有馬記念
2000/12/24 中山競馬場 G1 芝2500m

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出走有力馬
テイエムオペラオー メイショウドトウ ナリタトップロード
アドマイヤボス トーホウシデン ステイゴールド
ツルマルツヨシ マチカネキンノホシ ジョービッグバン

【 12月18日 】 レース展望 その1
 今年7連勝と負け知らずのテイエムオペラオーが中心。今の強さを持ってすれ ば、まず負けることはないはず。負けるとすれば、疲れが出て調子を崩した場合 か、レースで相当な不利を被った場合だろう。それでもやはり気をつけたいのが 、過去、天皇賞(秋)とジャパンカップで好走してきた馬が、少なからず疲労を 残した状態で出走してきたということ。元々、カイ食いの細いテイエムオペラオ ーにとって、これが1番の課題だろう。1週前の調教では、いい動きを見せてお り、現時点では疲れは感じられないが、最終調教まで徹底的にチェックしたい。 もしカイ食いが細くなれば、陣営もさすがに軽めの調教に終始するはずだ。厩舎 情報には注意を払いたい。

 テイエムオペラオーを負かすとすれば、メイショウドトウ、ナリタトップロー ド、アドマイヤボス、トーホウシデン、ステイゴールドの5頭が候補。昨年4着 のツルマルツヨシも能力はあるが、京都大賞典で大敗しており、順調度で昨年に 劣るだけにどうか。5頭のうちでは、アドマイヤボスに最も魅力を感じている。 その理由は。。。。(明日に続く)

<GMのひと言>
 このホームページがスタートしたのが、昨年の有馬記念。昨年はナリタトップ ロードを本命にして見事に撃沈。それ以降、ナリタトップロードを本命にし続け て春は全滅。秋は、なんと天敵テイエムオペラオーに乗り換えてG1−2連勝。 今年の有馬記念は、昨年の有馬で雪辱を誓ったナリタトップロードで攻めたい気 もあるが、やっぱりテイエムオペラオーか〜!?昨年の有馬で見せた絶対に前を 捕らえてやるという顔つきは、やはりタダモノではなかったのですね。


 ◆昨年の有馬記念の予想・結果・回顧はこちら

【 12月20日 】 レース展望 その2

 さあ、昨日の続きから。アドマイヤボスに魅力を感じているのは、ダービー馬 アドマイヤベガの弟だからとか、武豊騎手が騎乗するからという理由ではありま せん。セントライト記念のときにも言いましたが、この馬の顔つき、馬体、走法 、雰囲気から、走る馬に共通するものを見い出したからです。調教でもそうです が、走っているときの姿は、他馬を圧倒するほどの迫力を感じます。パドックで は、かなり腹回りがポテッとして、まだ馬体が若く見栄えがしないのですが、い ざ走り出すとそのギャップの大きさに驚かせられます。最近の馬でこのギャップ を持っていたのは、スペシャルウィークでした。パドックだとトモの作りも小さ く見え、馬もおとなしいので目立たないのですが、レースでは前脚の捌きがダイ ナミックで、とにかく迫力がありました。こんなところからも、アドマイヤボス の素質の高さが感じられます。

 アドマイヤボスと聞いて、今年の4歳馬はレベルが低いから通用しないのでは 、まだ馬体が若いので走るのは来年古馬になってからでは、AR共和国杯で10 着と大敗したが大丈夫かと思う人が多いと思います。

 まず、4歳馬のレベルの話ですが、この話の大きな要因になっているのが、ジ ャパンカップの4歳馬の着順です。具体的には、ダービー馬アグネスフライトが 13着、皐月賞・菊花賞馬エアシャカールが14着、NHKマイルC馬イーグル カフェが15着、オークス馬シルクプリマドンナが16着と下位を独占してしま ったことです。ここで注意したいのは、調子の良かったイーグルカフェは距離が 合わなかったと理由づけるとして、他の3頭は調子が良かったのでしょうか。ア グネスフライトは菊花賞で既に精彩を欠いていたし、エアシャカールはマイナス 14キロでいかにも細く見えたし、シルクプリマドンナも春とは調子自体が違っ ていました。こんな状態で、更にスローペースにもかかわらず後方を進んだこと で、追い込み切れずに揃って敗退となってしまったと思えるのです。決して、4 歳馬のレベルが低いと、このレースだけでは言い切れないと思います。その証拠 にマイルCSでは、4歳馬のアグネスデジタルとダイタクリーヴァで決着してい ます。また、その後、京阪杯でジョウテンブレーヴ、鳴尾記念でダイタクリーヴ ァが古馬に勝っています。今年、中々4歳馬が古馬に勝てなかったのは、G1の 実施時期が変わって、夏から古馬が始動して仕上がりが早かったせいもあると思 います。例年この時期になれば、4歳馬と古馬の差は、ほとんどありません。有 馬記念では、過去10年で8頭の4歳馬が連対しています。

