは、トゥザヴィクトリーとオリーブクラウン。この2頭が競い合ってペー スが上がるかと言えば、そうはならない。人気のトゥザヴィクトリーは、平均ペースで進めたいので、 オリーブクラウンが行けば2番手に控えることになるからだ。3番手はヒシピナクル、外からメジロサ ンドラが続く展開で、ほぼ平均ペースで進むことになるだろう。

 こんな展開でみんながマークするトゥザヴィクトリーは、3コーナーから持ち前のスピードで徐々に スパートし、後続に脚を使わせる競馬をするはず。直線で早めにセーフティリードを奪って、そのまま なだれ込むレースが理想だろう。トゥザヴィクトリーは調子がいいため、おそらく3コーナーでの手応 えは絶好のはず。この手応えを見れば、後続も一気にスパートしないわけにはいかないだろう。トゥザ ヴィクトリーは簡単には止まらないので、早めに脚を使った各馬が、直線で差すのもかなり厳しいこと。 やはり勝つのはトゥザヴィクトリーだ。

 問題は2着。今回は内枠のため、前々の競馬で早めにスパートしてトゥザヴィクトリーを負かしに行 くフサイチエアデールとファレノプシスよりは、中団で脚を溜めて直線で差す競馬をする目標がはっき りしているときの藤田騎手は、今までに何度となく好結果を出している点も見逃せないところだ。トゥ ザヴィクトリーという絶好の目標があれば、思い切った騎乗で、この馬の力を最大限に発揮してくれる だろう。調教でラスト切れ味を見せたように、仕上がりはまずまず。絶好調まではいかないが、逆にそ れくらいの方が走ることも良くある話。配当的にも狙って面白い。

 あとは、前記したフサイチエアデールと ファレノプシス。どちらも調教の動きが目立ち、かなりいい状 態で臨んできているので、不用な競馬はしないだろう。切れ味で勝るフサイチエアデールの方を上位に 取りたい

 乱ペースになれば、一瞬の脚があるエイダイクインにも注意が 必要だ。前走は大幅な馬体減で力を出せなかったが、だいぶ馬体をふっくらと戻しているので、今回は力 を出し切れそうだ。クイーンSでトゥザヴィクトリーに迫った脚を忘れるわけにはいかない。

 穴なら、このところ力を出し切っていないヒシピナクル と、調教で素早い脚捌きを見せた特にヒシピナクルは、能力があるので、イレ込みさえなければ、一気 に主役になれる器であることを付け加えておく。

    勝負馬券:馬連 トゥザヴィクトリー − シルクプリマドンナ

     ◎トゥザヴィクトリー
     ○シルクプリマドンナ
     ▲フサイチエアデール
     △ファレノプシス
     △エイダイクイン
     注ヒシピナクル
     注スプリングチケット


