安田記念
2001/06/03 東京競馬場 芝1600m

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レース展望

■ 出走有力馬

ジョウテンブレーヴ フェアリーキングプローン トロットスター
メイショウオウドウ スティンガー テスタロッサ
アグネスデジタル ビハインドザマスク エイシンプレストン

■ 安藤勝騎手G1制覇なるか? ジョウテンブレーヴに注目!

 外国馬が出走可能になってから、早くも今年で9年になる安田記念。外国 馬で勝ったのは、95年のハートレイクと昨年のフェアリーキングプローン の2頭のみで、これまでは日本馬が地の利を生かして優勢を保ってきました 。しかし、昨年は外国馬のワンツーで決まり、日本馬はキングヘイローの3 着が最高でした。日本馬に確たる存在がいなかったのも確かですが、外国馬 もレベルが高い馬が出走するようになってきていることもあるのでしょう。 今年は昨年の覇者フェアリーキングプローンと昨年の豪州最優秀スプリンタ ーのテスタロッサが参戦してきました。どちらも非常にレベルが高い馬だけ に昨年同様外国馬のワンツーがあるかもしれません。果たして外国馬に対抗 できる日本馬はいるのでしょうか。これが今年のポイントになりそうです。

 今のところ日本馬で最も気になる存在が、ジョウテンブレーヴです。昨年 は距離不向きのクラシック路線を歩んだため、結果はイマイチでしたが、短 い距離を使うようになってからは折り合いがつき、京阪杯1着、中山記念2 着、マイラーズC1着と着実に結果を出しています。以前から首を使った走 りが目立っていましたが、最近は更に首の使い方がうまくなったような気が します。また、馬体も3歳時と比較すると40キロ近く増えており、だいぶ しっかりしてきました。トモの張りもやっと満足のいくものになってきた感 じがあります。2歳時にG3の東京スポーツ杯(東京芝1800m)を勝っ ており、東京コースはベストの条件だと思います。1週前の調教では、ダー ビー出走のマイネルライツと併せて、楽に先着し好調をアピールしました。 今のところ万全の仕上がりを見せているので、かなりいい勝負ができるとみ ています。今回は蛯名正騎手がトロットスターに騎乗するため、笠松の安藤 勝騎手が騎乗します。この馬には豪腕の騎手が合うので、安藤勝騎手なら何 も心配はいらないでしょう。

 次に気になるのが、トロットスターです。4連勝で高松宮記念を勝ち、G 1ウイナーの仲間入りを果しました。高松宮記念でみせた末脚は、これがG 1馬のものと言わんばかりのもので、完全に本格化しました。昨年の安田記 念は5着でしたが、それも快進撃を始める前の話で、力をつけた今ならマイ ルでも好勝負できるのではないでしょうか。雨が降って馬場が悪化するよう なら、チャンスは一気に広がりそうです。大外が伸びる馬場状態なら、直線 一気が目に浮かびます。

 あとは、メイショウオウドウとスティンガーです。 メイショウオウドウ は、追い込み一辺倒ですが、末脚の切れ味は現役屈指のものがあり、追い込 みが届く流れなら好勝負できそうです。毎日王冠でグラスワンダーに迫った 末脚をまだ忘れるわけにはいきません。スティンガーは、昨年の安田記念で は1番人気で4着と敗れましたが、折り合いを欠いたことが原因で、決して 力負けではなかったので狙い目は十分あると思います。今年も京王杯SCを 勝ちましたが、馬体がふっくらして非常に良く見えたので、今年の方がデキ はいいと思います。

 日本馬で一発を期待するなら、ビハインドザマスクでしょう。この時期走 るタイプで、前走33秒台の末脚を繰り出し優勝しました。1度勝つと立て 続けに好走するので、今回も力を出し切れると思います。切れ味のある末脚 は素晴らしいものがあるので、このメンバーに入っても見劣らないと思いま す。