 次にアドマイヤボスの馬体が若いので走るのは来年古馬になってからでは、と いうことについてですが、まず言いたいのが、そんなに若い馬が3戦目で後に菊 花賞2着したトーホウシデンに勝てるものなのでしょうか。セントライト記念で トーホウシデンは休み明けでしたが、調教量も充分で菊花賞のときとほぼ同じく らい仕上がっていたと思います。また、知床特別でアドマイヤボスに辛勝したフ サイチソニックが、神戸新聞杯でアグネスフライトとエアシャカールに楽勝した ことからも、アドマイヤボスが4歳トップレベルであることが裏付けられます。 以上から、現時点でも充分に好勝負できる能力を備えていると思います。

 最後にAR共和国杯で10着と大敗したが大丈夫か、ということですが、初め ての左回りで左に刺さりっぱなしで、ぜんぜん力を出し切っていないのだから、 決して力負けではありません。それも超スローペースで完全に前残りの競馬でし たから、後方4番手の位置取りから差すのは、ほとんど不可能なことです。この 敗戦だけでこの馬の評価を下げてはいけないというのが、今の思いです。

 以上が、アドマイヤボスに魅力を感じている理由です。1週前調教では、坂路 で同厩舎のゴーイングスズカと併せて、好タイムで楽に2馬身先着しており、調 子は良さそうです。馬体の迫力は相変わらずで、1ヶ月経って若干背丈が伸びて きた印象です。まだ馬体に若さを残していますが、現時点ではまずまずの仕上が りだと言えるでしょう。今回は武豊騎手が騎乗するということで、人気になるの が少々惜しい感じさえあります。天皇賞(秋)でステイゴールドに騎乗し、テイ エムオペラオーが外から内に切れ込んだことで不利を被った武豊騎手は、必ずや テイエムオペラオーを負かす騎乗を考えてくるはずです。菊花賞のエアシャカー ルで100通りの乗り方を考えたそうですが、今回は何通り考えているのか非常 に気になります。

 ここまでアドマイヤボスを推奨してきましたが、もしも最終調教で動きが悪け れば、評価は下げるつもりであることを付け加えておきます。

 今年の有馬記念のポイントはいろいろありますが、騎手たちの駆け引きも見ど ころのひとつです。枠順が決まらないとなんとも言えないところはありますが、 各騎手がどんな作戦でくるかについて検討してみたいと思います。(明日に続く)

<GMのひと言>
 ナリタトップロードの走法が変わったと1週前調教を見て思った人はいないで しょうか。渡辺騎手が騎乗っているときは、前脚が上がり過ぎて、前脚に負担が かかる走法だったのですが、的場騎手が騎乗してからは前脚がそれほど上がらな くなっています。おそらく、あぶみのかける位置を調整することで、前に重心が かかるようにして矯正しているのだと思います。馬体の張りは4歳のいい頃に比 べるとまだまだですが、前脚に負担がかからない走法になって、一気に良くなる 可能性は秘めていると思います。最終調教の目安としては、重心が低くなって首 を使った走りができればいいと思います。イメージとしては、マヤノトップガン が好調の時にレースの直線で見せたあの形です。その形になっていれば、当然前 脚が上がり過ぎていることはないはずです。


【 12月21日 】 レース展望 その3

 さあ今日は、騎手たちの駆け引きを考えてみようと思います。テイエムオペラ オーをどうやって負かそうか、きっと騎手たちは頭を痛めていることでしょう。 まず騎手たちが考える上で基本になることは、馬の長所を生かして、力を出し切 ることでしょう。その上で展開がどうなるか、テイエムオペラオーがどういうレ ースをするかを予想して、どうすれば最大限の力を発揮できるか考えることにな ります。

