天皇賞(秋)
2000/10/29 東京競馬場 芝2000m

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出走有力馬
テイエムオペラオー ナリタトップロード メイショウドトウ
ダイワテキサス ステイゴールド トゥナンテ
ミッキーダンス ロサード イーグルカフェ
メイショウオウドウ ロードプラチナム サクラナミキオー

【 10月23日 】 レース展望
 重賞5連勝、G1を2連勝中のテイエムオペラオーが中心。天皇賞(秋)は 1番人気が12連敗中だが、1番人気は勝てないというジンクスを打ち破るか 。メジロマックイーンの降着、ビワハヤヒデの骨折、サイレンススズカの競争 中止と、数々の名馬が勝てなかった舞台で、現役最強馬がどんな競馬を見せる のか非常に楽しみだ。休み明けの京都大賞典で、ムチを使わずに楽勝したとこ ろを見ると役者が違うという印象さえある。距離2000mも3戦3勝で死角 が見当たらない。今週はこの馬に勝つ馬がいるかをテーマに検討してみたい。

 テイエムオペラオーに今年4連敗中のナリタトップロード。勝負づけはスッ カリ済んだとも言えなくはないが、東京コースは、昨年のダービーでテイエム オペラオーを差し切って2着した舞台なら、チャンスはなくはないだろう。渡 辺騎手に思い切った騎乗をしてもらいたい。

 外国産馬初の天皇賞制覇を目指すメイショウドトウ。オールカマーで楽勝し て、春より更に逞しさを増しており侮れない存在。左回りの2000mはベス トの条件だけに狙い目は十分だ。

 あとは2年連続2着のステイゴールド。3度目の正直なるかだが、なんと後 藤騎手の騎乗停止で、天才武豊騎手が騎乗する可能性ができてきた。もし騎乗 してくるようであれば、人気でも狙ってみたい。この馬の東京2000mの適 性については、今更説明はいらないだろう。

【 10月26日 】 レース展望 その2
 現時点での日曜日の天気予報は、くもりのち雨。雨がいつから降り出すのか 分からないが、非常に気になるところだ。もし早めに降り出して時計がかかる 馬場になれば、テイエムオペラオーが有利になるのは間違いない。逆にナリタ トップロードは切れで勝負するタイプなので、少々嫌な感じがする。ただし、 やや重程度なら問題ないだろう。できることなら、雨が降らないで良馬場での スピード競馬を見てみたいものだ。

 ステイゴールドに武豊騎手が騎乗することが決定した。陣営にとっても、ま たファンにとっても、これほど心強いことはないだろう。今回も菊花賞と同様 に武豊騎手の秘策を期待したくなるが、東京2000mはあくまで力勝負なの で、今回はそんなに意識しないでいい感じがする。ハイペースになって厳しい レースになると好走するのは分かっているので、理想のペースになるか、そこ が問題だろう。あと少し気になるのは、前走のオールカマーで7馬身差の5着 に敗退したところ。今年は気性面の成長を見せ、常にいい競馬を見せていただ けに、この負け方は少々納得がいかない。ここをどう整理するかも課題のひと つだ。

 出走馬の最終調教が終ったが、上位の馬のデキはどれも良く、甲乙をつけが たいと言ったところだ。各馬がこれだけ調子が良ければ、あとは距離・コース 適性と展開を見極めて予想すれば良さそうだ。テイエムオペラオーが、東京2 000mのペースに戸惑うことなく対応できるかが今回のポイント。そのため には、道中のペースがどうなるかを予想する必要がありそうだ。


調教診断

テイエムオペラオー
 栗東CWで一杯に追われ、ラストの切れ抜群で併走馬を突き放した。6F7 8秒8と時計も早く、素軽い動きで前走からの上積みは十分。馬体も幾分引き 締まった印象で、万全のデキと言っていいだろう。あとは、東京2000mの ペースに対応できるかだけだ。

