スプリンターズS
2001/09/30 中山競馬場 GT 芝1200m

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レース展望

出走有力馬 (上位評価の馬から説明)

ダイタクヤマト
昨年は最低人気で優勝し単勝257.5倍と馬連257倍を演出した馬ですが、 今年は堂々と人気馬として登場します。順調度、中山芝1200m3戦3勝 の実績から、おそらく今年は1番人気でしょう。 前走のセントウルSでは、プラス16キロとやや重め残りでしたが、3番手か ら直線良く伸びました。馬が走ることに前向きになっているのも好印象で、7歳馬 ですが衰えは全く感じられません。1週前の調教でも坂路でいい動きを見せて おり、馬体も絞れて更に調子を上げています。以前は一本調子で逃げる競馬を していましたが、昨年のスワンSの頃から自在性が出て、好位から差す競馬が できるようになっているのは大きいことです。最終調教でどんな動きを見せる か、調教駆けするタイプではないので、タイムよりも気配で調子を見極めたい と思います。展開、枠順、馬場と見極めなければならないポイントはたくさん ありますが、現時点での充実度から上位争いは必死でしょう。
メジロダーリング
函館スプリントS、アイビスSDを連勝して勢いに乗って出走してきました。 これまで重賞で苦戦をしていた馬が、重賞を連勝したのですから評価しない といけないでしょう。馬体重は変わりませんが、元々ポッチャリとした馬で すが、脚や首が少し伸びたのか、この夏はスラッとして切れ味のある馬体になっ ています。前走のアイビスSDでは、ハイペースで各馬苦しい中、最後に差し 切ったのは底力の証でしょう。それが即G1で通用するかというと疑問もあり ますが、年とともに自在性が出て、差す競馬ができるようになったのは収穫で す。1週前の調教は美坂で3F34.8秒の猛時計を叩き出しました。 陣営もこの一戦に向けて、究極の仕上げで望んでこようとしています。最終 調教では、先週一杯にやった反動がないかを見極めたいと思います。
トロットスター
春の高松宮記念を勝ち、スプリントG1連覇を狙っていますが、安田記念か らのぶっつけだけにどうなのでしょうか。この中間一頓挫あって、調教が遅 れているようです。1週前調教は、南Wで3頭併せて5F62.9秒と時計 は出ましたが、馬体は腹回りが太く見えました。陣営は先週の時点で7分の 仕上がりと話しているようです。本番に向けて、どこまで絞れてくるか、 いい頃の張りがどこまで戻るかが、ひとつのがキーポイントになるでしょう。 今回は逃げ先行馬が多いので、超ハイペースになれば、展開的にはこの馬が 有利ですが、高松宮記念のときの末脚を使えるか、現時点では期待より不安 の方が大きいといった感じでしょうか。
ゼンノエルシド
京成杯AHをレコード勝ちし、G1獲りに参戦してきました。これまで15 00m以上の距離経験しかなく、1200mは初距離になるだけに適用能力 がどれくらいあるかがポイントです。京成杯AHの勝ちタイムが1分31秒 5で、ラスト2Fが12.1秒、11.8秒なので、逃げたユーワファルコン は1200mを1分7秒6で通過してことになります。ゼンノエルシドは、 3馬身くらい後ろだったので、これに0.6秒をプラスして1分8秒2。 時計的には通用しそうですが、果たしてこれを素直に信用していいものなのか の見極めは必要でしょう。ただし、ハイペースだと折り合いがつくことは 確かなので、全く対応できないということはないと見ています。あとは、 京成杯AHでは53キロでしたが、今回は57キロなので4キロのアドバン テージがなくなります。これらと最終調教を含めて、トータルで判断しよう と思います。