 このあたりを考える上で注意したいのは、競馬が終った後に、勝ちに行く競馬 をしたのだから仕方がないと良く言われていることです。騎手も馬券を買った側 も妙に納得してしまいますが、本当に勝ちに行く競馬というのは、ベストの乗り 方なのでしょうか。ベストの場合もあるかと思いますが、どこかで馬に力以上の 何かを期待しているようなところはないのでしょうか。特に強い馬がいる場合に 、その傾向が強いような気がします。ある程度能力のある馬であれば、多少強引 な競馬をしても大敗はしないでしょう。ただし、結果はついてこないと思うので す。馬は生き物ですから、能力以上のことするのはほとんど不可能なことだと思 います。よく武豊騎手が凄い勝ち方をした場合に豊マジックと言われますが、こ れは馬の力を最大限に発揮した騎乗で能力以上のものを引き出したというもので はないと思っています。

 今回逃げるのは、みんなが考えている通り、ホットシークレットだと思います 。ホットシークレットは、平均より早いペースで逃げて持ち味が生きる馬なので 、スローにはならない気がしますが、陣営はどう考えているのでしょう。テイエ ムオペラオーが、各馬にマークされて動くに動けないと考えれば、やはりスロー に落として完全に前残りの競馬にしたくはならないでしょうか。また、逃げ馬が 決まっている場合は、概してスローになりやすいことからも、今回はスローペー スになると思います。ただし、枠順やナリタトップロードと同厩舎のゴーイング スズカの作戦によっては、ペースが変わる可能性があることを付け加えておきま す。

 スローペースと想定して話を進めますが、テイエムオペラオーの和田騎手は、 どんな騎乗をするのでしょうか。今年の秋ずっと和田騎手は、「どの馬でも射程 圏に入れて動けば届くという自信がある。」と話しており、今回も流れに乗って 先行勢をマークし、直線で抜け出す競馬をすることになりそうです。当然、この 乗り方は各騎手たちも予想していることだと思います。

 まずメイショウドトウですが、G1で3回連続テイエムオペラオーの2着に敗 れていることから、一番悔しい思いをしているのはこの陣営でしょう。そのこと からも、今度は必ずオペラオーを負かしに行く競馬をするはずです。安田康騎手 は、ジャパンカップの後に「4コーナーで手応えが悪くなったにも関わらず、直 線で長くいい脚を使って伸びている。」とコメントしていました。手応えが悪く ても、テイエムオペラオーに首差まで迫ったことが相当の自信になっているよう です。このことから、今回は多少無理をしても、長くいい脚が使えるこの馬の長 所を生かしたレースをするはずです。具体的には、道中3,4番手につけて、3 コーナー手前からのロングスパートで、テイエムオペラオーの末脚を封じ込める 作戦です。スパートするタイミングを早めるのとペースを一気に上げるところが 、いつもとは違うところです。テイエムオペラオーがナリタトップロードにマー クされて、早めに動けないことも想定していると思います。ここでひとつ気にな るのは、前に述べた通り、勝つに行く競馬で無理をするということです。ジャパ ンカップであれほど厳しい競馬をした馬に、上積みを期待するわけにはいかない ですから、今回はその無理が致命傷にならないとも限りません。調子落ちがなけ れば、チャンスはあると思いますが、強くは推奨できないというのが正直なとこ ろです。最終調教を確認してから、再度考えることにしたいと思います。

 次にナリタトップロードですが、的場騎手は、今までのレースをビデオで見て 全て記憶していると語ったように、かなり研究が進んでいるようです。まず、テ イエムオペラオーに勝った菊花賞と先着したダービーをイメージすると思います が、どうなのでしょうか。今年のナリタトップロードが1番惜しいレースをした のは京都記念です。道中テイエムオペラオーを徹底的にマークし、4コーナーで 仕掛けをワンテンポ遅らせて外から差す競馬。直線で1度は前に出ましたが、結 局、差し返されてしまいました。今考えると並んだら抜かせないのがテイエムオ ペラオーのいいところなので、直線で早めに並んだことで勝負根性を掻き立て、 長所を引き出してしまったということになります。菊花賞のロングスパートにも 魅力はありますが、今のナリタトップロード自体が絶好調ではないことからも、 ロングスパートの競馬はしないと思います。やはり、京都記念のような競馬を意 識しているのではないでしょうか。道中はテイエムオペラオーを徹底的にマーク し、直線で早めにテイエムオペラオーに並びかけないで、ゴール前で鋭く強襲し て少しだけ差す競馬です。大外を回って並びかけない戦法もありますが、コース ロスを考えるとどうでしょうか。あとは、ナリタトップロード自身のデキにかか っています。