ナリタトップロ ード
 栗東DWで一杯に追われ、併せたレガシーハンターを直線で3馬身突き放した 。直線での手応え、気合をつけられてからの反応といい、前走からの上積みを感 じずにはいられない。馬体は更に絞れた印象で、究極の仕上げモードに入ってい る。

メイショウドトウ
 栗東坂路で一杯に追われ、迫力十分の動きで好調をアピール。だいぶ馬体が成 長した印象で走りにも力強さが出てきた。前走はやや余裕残しの馬体だったが、 今回はきっちり仕上がっている。コースと距離の適性は、テイエムオペラオーよ りも上の感があるで、上手く流れに乗れれば、宝塚記念の首差を逆転できる可能 性はある。マーク屋の的場騎手がどんな騎乗を見せるか、非常に楽しみだ。

トゥナンテ
 栗東坂路で一杯に追われ、51秒5の好タイムを出した。ラストもきっちり伸 びて、前走時のデキをがっちりキープ。調教横綱なので早いタイムに騙されては いけないが、よほど調子がいいのだろう、毛づやの良さと馬体の張りが非常に目 立っている。このデキなら、出遅れ癖を出さなければ、好勝負に持ち込めそうだ。 一瞬の脚をどこで生かすか、幸騎手にかかっている。

ステイゴールド
 栗東DWで強めに追われ、ラストもしっかり伸びて、まずまずの動き。軽めの 調教だが、中間の乗り込み量は豊富なので、ほぼ仕上がったとみたい。細くてぎ りぎりのときの方が走る印象があるが、馬体はまだ少し余裕がある印象。このひ と追いで馬がカイバを加減すれば、絞れて出走してくるだろう。武豊騎手が騎乗 することが決定しただけに今年も恐〜い存在。

ダイワテキサス
 美浦南Wで強めに追われ、脚色軽快でラストの伸びも上々。2ヶ月と間隔が空 いたが、仕上がりは良く、力を出せる状態をキープしている。気合乗りも良く、 調子はいいようだ。上位を意識しないで、この馬の良さを引き出す騎乗をすれば、 結果はついてくるかもしれない。

相馬眼予想

 さあ天皇賞(秋)の最終決断。今年の最大のポイントは、1番人気テイエムオ ペラオーの取捨。テイエムオペラオーを負かす馬がいるか1週間考えてきたが、 やっと結論が出た。ズバリ勝つのはテイエムオペラオー。今年は1番人気が勝て ないジンクスが、破られることになりそうだ。予想の詳細は以下を見てもらいた いが、問題は2着争い。力が接近しているので、ちょっとしたことで着順が変わ りそうだ。非常に読みずらいが、内枠からのスタートで楽に流れに乗れるナリタ トップロードに期待してみたい。結局、人気サイドの予想になったが、これが今 年の自信の結論だ。

出走馬のG1実績

 まず、今年の出走馬を見て気づいた点だが、以下に示す通り、G1馬を勝った 馬は3頭のみで2着も2頭しかいない。中でも古馬のG1を制覇しているのは、 テイエムオペラオーただ1頭。これとは対照的に土曜日のスワンSは、G1馬7 頭の豪華メンバーで、結果はG1馬が1〜3着を独占。スプリント&マイル路線 には、新旧のG1馬が揃っているが、中長距離路線は、スペシャルウィークやグ ラスワンダーの引退によって、層が薄くなっている印象は否めないところだ。今 年の図式は、テイエムオペラオーが1強で、これにG1実績のある馬と夏の上が り馬がどう挑むかということになる。

G1−1着馬 テイエムオペラオー皐月賞、天皇賞春、宝塚記念、菊花賞2着
ナリタトップロード菊花賞、ダービー2着
イーグルカフェNHKマイルC
G1−2着馬 ステイゴールド天皇賞春、宝塚記念、天皇賞秋2回
メイショウドトウ宝塚記念