 外国馬ですが、まずはフェアリーキングプローンを取り上げます。今年は 口蹄疫の影響で日本に来られるのか微妙でしたが、何とか出走できることに なりました。昨年の安田記念を勝った後も8戦7勝と活躍しており、更にパ ワーアップしている印象があります。5/20のチャンピオンズマイルの出 走を見送った誤算はあったようですが、インパクトのある馬体は相変わらず で、それほど心配する必要はなさそうです。最終調教でどんな動きを見せる か、まずはそれをチェックして取捨を決めたいと思います。過去に安田記念 で好走したハートレイクとオリエンタルエキスプレスが翌年にも出走しまし たが、結果はともに12着敗退。さてフェアリーキングプローンは、どうな るでしょうか。

 次にテスタロッサですが、京王杯SCは5着と敗退しましたが、末脚は目 立っていました。来日したばかりで状態がひと息だったこともあったようで す。その後は、順調に調教を消化し、調子は上向いています。元々、適距離 は1400mですが、東京の軽い馬場なら1600mで問題ないでしょう。 力馬タイプなので、少し時計が掛かった方がいいかもしれません。ハートレ イクが京王杯5着、ディクタットが6着から巻き返して好走しているだけに テスタロッサが好走しても不思議でありません。


■ 必勝データ (過去10年のデータを元に分析)

  <日本馬は格>
    連対した日本馬16頭のうち、14頭が重賞勝ちかG1連対をしていた。
    ヤマニンゼファーとトーワダーリンの例外あるが、格を重視した方がいい。
  <外国馬はアジア勢>
    連対した外国馬4頭は、香港2頭、UAE2頭で北米馬、欧州馬の連対なし。
    日本を知り尽くしているUAEのモハメド殿下が送り込んでくる馬には注意。
  <連対率5割>
    連対馬17頭の連対率は50%を超えていた。ハイレベルな一戦だけに安定して
    力を出し切れる一流馬でないと好走は難しい。
  <差し追い込み有利>
    逃げ馬の連対は皆無。先行馬で連対したのは6頭で差し追い込み馬が狙い。
    東京1600mはハイペースになりやすく、逃げ、先行馬には苦しいコース。

■ 過去のレース結果 

日付1着馬2着馬馬連配当
1996年 トロットサンダー タイキブリザード 1,060円
1997年 タイキブリザード ジェニュイン 1,360円
1998年 タイキシャトル オリエンタルエクスプレス 1,860円
1999年 エアジハード グラスワンダー 650円
2000年 フェアリーキングプローン ディクタット 14,700円

■ ステップレース 

日付レース1着馬2着馬
2001/01/05京都金杯ダイタクリーヴァエリモセントラル
2001/01/28東京新聞杯チェックメイトシンコウエドワード
2001/02/04シルクロードSトロットスタータイキトレジャー
2001/02/25中山記念アメリカンボスジョウテンブレーヴ
2001/02/25阪急杯ダイタクヤマトブラックホーク
2001/03/25高松宮記念トロットスターブラックホーク
2001/04/01タービー卿CTチェックメイトエイシンプレストン
2001/04/14マイラーズCジョウテンブレーヴメイショウオウドウ
2001/05/13京王杯SCスティンガースカイアンドリュウ