 期待のアドマイヤボスですが、武豊騎手は、いつものように馬の持ち味を生か すことを最優先して騎乗するはずです。さすがに現時点でテイエムオペラオーに 力で勝とうとは思っていないでしょうから、できるだけ有利に進めて、この馬の 末脚を引き出す騎乗に徹するはずです。コースロスのない内々を回り、道中でき るだけ楽をさせて、直線の差し脚に賭ける競馬になると思います。テイエムオペ ラオーが、メイショウドトウにつられて早仕掛けしたり、ナリタトップロードを 気にして仕掛けが遅れても、あくまで自分の競馬に徹して、力が足りていれば好 走できるという思いのはずです。

 さて、調教診断ですが、テイエムオペラオーは少し細く見えますね。アドマイ ヤボスはゴーイングスズカに半馬身送れましたが調子はいいようです。詳細は 、また明日。


調教診断

テイエムオペラオー
 栗東CWで直線強めに追われ、鋭く伸びて好調をアピール。馬体は若干細い感 じもするが、動きを見る限りは調子落ちはなさそうだ。脚捌きもいつも通りで、 疲れは感じられない。このデキなら、G1完全制覇も可能だろう。
トーホウシデン
 美浦Wで馬なりでしたが、力強い脚捌きできびきびとした動きを見せた。首を 上手く使った走りで、見るからに好調子。馬体もだいぶしっかりしてきた印象で 、この秋1番のデキ。一発が期待できそうだ。
アドマイヤボス
 栗東坂路で強めに追われて、好時計を叩き出した。5馬身差を追いかけたこと もあり、ゴーイングスズカに半馬身遅れたが、最後は余裕を残した感じで動きは いい。2週連続で早い時計を出しており、調子は良さそうだ。もう少し気合乗り が欲しい気もするが、競馬になれば問題ないか。馬体からくる迫力は、相変わら ず相当なもの。
ナリタトップロード
 栗東DWで強めに追われて、ラスト12.3秒の切れを見せた。まだ絶好調ま では行かないが、走法はだいぶ矯正させてきている感じ。馬体もふっくらして、 トモの張りも良く、調子は確実に上向いている。昨年より荒れていない中山の馬 場ならチャンスはあるだろう。
ステイゴールド
 栗東CWで一杯に追われて、好タイムを出したがラストはバタバタ。直線だけ 見たら、どうしょうもない感じだが、2週連続強めに追われた点を評価したい。 ラスト止まるのはいつものことで、気にする必要はない。細いくらい絞れた馬体 も、走るときのパターンなので注意が必要だ。
メイショウドトウ
 栗東坂路で一杯に追われて、ラストまでしっかり伸びた。馬場が悪かったせい もあるが、追われてからの反応がイマイチで少し嫌な感じ。馬体は細くは見えな いが、疲れがあるか。パドックを見たい感じ。

勝負馬券予想

 さあ、最終決断がやってきました。週初めから考えてきたことが合っているか 、調教での動きを考慮して、決断を下したいと思います。20世紀最後のG1有 馬記念。ぜひとも的中させて21世紀を迎えたいものです。

 まず各馬の調教ですが、テイエムオペラオーはラストの切れもあり、調子落ち は感じられなせん。あくまで木曜日時点ですが、まずは1つ目の難関をクリアし たと言っていいでしょう。次に良く見えたのが、トーホウシデンとアドマイヤボ スです。どちらも4歳馬らしく、きびきびとした動きで非常に好感が持てます。 ナリタトップロードは、調子は上がってきていますが、まだ絶好調までいかない 感じです。もう少し良くなっていることを期待していましたが、強く推奨できる レベルではありません。昨年は絶好調で大敗したので、多少落ちる方がいいとも 言えなくもないですが、どうでしょう。ステイゴールドは、相変わらずの調教で すが、レースに行っていいタイプなので心配はいらないでしょう。問題なのはメ イショウドトウで、追ってからの反応がイマイチだったのが気になります。馬場 が荒れていたこともありますが、前走のジャパンカップで厳しいレースをしてい るだけに心配なところです。

 次に展開ですが、レース展望と状況が変わりそうなことが2つあります。1つ 目は、ホットシークレット陣営が向こう正面で10馬身のリードを取りたいと話 していることです。この馬の長所を生かして、平均ペース以上の逃げで挑むよう です。2つ目は、メイショウドトウの安田康騎手が、テイエムオペラオーにマー クされて負けていることから、目標にされないレースもできると話していること です。後方からの競馬を示唆しているように聞こえますが、テイエムオペラオー 陣営を牽制しているだけなのかもしれません。調教の反応の悪さが頭にあれば、 やはり前に行って粘り込む競馬をするのではないかと思います。以上から、ホッ トシークレットが平均ペースで逃げて、2コーナーあたりからペースを上げ、向 こう正面で後続を引き離す競馬をすること以外は、昨日の想定と同じです。