展開予想! ロードブレーブの逃げ

 逃げるのはロードブレーブだが、知りたいのはそのペース。東京コースで大逃 げを打つレースをしているが、大逃げと言っても2400m程度の長い距離のも ので、2000mでは平均ペースに匹敵する。ましてG1なら、平均以下のペー スと言ってもいいくらいだ。また、ロードブレーブの特徴として最初の1Fは早 くない。東京2000mは、最初のコーナーでスピードに乗りにくく、その後の 向こう正面入り口でペースが上がるので、ここからロードブレーブがペースを上 げても、各馬は自然ついていくことになる。それでも大逃げにこだわって、ロー ドブレーブが更に加速して行くかというと答えはノーだ。そこで行ったら最後ま でもたないのは、柴田善騎手が分かっているだろう。また、逃げ馬が決まってい て展開が読みやすいときは、騎手心理からハイペースにはなりずらい。このこと からも、今回は平均ペースの競馬になると思われる。

仮柵外した! 内6m馬場絶好

 今週から仮柵を外してBコースとなり内側6mの馬場は絶好とまではいかない がいい状態。土曜日の競馬でも内を通った馬の好走が目立っており、内を如何に して通るかがポイントになりそうだ。また、土日の雨で馬場悪化すれば、更に内 が有利になるはず。ただし、土曜日の競馬でも各馬が内々に殺到しており、重馬 場でこの状態が続けば一気に掘れて悪化することになるので、このあたりは直前 のレースでのチェックが必要だ。内の馬場がいいようなら、先行して内々を通れ る馬が有利だ。差し馬なら、さすがに直線で内は開かないだろうから、外から一 気に交わして内に入り込む競馬が理想だ。

早いペースに戸惑う? テイエムオペラオー

 何と言ってもポイントは、テイエムオペラオーが2000mの早いペースに戸 惑わないかということだろう。まず距離2000mの適性だが、現在まで3戦3 勝で、G1の皐月賞でその2000mを勝っている。3戦3勝の馬に距離適性が ないとは言えないだろう。何より、その皐月賞は、史上3位のタイムで、それが かなり馬場が荒れていた状態でのものだけに価値がある。以上から、距離適性は 十分あるとみたい。距離適性はあるが、最近は長距離をずっと使っているので、 2000mの早い流れに戸惑わないかだが、相手なりに走るタイプで周りの馬が 早ければそれについて行く競馬センスを持っているので、十分に対応できるとみ る。超ハイペースで無理に早めの競馬をするようなことがなければ、直線での脚 が鈍ることもないだろう。和田騎手は、「どの馬でも射程圏に入れて動けば届く という自信がある」と話しており、先行勢をマークして、いつでも抜け出せる位 置取りからの競馬をすることになりそうだ。

馬場悪化で確勝! ◎テイエムオペラオー

 土日の雨で馬場悪化は避けられそうになく、最低でもやや重になりそうだ。テ イエムオペラオーが馬場悪化を苦にしないのは、今までのレースで証明済みで、 非常に有利になったといえる。名馬は天をも見方につけると言われるが、まさに その状態。2000mのペースに戸惑わずに先行勢をマークして、直線で一気に 突き放すテイエムオペラオーが1着でゴール。前走のレースぶり、調教状態、展 開、馬場適性とどれを取っても、負けるとは考えにくく、この馬が自信の本命。 1番人気が勝てないジンクスよりも、この馬の能力を素直に信じてみたい。

絶好枠で楽に先手! ○ナリタトップロード

 ナリタトップロードは、絶好の3番枠を引いた。近くの枠に差し馬が集中して おり、楽に先手が取れそうだ。この楽にというのがポイントで、最後の伸びにつ ながるはずだ。内々を流れに乗って脚を温存しながら先行し、テイエムオペラオ ーが来るのを待って、一気に突き放す作戦。最終調教でも、この作戦を十分に練 習しており、スタートで後手を踏まなければ、好勝負に持ち込めるはずだ。

