有馬記念 |
2000/12/24 中山競馬場 G1 芝2500m |
■ 出走有力馬 | |||||||||
【 12月18日 】 レース展望 その1 今年7連勝と負け知らずのテイエムオペラオーが中心。今の強さを持ってすれ ば、まず負けることはないはず。負けるとすれば、疲れが出て調子を崩した場合 か、レースで相当な不利を被った場合だろう。それでもやはり気をつけたいのが 、過去、天皇賞(秋)とジャパンカップで好走してきた馬が、少なからず疲労を 残した状態で出走してきたということ。元々、カイ食いの細いテイエムオペラオ ーにとって、これが1番の課題だろう。1週前の調教では、いい動きを見せてお り、現時点では疲れは感じられないが、最終調教まで徹底的にチェックしたい。 もしカイ食いが細くなれば、陣営もさすがに軽めの調教に終始するはずだ。厩舎 情報には注意を払いたい。 テイエムオペラオーを負かすとすれば、メイショウドトウ、ナリタトップロー ド、アドマイヤボス、トーホウシデン、ステイゴールドの5頭が候補。昨年4着 のツルマルツヨシも能力はあるが、京都大賞典で大敗しており、順調度で昨年に 劣るだけにどうか。5頭のうちでは、アドマイヤボスに最も魅力を感じている。 その理由は。。。。(明日に続く) <GMのひと言> このホームページがスタートしたのが、昨年の有馬記念。昨年はナリタトップ ロードを本命にして見事に撃沈。それ以降、ナリタトップロードを本命にし続け て春は全滅。秋は、なんと天敵テイエムオペラオーに乗り換えてG1−2連勝。 今年の有馬記念は、昨年の有馬で雪辱を誓ったナリタトップロードで攻めたい気 もあるが、やっぱりテイエムオペラオーか〜!?昨年の有馬で見せた絶対に前を 捕らえてやるという顔つきは、やはりタダモノではなかったのですね。 ◆昨年の有馬記念の予想・結果・回顧はこちら 【 12月20日 】 レース展望 その2 さあ、昨日の続きから。アドマイヤボスに魅力を感じているのは、ダービー馬 アドマイヤベガの弟だからとか、武豊騎手が騎乗するからという理由ではありま せん。セントライト記念のときにも言いましたが、この馬の顔つき、馬体、走法 、雰囲気から、走る馬に共通するものを見い出したからです。調教でもそうです が、走っているときの姿は、他馬を圧倒するほどの迫力を感じます。パドックで は、かなり腹回りがポテッとして、まだ馬体が若く見栄えがしないのですが、い ざ走り出すとそのギャップの大きさに驚かせられます。最近の馬でこのギャップ を持っていたのは、スペシャルウィークでした。パドックだとトモの作りも小さ く見え、馬もおとなしいので目立たないのですが、レースでは前脚の捌きがダイ ナミックで、とにかく迫力がありました。こんなところからも、アドマイヤボス の素質の高さが感じられます。 アドマイヤボスと聞いて、今年の4歳馬はレベルが低いから通用しないのでは 、まだ馬体が若いので走るのは来年古馬になってからでは、AR共和国杯で10 着と大敗したが大丈夫かと思う人が多いと思います。 まず、4歳馬のレベルの話ですが、この話の大きな要因になっているのが、ジ ャパンカップの4歳馬の着順です。具体的には、ダービー馬アグネスフライトが 13着、皐月賞・菊花賞馬エアシャカールが14着、NHKマイルC馬イーグル カフェが15着、オークス馬シルクプリマドンナが16着と下位を独占してしま ったことです。ここで注意したいのは、調子の良かったイーグルカフェは距離が 合わなかったと理由づけるとして、他の3頭は調子が良かったのでしょうか。ア グネスフライトは菊花賞で既に精彩を欠いていたし、エアシャカールはマイナス 14キロでいかにも細く見えたし、シルクプリマドンナも春とは調子自体が違っ ていました。こんな状態で、更にスローペースにもかかわらず後方を進んだこと で、追い込み切れずに揃って敗退となってしまったと思えるのです。決して、4 歳馬のレベルが低いと、このレースだけでは言い切れないと思います。その証拠 にマイルCSでは、4歳馬のアグネスデジタルとダイタクリーヴァで決着してい ます。また、その後、京阪杯でジョウテンブレーヴ、鳴尾記念でダイタクリーヴ ァが古馬に勝っています。今年、中々4歳馬が古馬に勝てなかったのは、G1の 実施時期が変わって、夏から古馬が始動して仕上がりが早かったせいもあると思 います。例年この時期になれば、4歳馬と古馬の差は、ほとんどありません。有 馬記念では、過去10年で8頭の4歳馬が連対しています。 