調教診断

トロットスター
 南Wで馬なりでしたが、気合の乗った動きを見せました。減っていた馬 体もだいぶ回復し、ふっくらと見えるのはいい傾向でしょう。時計は平凡 ですが、一週前に60秒台を出しているのでこの調教でいいと思います。 高松宮記念のときより明らかに状態はいいので、好勝負できそうです。あ とは、マイルをこなせるかにかかっています。
ジョウテンブレーヴ
 南Wで軽めの調教。ラスト軽く気合をつけられるとまずまずの反応を見 せ、好調をアピールしました。一週前に一杯に追って61秒台を出してい るので、軽めの調教は予定通りです。馬体はスッキリ絞れ、腹回りの張り も上々で臨戦体勢は整ったとみます。直線早めに抜け出してラストどこま で粘れるか、この状態ならいい勝負ができそうです。
スティンガー
 南芝で馬なりでしたが、軽快な脚捌きでまずまずの動きを見せました。 馬体もふっくら見え、毛づやもいいので前走の反動は感じられません。馬 体にボリュームが出た感じで、明らかに昨年よりパワーアップしています 。当日イレ込みがなければ、昨年以上の結果を期待したいと思います。パ ドックを見てから判断したい馬です。
フェアリーキングプローン
 東京ダで馬なりでしたが、力強いフットワークは健在でラストも12秒 0と鋭い伸びを見せました。軽めの調教ですが、馬体の張り、全体的な雰 囲気もいいので好調だと思います。昨年より馬体がガッシリして風格が出 てきました。昨年と同じくらいのデキなので、あとは早いタイムの決着に なった場合に対応できるかがポイントになりそうです。

相馬眼予想

 今年の安田記念は、実力伯仲のメンバーが揃って混戦模様。馬連1番人 気も10倍を超え、馬券的妙味はたっぷりありますが、やはり予想が難し いというのが正直な印象です。予想を難しくしているは外国馬2頭。この 2頭の取捨が今年のポイントでしょう。結論からいうと外国馬は昨年の覇 者フェアリーキングプローンが3番手評価で、テスタロッサが抑えの評価 です。本命と対抗は日本馬にしました。フェアリーキングプローンの仕上 がりは悪くはないですが、何かインパクトと勢いという点では、昨年の方 が良かった感じがします。また、昨年より今年の方が東京コースの芝がい い状態なので、高速決着になるという点が少し引っかかります。スピード はなくはないですが、どちらかというとパワー型なので、切れ味のある馬 に足元をすくわれる可能性があると思います。テスタロッサは、馬体が絞 れたというか引き締まった感じはありますが、大幅に良化した印象はあり ません。末脚は確かなものがありますが、こちらもパワー型で切れ味とい う点ではそれほど強調できるものがないと思います。高速決着に対応でき る日本馬を狙うというのが今年の結論です。

 まず展開ですが、ヤマカツスズランとギャラクシーウインが逃げ、ダイ ワカーリアンとブレイクタイムがこれに続き、ハイペースになりそうです 。4頭とも強引な競い合いは避けるでしょうから、超ハイペースにはなら ないと思います。各馬の出方を伺いながら、最低でも4番手以内につける という意識で進めるはずです。前に行った馬は道中で息を入れられるかが ポイントですが、実力伯仲のメンバーで各馬好位を取りたいでしょうから 、道中でペースが落ちるとは考えられません。息の入れづらい一貫した流 れで、逃げ先行馬は苦しい競馬になりそうです。中団より後ろで脚を溜め 、直線で末脚を爆発させるタイプが有利でしょう。東京の馬場はいいので 、高速決着にも対応できる馬が狙い目です。

 本命は、トロットスターです。高松宮記念でG1制覇しましたが、その ときの大外一気の末脚は素晴らしいものでインパクトがありました。高松 宮記念はマイナス10キロとギリギリの馬体で調子はイマイチでしたが、 今回は馬体も回復し、調教の動きからも明らかに調子を上げています。今 までに1600m戦は勝っていませんが、昨年の富士Sで34秒5の切れ 味を発揮し、2着していることから不安はありません。追い込み馬だけに 1番枠は気になりますが、ハイペースで直線はバラけるでしょうから、切 れる脚があれば抜け出す場所は選べると思います。道中はコースロスのな い内々で脚を溜め、直線で外に出すと一気に伸びて1着でゴール。4戦3 勝2着1回と鞍の合う蛯名騎手が騎乗するのもプッシュ材料で、この馬が マイル界も制圧すると思います。