ベストの条件! ▲メイショウドトウ

 メイショウドトウは、左回りの2000mがベストの条件。調子も良く、これ だけ条件が揃うと陣営もテイエムオペラオーを負かしに行くに違いない。ただし 、逆に言えることは、テイエムオペラオーがメイショウドトウをマークするとい うこと。実際、テイエムオペラオーの岩元調教師の話では、今回のマークはメイ ショウドトウの方に傾いている。直線で早めにテイエムオペラオーに交わされる と、2着に粘るのは苦しいかもしれない。あと重馬場だが、金鯱賞でやや重を、 オールカマーで不良馬場をこなしているので、有利になりそうだ。ただし、外枠 からのスタートで、ナリタトップロードのように楽に先手を取れないので、多少 の無理があるはず。これが最後の伸びに効いてきそうなので、3番手評価と狙い を下げた。

出るか豊マジック! △ステイゴールド

 ステイゴールドは、先行してまともに勝負に行ってはかなわないのは、春の時 点で分かっているので、最後の直線勝負の競馬になるはずだ。それでも、最後方 からの競馬では届かないので、中団よりやや後ろにつけての競馬になる。ちょう ど武豊騎手が騎乗した目黒記念をイメージすれば良いだろう。目黒記念を勝った ときもそうだったが、左回りだと左にもたれるところがあるので、これを利用し て直線で外から馬場のいい内に入り込む競馬になるはずだ。直線に向く前に馬の 脚をどれだけ温存して、直線での爆発力につなげられるかに掛かっている。京王 杯SCのスティンガーが目の覚める末脚を使えたように、ステイゴールドにも究 極な末脚を繰り出させる騎乗、豊マジックが出るか。メイショウドトウとナリタ トップロードが、早めに動いてラスト失速すれば、間違いなく出番がやってくる だろう。


    勝負馬券:馬連 テイエムオペラオー − ナリタトップロード

     ◎テイエムオペラオー
     ○ナリタトップロード
     ▲メイショウドトウ
     △ステイゴールド


レース結果
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 着 予 枠 馬         馬名        性齢 重量      騎手   タイム   馬体重  人気
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   1 ◎ 7 13 (市)テイエムオペラオー 牡 5 58.0kg  和田竜二 1:59.9  472Kg  -2  1
   2 ▲ 8 15 (外)メイショウドトウ  牡 5 58.0kg  的場均  2:00.3  508Kg  -4  2
   3   5 10 (父)トゥナンテ     牡 6 58.0kg  幸英明  2:00.4  516Kg   0  5
   4   6 11 (外)イーグルカフェ   牡 4 56.0kg  岡部幸雄 2:00.5  466Kg  +2  6
   5 ○ 2  3 (父)ナリタトップロード 牡 5 58.0kg  渡辺薫彦 2:00.5  480Kg   0  3
   6   1  1    ユーセイトップラン 牡 8 58.0kg  ロバーツ 2:00.8  476Kg -10 13
   7 △ 5  9    ステイゴールド   牡 7 58.0kg  武豊   2:00.8  430Kg  -4  4
   8   3  5    ロサード      牡 5 58.0kg  松永幹夫 2:00.8  420Kg   0  8
   9   2  4    ダイワテキサス   牡 8 58.0kg  北村宏司 2:00.8  480Kg  +2  7
  10   1  2    メイショウオウドウ 牡 6 58.0kg  飯田祐史 2:01.0  454Kg  +2  9
  11   3  6 (父)ジョーヤマト    牡 8 58.0kg  須貝尚介 2:01.5  466Kg   0 15
  12   4  8    サクラナミキオー  牡 6 58.0kg  田中勝春 2:01.8  492Kg   0 11
  13   7 14    ミッキーダンス   牡 5 58.0kg  佐藤哲三 2:02.0  490Kg   0 10
  14   4  7 (父)トーワラノビア   牝 6 56.0kg  郷原洋司 2:02.8  464Kg   0 14
  15   6 12 (市)ロードブレーブ   牡 6 58.0kg  柴田善臣 2:03.8  476Kg +12 12
  16   8 16 (抽)ミヤギロドリゴ   牡 7 58.0kg  横山典弘 2:04.0  532Kg  -6 16
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  天候:曇  芝:重 
  ハロンタイム  13.5 - 11.6 - 11.7 - 11.4 - 11.5 - 11.9 - 12.0
         - 12.9 -11.4 - 12.0
  上り  4F 48.3 - 3F 36.3
  2コーナー  12-(10,15,16)(2,11,13,14)(4,7)(3,9,8)(1,5)-6
  3コーナー  (*12,16)=(10,15,14)(13,7)(2,11)(4,3,9)8(1,5)6
  4コーナー  (12,*16)=(10,15)(13,14)(2,11,7)(4,3,1,9,8)(6,5)