 もうひとつ気にしなくてはいけないのが馬場状態です。例年の有馬記念では、 馬場が荒れがひどく力のいる馬場状態になっていますが、今年は例年より馬場は いいように思えます。先週のレースで、最内から伸びた馬が勝ったように、内側 の馬場もそれほど痛んでいないようです。新潟改修工事のため、夏に中山を使っ たにもかかわらずいい状態なのは、開催終了後に蒔いた洋芝の種が、天候に恵ま れて根付いたからのようです。いずれにせよ、例年ほど悪くはない馬場状態で、 なおかつ内側でも伸びるということがポイントになります。

 テイエムオペラオーを負かす馬がいるか、調教状態、各馬の作戦を考えてきま したが、結局、誰も負かせないというのが、ここでの結論です。アドマイヤボス は、2着はあってもテイエムオペラオーを差し切るまではどうでしょう。またナ リタトップロードは、期待ほど良化していない現状では、テイエムオペラオーを 負かすまではいかないと思います。

 本命は、テイエムオペラオーです。最終調教でも鋭い動きを見せ、調子落ちが 感じられないので、人気でも迷わず本命にします。もしこの馬が負けるとすれば 、レースで相当な不利を被った場合だけだと思います。競馬ファンとしてそれを 期待したくはないし、力通りの王者の走りを見せてもらいたいものです。道中は 中団より前につけて流れに乗る競馬。前を行く馬を射程圏に入れながら、勝負ど ころの3,4コーナーからスパートし、直線先に抜け出した馬を一気に差し切っ て1着でゴール。メイショウドトウが早仕掛けすれば、それに合わせて上がって 行けばいいし、ナリタトップロードにマークされても、あくまで自分の競馬に徹 すれば結果はついてくるはず。和田騎手もそれくらいこの馬の強さに信頼を置い ているので、今回も冷静な騎乗を見せてくれるでしょう。20世紀を代表する名 馬の走りをくっきりと目に焼き付けたいと思います。

 対抗は、アドマイヤボスです。2週連続で好タイムを出しており、仕上げに抜 かりはありません。3戦目のセントライト記念でトーホウシデンに勝っているこ とを評価して、この馬を上位に取ります。今年の4歳馬のレベルが低くないこと を、ぜひとも証明してもらいたいものです。道中はコースロスのない内々を回っ て脚をため、直線で末脚を爆発させる競馬で活路を開くはずです。武豊騎手が、 直線最内の馬場が良いことに気づけば、当然そこを狙ってくるでしょう。菊花賞 のエアシャカールと同じような競馬がイメージです。どこまでテイエムオペラオ ーに迫れるか、非常に楽しみです。

 あとは、トーホウシデンです。こちらも調教で抜群の動きを見せており、この 秋1番のデキです。首を使ったフォームも好印象で今の勢いなら古馬相手でも好 勝負できると思います。田中勝騎手は、相手を意識せずにこの馬の競馬に徹する と話しており、プレッシャーもなく、それがいい方向に向くような気がします。 菊花賞でエアシャカールに迫った勝負根性とスタミナは、厳しいレースになれば なるほど真価を発揮するはずです。

 また、調子が上向きで勝負師的場騎手が騎乗するナリタトップロード、人気が なくなってそろそろ走り頃で馬体も絞れたステイゴールド、G1−3連続2着の 実績は捨てられないメイショウドトウを抑えたいと思います。


    勝負馬券:馬連 テイエムオペラオー − アドマイヤボス

     ◎テイエムオペラオー
     ○アドマイヤボス
     ▲トーホウシデン
     △ナリタトップロード
     注ステイゴールド
     注メイショウドトウ