 対抗は、ジョウテンブレーヴです。ハイペースで早めに抜け出しても最 後まで粘れるのがこの馬の特徴で、今回もその競馬で活路を開くと見てい ます。トロットスターが抜け出す場所を探して脚を余すようなら、先に抜 け出してそのまま粘り込むことになるでしょう。乗れている安藤勝騎手な ら、この馬の力を引き出してくれると思います。

 あとは、フェアリーキングプローンです。今年は東京コースの芝状態が 良く、高速決着になりそうなので、評価を少し下げました。それでも、能 力はかなり高いものがあり、底力勝負になった場合は、抜け出してくる可 能性があります。ここでは、3番手評価にしておきます。

 また、昨年よりパワーアップしているのと乗り慣れた岡部騎手が騎乗で きるのがいいスティンガー、ハイペースの末脚勝負を得意にしているメイ ショウオウドウ、セントウルSでブラックホークを差し切った脚はG1級 だったビハインドザマスク、馬体が引き締まり前走より若干良化したテス タロッサを抑えたいと思います。

     ◎トロットスター
     ○ジョウテンブレーヴ
     ▲フェアリーキングプローン
     △スティンガー
     注メイショウオウドウ
     注ビハインドザマスク
     注テスタロッサ


レース結果
  2001年3回東京6日( 6月 3日) 11R  
  第51回 安田記念(GI) 
  サラ系3歳以上 1600m 芝・左  
  (国際)(指) オープン 定量 
  本賞金: 9400、 3800、 2400、 1400、 940万円 発走 15:35 
  天候:晴  芝:良  
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 着 予 枠 馬         馬名        性齢 重量      騎手   タイム   馬体重  人気
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   1   8 17 (外)ブラックホーク   牡 7 58.0kg  横山典弘 1:33.0  528Kg   0  9
   2   5 10    ブレイクタイム   牡 4 58.0kg  吉田豊  1:33.2  540Kg   0 15
   3 注 8 18    メイショウオウドウ 牡 6 58.0kg  飯田祐史 1:33.3  454Kg -12  7
   4   7 14 (外)シンコウエドワード 牡 6 58.0kg  柴田善臣 1:33.5  464Kg  -4 14
   5 注 6 11    ビハインドザマスク 牝 5 56.0kg  松永幹夫 1:33.6  462Kg  -6 11
   6   7 13 (外)アメリカンボス   牡 6 58.0kg  江田照男 1:33.6  486Kg  +2 12
   7   5  9    タイキブライドル  牡 6 58.0kg  郷原洋司 1:33.7  486Kg   0 13
   8   8 16 (外)ダイワカーリアン  牡 8 58.0kg  北村宏司 1:33.9  512Kg   0 18
   9 ▲ 3  6 [外]フェアリーキングプ せ 6 58.0kg  マーウィ 1:33.9  514Kg      1
  10   4  7 (外)エイシンプレストン 牡 4 58.0kg  福永祐一 1:34.1  472Kg  +4 10
  11   6 12 (外)アグネスデジタル  牡 4 58.0kg  四位洋文 1:34.1  454Kg  -2  6
  12   1  2 (市)ヤマカツスズラン  牝 4 56.0kg  池添謙一 1:34.1  496Kg  +2 16
  13 ○ 4  8 (抽)ジョウテンブレーヴ 牡 4 58.0kg  安藤勝己 1:34.4  480Kg  -6  3
  14 ◎ 1  1    トロットスター   牡 5 58.0kg  蛯名正義 1:34.4  432Kg  -4  4
  15 △ 2  3    スティンガー    牝 5 56.0kg  岡部幸雄 1:34.4  484Kg  +2  2
  16 注 7 15 [外]テスタロッサ    牡 5 58.0kg  オリヴァ 1:35.1  532Kg   0  5
  17   3  5 (外)マチカネキンノホシ 牡 5 58.0kg  デザーモ 1:36.1  534Kg  -6  8
  18   2  4 (外)ギャラクシーウイン 牡 4 58.0kg  中舘英二 1:36.4  492Kg   0 17
 ------------------------------------------------------------------------------
  ハロンタイム  12.3 - 11.0 - 11.2 - 11.3 - 11.3 - 12.3 - 11.6 - 12.0  
  上り  4F 47.2 - 3F 35.9 
  3コーナー  2(10,16)(4,5)13(6,8)(15,9)(7,11,17)(1,3)(12,14)-18  
  4コーナー  (*2,16)10(4,5,15,13,9)6(1,3,8,11)7(12,14,17)-18  