テネシーガール
昨年12着に大敗したセントウルSで今年は逃げ切り勝ちを収め、人気馬 としてG1レースに出走することになりそうです。春はG1の高松宮記念で、 16番人気ながらも3着して能力のあるところを見せました。元々短距離適 性の高い馬で、これまで何度も重い印をつけてきましたが、4歳になってや っと充実してきたといった印象があります。今回は初めて中山コースで、直 線の坂を如何にしてこなすかが課題でしょう。逃げ先行馬が揃ってハイペー ス必死ですが、その中でどのポジションにつけられるのか、それとも思い切 って行くのか、枠順に大きく左右されそうです。高松宮記念のように外から スムーズに進めるのが一番この馬には合うような気がします。今週から仮柵 が外されるので、もし内枠を引くようなら思い切って行くことになるでしょ う。枠順と土曜日の競馬での馬場状態の見極めが重要になりそうです。
ブレイクタイム
15番人気だった安田記念で2着し、10万馬券を演出しました。芝1200 mはこれまで4戦して1021とこなせないことはないですが、2歳時より ズブくなっていることを考えると少し距離不足の印象があります。今回は7 月以来、約3ヶ月ぶりの実戦なので、仕上がりがどうなのかがポイントでし ょう。調教駆けする馬なので時計に騙されてはいけませんが、1週前調教で は既に坂路で50秒台を出しています。安田記念で見せたハイペースで行っ てもバテない強味を生かし切れるか、今最も勢いのあるデインヒル産駒だけ に注意は必要でしょう。
ビハインドザマスク
昨年は4連勝後にスプリンターズSに出走し3番人気と評価されましたが、 最後方から追い込み切れずに11着に敗れました。馬場が悪く、前残りの 競馬で持ち味を生かし切れずに終ってしまいました。昨年のセントウルS で見せた3F33.2秒の末脚はG1級なので、展開さえ向けばG1でも 上位争いできる馬だと思っています。ただし、今年は昨年の勢いがないこと と馬に覇気が感じられないところが少々気掛かりです。最終調教で気合の 乗った動きを見せれば狙い目はあると思いますがどうでしょうか。今年 は逃げ先行馬が多くハイペースになりそうなこと、出走頭数が少ないので 馬群を捌き易いところは、追い込み馬にとっては願ってもないことでしょ う。体調と馬場状態次第でチャンスがあるとみています。
フィールドスパート
3歳馬ですが、夏に古馬と対戦して力をつけています。札幌日刊スポーツ 杯(OP)ではタイキトレジャーと0.1秒差の3着、続くキーンランド C(OP)では0.2秒差の2着と古馬相手に差のない競馬をしています。 今回は一気にメンバーが強化されますが、相手なりに走るタイプなので、 持ち前の競馬センスを武器にしぶとい競馬をしてくれるでしょう。現時点 では、大きな期待をかけるまでいっていませんが、古馬のデキが一息な ら、勢いのある3歳馬を狙うのもひとつの手でしょう。