レース結果
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 着 予 枠 馬         馬名        性齢 重量      騎手   タイム   馬体重  人気
 ------------------------------------------------------------------------------
   1 △ 1  2    ファレノプシス   牝 6 56.0kg  松永幹夫 2:12.8  440Kg  -8  3
   2 ▲ 1  1    フサイチエアデール 牝 5 56.0kg  横山典弘 2:12.9  448Kg +12  1
   3 △ 7 14 (父)エイダイクイン   牝 6 56.0kg  二本柳壮 2:13.2  416Kg   0 10
   4 ◎ 3  5    トゥザヴィクトリー 牝 5 56.0kg  四位洋文 2:13.4  498Kg +14  2
   5 ○ 7 13    シルクプリマドンナ 牝 4 54.0kg  藤田伸二 2:13.5  432Kg  -4  4
   6   5 10    クリスマスツリー  牝 6 56.0kg  田中勝春 2:13.5  486Kg -10  9
   7   5  9    ニホンピロスワン  牝 4 54.0kg  和田竜二 2:13.6  458Kg   0  8
   8   8 15 (父)メジロサンドラ   牝 5 56.0kg  幸英明  2:13.7  458Kg  +4 13
   9   4  7    ナリタルナパーク  牝 6 56.0kg  渡辺薫彦 2:13.7  444Kg  +2 17
  10   6 12    トーワトレジャー  牝 4 54.0kg  上村洋行 2:14.0  456Kg  -2  6
  11   8 17    ブゼンキャンドル  牝 5 56.0kg  安田康彦 2:14.0  464Kg  +4 15
  12   4  8 (父)ウメノファイバー  牝 5 56.0kg  ペリエ  2:14.1  450Kg  -4  5
  13 注 2  3    スプリングチケット 牝 4 54.0kg  池添謙一 2:14.3  434Kg  -6 12
  14 注 2  4 (外)ヒシピナクル    牝 5 56.0kg  角田晃一 2:14.3  480Kg  +4 11
  15   3  6    サニーサイドアップ 牝 4 54.0kg  熊沢重文 2:14.5  450Kg  +4 16
  16   6 11    プリモディーネ   牝 5 56.0kg  福永祐一 2:14.7  516Kg +40  7
  17   8 16    オリーブクラウン  牝 4 54.0kg  高橋亮  2:15.3  444Kg  +4 14
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  天候:曇  芝:良  
  ハロンタイム  12.3 - 11.0 - 12.2 - 12.2 - 12.9 - 13.5 - 13.2 - 11.6
                - 11.4 - 11.2 - 11.3  
  上り  4F 45.5 - 3F 33.9 
  1コーナー  5(1,16)(3,15)(2,10,11)4(6,8)(7,13)12(9,17)14  
  2コーナー  5(1,16)3(2,15)10,4,11,6(7,8)13,12(9,17)14  
  3コーナー  5,1,16,2(3,15)10(4,11)12,6(7,8)(13,17)(14,9)  
  4コーナー  5,1,2(3,16)(4,15)10(7,11,12)(6,8)(13,17,9)14  

  <払戻金> 
  単勝 02 640円  3番人気  枠連   1- 1 1,110円  4番人気
  複勝 02 250円  3番人気  馬連  01-02 1,110円  2番人気
     01 130円  1番人気  ワイド 01-02   540円  2番人気
     14 640円 10番人気      02-14 3,570円 42番人気
                        01-14 1,590円 17番人気

レース回顧

 ファレノプシスが、直線半ばから気合の末脚でフサイチエアデールを差し 切って、見事にG1制覇。4歳時の桜花賞、秋華賞に続きG1−3勝目を挙 げ、引退の花道を飾りました。引退レースでG1制覇と、陣営にとってこれ ほどうれしいことはないでしょう。ビワハヤヒデ、ナリタブライアンの近親 で、デビュー当時から注目された馬ですが、G1−3勝と期待通りの走りを 見せてくれました。馬体はこじんまりとして見栄えがしませんが、中身が違 うのでしょう。胴が短く、距離が伸びていいタイプではありませんが、能力 の高さと騎手の指示通りに動ける賢さで、ここまで走れたのだと思います。 このレースで引退は寂しい限りですが、産駒を楽しみに待ちたいと思います。

 ファレノプシスに続き、フサイチエアデールも年内引退ということで、牝 馬の有力どころが次々といなくなりますが、来年の牝馬路線はどうなるので しょうか。4歳馬に頑張って欲しいところですが、今回5着のシルクプリマ ドンナ、桜花賞馬チアズグレイス、秋華賞馬ティコティコタックでは、少し インパクトに欠ける気がしてなりません。そのイメージを払拭するような成 長を、ぜひとも見せてもらいたいものです。やはり中心になるのは、トゥザ ヴィクトリーでしょう。牝馬路線と言っても、春は牡馬との戦いになるわけ ですから、対等に戦えるのは、やはりトゥザヴクトリーだと思います。今回 は4着に敗れましたが、能力を出し切っていないので、評価を下げる必要は ないと思います。馬体の作りと柔らかさのある走りは、素晴らしいものがあ ります。気性面がもっと成長すれば、快進撃が見られるかもしれません。で は、回顧です。

 △ファレノプシス は、5,6番手を進み、3コーナー手前から除々にスパートして4コーナー で3番手まで進出すると、先に抜け出したフサイチエアデールを差し切って 1着でゴール。直線半ばでフサイチエアデールと同じ脚色になりましたが、 そこからもうひと伸びできたのは2冠馬の底力でしょう。馬自身が前を交わ してやろうとしていたところが印象的でした。昨年は直線で前が詰まって脚 を余しましたが、その鬱憤を見事に晴らし、引退の花道を飾りました。6歳 馬ですが、一戦一戦大事に使われているので馬体も若々しく、今回は最後の 一戦ということもあって、マイナス8キロと究極の仕上げで望んできていま した。昨年のエリザベス女王杯6着の後、3戦して8,10,7着といいと ころがなかっただけに、陣営としても満足のいく結果でしょう。予定通り、 このレース限りで引退して繁殖に上がりますが、胡蝶蘭という名前の通り、 母似の子供を生んでもうひと花咲かして欲しいものです。どんな子供をター フに送り込んでくれるか、楽しみに待ちましょう。