  <払戻金> 
  単勝 17 2,010円  9番人気  枠連   5- 8  11,230円  29番人気
  複勝 17   570円  6番人気  馬連  10-17 120,600円 111番人気
     10 2,510円 15番人気  ワイド 10-17  16,800円 108番人気
     18   600円  7番人気      17-18   3,560円  44番人気
                          10-18  13,050円  97番人気

レース回顧

 ブラックホークが、大外から豪快に伸びてG1制覇。最近はマイルで の成績がひと息だったので人気もなかったですが、直線での伸び脚は、 先行して差されるレースが続いていたブラックホークとは思えないもの でした。2着には人気薄のブレイクタイムが入り、馬連は1206倍と 大荒れの結果になりました。

 それにしても、G1馬ブラックホークが9番人気と人気がありません でした。京王杯SCで3着と好走しましたが、昨年の京王杯SC2着後 の安田記念で9着と大敗したことから、今年も距離的にダメだろうと考 えられた結果でしょう。恥ずかしながら、私もその一人です。G1馬を 馬鹿にすると痛い目に合うという意味では、一昨年の天皇賞(秋)のス ペシャルウィーク以来のことでしょうか。復活するときには、大外一気 というのも共通することです。G1馬の格は、簡単には失われないもの だということを再認識させられました。ブラックホークは、調教での動 きも良く、また陣営が今回は後方から差す競馬に徹すると話していたの で、こういう結果を考えられなくもなかったはずです。今後は先入観を 捨てて、毎回見つめ直すようにしていこうと思います。

 ブラックホークに騎乗した横山典騎手の活躍が最近目立っています。 オークスのローズバド、そして今回と好騎乗が目立ちます。今年の北海 道シリーズは特に注意したい騎手です。まさにノリノリの騎乗が見られ るかもしれません。では、回顧です。

 ブラックホーク は、内々の後方を進み、直線で外に出すとそこから一気に伸び、ゴール 寸前で先に抜け出したブレイクタイムを交わして1着でゴール。追い出 してからの伸びは、今までのブラックホークを払拭するもので、素晴ら しいものでした。タフな東京のマイルで、こんな末脚を見せたのは初め てのことだと思います。芝1200mでは、スプリンターズSを勝った ときとセントウルS2着のときに、直線一気の末脚を見せたことはあり ますが、まさかマイルでこの脚があるとは思いもしませんでした。この ところ、1200mのレースでも前に行って最後差されるケースが続い ていたので、陣営もいちかばちかの勝負だったと思います。人気はあり ませんでしたが、これがG1馬の貫禄と言わんばかりの快走でした。パ ドックでは、いつものように落ち着いて周回して、深い踏み込みと迫力 ある馬体が目立っていました。7歳馬ですが、全く衰えた印象はなく、 この調子なら秋にも大きいところを狙えるでしょう。豪脚を取り戻した G1−2勝馬の走りに注目したいと思います。

 ブレイクタイム は、ハイペースの中、2,3番手と先行し、直線で早めに抜け出して最 後まで粘りに粘りましたが、ゴール寸前でブラックホークに差されて惜 しい2着。淀みない流れで後続に脚を使わせたことと、内側の荒れた馬 場を苦にしなかったことが好走の要因でしょう。この早い流れの中、先 行して粘り抜いたのはこの馬だけなので、スピードの持続性を評価した いと思います。この2着は、決してフロックではないと思います。元々 、一本調子の馬で、ハイペースで行ってどこまで粘れるかという競馬を していましたが、逃げなくても競馬ができるようになっているようです 。550キロと雄大な馬体ですが、重苦しさがないのがいいところです 。次走は分かりませんが、今の充実ぶりならいい走りが見られそうです。

