ダービー |
2001/05/27 東京競馬場 芝2400m |
■ レース展望 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 出走有力馬
■ ジャングルポケット vs クロフネ 勝つのはどっちだ! さあ、日本ダービー。皐月賞馬アグネスタキオンが離脱したのは残念ですが、なかなかのメンバーが揃いました。NHKマイルCを勝ったクロフネと皐月賞2,3着馬の ダンツフレーム、ジャングルポケットの3頭が人気になりそうです。 今のところ、ジャングルポケットとクロフネが最右翼で、3番手が ダンツフレームだと思っています。 まず、ジャングルポケットですが、 皐月賞の後も順調に調教を消化しているようです。皐月賞ではスタートで躓いて後方 からの競馬になったことが痛かったですが、伸び脚は目立つものでした。ただし、 勝ったアグネスタキオンと比較すると、馬体が少し薄く見えたのが気になるところです。 このあたりのイメージが今の時点で自信をもって本命にできない理由でもあります。 この1ヶ月でどれくらい成長しているか、じっくり見極めたいと思います。元々、 陣営は皐月賞よりダービーを目標にしており、そのために東京コースの共同通信杯を 使ったという経緯があります。そのため、今回は渾身の仕上げで望んでくるはずです。 もしも最終調教で軽めに終始するようなら、状態を疑って掛かった方がいいかもしれ ません。それくらい厳しく採点しようと思っています。距離2400mは問題ないと 思います。 次にクロフネですが、こちらはNHKマイルCを驚異的な末脚で勝ちましたが、 あれだけ激走すると疲れが心配です。実際、松田国調教師もNHKマイルCの後は ガタッときたと言っていましたが、今は坂路で調教ができているように立ち直っている ようです。それでも、最終調教でどんな動きを見せるか注目したいと思います。距離は 2000mの実績からも問題ないと思っていますが、ダービーフェスティバルで 武豊騎手が「NHKマイルCも(道中は)結構掛かっていた。ダービーはちょっと 2400mが微妙ですね。距離はもたないことはないが、折り合いが気になる。」 と発言したようです。常に的確なコメントを出す武豊騎手が言うことだけに気に なる話です。 NHKマイルCで掛かっているようには見えませんでしたが、武豊騎手が言うのですから、 やはり掛かっていたのでしょう。ただし、逆な言い方をすれば、NHKマイルCで 武豊騎手が騎乗して馬の弱点が分かったわけですから、必ずやその対策を講じてくるはずです。 昨年の菊花賞のエアシャカールもよれることが話題になりましたが、結局は勝利に 導いたことを忘れるわけにはいきません。どんな騎乗をしてくるか、武豊騎手の作戦を 読み切りたいと思います。G1で1600mから2400mのレースに出走というと、 マイルCSを勝った後、ジャパンカップに連闘で望んで2着したオグリキャップを 思い出します。クロフネもオグリキャップと同じ芦毛ですが、どんなレースを見せるか、 そのあたりも興味深いところです。 3番手は、ダンツフレームです。皐月賞では、ジャングルポケットの 内から鋭く伸びて2着を確保し、7戦4勝2着3回と連対率100%を維持しています。 昨年3連勝したときには、コロっとした馬体からマイラーだと思っていましたが、この春、 馬体を見たときに正直驚かされました。まだコロっとしてはいましたが、一気に成長した 印象で何とも伸びやかな馬体に変貌していたからです。皐月賞のレース展望で「例年なら この馬のレベルを持ってすれば勝てそう」と書いたようにそのくらいのレベルの馬です。 現に皐月賞でしっかり結果を出したので、それが間違いでなかったことを証明しました。 また、パドックで見せる目つきは、賢い馬に共通するものです。レースセンスがいいのも うなずけます。上位2頭の状態が本物でなかったり、レースで不利を被ったりすれば、 この馬が逆転する可能性は高いと思います。皐月賞のときは、NHKマイルCへの出走と 迷っていたので、仕上げはイマイチだったようです。今回は皐月賞から十分に間隔をあけ、 ダービーを目標にしてきたので、もっといい仕上げで望んできそうです。NHKマイルC への出走を考えていたという点では、昨年のダイタクリーヴァと同じで、ダイタクリーヴァ は結果12着と敗退しましたが、ダンツフレームはどうなるでしょうか。 あとは、オークスを勝って勢いに乗るデザーモ騎手が騎乗するボーンキングが気になります。 皐月賞は不利の連続でレースにならなかっただけで、また京都新聞杯は内回りの忙しい 競馬に対応できなかったと考えれば、狙い目はあると思います。兄はダービー馬フサイチ コンコルドというのも魅力です。フサイチコンコルドと同じ馬主のフサイチペガサスが、 昨年のケンタッキーダービーを勝ちましたが、そのとき騎乗していたのがデザーモ騎手です。 デザーモ騎手自身もこのことを知っているようで、「歴史は繰り返されるという言葉を 思い出した。運命かもしれない何かを感じる。」と話しているようです。