 ▲フサイチエアデール は、2番手からトゥザヴィクトリーをマークして進み直線に向くと、持ち 前の瞬発力ですぐに先頭に立ちましたが、最後はファレノプシスに差され て惜しい2着。1番枠を引いたこともあって、2番手から積極的な競馬を しましたが、結果的にスローの上がり勝負になったので、前に行って正解 でした。スタートしてすぐに前に行ったので、横山典騎手は最初からスロ ーになると読んでいたのでしょう。ベストの騎乗でこの馬の力は出し切っ ているので、勝った相手を誉めるしかないといった感じでしょうか。パドッ クでは、減っていた馬体が回復してふっくらとし、後ろ脚の踏み込みも力強 く、非常に良く見せていました。4歳時のシンザン記念で馬体の良さに惚れ 込み追いかけてきましたが、過酷なローテーションにも負けずに良く走って います。次走の阪神牝馬特別か有馬記念が引退レースになるようですが、 ファレノプシスのように有終の美を飾って欲しいものです。

 △エイダイクイン は、最後方を進み、直線で鋭く伸びて前を行く馬をゴボウ抜きしましたが、 先に抜け出した2頭は捕まえられずに3着まで。ラスト3Fはメンバー最速 の33.0秒と究極の追い込みを見せましたが、それでも0.4秒届きませ んでした。スローペースで前残りの展開では、これが限界でしょう。10番 人気と人気はありませんでしたが、二本柳壮騎手がこの馬の能力をうまく引 き出しています。クイーンSで敗れたトゥザヴィクトリーを差し切ったわけ ですから、3着でも誉めていいでしょう。馬体は416キロと前走と同じで したが、トモの張りは良く、若干ですが良化が伺えました。次走は未定です が、4歳時のクイーンC以来、勝ち星から遠ざかっているので、陣営もそろ そろ勝ちたいことでしょう。重賞制覇を目指す気持ちも分かりますが、馬が 全力を出し切って勝てないと嫌気をさすこともあるので、今回のような競馬 が続くのは良いことではありません。次走あたりは、オープン特別で確勝を 期すのもいいかと思います。

 ◎トゥザヴィクトリー は、スタートしてすぐに逃げる競馬。向こう正面でラップを13秒台に落と して息を入れましたが、直線であっさりフサイチエアデールに交わされると 一気にスピードが落ちて4着敗退。3コーナーから持ち前のスピードで一気 に引き離して欲しいところでしたが、少し中途半端なレースになったような 気がします。スローの上がり勝負では分が悪いので、いい脚を長く使える、 この馬の特徴を生かす騎乗をして欲しかったというのが、正直なところです。 直線でフサイチエアデールに交わされると一気にスピードが落ちましたが、 このあたりはバテたと言うより、馬が競馬をやめたのだと思います。精神的 にそういうところがある馬です。パドックでは、馬体の張りが素晴らしく、 前脚の捌きもスムーズで、非常にいい状態に見えました。次走は暮れの阪神 牝馬特別になりそうですが、距離短縮は有利なので上位争い必死でしょう。 まじめに走れば、牡馬のG1でも好勝負できる馬です。

 ○シルクプリマドンナ は、後方を進み、直線勝負に徹して末脚を伸ばしましたが、前を捕えるとこ ろまでいかずに5着敗退。スローペースでレースの上がり3Fが33.9秒 では、この結果も仕方ないでしょう。ペースを意識して、もう少し前に行っ て欲しい感じもありますが、どうなのでしょうか。春当時は全力を出し切る レースをしていましたが、ここにきてズルさを覚えたのかもしれません。パ ドックでは、筋肉の張りが良く、踏み込みもしっかりしていたので、デキは 良かったと思います。次走は未定ですが、オークス馬として見どころのある レースを期待します。


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