 メイショウオウドウ は、最後方を進み、直線に向き大外から鋭く追い込んで3着確保。直線 だけで15頭をごぼう抜きした末脚は素晴らしいものでした。毎日王冠 でグラスワンダーをハナ差まで追い詰めた末脚を思い出させるものです 。ハイペースの末脚勝負に強いことを今回も証明したと言えるでしょう 。道中でもっと前に位置すれば差し切れると思う人も多いかと思います が、気性的に馬込みに入れると力を出し切れないタイプなので、この競 馬が合っているのです。陣営も色々試して辿り着いた結論が、この最後 方からの競馬なのです。パドックでは、マイナス12キロの馬体で腹回 りがギリギリに見えましたが、気合乗りは良く、落ち着いて周回してい ました。この一戦に向けて究極の仕上げで勝負を賭けてきたのでしょう 。今後は、天皇賞(秋)、マイルCSを目指すことになりますが、超ハ イペースで前崩れの展開になれば、きっと出番があるでしょう。

 ビハインドザマスク は、後方を進み、直線に向き追い出すと鋭く伸びて5着まで追い上げま した。だいぶ調子を上げてきている印象で、走りにも迫力が出てきまし た。人気馬が大敗する中で、この5着は立派だと思います。夏場に調子 を上げるタイプなので、次走は期待できそうです。直線の長い東京コー スよりも、直線の短い阪神や小倉の方が捲くることができるので得意に しています。今年も小倉に行くようなら、人気でも狙いたい馬です。

 ジョウテンブレーヴ は、中団を進み、直線に向き、激しく追われましたが、全く伸びずに1 3着敗退。調子が良かっただけにこの敗戦には納得がいきません。ハイ ペースで進めたことと道中内側の荒れたところを走らされたことで、苦 しくなったのでしょうか。安藤勝騎手は、「道中ガツンという手応えが なく、勝負どころでもっと前に行きたかったが、とにかく反応が悪すぎ た。」と話しています。調教の動きから調子がいいと判断しましたが、 実際は良くなかったのかもしれません。この敗戦でこの馬の評価が難し くなりましたが、まだ見限れない馬です。首を使ったこの馬独特の走り が調教で見られるようなら、次走も狙いたいと思います。

 トロットスター は、1番枠からのスタートで終始内々の後方を進みましたが、直線に向 き追い出しても全く伸びずに14着敗退。高松宮記念で見せた末脚は影 を潜めたままで、逃げたヤマカツスズランさえも交わすことができませ んでした。馬場の悪い内々を通ったこともありますが、あまりに走らな 過ぎです。マイナス4キロと更に馬体が減ったことと、パドックでキョ ロキョロとして集中力がなかったことが敗因でしょうか。今後はスプリ ンターズSが目標ですが、まずはじっくり馬体を立て直して、いい状態 で出走して欲しいものです。昨年のスプリンターズSのように馬場が悪 化するようなら、好走する確率はかなり高くなるでしょう。

 スティンガー は、後方を進み、3コーナーから徐々に進出しましたが、直線で京王杯 SCの伸び脚は見られずに15着敗退。京王杯SCを勝ち今年も人気に なりましたが、見せ場すら作れずに大敗しました。太めで京王杯SCで 好走した反動が出たのかもしれませんが、調教ではいい伸び脚を見せて いただけにどうなのでしょう。毎回全力を出し切るので疲れが溜まりや すいのか、短い期間に連勝というのがない馬です。今後はそのあたりを 考慮した方が良さそうです。フレッシュな状態、末脚が生かせるレース という条件をつけて、今後は狙いたいと思います。



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