 <GMのひとりごと>
1999年の9、10月にダイタクヤマトとメジロダーリングは熾烈な戦 いを繰り広げていました。その当時は、どちらも単調な逃げ馬で、逃げた方 がいい結果を出していたのです。仲秋ステークスでは逃げたダイタクヤマト が1着で2番手を進んだメジロダーリングが2着、京洛ステークスでは、 その逆で逃げたメジロダーリングが1着で2番手を進んだダイタクヤマトが 2着でした。ただ2頭とも譲らないでハイペースで飛ばすと共倒れになる こともしばしばありました。1200mが得意な両馬は、だいたい同じレース に出走していたので、両陣営とも嫌な存在だったと思います。この2頭が 共に重賞を勝ち、有力馬としてG1レースで対戦することになりました。 両馬ともに自在性が出てきて好位からの競馬ができるようになっているの で、今回は競い合うことはないでしょうが、この2頭の争いは非常に興味 があります。競馬って面白いですね。さて今回はどちらが先着するので しょうか。

= ちょこっとデータ =
・ダイタクヤマト  1番人気[3211] 2番人気[3106] 3番人気[0022]
  =>1番人気だと連対率7割を超えます。ダイタクヘリオスの息子とは思えませんね。(笑)

・メジロダーリング 1番人気[2212] 2番人気[3112] 3番人気[2101]
  =>1〜3番人気なら、連対率6割5分で堅実に走ります。




2001年スプリント&マイル路線ステップレース

日付レース1着馬2着馬
2001/01/05京都金杯ダイタクリーヴァエリモセントラル
2001/01/28東京新聞杯チェックメイトシンコウエドワード
2001/02/04シルクロードSトロットスタータイキトレジャー
2001/02/25中山記念アメリカンボスジョウテンブレーヴ
2001/02/25阪急杯ダイタクヤマトブラックホーク
2001/03/25高松宮記念トロットスターブラックホーク
2001/04/01タービー卿CTチェックメイトエイシンプレストン
2001/04/14マイラーズCジョウテンブレーヴメイショウオウドウ
2001/05/13京王杯SCスティンガースカイアンドリュウ
2001/06/03安田記念ブラックホークブレイクタイム
2001/07/01函館スプリントSメジロダーリングタイキトレジャー
2001/08/05関屋記念マグナーテンクリスザブレイヴ
2001/08/19アイビスSDメジロダーリングシンボリスウォード
2001/09/09京成杯オータムHゼンノエルシドクリスザブレイヴ
2001/09/09セントウルSテネシーガールダイタクヤマト


     <GMのひとりごと>
    テネシーガールをもう少し考えてみましょう。

    ■ 1999年のセントウルS
      ハロンタイム 11.9−10.7−10.7−11.3−11.1−11.9
      前半3F33.3秒 後半3F34.3 合計1分7秒6(ビハインドザマスク)
      テネシーガールの走破タイム 1分08秒4

      テネシーガールとジョーディシラオキとロードアヘッドの3頭で、前半から
      ガリガリやって直線で失速。テネシーガールは1番枠で行かざるを得なかった。

    ■ 2000年のセントウルS
      ハロンタイム  12.1−10.6−10.9−11.0−11.3−12.2
      前半3F33.6秒 後半3F34.5秒 合計1分8秒1(テネシーガール)

      カルストンライトオの出脚が悪かったため、テネシーガールは前半少し楽できた。
      外枠からスムーズな競馬ができたのも良かった。

      テネシーガール、このあたりをどう考えるかがポイントになりそうです。
      実は昨年のセントウルSは、テネシーガールが本命でした。
      まさか一年遅れて勝つとは・・・・(><)




必勝データ (過去10年のデータを元に分析)

強い1,2番人気
過去10年で1番人気は7連対、2番人気は5連対と信頼度は高い。 1,2番人気での決着は3回、馬連3桁配当は5回と堅い決着が目立つ。 最も重視したいデータは、1,2番人気がどちらも連対しなかった年 がないということ。最低人気のダイタクヤマトが勝って大荒れになった 昨年でさえも、1番人気のアグネスワールドがきっちり2着している。1,2 番人気を軸にした馬券作戦を組み立てたい。
強い外国産馬
94年にビコーペガサスが初めて連対して以来、7年連続して外国産馬 が連対中。最近7年の連対馬14頭のうち、外国産馬11頭と圧倒的な 強さを見せている。外国産馬が1,2番人気になったときの信頼度 はかなり高いので無理な穴狙いは避けた方がいい。
基本は先行馬狙い
連対馬20頭の内訳は、逃げ2先行9差し4追込5で、先行馬が好成績 を残している。例年、前半3F32秒後半から33秒前半のハイペースに なるので、前に行った馬は息を入れられずに失速するケースが目立 つ。超ハイペースで差し追い込み馬にも出番があるが、外が伸びる 馬場というのが条件になる。



過去のレース結果 (2000年のレース回顧にポイントが隠されている!?)

日付1着馬2着馬馬連配当
1996年 フラワーパーク エイシンワシントン 750円
1997年 タイキシャトル スギノハヤカゼ 1,130円
1998年 マイネルラヴ シーキングザパール 15,920円
1999年 ブラックホーク アグネスワールド 630円
2000年 ダイタクヤマト アグネスワールド 25,700円


