マイルCS
2000/11/19 京都競馬場 芝1600m

| Home | 展望 | 調教 | 予想 | 結果 | 回顧 | 2000年結果 |

出走有力馬
ダイタクリーヴァ エイシンプレストン ブラックホーク
ダイタクヤマト シンボリインディ ダイワカーリアン
キングヘイロー ヤマカツスズラン スギノハヤカゼ

 春の安田記念で、フェアリーキングプローンが勝ってディクタッドが2着と 外国馬のワンツーを許したように、確たる存在がいないというのが今年のマイ ル路線。昨年2着のキングヘイローが、安田記念で3着と日本馬最先着したが 、秋のスプリンターズS7着、スワンS12着では、この馬が中心と言えない だろう。

 そのため、今年のマイルCSは、今後のマイル路線で活躍が見込める馬を狙 うか、それとも調子のいい既成勢力を狙うかの2通りの狙い方があるように思 える。現時点では、今後のマイル路線での活躍が見込める馬として、4歳馬に 注目してみたい。ダイタクリーヴァとエイシンプレストンの2頭だ。ダイタク リーヴァは、前走の富士Sでマイナス12キロと馬体が減っていたにもかかわ らず、3着に善戦。もう少しパンとしていれば、間違いなく勝っていただろう。 中間も順調に乗り込まれ、だいぶ調子を上げているようなので狙ってみたい。 今年は未だに4歳馬が古馬と戦って重賞を制覇していないが、4歳屈指の存在 なら勝負にならないことはないだろう。エイシンプレストンは、前走のスワン Sで最後方から直線だけで6着まで押し上げたところに見どころがあった。元 々1600mがベストで5戦4勝2着1回と連対を外したことがなく、4歳馬 でマイルが1番得意なのはこの馬だ。1600mなら、古馬と十分に戦えると みている。エイシンプレストンが、1600m戦で唯一負けた相手がダイタク リーヴァということも何かの縁を感じさせる。この2頭がともに調子が良けれ ば狙ってみたい。

 あとは、ズブさが出てきたブラックホークも、昨年より1枚落ちるメンバー なら、当然上位争いは必死だろう。面白いのは、ダイタクヤマト。スプリンタ ーズSとスワンSを連勝したが、おそらく今回も人気にはならない。7歳にし て一気に本格化したと見ているが、父ダイタクヘリオスがマイルCSを2勝し ていることからも、侮れない存在だ。もう1頭は、だいぶNHKマイルCを勝 ったときのデキに戻ってきたシンボリインディ。前からこのページで言い続け てきたが、やっと調教でラスト一杯に追うようになり、馬自身が走る気持ちを 取り戻している。今回はペリエ騎手が騎乗するのも魅力だ。

調教診断

ダイタクリーヴァ
 栗坂で一杯に追って、力強い脚捌きで鋭い伸びを見せた。前走マイナス12 キロと減っていた馬体も回復し、いい感じに仕上がっている。ひと叩きされた 上積みが、十分に感じられる。このデキなら、古馬相手でもいい競馬ができる だろう。
ダイタクヤマト
 栗坂で強めに追って、ラストまでしっかり伸びた。連勝の勢いは本物で、相 変わらず好調をキープしている。ここにきて馬体に幅が出て、迫力が増してき た感じがする。かなり良く見せているので、距離実績を無視して狙ってみたく なる。
エイシンプレストン
 栗CWで一杯に追われて、好タイムをマークし、最後もまずまずの伸びを見 せた。重馬場でこれだけのタイムを出し、最後まで伸びたところを評価したい。 前走からの上積みが十分感じられるデキだ。
ブラックホーク
 美坂で一杯に追われて、3F34.7秒の好タイムを出した。スプリンター ズSのときはタイムが遅く、今回は早いタイムを出したので、マスコミは絶好 調と騒いでいる。調子がいいときは、もっと豪快な脚捌きを見せるので、決し て絶好調ではない。前走からそれほど良化した印象もない。

相馬眼予想

 1番人気がブラックホークで、単勝オッズは約5倍。堅い1番人気がいる例 年のマイルCSとは、ひと味もふた味も違いそうだ。こんな状況でポイントに なるのは、4歳馬が実績のある古馬を負かすことができるかということだ。今 年は未だに4歳馬が古馬と戦って重賞を制覇していないこともあって、レベル が低いと言われているが、果たしてそうなのだろうか。ここでの結論は、一線 級の4歳馬なら、十分勝負になるということ。4歳のイーグルカフェが天皇賞 で4着と好走したことからも、一線級ならレベルが低くないとみている。今回 は、マイル得意なダイタクリーヴァとエイシンプレストンが出走。この2頭な ら古馬の壁を打ち破れるはずだ。