レース結果
  2000年6回中山8日( 12月 24日) 9R  
  第45回 有馬記念(GI) 
  サラ系4歳以上 2500m 芝・右  
  (混)(指) オープン 馬齢 
  本賞金: 18000、 7200、 4500、 2700、 1800万円 発走 15:20 
  天候:晴  芝:良  
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 着 予 枠 馬         馬名        性齢 重量      騎手   タイム   馬体重  人気
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   1 ◎ 4  7 (市)テイエムオペラオー 牡 5 57.0kg  和田竜二 2:34.1  480Kg  +4  1  
   2 注 7 13 (外)メイショウドトウ  牡 5 57.0kg  安田康彦 2:34.1  512Kg  +8  2  
   3   6 12    ダイワテキサス   牡 8 56.0kg  蛯名正義 2:34.2  484Kg  +4 13  
   4   5 10    キングヘイロー   牡 6 56.0kg  柴田善臣 2:34.3  488Kg  -6  9  
   5 ○ 7 14    アドマイヤボス   牡 4 55.0kg  武豊   2:34.3  492Kg  +4  6  
   6   8 15 (外)アメリカンボス   牡 6 56.0kg  江田照男 2:34.7  484Kg +10 15  
   7 注 6 11    ステイゴールド   牡 7 56.0kg  後藤浩輝 2:34.8  430Kg   0 10  
   8   8 16    メイショウオウドウ 牡 6 56.0kg  河内洋  2:35.0  468Kg  +6 12  
   9 △ 2  4 (父)ナリタトップロード 牡 5 57.0kg  的場均  2:35.1  488Kg  +4  3  
  10   2  3 (抽)ホットシークレット せ 5 57.0kg  横山典弘 2:35.1  460Kg   0  8  
  11   4  8    ユーセイトップラン 牡 8 56.0kg  中舘英二 2:35.2  482Kg  +2 16  
  12   1  2 (外)マチカネキンノホシ 牡 5 57.0kg  岡部幸雄 2:36.0  536Kg  +6  7  
  13   3  5    ジョービッグバン  牡 6 56.0kg  山田和広 2:36.3  456Kg  -8 11  
  14 ▲ 3  6    トーホウシデン   牡 4 55.0kg  田中勝春 2:36.9  426Kg  -4  5  
  15   5  9 (父)ゴーイングスズカ  牡 8 56.0kg  芹沢純一 2:38.5  464Kg  +6 14  
  中止  1  1 (父)ツルマルツヨシ   牡 6 56.0kg  藤田伸二         508Kg  +4  4  
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  ハロンタイム  7.2 - 12.0 - 12.5 - 12.2 - 12.3 - 13.0 - 12.7 - 11.9
               - 11.3 - 11.8 - 12.3 - 12.2 - 12.7  
  上り  4F 49.0 - 3F 37.2 
  1コーナー  (*5,9)(2,15,3)(4,12)(1,6,16)13(11,14)7(8,10)  
  2コーナー  5,9(15,3)(2,4,12)(1,6,13,16)(11,7,14)-(8,10)  
  3コーナー(2周目)  (*5,3)4(9,2,15,12)(11,6,13,16)(1,7,14)-8,10  
  4コーナー(2周目)  (5,*3,15,4,12)2(11,6,13,16)(7,14)10,8,9,1  

  <払戻金> 
  単勝 07 170円  1番人気  枠連   4- 7   330円  1番人気
  複勝 07 120円  1番人気  馬連  07-13   380円  1番人気
     13 170円  2番人気  ワイド 07-13   230円  1番人気
     12 770円 13番人気      07-12 1,730円 22番人気
                        12-13 2,900円 33番人気  

レース回顧

 テイエムオペラオーが、メイショウドトウをハナ差抑えて有馬記念を制覇 しました。ゴール寸前までメイショウドトウが前にいましたが、ゴールでは ぴったり鼻ヅラを合わせていたので、勝ったのはどっちだぁ〜とハラハラし た人も多いのではないでしょうか。それにしても、テイエムオペラオーの底 力と勝負根性は素晴らしいとしか言いようがありません。今回はマークがき つく、ジャパンカップより苦しい競馬でしたが、またしても最後の最後で、 この馬の凄さを見せてもらいました。

 ついに有馬記念まで制し、今年の初めに陣営が宣言した通り、無敗で重賞 8連勝、G1−5勝を達成しました。戦ってきた相手がほとんど同じで、2 着したのは、メイショウドトウが4回、ナリタトップロード2回、ラスカル スズカ2回とこの3頭で占められています。ひとつ年上の有力馬(スペシャ ルウィーク、グラスワンダー)が早々と引退したことと、4歳G1馬が完調 で出走してこなかったのも、テイエムオペラオーの連勝に拍車をかけた要因 でしょう。また、テイエムオペラオーが走るときには、雨が降ってこの馬向 きの馬場になっているツキも見逃せません。そうは言っても、ここはテイエ ムオペラオーの強さを誉めるしかないでしょう。1年を通して、怪我をせず にこれだけの走りを見せてくれたのですから、素直に称えたいと思います。 この1年で走った距離はトータル19.9キロ。これだけの距離を走って、 誰にも先着されなかったのですから、テイエムオペラオーの凄さが分かると いうものです。