次にアドマイヤボスの馬体が若いので走るのは来年古馬になってからでは、と いうことについてですが、まず言いたいのが、そんなに若い馬が3戦目で後に菊 花賞2着したトーホウシデンに勝てるものなのでしょうか。セントライト記念で トーホウシデンは休み明けでしたが、調教量も充分で菊花賞のときとほぼ同じく らい仕上がっていたと思います。また、知床特別でアドマイヤボスに辛勝したフ サイチソニックが、神戸新聞杯でアグネスフライトとエアシャカールに楽勝した ことからも、アドマイヤボスが4歳トップレベルであることが裏付けられます。 以上から、現時点でも充分に好勝負できる能力を備えていると思います。 最後にAR共和国杯で10着と大敗したが大丈夫か、ということですが、初め ての左回りで左に刺さりっぱなしで、ぜんぜん力を出し切っていないのだから、 決して力負けではありません。それも超スローペースで完全に前残りの競馬でし たから、後方4番手の位置取りから差すのは、ほとんど不可能なことです。この 敗戦だけでこの馬の評価を下げてはいけないというのが、今の思いです。 以上が、アドマイヤボスに魅力を感じている理由です。1週前調教では、坂路 で同厩舎のゴーイングスズカと併せて、好タイムで楽に2馬身先着しており、調 子は良さそうです。馬体の迫力は相変わらずで、1ヶ月経って若干背丈が伸びて きた印象です。まだ馬体に若さを残していますが、現時点ではまずまずの仕上が りだと言えるでしょう。今回は武豊騎手が騎乗するということで、人気になるの が少々惜しい感じさえあります。天皇賞(秋)でステイゴールドに騎乗し、テイ エムオペラオーが外から内に切れ込んだことで不利を被った武豊騎手は、必ずや テイエムオペラオーを負かす騎乗を考えてくるはずです。菊花賞のエアシャカー ルで100通りの乗り方を考えたそうですが、今回は何通り考えているのか非常 に気になります。 ここまでアドマイヤボスを推奨してきましたが、もしも最終調教で動きが悪け れば、評価は下げるつもりであることを付け加えておきます。 今年の有馬記念のポイントはいろいろありますが、騎手たちの駆け引きも見ど ころのひとつです。枠順が決まらないとなんとも言えないところはありますが、 各騎手がどんな作戦でくるかについて検討してみたいと思います。(明日に続く) <GMのひと言> ナリタトップロードの走法が変わったと1週前調教を見て思った人はいないで しょうか。渡辺騎手が騎乗っているときは、前脚が上がり過ぎて、前脚に負担が かかる走法だったのですが、的場騎手が騎乗してからは前脚がそれほど上がらな くなっています。おそらく、あぶみのかける位置を調整することで、前に重心が かかるようにして矯正しているのだと思います。馬体の張りは4歳のいい頃に比 べるとまだまだですが、前脚に負担がかからない走法になって、一気に良くなる 可能性は秘めていると思います。最終調教の目安としては、重心が低くなって首 を使った走りができればいいと思います。イメージとしては、マヤノトップガン が好調の時にレースの直線で見せたあの形です。その形になっていれば、当然前 脚が上がり過ぎていることはないはずです。 【 12月21日 】 レース展望 その3 さあ今日は、騎手たちの駆け引きを考えてみようと思います。テイエムオペラ オーをどうやって負かそうか、きっと騎手たちは頭を痛めていることでしょう。 まず騎手たちが考える上で基本になることは、馬の長所を生かして、力を出し切 ることでしょう。その上で展開がどうなるか、テイエムオペラオーがどういうレ ースをするかを予想して、どうすれば最大限の力を発揮できるか考えることにな ります。 このあたりを考える上で注意したいのは、競馬が終った後に、勝ちに行く競馬 をしたのだから仕方がないと良く言われていることです。騎手も馬券を買った側 も妙に納得してしまいますが、本当に勝ちに行く競馬というのは、ベストの乗り 方なのでしょうか。ベストの場合もあるかと思いますが、どこかで馬に力以上の 何かを期待しているようなところはないのでしょうか。特に強い馬がいる場合に 、その傾向が強いような気がします。ある程度能力のある馬であれば、多少強引 な競馬をしても大敗はしないでしょう。ただし、結果はついてこないと思うので す。馬は生き物ですから、能力以上のことするのはほとんど不可能なことだと思 います。よく武豊騎手が凄い勝ち方をした場合に豊マジックと言われますが、こ れは馬の力を最大限に発揮した騎乗で能力以上のものを引き出したというもので はないと思っています。 今回逃げるのは、みんなが考えている通り、ホットシークレットだと思います 。