調教診断

ゼンノエルシド A/
南Wで馬なりでしたが、回転の早いフットワークでスピード感十分の 動きを見せました。軽めの調教ですが、柔らかさのある走りと馬体の 張りが目立ち、前走より良化しています。黒光りする毛づやも相変わ らずで、叩き3戦目でほぼ完調と言っていい仕上がりです。初の12 00mをこなせるか課題は残りますが、今のデキなら力を出し切って くれるでしょう。
メジロダーリング A/
美坂で馬なりでサイレントハンターと併せて、軽く仕掛けられると鋭 く反応して楽に先着を果しました。相変わらず元気一杯の動きで、先 週坂路で34秒台を出した反動は感じられません。馬体の張りも抜群で、 馬自身が走る気になっているのも好印象です。デキ自体は不安がない ので、あとはこの馬の競馬に徹して、力がG1で通用するかどうかで しょう。
ダイタクヤマト A→
栗坂で一杯に追って、力強い脚捌きで最後まで気を抜かずに登坂しま した。ラスト13.8秒掛かりましたが、馬場が悪かったこと、元々 調教駆けしない馬であることから、それほど気に する必要はないでしょう。馬体は引き締まってきましたが、まだ少し 余裕が感じられます。馬体の張りと毛づやが目立ちますが、まだ絶好 調までは行っていない感じがします。馬体が引き締まった分、前走よ り若干良化としておきます。
ブレイクタイム B/
栗坂で一杯に追われて、豪快な脚捌きでこの日の1番時計(50.6 秒)を出しました。3ヶ月ぶりの出走になりますが、馬体の張り、毛 づやも良く、9分通り仕上がっています。もう少し落ち着いて走って もらいたいところはありますが、この豪快さがこの馬の良さでもある ので、これでいいでしょう。しぶとい走りが見られそうです。
テネシーガール B/
栗CWで一杯に追われて、軽快な脚捌きでラストもしっかり伸びまし た。前走と同じような調教ですが、動きに力強さが出てきたところが 好印象です。前走から大幅に良化した印象はありませんが、反動もな く、使った分鋭さが増してきています。あとは、初の中山コースをど うこなすか、精神面を含めて判断する必要がありそうです。
トロットスター B→
南Wで強めに追われて、ラスト12.3秒の切れ味を見せました。 しまい重点だったので、これくらいの切れ味は当然の感がありますが、 それほど悪くは見えませんでした。ただし、まだ馬体は太く、張りも イマイチなので、仕上がりとしては8分程度でしょう。今年はメンバ ーがそれほど強くなく、既に負かした馬ばかりなので、このデキでも 勝負になる可能性は少なからずあるとみています。

相馬眼予想

 16番人気のダイタクヤマトが優勝してビックリさせられた昨年のスプリンターズS から早や1年、さあ今年はどんなドラマが生まれるのでしょうか。昨年の覇者ダイタク ヤマトは前日オッズで2番人気。昨年優勝したときはフロックと言われましたが、その後 スワンS1着、マイルCSでもあわやのシーンを作って4着したことで実力が認めら れ、今年は阪急杯1着、高松宮記念は8着でしたが、前哨戦のセントウルSで59キロ を背負って2着したことが評価され人気になっています。 父のダイタクヘリオスは、スプリンターズSは2回出走して勝つことはできませんでしたが、 マイルCSでG1連覇を果たしています。さあダイタクヤマトは、スプリンターズSを連覇 できるのでしょうか。

 まず気になる天気ですが、雨は夕方から降りそうですがレースまではぎりぎり持ちそう です。ここでは良馬場として予想することにします。今週から中山はAコースで、仮柵が 取り除かれ内側6mは絶好の状態です。土曜日の500万条件の芝1200m戦の勝ちタイムが1分 8秒3で、中山2日目の同条件が1分7秒9ですから、開幕週より少し時計が掛かる程度 でかなりいい馬場状態です。昨年は夏場に使われたため馬場が荒れていましたが、今年は 芝が張り替えられたこともあり、馬場は非常にいい状態です。ひとつ目のポイントは この馬場です。昨年は1分8秒6掛かりましたが、今年は1分7秒台前半の決着になるでしょう。 もしかすると1分6秒台の日本レコードが出るかもしれません。高速決着になるのは、 間違いないですが、これまでのスプリンターズSとは違うポイントが隠されています。

 一昨年までスプリンターズSは12月に行われており、芝は冬枯れして、かつ馬場は 荒れ気味で力のいる馬場状態で行われていました。そんな馬場状態でも1分7秒後半の タイムが出ていますが、サクラバクシンオーは別格として、1200mが得意なスピード 馬が好走しているというわけではありません。マイルくらいの距離で実績のある馬が 好走しているのです。荒れ気味の馬場でハイペースになることで、1200mまでの 馬ではスタミナがなくなってしまうというのがその理由でしょう。まとめると、 これまで高速決着のときは、マイルくらいの距離での実績のある馬がスタミナを生か して好走しているということになります。