 本命は、ダイタクリーヴァ。富士Sをひと叩きされて、調教で力強い動きを 見せ上積み十分。このデキなら、今度は最後の差し脚が違うはずだ。中団から 差す競馬で、直線一気に突き抜けてくれるだろう。高橋亮騎手には、4コーナ ーを回るときの勢いを、直線で爆発させる騎乗を心掛けてもらいたい。4歳馬 の古馬G1制覇で言えば、バブルガムフェローが毎日王冠で3着の後、天皇賞 を制したが、今回はその時に似ている気がする。やはりこの馬が混沌としたマ イル路線に終止符を打つに違いない。期待したい。

 エイシンプレストンは、スワンSで見せた最後方からの追い込みは見どころ があったし、こちらも古馬相手でも問題ないだろう。今回は、ヤマカツスズラ ン、アンブラスモア、ダイワカーリアンと逃げ馬が揃って、ハイペースで縦長 の展開になることは必死。昨年の朝日3歳Sで、超ハイペースを経験して差し 切っていることからも、この馬には大きなアドバンテージだ。2番枠が気にな るところだが、セントウルSのビハインドザマスクで腹を決めて後方からの競 馬に徹した福永騎手なら、今回も思い切った騎乗をしてくれるはずだ。

 ダイタクヤマトは、G1とG2を連勝しているにもかかわらず、今回も人気 はない。父のダイタクヘリオスがマイルCSを2連勝したこと、母系のテスコ ボーイからもマイルをこなせないことはないはずだが、実績がないために嫌わ れているようだ。スワンSで好位から抜け出したレースぶりから、7歳にして 本格化は間違いなく、距離が伸びても問題ないとみた。予想はもっと強気に攻 めたいところもあるが、ハイペース必死で前に行った馬が有利とはいえないの で、差し馬を上位に評価した。ただし、3,4コーナーでごちゃつくなど差し 馬に不利があれば、直線で先に抜け出すダイタクヤマトが粘り込む可能性が高 いことを付け加えておく。

 シンボリインディは、ここにきて馬自身の気性が成長して、だいぶ素直な馬 になっている。やっと能力に気性が追いついてきた感じだ。調教では、軽く仕 掛けられると即座に反応して鋭く伸び好調をアピール。今回は、豪腕ペリエが 騎乗するのは大きな魅力で、うまく流れに乗れれば、調子がいいだけに上位3 頭を脅かすことになりそうだ。

 ブラックホークは、昨年3着だけに抑えは必要か。今回の調教のタイムが、 スプリンターズSよりかなり早いことから絶好調と言われているが、昨年はこ れくらいのタイムは毎回出しており、そんなに特質するものではないというの が正直な印象。また、最近はズブくなったから、1200mより1600mが いいと言うのも早計な気がしてならない。昨年は積極的に前に行って最後に差 されたことから、今年はぎりぎりまで抑えて末脚勝負の競馬に徹するはず。こ の競馬でも上位には顔を出すだろうが、勝ち切るまではどうだろう。横山典騎 手の土曜日の騎乗を見る限り、かなり競馬が見えており絶好調。1番人気でも 今回はそんなに意識しなくても良いだろう。