ホットシークレットは、平均より早いペースで逃げて持ち味が生きる馬なので 、スローにはならない気がしますが、陣営はどう考えているのでしょう。テイエ ムオペラオーが、各馬にマークされて動くに動けないと考えれば、やはりスロー に落として完全に前残りの競馬にしたくはならないでしょうか。また、逃げ馬が 決まっている場合は、概してスローになりやすいことからも、今回はスローペー スになると思います。ただし、枠順やナリタトップロードと同厩舎のゴーイング スズカの作戦によっては、ペースが変わる可能性があることを付け加えておきま す。 スローペースと想定して話を進めますが、テイエムオペラオーの和田騎手は、 どんな騎乗をするのでしょうか。今年の秋ずっと和田騎手は、「どの馬でも射程 圏に入れて動けば届くという自信がある。」と話しており、今回も流れに乗って 先行勢をマークし、直線で抜け出す競馬をすることになりそうです。当然、この 乗り方は各騎手たちも予想していることだと思います。 まずメイショウドトウですが、G1で3回連続テイエムオペラオーの2着に敗 れていることから、一番悔しい思いをしているのはこの陣営でしょう。そのこと からも、今度は必ずオペラオーを負かしに行く競馬をするはずです。安田康騎手 は、ジャパンカップの後に「4コーナーで手応えが悪くなったにも関わらず、直 線で長くいい脚を使って伸びている。」とコメントしていました。手応えが悪く ても、テイエムオペラオーに首差まで迫ったことが相当の自信になっているよう です。このことから、今回は多少無理をしても、長くいい脚が使えるこの馬の長 所を生かしたレースをするはずです。具体的には、道中3,4番手につけて、3 コーナー手前からのロングスパートで、テイエムオペラオーの末脚を封じ込める 作戦です。スパートするタイミングを早めるのとペースを一気に上げるところが 、いつもとは違うところです。テイエムオペラオーがナリタトップロードにマー クされて、早めに動けないことも想定していると思います。ここでひとつ気にな るのは、前に述べた通り、勝つに行く競馬で無理をするということです。ジャパ ンカップであれほど厳しい競馬をした馬に、上積みを期待するわけにはいかない ですから、今回はその無理が致命傷にならないとも限りません。調子落ちがなけ れば、チャンスはあると思いますが、強くは推奨できないというのが正直なとこ ろです。最終調教を確認してから、再度考えることにしたいと思います。 次にナリタトップロードですが、的場騎手は、今までのレースをビデオで見て 全て記憶していると語ったように、かなり研究が進んでいるようです。まず、テ イエムオペラオーに勝った菊花賞と先着したダービーをイメージすると思います が、どうなのでしょうか。今年のナリタトップロードが1番惜しいレースをした のは京都記念です。道中テイエムオペラオーを徹底的にマークし、4コーナーで 仕掛けをワンテンポ遅らせて外から差す競馬。直線で1度は前に出ましたが、結 局、差し返されてしまいました。今考えると並んだら抜かせないのがテイエムオ ペラオーのいいところなので、直線で早めに並んだことで勝負根性を掻き立て、 長所を引き出してしまったということになります。菊花賞のロングスパートにも 魅力はありますが、今のナリタトップロード自体が絶好調ではないことからも、 ロングスパートの競馬はしないと思います。やはり、京都記念のような競馬を意 識しているのではないでしょうか。道中はテイエムオペラオーを徹底的にマーク し、直線で早めにテイエムオペラオーに並びかけないで、ゴール前で鋭く強襲し て少しだけ差す競馬です。大外を回って並びかけない戦法もありますが、コース ロスを考えるとどうでしょうか。あとは、ナリタトップロード自身のデキにかか っています。 期待のアドマイヤボスですが、武豊騎手は、いつものように馬の持ち味を生か すことを最優先して騎乗するはずです。さすがに現時点でテイエムオペラオーに 力で勝とうとは思っていないでしょうから、できるだけ有利に進めて、この馬の 末脚を引き出す騎乗に徹するはずです。コースロスのない内々を回り、道中でき るだけ楽をさせて、直線の差し脚に賭ける競馬になると思います。テイエムオペ ラオーが、メイショウドトウにつられて早仕掛けしたり、ナリタトップロードを 気にして仕掛けが遅れても、あくまで自分の競馬に徹して、力が足りていれば好 走できるという思いのはずです。 さて、調教診断ですが、テイエムオペラオーは少し細く見えますね。アドマイ ヤボスはゴーイングスズカに半馬身送れましたが調子はいいようです。詳細は 、また明日。 |