 テイエムオペラオーは、今年の重賞8連勝で約10億円を稼ぎ、今まで賞 金王だったスペシャルウィークの賞金をたった1年で超えてしまいました。 今年から、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念を制した馬に与えられ る2億円のボーナスを加えると、これまでの総稼ぎ高は約18億円になるそ うです。また、G1をあと1つ勝てば7勝となり、皇帝シンボルルドルフに 並んで歴代トップに立ちます。来年の天皇賞(春)で、その記録を狙うこと になります。

 テイエムオペラオーがここまで負けないと、どの馬が負かすのか非常に興 味があるところです。今年1年を振り返って、負かす馬を挙げるとすれば、 メイショウドトウ、アドマイヤボスの2頭でしょうか。あとは、ラジオたん ぱ杯3歳Sを勝ったアグネスタキオンでしょう。馬体の作り、走法からみて 、10年に1度出るか出ないかの名馬です。2頭とも順調なら、ジャパンカ ップか有馬記念で対決が見られそうです。

 来年の中央競馬もテイエムオペラオーを中心にまわりそうです。競馬に絶 対はないと言いますが、今年のテイエムオペラオーは、絶対があることを教 えてくれました。20世紀最後の名馬、そして21世紀最初の名馬の走りに 来年も注目したいと思います。


<テイエムオペラオー連勝の記録>
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  日付 場所    レース名     格   距離  馬場      2着馬              3着馬   
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 02/20 京都 京都記念    G2 芝2200m 良 ナリタトップロード ステイゴールド
 03/19 阪神 阪神大賞典   G2 芝3000m 稍 ラスカルスズカ   ナリタトップロード
 04/30 京都 天皇賞(春)  G1 芝3200m 良 ラスカルスズカ   ナリタトップロード
 06/25 阪神 宝塚記念    G1 芝2200m 良 メイショウドトウ  ジョービッグバン
 10/08 京都 京都大賞典   G2 芝2400m 良 ナリタトップロード ロサード
 10/29 東京 天皇賞(秋)  G1 芝2000m 重 メイショウドトウ  トゥナンテ
 11/26 東京 ジャパンカップ G1 芝2400m 良 メイショウドトウ  ファンタスティックライト
 12/24 中山 有馬記念    G1 芝2500m 良 メイショウドトウ  ダイワテキサス
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 テイエムオペラオー は、スタートで後手を踏み、後方3番手を進む競馬。4コーナーに向いても 、後方5番手と苦しい位置取りでしたが、そこから馬群を割って一気に伸び ると、最後は先に抜け出したメイショウドトウをゴール寸前で交わして1着 でゴール。出遅れ気味のスタートで後方からになってしまい、なおかつ、道 中他馬のマークが厳しく前に行けない苦しい競馬でしたが、最後は底力と勝 負根性でねじ伏せました。直線に向いたときは、ついにテイエムオペラオー が負けると思ったくらいで、そこから差し切ったのですから凄いとしか言い ようがありません。和田騎手の今回の騎乗は、とても誉められたものではな いですから、馬に助けられたといった感じでしょう。パドックでは、馬体が 細いということもなく、いつも通りの馬体で落ち着いて周回していました。 前脚の出方もスムーズで、最後までいい仕上がりだったと思います。この勝 利で今年負けなしの重賞8連勝、G1−5連勝。どこまでこの連勝を伸ばせ るか非常に楽しみです。来年の古馬戦線もこの馬を中心にまわることになる でしょう。

 メイショウドトウ は、中団よりやや後ろを進み、直線に向き力強く抜け出しましたが、ゴール 寸前でテイエムオペラオーに交わされて惜しい2着。先に抜け出したダイワ テキサスを捕えたときには、安田康騎手も勝利を確信したかもしれませんが 、またしてもテイエムオペラオーの勝負根性に屈しました。これで宝塚記念 から4戦連続テイエムオペラオーの2着。陣営もさぞかし悔しいことでしょ う。ジャパンカップで厳しい競馬をしたので疲れを心配しましたが、これだ けの競馬ができるのですから、この馬のタフネスさは凄いものがあります。 パドックでは、相変わらず張りのある雄大な馬体を見せ、気合乗りもまずま ずで、疲れは感じられませんでした。来年は打倒テイエムオペラオーに向け 、この馬のタフネスぶりを生かして、渾身の仕上げで望んでくるはずです。 悲運の名馬なのか、それともこれまでの2着は序曲なのか、今後のメイショ ウドトウの走りに注目したいと思います。