  <払戻金>
  単勝 13 240円 1番人気  枠連   7- 8 490円 1番人気
  複勝 13 130円 1番人気  馬連  13-15 490円 1番人気
     15 150円 2番人気  ワイド 13-15 260円 1番人気
     10 280円 5番人気      10-13 740円 7番人気
                       10-15 820円 8番人気

レース回顧

 中団を進んだテイエムオペラオーが、直線で圧倒的な強さを見せ、天皇賞 春秋連覇を成し遂げました。1番人気が12連敗中だった天皇賞(秋)の歴 史がついに今年で終わりました。テイエムオペラオーは、この勝利で今年負 けなしの重賞6連勝、G1−3連勝と素晴らしい記録を達成しました。天皇 賞春秋連覇は、タマモクロス、スペシャルウィークに続き3頭目で、天皇賞 (春)、宝塚記念、天皇賞(秋)を制したのは、タマモクロス以来12年ぶ り2頭目のことになります。ちなみにタマモクロスは、その後、ジャパンカ ップ2着、有馬記念2着、スペシャルウィークは、ジャパンカップ1着、有 馬記念2着と2頭ともに連対を確保しています。テイエムオペラオーが、も しジャパンカップと有馬記念を連勝するようなら史上初めてのことになりま す。これまでもタフネスぶりを見せてきたテイエムオペラオーなら、この大 記録を打ち立てるのもそれほど難しいことではないのかもしれません。年の 初めに陣営が口にした「今年は負けない」という言葉が見えてきました。今 までに誰もできなかった年間負けなしのG1−5連勝、そんな大記録が20 世紀最後に年に実現されるかもしれません。では、回顧です。

 テイエムオペラオー は、中団を進み、3コーナー過ぎから除々にスパートして先団に取りつくと 、直線で真一文字に伸び後続一気に突き放して1着でゴール。前を射程圏に 入れながら進み、先に抜け出したメイショウドトウをあっさり交わして0秒 4差をつける完勝でした。雨が降ってこの馬が得意な馬場でしたが、これま でに見せた中では最も強い勝ちっぷりだったと思います。京都大賞典でひと 叩きされて調子を上げていたので、今までで1番のデキだったこともその要 因でしょう。パドックでは、柔らかい身のこなし中にも力強さが伺え、馬体 の張りもあって非常に目立っていました。気合をそれほど表に出すタイプで はありませんが、うつむき加減で落ち着いて周回する姿には、かなりの迫力 を感じさせます。また、毎回、和田騎手の冷静な騎乗が目に付きます。馬が 競馬を知っているので、和田騎手もそれほどプレッシャーを感じていないの ではないでしょうか。この勝利で今年負け知らずの重賞6連勝、G1−3連 勝を達成しました。距離的に見ても最大の難関を突破したような気がします 。残るは、ジャパンカップと有馬記念で年間負けなしの重賞8連勝、G1− 5連勝の完全勝利なるかもしれません。陣営が今年は負けないと宣言してい たことが現実化しようとしています。20世紀最後に現れた名馬の走りに、 今後も注目したいと思います。

 メイショウドトウ は、3,4番手を進み、直線で早めに抜け出しましたが、テイエムオペラオ ーに楽に突き放されて2着敗退。外枠から思い切って前に行き、早めに抜け 出す積極的な競馬をしましたが、その分、直線で伸びを欠いた感じです。馬 体が除々に完成されてきており、この春と比べるとだいぶパワーアップして います。トモや腹回りの筋肉の付きが良くなり、馬体に迫力が出てきました 。成長力という点では、この馬が1番かもしれません。今後は、ジャパンカ ップ、有馬記念に進みますが、荒れた馬場は得意なので、力勝負に持ち込め ば好勝負できるでしょう。G1で2戦連続テイエムオペラオーの2着と苦汁 を飲まされた陣営は、今度は何かしら工夫をしてくるはずです。どんな作戦 でテイエムオペラオーを追い詰めるのか、そのあたりにも興味があるところ です。