切れる脚がないので、 早めのスパートでどこまで粘れるかという競馬になりますが、人気の2頭の仕掛けが遅れる 展開になれば、そのまま粘り込む可能性はあると思います。 その他では、ダンシングカラーが気になります。共同通信杯5着、若葉S3着、 ベンジャミンS1着と確実に調子を上げてきています。何より、馬体の作りが目立つ馬で かなりの素質を秘めていると思います。ベンジャミンSの勝ちっぷりも良く、34秒台の 末脚があるのも魅力です。ダンシングブレーブ産駒でオークスのテイエムオーシャンと 同じですが、リベンジなるかもしれません。穴人気になるかもしれませんが、一発の魅力 を感じさせる馬です。 ■ 必勝データ (過去10年のデータを元に分析) <重賞実績> 勝ち馬10頭のうち9頭が重賞勝ち馬で、うち4頭がG1ウイナー。 2着馬も重賞未勝利は2頭のみ。その2頭は後に菊花賞を勝つ実力を秘めていた。 重賞実績がない馬は苦しく、実績ない馬なら菊花賞で好走できる長距離馬が狙い。 <距離経験> 連対馬20頭のうち全てが2000mを経験し、18頭が連対していた。 2000mは必須。2000mで好走できない馬では苦しい。 <キャリア> 連対馬20頭のうち14頭が5〜9戦。勝利数は3勝以上が基本だが、2勝馬も 2頭連対している。使い過ぎ、1勝馬は狙いづらい。 <馬券傾向> 1−2番人気での決着は5回で堅く収まる傾向。ただし、3着以内なら7番人気以下 の馬が5頭入っている。穴馬から狙うならワイド狙いがおもしろい。 ■ 過去のレース結果
■ ステップレース
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■ 調教診断 |
■ ジャングルポケット 栗坂でラスト一杯に追われ、豪快なフットワークでしっかり伸びました。 重馬場で馬場が荒れたために時計は掛かりましたが、これだけ動けば状態面 の不安はありません。アバラが薄っすらと見える中にもトモの張りは素晴ら しく、かなり高いレベルの仕上がりです。ここにきて一気に成長したという 印象はありませんが、今のデキなら力を出し切ってくれるでしょう。 ■ クロフネ 栗坂でラスト強めに追われ、重心の低いフットワークで1番時計をマーク しました。完歩が大きいためスピード感はありませんが、豪快な脚捌きは さすがと思わすもの。1番時計で少しオーバーワークの気もしますが、 馬体を見る限りは、現時点ではNHKマイルCの疲れはないようです。 ただし、輸送があるので、前日の気配はチェックしたいところです。 ■ ダンツフレーム 栗DWで軽く追われるとラスト12.1秒の切れ味を見せ好調をアピール しました。追われてからの反応が良く、気合満点の走りは好感が持てました。 1週前に6F78秒台と一杯に追われており、質、量ともに万全の調教だと 思います。太めに見える馬体もかなり絞られており、皐月賞より明らかに 上向いています。 ■ テンザンセイザ 栗CWでラスト強めに追われ、軽快な脚捌きで切れのある動きを見せま した。追われてからの反応も良く、ここにきての充実ぶりが目立ちます。 栗毛で垢抜けた馬体は、昨年のアグネスフライトを思い出させます。 東京コース得意のトニービン産駒で穴馬にマークしたい馬です。 ■ ボーンキング 栗坂で一杯に追われ、力強いフットワークでまずまずの伸びをみせました。 この動きを見る限り、調子落ちはなさそうです。一気に上昇というわけ ではありませんが、馬体の張りも上々で、この馬なりに好調をキープして います。雨が降って時計が掛かるようなら一発ありそうです。 ■ ダンシングカラー 栗坂で一杯に追って、併走馬に1馬身遅れました。時計も遅く、 強調材料が少なくなってきましたが、張りのある馬体は保っています。 上がり馬としては、もう少しインパクトのある走りをして欲しいという のが正直なところです。 |
■ 相馬眼予想 |
日曜日の天気が気になるところでが、予報では午前中に雨が1〜2ミリ 程度降るようです。この程度の雨なら悪くてもやや重くらいかと思いますが、 もっと多くの雨が降って馬場が悪化するようなら、予想を変える必要がある と思います。変えると言っても、印をつけた3頭を変えるつもりはなく、 重馬場が得意な馬を追加するのみです。その候補としては、ボーンキング、 ルゼル、マイネルライツです。特に大雨で力のいる馬場になった場合は、 スタミナがあるボーンキングを狙ってみたいと思います。鞍上はオークス を勝って只今絶好調のデザーモ騎手です。この馬の適性を生かす的確な 騎乗をしてくれるでしょう。 まず展開ですが、週中から逃げ宣言しているようにキタサンチャンネル が逃げそうです。2,3番手はルゼルとプレシャスソングで、2400m を意識して競い合いは避けるでしょうから、平均ペースくらいの流れに なると思います。たとえキタサンチャンネルが大逃げしても、各馬は 追いかけないので、全体からみれば平均ペースの流れとみています。 さて展開のカギを握るクロフネは、どんなレースをするのでしょうか。 NHKマイルCで出遅れ気味にスタートしてゆっくりと進んだのは、 馬を1600mのペースに慣れさせないようにするためのものです。 1600mと2400mでは、ペースが違います。