    勝負馬券:馬連 ダイタクリーヴァ − エイシンプレストン

     ◎ダイタクリーヴァ
     ○エイシンプレストン
     ▲ダイタクヤマト
     △シンボリインディ
     △ブラックホーク


レース結果
 ------------------------------------------------------------------------------
 着 予 枠 馬         馬名        性齢 重量      騎手   タイム   馬体重  人気
 ------------------------------------------------------------------------------
   1   7 13 (外)アグネスデジタル  牡 4 55.0kg  的場均  1:32.6  444Kg  +2 13
   2 ◎ 6 11 (父)ダイタクリーヴァ  牡 4 55.0kg  安藤勝己 1:32.7  494Kg +14  1
   3   4  7    メイショウオウドウ 牡 6 57.0kg  飯田祐史 1:32.8  462Kg  +8 12
   4 ▲ 2  4 (父)ダイタクヤマト   牡 7 57.0kg  江田照男 1:33.0  488Kg   0  6
   5 ○ 1  2 (外)エイシンプレストン 牡 4 55.0kg  福永祐一 1:33.2  466Kg  -4  4
   6   3  5 (市)マイネルマックス  牡 7 57.0kg  佐藤哲三 1:33.2  512Kg  +6 11
   7   4  8    キングヘイロー   牡 6 57.0kg  柴田善臣 1:33.2  494Kg   0  5
   8 注 8 18 (外)ブラックホーク   牡 7 57.0kg  横山典弘 1:33.2  532Kg  +8  2
   9   6 12 (外)エイシンルバーン  牡 5 57.0kg  秋山真一 1:33.7  534Kg +12 10
  10   2  3 (外)ダイワカーリアン  牡 8 57.0kg  田面木博 1:33.8  508Kg  +2  7
  11 △ 7 15 (外)シンボリインディ  牡 5 57.0kg  ペリエ  1:34.1  458Kg  -2  3
  12   5 10    アンブラスモア   牡 7 57.0kg  須貝尚介 1:34.2  482Kg +12 14
  13   3  6 (外)ビーチフラッグ   牝 4 53.0kg  四位洋文 1:34.2  446Kg  -8 18
  14   1  1 (市)ヤマカツスズラン  牝 4 53.0kg  池添謙一 1:34.4  496Kg   0  8
  15   7 14    ジョービッグバン  牡 6 57.0kg  山田和広 1:34.4  464Kg +12  9
  16   5  9    ビッグサンデー   牡 7 57.0kg  宝来城多 1:34.7  472Kg  +2 17
  17   8 16 (外)ミッドナイトベット 牡 7 57.0kg  河内洋  1:36.0  434Kg  +2 15
  18   8 17 (外)スギノハヤカゼ   牡 8 57.0kg  芹沢純一 1:36.1  484Kg -12 16
 ------------------------------------------------------------------------------
  天候:晴  芝:良  
  ハロンタイム  12.1 - 10.6 - 11.3 - 11.3 - 11.6 - 11.8 - 12.2 - 11.7  
  上り  4F 47.3 - 3F 35.7 
  3コーナー  1,3(9,10)(4,8)(14,18)(2,12)(15,17)16,11,13,5,7-6  
  4コーナー  (*1,3)10,9,4(2,8)18,14(11,12,15)17,5,13(7,16)-6  

  <払戻金> 
  単勝 13 5,570円 13番人気  枠連   6- 7    950円   3番人気
  複勝 13 1,140円 13番人気  馬連  11-13 18,050円  52番人気
     11   220円  2番人気  ワイド 11-13  3,880円  48番人気
     07 1,120円 12番人気      07-13 19,040円 106番人気
                          07-11  4,180円  53番人気

レース回顧

 後方を進んだアグネスデジタルが、大外を豪快に追い込み、1分32秒6 のコースレコードでG1を制覇しました。直線で馬群を割って抜け出したダ イタクリーヴァが勝ったかと思いましたが、大外を他馬が止まって見えるほ どの勢いでアグネスデジタルが一気に差し切りました。これまでダート5勝 で、芝では4戦して3着が最高と勝ち星がなかったので、正直なところ、こ の快走には驚かされました。超ハイペースで展開が嵌った感はなくはないで すが、他馬が止まって見えた末脚は今後も脅威でしょう。ダートと芝の両方 を走れる馬といえば、タイキシャトルを思い出しますが、アグネスデジタル がどこまでそのレベルまで近づけるか、今後の走りに注目したいと思います。

 今年の短距離のG1レース、高松宮記念、安田記念、スプリンターズS、 マイルCSは、全て万馬券決着になりました。連対した馬は全て違う馬で、 確たる存在がいないことを浮き彫りにしました。マイルCSでは、弱いと言 われていた4歳馬2頭で決着し、その存在をアピールしましたが、来年の短 距離路線はどうなるのでしょうか。当然、マイルCSを勝ったアグネスデジ タルが候補ですが、2着に敗れたダイタクリーヴァの方に大きな魅力を感じ ています。今年1年間追いかけてき て、結局、皐月賞2着、マイルCS2着とG1を勝つことはできませんでし たが、今回の走りを見ても、能力は間違いなく一級品のものがあります。馬 体の作り、顔つき、走法からも名馬のそれを感じさせる馬なので、来年はG 1制覇を期待したいと思います。では、回顧です。

 アグネスデジタル は、後方4番手に控えて末脚勝負の競馬。直線に向いてもかなり後方の位置 取りでしたが、いざ追い出すと目の覚めるような末脚で、先に抜け出したダ イタクリーヴァを差し切って1着でゴール。ラスト200mからの伸び脚は、 他馬が止まって見えるほどで素晴らしい切れ味でした。超ハイペースで前崩 れの展開でしたが、唸るような勢いで差し切ったアグネスデジタルの末脚を 評価すべきでしょう。馬体は444キロと大きくありませんが、持ち前の柔 らかさからくるしなやかな走りが、この馬の良さだと思います。ダートでも パワー型ではなく、雨が降って脚抜きがいい馬場のときに好走しています。 3歳時には地方交流重賞全日本3歳優駿を優勝、4歳になってからはユニコ ーンSを優勝、武蔵野S2着とダートで実績があった馬ですが、今回の勝利 で芝でもやれることを証明しました。今後は、フェブラリーS(ダ1600 m)、安田記念(芝1600m)と芝ダートを問わず、距離の合うレースを 使っていくことになると思います。今回のG1制覇がフロックでないことを 証明することができるか、来年はG1馬としての実力が問われることになり そうです。