 トゥナンテ は、3番手を進み、直線で早めに抜け出しを図りましたが、2頭に交わされ て3着まで。交わされた後、また伸びたように力は出し切ったのではないで しょうか。重馬場で切れ味が削がれた感じはありますが、ベストの左回り2 000mでいい競馬ができたと思います。パドックでは、張りのある馬体で いつもより大きく見せており、非常に目立っていました。歩様もスムーズで 柔らかさが感じられたので、調子は良かったと思います。今後はどの路線に 進むのか分かりませんが、ジャパンカップの2400mはこの馬には少し長 いと思います。スローの競馬で流れに乗って、実質2000mの競馬になれ ば出番があるかもしれませんが、もうワンパンチ欲しいところです。

 イーグルカフェ は、中団を進み、直線で外に出して追い込みましたが、前を捕えるところま ではいかずに4着まで。荒れた馬場の京成杯を勝っているように、今回の馬 場は他が苦にする分有利だったようです。馬体はだいぶ成長して迫力が出て きましたが、作り自体は他の馬と比べるとまだもの足りないところがありま す。父はガルチですが、ガルチ産駒は3歳春にピークを迎える傾向が強いの で、今後は少々注意が必要です。過去にはブレーブテンダーが、ニュージー ランドT4歳S2着、NHKマイルC2着した後に絶不調に陥ったように、 ガルチ産駒(仕上がりの早い外国産馬に言えることかもしれませんが)には 特に注意が必要です。ブレーブテンダーの場合、体が硬くなっていましたが 、イーグルカフェは硬くなった印象はなく、馬体も成長が伺えるので、その あたりにまだ良化する可能性を秘めています。次走はマイルCSなのか、ジ ャパンカップなのか分かりませんが、体型的にはマイルの方があっているよ うな気がします。いろいろな意味で今後も注目したい馬です。

 ナリタトップロード は、モッサリとしたスタートで後方を進む競馬。3,4コーナーでも後方の ままで、結局、直線勝負になりましたが伸び切れずに5着敗退。いつもより 行きっぷりが悪かったのは、重馬場のせいでしょう。掻き込む走法なので重 馬場をこなせないことはないですが、強く掻き込むことになるのでパワーを 使い切ってしまい、結果として直線で伸びを欠いているような気がします。 良馬場で力を発揮するタイプなので、今後はそれを前提条件にして予想して いきたいと思います。パドックでは、張り詰めた馬体で気合乗りも良く、非 常に目立っていました。今後は、ジャパンカップ、有馬記念に進みますが、 最終日で馬場が荒れていることが多いのでどうでしょうか。パンパンの良馬 場なら多少馬場が荒れていても走れますが、テイエムオペラオーとメイショ ウドトウが荒れた馬場を得意にしているタイプなだけに逆転は難しいかもし れません。
 
 ステイゴールド は、スタート後の2コーナーで挟まれ行き場を失って後方からの競馬。直線 に向いて差を詰めましたが7着が精一杯。レース後に武豊騎手が怒っていた ように2コーナーでの不利が全てでしょう。武豊騎手がどんな騎乗を見せる か楽しみにしていただけに、少々残念な結果です。馬体はマイナス4キロと きっちり絞れ、この馬なりに調子は良かったと思います。叩かれながら調子 を上げるタイプなので、ジャパンカップ、有馬記念で王者テイエムオペラオ ーにどんな戦いを挑むか楽しみなところです。今回は不完全燃焼に終ったの で、ぜひともこの馬本来の走りを見せてもらいたいと思います。類稀なタフ ネスさがあるので、苦しいレースが続けば続くほど、この馬が有利になると いうことを付け加えておきます。


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