最初の1000mで 比較すると今年のNHKマイルCが57秒8、昨年のダービーが59秒8 ですから、ダービーの方が2秒遅いペースなのです。ペースの早い NHKマイルCでもクロフネは掛かっていたので、武豊騎手は折り合いが 気になると話しています。2400mで掛かってはスタミナがなくなり 直線で失速するのは目に見えています。では、武豊騎手はどんな騎乗を するのでしょうか。 まず折り合いをつけるために馬を前に置きたいので、手綱をガッチリ 抑えながらも馬の気分を損ねないようにして、各馬の出方を伺いながら 進めることになります。17番枠はスタート後すぐに馬を前に置けない ので、嫌な枠と思えるかもしれませんが、逆に外からスムーズに進め られれば馬の気分を損ねないというところもあるので、いい枠なのでは ないでしょうか。流れによって位置取りは変わりますが、その後の作戦は 変わらないと思います。武豊騎手は、NHKマイルCでクロフネが直線で どれくらいの脚が使えるか計れているわけですから、どこでスパートすれば いいかイメージできているからです。それが分かって騎乗するのと分からない で騎乗するのとでは大きな違いです。クロフネのいいところは、毎日杯で 11秒台を5ハロン続けて出し、好タイム勝ちしたようにスピードの持続性です。 大きなストライドでスピードに乗り、それを持続する心肺面も備えています。 ただし、大きなストライドはスピードに乗ってしまえばいいですが、 乗るまでに時間がかかるという欠点もあります。もしも直線で前をカット されるようなことがあれば、スピードが乗る前にゴールしてしまう可能性が 高いということです。このあたり武豊騎手は当然把握しているでしょうから、 その欠点を出させないように騎乗するはずです。3コーナー手前から早めに スパートし、4コーナーで2,3番手につけることで、前に馬を置かない 競馬をすると思います。早めのスパートでジャングルポケットの末脚は恐い ですが、競い合って持ち味を出すタイプではないので、自分の競馬に徹すると 思います。 クロフネが早めにスパートすることで他の馬も動き出すでしょうから、 一気にペースアップすることになります。クロフネが早めに先団に取り つくので、逃げ先行馬は苦しい競馬になりそうです。11秒台のラップを 立て続けに出すわけですから、それに耐えてさらに最後の坂をこなす逃げ 先行馬は、このメンバーにはいないと思います。こんな展開になれば、 当然狙いは差し馬です。差し馬でも3コーナーから早めにスパートするわけ ですから、長くいい脚が使えないと好走するのは難しいでしょう。 候補としては、ジャングルポケットとダンツフレームです。どちらも絶好の 状態で出走できるので、クロフネを負かす可能性があると思います。 では、この3頭のどれが勝つのでしょうか。 本命で狙ってみたいのは、ジャングルポケットです。皐月賞は躓いて後方 から強引な競馬で3着でしたが、1番長く脚を 使ったのは間違いなくこの馬です。クロフネの武豊騎手と同じように ジャングルポケットの角田騎手もどれくらいの脚が使えるか分かっています。 道中はクロフネの出方を伺いながら、ゴール前できっちりクロフネを 差す競馬を意識しているはずです。18番枠も内枠でごちゃつくよりは良く、 今度はゲートで待たされることもないので、この馬にとっては、コースロス を差し引いてもいい枠ではないでしょうか。共同通信杯ではゴール前でヨレて 気の悪さを見せましたが、今回はそんなに早く先頭に立つことはないので、 最後までしっかり走ってくれるでしょう。ゴール前でクロフネを差す 姿が目に浮かびます。 あとは、クロフネとダンツフレームですが、クロフネを上位に取りたいと 思います。現時点での完成度は非常に高く、2000mの毎日杯であれだけ 強い競馬をしているわけですから、折り合いさえつけば2400mの距離も 問題ありません。中2週のG1連戦で疲れが気になるところですが、調教を みる限り疲れは感じられません。NHKマイルCをダービーのトライアルレース と考えれば、中2週も当然のことで、気にする必要はないのではないでしょうか。 今年はまだ2戦しかしておらす、他の馬よりゆったりとしたローテーション なのも好感が持てます。ダービーの結果次第では、宝塚記念に出走すると いう話が陣営から出ています。こういうタイプは3歳でピークを迎えることが 多いですが、少なからず陣営もそう見ているようです。現時点で古馬とでも 好勝負できる実力を持ったクロフネが対抗です。 ダンツフレームは、調教の動きが素晴らしく、明らかに皐月賞よりいい状態 で出走できそうです。この馬の持ち味は、 競馬センスの良さと末の切れ味です。今回は馬込みでじっと我慢して、 末を生かす競馬に徹するはずです。長くいい脚というより、どちらかと言うと 切れ味で勝負するタイプなので、3番手評価としました。折り合いがつくので、 言われているほど距離は問題ないと思います。アグネスタキオンと アグネスゴールドがリタイアしてもダービーで3番人気の馬に騎乗できる河内騎手 のツキも見逃せないものがあります。 ◎ジャングルポケット ○クロフネ ▲ダンツフレーム |