 これに対して、開催時期が9月になったことで馬場が変わりました。昨年は夏場使っ たので別として、今年は非常にいい状態です。馬場が良いことで、高速決着になって もスタミナ勝負にはならないのではないでしょうか。1200mが得意なスピード馬 でも十分に勝負になるというのが、この時期に変わったスプリンターズSのポイント だと思います。馬場がいい内側を走れる1200mが得意な逃げ先行馬が有利になり ます。今年はこのことを念頭に入れて予想していきたいと思います。

 次に各馬の調子ですが、調教で動きが目立ったのは、ゼンノエルシド とメジロダーリングの2頭です。それでも2頭ともに絶好調という訳ではありません。 ゼンノエルシドは気配はいいですが、G1に向けてはもう少し強めに仕上げて欲しい ところもあるし、 メジロダーリングは元気一杯ですが、絶好調時はもっと首を使って迫力を見せる馬 なので、良化はしているけども絶好調まではいっていないとみています。ダイタク ヤマトとテネシーガールは、前走より若干良化している印象で、ブレイクタイム は久々としてはまずまずの仕上がりです。今回は絶好調の馬がいないように思えるので、 これまで挙げた5頭は全て力を出せると判断することにします。特にどの馬が狙い目 があるということはここでは避けたいと思います。逆に調教の動きがあまり良く見え なかったのは、トロットスターとビハインドザマスクです。トロットスターは、 馬体は太く張りもイマイチなので8分程度の仕上がり、ビハインドザマスクもやや 太めで絶好調だった昨年と比較すると迫力の面でも劣っています。どちらも切れる 末脚はありますが、調教からは少し割り引く必要がありそうです。

 次に展開ですが、今回は早いペースで逃げられる馬が揃っています。内から、 メジロダーリング、ユーワファルコン、シンボリスウォード、ブレイクタイム、 ダイタクヤマト、テネシーガールの6頭です。ブレイクタイムとダイタクヤマト は逃げようと思えば逃げられる脚がありますが、これだけ逃げ馬が揃った今回は、 ある程度控えて好位から差す競馬をすることになりそうです。テネシーガールは 外枠を引いたので、思い切って逃げるというよりは高松宮記念と同じように外から スムーズに3,4番手を進む競馬でしょうか。 メジロダーリングは内枠を引いたので抑えては包まれる可能性があるので行かざる を得ないでしょう。前走のアイビスSDで差して勝ったとは言っても、直線コース での話で、差したというよりスピードがついて交わしたという方が正解でしょう。 今回控える競馬はないと思います。またユーワファルコンとシンボリスウォードは、 逃げてこその馬なので逃げることになるでしょう。どの馬が先頭かは分かりません が、メジロダーリング、ユーワファルコン、シンボリスウォードの3頭が逃げて ハイペースの展開になるとみています。


日付レース距離タイム前半後半ラップ
00/09/10セントウルS阪神12001.07.633.334.3 11.9-10.7-10.7-11.3-11.1-11.9
00/10/01スプリンターズS中山12001.08.633.035.6 11.7-10.5-10.8-11.0-11.7-12.9
01/09/09京成杯AH中山16001.07.633.733.9 12.1-10.9-10.7-11.1-11.2-11.6
01/09/09セントウルS阪神12001.08.133.634.5 12.1-10.6-10.9-11.0-11.3-12.2
01/09/22セプテンバーS中山12001.08.133.834.2 11.9-10.8-11.1-10.9-11.5-11.8
*京成杯AHのタイムは1200m通過タイム。後半3Fを4〜6Fのタイム。


 ではハイペースの展開として、前半3Fはどれくらいになるのでしょうか。昨年の スプリンターズSで逃げたユーワファルコンは前半3F33.0秒でした。2番手の ダイタクヤマトと競い合ったわけではなく、また馬場が悪い状態でこのタイムですか ら、逃げ馬が揃った今年はもっと早いタイムが出ても不思議でありません。ただし、 今回は逃げ馬が多く、それが逆に各馬オーバーペースで行ったら坂で止まるという 意識が強くなりそうなので、32秒台 の超ハイペースにはならないと思います。33.0〜33.4秒くらいのペースで しょうか。ここでは、33.2秒と想定して話を進めます。勝ちタイムが1分7秒台 前半の決着、仮に1分7秒2で決着するとすると後半3F34.0秒ということに なります。