 ◎ダイタクリーヴァ は、後方を進み、4コーナーで中団まで押し上げると、直線で素晴らしい瞬 発力を見せて一気に先頭に立ちましたが、アグネスデジタルの強襲に屈して 惜しい2着。レース当日、騎乗予定だった高橋亮騎手が落馬負傷したため、 急遽安藤勝騎手に乗り替わりましたが、この馬の持ち味を生かす最高の騎乗 を見せてくれました。それにしても惜しい2着で、直線で見せた瞬発力は、 間違いなくG1級のものです。ダービーで本命をつけた馬ですが、マイルで これだけ強い競馬をするのですから、適性は中距離にあるようです。休み明 けの富士Sでは、マイナス12キロと馬体が減って見栄えがしませんでした が、今回はプラス14キロでいい頃の馬体に戻っていました。今年1月のシ ンザン記念で馬体、走法、顔つきに惚れ込み、それ以来追いかけてきました が、今回2着したことで、自分の目が間違っていなかったことを証明してく れました。来年の古馬マイル路線は、ダイタクリーヴァを中心に回ることに なるでしょう。安田記念で外国産馬を蹴散らして、G1制覇することを期待 します。

 メイショウオウドウ は、最後方を進み、直線で最内から怒涛の差し脚で3着まで追い上げました。 外を回ってはコースロスが大きいため内を突きましたが、それにしても良く 伸びています。毎日王冠でグラスワンダーのハナ差まで迫った豪脚が復活し ました。ハイペースだと折り合いの心配がないので、力を出し切れるようで す。馬体はそれほど変わった印象はありませんが、中身がいい頃のデキに近 づいているのでしょう。馬込みを気にするタイプなので、今後も後方からの 極端なレースになりそうです。古馬マイル路線の重賞なら、ペースがそれほ ど落ち着くことはないでしょうから、今回のようなレースでも上位争いでき るでしょう。ただし、追い込み馬の宿命ですが、どうしても今回のように届 かないケースというのを考えないといけません。超ハイペースで前崩れの展 開が予想されるときでないと中々本命をつけにくい馬です。

 ▲ダイタクヤマト は、5,6番手を進み、直線に向き前に行った馬を捕らえて抜け出しました が、最後は後方で脚を溜めていた馬に差されて4着敗退。先行して直線抜け 出しましたが、ハイペースを追走してこともあり、最後はスピードが鈍りま した。それでも、前に行った馬で掲示板に載ったのはこの馬だけですから、 評価したいレースぶりです。これまでのレースからマイルでは距離が長いと 思っていましたが、本格化した今なら十分にこなせることを証明しました。 7歳馬ですが馬体はまだ若いので、来年もいい走りを見せてくれるでしょう。

 ○エイシンプレストン は、出遅れ気味のスタートで後方からの競馬。4コーナーで6番手まで追い 上げ直線に向きましたが、そこから伸び切れずに5着敗退。追い上げるのに 脚を使ったので、最後はいつもの切れ味を発揮できませんでした。出遅れ気 味のスタートになったのですから、福永騎手には腹を決めて、直線勝負の競 馬に徹して欲しかったというのが正直なところです。今後は来年春の安田記 念が目標になりますが、徐々に底を見せ始めているので、今のままでは苦し いかもしれません。同じ4歳のダイタクリーヴァと比べると今ひとつ成長力 が感じられないのも、少し嫌な感じがします。来年はこのイメージを打ち破 るほどの成長を見せて欲しいものです。

 注ブラックホーク は、出遅れ気味のスタートで後方からの競馬。4コーナーで6番手まで追い 上げ直線に向きましたが、そこから伸び切れずに5着敗退。追い上げるのに 脚を使ったので、最後はいつもの切れ味を発揮できませんでした。出遅れ気 味のスタートになったのですから、福永騎手には腹を決めて、直線勝負の競 馬に徹して欲しかったというのが正直なところです。今後は来年春の安田記 念が目標になりますが、徐々に底を見せ始めているので、今のままでは苦し いかもしれません。同じ4歳のダイタクリーヴァと比べると今ひとつ成長力 が感じられないのも、少し嫌な感じがします。来年はこのイメージを打ち破 るほどの成長を見せて欲しいものです。



| Home | 展望 | 調教 | 予想 | 結果 | 回顧 | 2000年結果 |