 ダイワテキサス ダイワテキサスは、5,6番手を進み、直線で先に抜け出してあわやのシー ンを作りましたが、結局2頭に差されて3着まで。先行して掲示板に載った のはこの馬だけで、かつ1着とは0.1秒差ですから評価すべきでしょう。 ジャパンカップでも日本馬で3番目の5着といい走りを見せていたのに、今 回印をつけられなかったことは反省しないといけません。馬体はプラス4キ ロでふっくらと見せており、ジャパンカップとほぼ同じくらいのデキだった と思います。夏からずっと使っているので、そろそろ休養でしょうか。8歳 馬ですが、衰えどころか骨折前のいい状態に戻ってきているので、来年も活 躍できそうです。今も調子はいいですが、基本的には夏に調子を上げるタイ プであることを付け加えておきます。

 キングヘヘイロー は、最後方を進み、4コーナーでも後方4番手の位置取りでしたが、そこか ら大外を一気に伸びて0.2秒差の4着まで追い上げました。このレースが 引退レースでしたが、最後にまた豪脚を見せてくれました。この豪脚を見る と来年も現役でやれそうですが、母が名牝グッバイヘイロー(米G1−7勝) で世界的良血であること、春に念願のG1(高松宮記念)を制し目標を達成 したことで、今は亡きダンシングブレーヴの後継種牡馬としてやっていくこ とになったようです。個性的なキャラクターでファンの多かった馬なので、 産駒にも期待がかかります。父に似たキャラの産駒も当然期待しますが、意 外と優等生の産駒を出すような気もしています。4年後を楽しみに待ちまし ょう。

 アドマイヤボス は、後方4,5番手を進み、直線で猛然と追い込みましたが、前を捕えると ころまで行かずに5着敗退。内々で脚を溜めてコースロスのない内から差す 競馬をイメージしていましたが、外から差してきました。枠順が外枠だった ことと、外目でスムーズな競馬をした方が末脚が生かせると武豊騎手が判断 した結果でしょう。何の不利もない競馬をして前を捕えられなかったのです から、現時点で上位2頭とは力の差があるようです。ただし、まだこの馬は キャリアが浅く、これから成長する余地を多分に残しているので、来年は巻 き返しがあると思っています。今回も腹回りをボテッと見せていましたが、 馬体には迫力が感じられ気合も乗っていたので、調子は良かったと思います 。今年7月にデビューして、5戦目の有馬記念でついにテイエムオペラオー の0.2秒差まで来ました。キャリアが浅く、まだ自分の勝ちパターンがな い状態でこれだけの競馬ができるのですから、来年は非常に楽しみです。た だし、一線級にぶつけて負けが続くと、馬自身が競馬を嫌になってしまう可 能性があるので注意したいところです。勝ちパターンを見つけて連勝するよ うなら、テイエムオペラオーを負かすことも夢ではないでしょう。

 ステイゴールド は、後方から徐々に進出しましたが、2周目の3,4コーナー中間でごちゃ つき,後藤騎手のあぶみが外れる不利が響いて7着敗退。この不利が全てと 言っていいような大きな不利で,7着も仕方ありません。天皇賞(秋)でも 2コーナーで挟まれる不利があって7着でしたが、今回も力を出し切らない で終ってしましました。陣営も納得できないことでしょう。今後は例年通り 休養を入れずに、1,2月の重賞に出走してくると思いますが、ぜひとも今 度は不利のない競馬で力を出し切って欲しいと思います。テイエムオペラオ ーとメイショウドトウは休養に入るでしょうから、重賞を勝つ絶好のチャン スです。

 ナリタトップロード は、5,6番を進み、4コーナーで先頭グループに加わって、直線で抜け出 しそうになりましたが、最後は脚が上がって9着敗退。ダイワテキサスと同 じような競馬をしましたが、直線で伸びを欠いてしまいました。今年は例年 より馬場は荒れていませんでしたが、これくらいの馬場でもパワーを使い切 ってしまうようです。今後一線級とやる場合、芝状態のいい良馬場でないと きは、評価を下げざるを得ません。的場騎手が調教で騎乗して走法が改善さ れてきているので、芝の状態さえ良ければ、復活するのもそう遠くはないで しょう。


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