 まず逃げ先行馬ですが、ユーワファルコンとシンボリスウォードは1分7秒台で 走ったことがなく、かつ1200m戦で前に行って34秒前半で上がれたことがあり ません。テネシーガールも1分7秒台で走ったことはありませんが、逃げて34.1 秒で上がったことがあります。メジロダーリングは1分7秒4の持ち時計があり、 かつ33秒台後半で上がった実績があります。好位からのダイタクヤマトとブレイク タイムですが、ダイタクヤマトは 1分7秒6の持ち時計と34秒台前半の脚がありますが、ブレイクタイムは先行して 34秒台で走れた実績はありません。本質的にブレイクタイムはパワー型で高速馬場 でのスピード勝負に強いタイプではありません。差し馬なら33秒台の末脚が使える 馬ということになりますが、候補としてはトロットスターとビハインドザマスクで しょう。どちらも1200m戦での切れ味は現役屈指の存在です。ただし、両馬とも 好調とは言えない状態なので、33秒台の末脚が使えるかは、はっきり言って疑問 です。スローペースの上がり勝負の競馬ならともかく、1200m戦の厳しい流れ で究極の上がりを使うのは難しいでしょう。展開からは、メジロダーリングとダイタ クヤマトが狙い目十分で、これにテネシーガールが続きます。

 問題はゼンノエルシドです。1番人気の馬なので、この馬の取捨が2つ目のポイントです。 これまでの最低距離は1500mで初の1200m戦になりますが、3F33秒台 前半の早い流れに対応できるのでしょうか。京成杯AHは前半3F33.7秒の流れ の中、自身の前半は34秒台前半程度。抑え気味だったので、33秒台で行くことは 可能でしょうが、さすがに今回は中団くらいの位置取りでしょうか。中団で流れに乗って、 直線で差す競馬をすることになりそうです。直線でどれくらいの脚を使えるのか、 前走より道中は楽ではないですから、33秒台の末脚を使うのは難しいと判断します。 1200m戦のペースに慣れている馬ならともかく、初めての馬にそこまで要求する のは酷でしょう。ただし状態はいいですから、未知の魅力に駆けてみたい気持ちは あります。

 さあ最終決断を下します。各馬の調子と展開からの見極めで残った馬は、 メジロダーリング、ダイタクヤマト、テネシーガール、ゼンノエルシドの4頭です。 G1馬のトロットスターの扱いですが、今回の状態では連対は難しいと判断しました。 高松宮記念でいいとは言えない状態で勝ったのだからと言う人がいるかと思いますが、 雨が降って上滑りする馬場で他馬が苦にした分有利だったことと、得意の左回りだった ことで何とか対応できたのだと思います。今回は勝ったことがない中山コースで それもパンパンの良馬場ですから、高松宮記念のようなアドバンテージはないと 思います。

 本命は、ダイタクヤマトです。外枠を引いたので好位からスムーズに進め、直線 で逃げ粘るメジロダーリングを差し切れるとみました。中山芝1200mをこれまで 3戦3勝の実績は他の馬にはないものです。7歳馬ですが馬体の張りは素晴らしく、 全く衰えはないので、高速決着になっても十分に対応できるでしょう。スプリンターズ S連覇を期待します。

 対抗は、メジロダーリングです。これまではG1ではどうかというイメージが ありましたが、高速決着なら話は別です。開催時期が変わって馬場のいい状態 でやれるのが、この馬に最も有利に働きそうです。寒くなると体が堅くなるところ があるので、この時期にやれるというのも大きなことです。内枠を引いたことで 陣営も思いっきりがついたでしょうから、小細工なしにスピード勝負してくれる でしょう。

 3番手は、ゼンノエルシドです。G1を勝つ馬はどこかでインパクトのある レースをしているという持論がありますが、京成杯AHのレースぶりにそのイン パクトを感じました。クリスザブレイヴとイーグルカフェを子供扱いした走りは、 G1で通用するものだと思います。ただし、今回は前述した通り、初の1200 m戦だけに少し評価を下げました。タイキシャトルも芝1200mを未経験で スプリンターズSを勝ちましたが、タイキシャトルは抜群の競馬センスがあった のに対し、ゼンノセルシドにはそこまでの競馬センスがまだないと思います。 これから伸びる馬だと思いますが、今回は3番手評価にしておきます。

 あとは、テネシーガールです。セントウルSは絶好のスタートとカルストン ライトオの出脚が悪く道中少し楽ができたこともあり、全てが上手く行っての 1着という印象があります。初めての中山コースで、それもG1レースでもう 1回全てが上手く行くと考えるのは早計でしょう。外枠を引いたのでスムーズ に進められそうなのはいいですが、持ちタイムがない分、上位2頭より評価を 下げました。それでも、状態は前走より若干上向いていますから、直線で粘り 強い走りを見せてくれるでしょう。

 もう1頭は、ブレイクタイムです。先行して34秒台で走れた実績はあり ませんが、前々走の安田記念で2着に粘り成長していることを証明したので、 これまでの実績を無視して狙ってみたくなります。更にペースが早くなって、 上がりが掛かるようなら出番があるでしょう。

     ◎ダイタクヤマト
     ○メジロダーリング
     ▲ゼンノエルシド
     △テネシーガール
     注ブレイクタイム


レース結果

 2001年4回中山8日( 9月 30日) 11R  
 第35回 スプリンターズステークス(GI) 
 サラ系3歳以上 1200m 芝・右 外  
 (国際)(指) オープン 定量 
 本賞金: 9400、 3800、 2400、 1400、 940万円 発走 15:35 
 天候:曇  芝:良  
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 着 予 枠 馬      馬  名         性齢  重量     騎手   タイム   着差       馬体重   調教師  人気
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  1   4  4    トロットスター   牡 5 57.0kg  蛯名正義 1:07.0 レコード   456Kg +24 中野栄治  4
  2 ○ 2  2    メジロダーリング  牝 5 55.0kg  田中勝春 1:07.0 クビ     496Kg  +2 大久保洋  3
  3 ◎ 7  9 (父)ダイタクヤマト   牡 7 57.0kg  江田照男 1:07.0 ハナ     486Kg -18 石坂正   2
  4   6  7 (外)シンボリスウォード 牡 6 57.0kg  後藤浩輝 1:07.1 1/2馬身  494Kg  -6 藤沢和雄  9
  5   3  3 (外)ジョンカラノテガミ 牡 6 57.0kg  佐藤哲三 1:07.1 アタマ    510Kg   0 阿部新生 10
  6   1  1    ビハインドザマスク 牝 5 55.0kg  福永祐一 1:07.2 クビ     466Kg  +6 北橋修二  6
  7   7 10 (外)トキオパーフェクト 牡 6 57.0kg  木幡初広 1:07.2 クビ     462Kg   0 古賀史生 12
  8 注 6  8    ブレイクタイム   牡 4 57.0kg  松永幹夫 1:07.4 3/4馬身  540Kg  -6 山本正司  5
  9   8 12 (外)フィールドスパート 牡 3 55.0kg  藤田伸二 1:07.5 1/2馬身  496Kg  -2 山内研二 11
 10 ▲ 5  6 (外)ゼンノエルシド   牡 4 57.0kg  横山典弘 1:07.5 ハナ     480Kg  +2 藤沢和雄  1
 11   5  5    ユーワファルコン  牡 4 57.0kg  柴田善臣 1:07.6 1/2馬身  492Kg   0 堀井雅広  8
 12 △ 8 11 (外)テネシーガール   牝 4 55.0kg  山田和広 1:08.3 4馬身    496Kg  +6 坪正直   7
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 ハロンタイム  11.8 - 10.1 - 10.6 - 11.2 - 11.4 - 11.9  
 上り  4F 45.1 - 3F 34.5 
 3コーナー  (*2,5)(8,11)9(6,10)(4,7,12)-3,1  
 4コーナー  (*2,5)(6,9,8,11)7(10,12)4,3,1  

 <払戻金> 
 単勝 04 810円 4番人気  枠連   2- 4 2,950円 12番人気
 複勝 04 270円 5番人気  馬連  02-04 3,000円 12番人気
    02 200円 3番人気  ワイド 02-04 1,030円 11番人気
    09 120円 1番人気      04-09   510円  5番人気
                      02-09   390円  2番人気

レース回顧
           



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