宝塚記念 |
2001/06/24 阪神競馬場 芝2200m |
■ レース展望 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 出走有力馬
■ G1−8勝でルドルフを超えるか!? 21世紀の名馬テイエムオペラオーに注目 さあ、春のグランプリレース宝塚記念。頭数は少ないですが、なかなか の好メンバーが揃った印象で熱い戦いが見られそうです。過去に宝塚記念 を連覇した馬はおらず、昨年の覇者テイエムオペラオーが勝てば初めての ことになるそうです。昨年、数々のジンクスを全て破ってきたテイエムオ ペラオーだけに、今更そんなジンクスを気にする必要もないでしょう。昨 年の天皇賞(春)以来、G1は負け知らずの6連勝。3歳時の皐月賞優勝 を合わせるとG1はこれまでに7勝で、今回勝てばシンボリルドルフを抜 き単独で歴代1位になります。そういう面からもテイエムオペラオーがど んな走りを見せるか注目したいと思います。 テイエムオペラ−は、天皇賞(春)優勝後も順調に調教を消化し、2週 前、そして1週前調教で抜群の動きを見せました。昨年の宝塚記念では調 子がイマイチでしたが、今年は非常にいい状態で出走できそうです。距離 2200mで高速決着に不安がないとはいえませんが、少なくとも大阪杯 よりも調子がいいわけですから、あれほど簡単に差されることはまずない でしょう。2000m戦で5戦4勝、そのうち2勝は皐月賞と天皇賞(秋) なのですから、実績から言っても距離を心配する必要はないと思います。 宝塚記念は、強い馬が先行して底力勝負に持ち込めば好勝負できるレース なので、底力があるテイエムオペラオーには有利なレースだと思います。 ひと雨降って馬場が渋るようなら、今までの実績から更に有利になります 。最終調教でいい動きを見せるようなら、まず負けることはないとみてい ます。 悲運の名馬なのか、それともこれから快進撃をするための序曲なのか、 G1を5戦連続してテイエムオペラオーの2着しているメイショウドトウ の走りに注目が集まります。昨年から9戦連続して連対を続けており、テ イエムオペラオー以外の馬には先着を許していません。それだけに陣営も どうにかして負かしたいと思っていることでしょう。良馬場の高速決着で 逆転の目があると思っている人が多いようですが、私は全く逆の考えです 。テイエムオペラオーが悪い馬場に助けられたと言われていますが、実は メイショウドトウも少なからず恩恵を受けていると思うのです。勝ったG 2でも、金鯱賞はやや重(タイムは早い)、オールカマーは重馬場、日経 賞は中山の荒れ馬場と、結局みな悪い馬場での勝利でした。良馬場で高速 決着よりは、力のいる馬場で持ち味を生かすタイプだと思います。大雨で 馬場が不良まで悪化するようなら、逆転の目があると思います。中間の調 教も順調で、調子はまずまずのようです。ベストの距離でテイエムオペラ オーにどんな戦いを挑むか、安田康騎手の騎乗にも注目したいと思います。 日経新春杯を優勝後ドバイに遠征し、ドバイシーマクラシック(G2) を見事に勝ったステイゴールドは、7歳になっても衰えは見られません。 それどころか、気性が前向きになり、ようやくここにきて完成した印象が あります。勝てなかった馬が1回勝てば連勝すると言い続けてきましたが 、まさかドバイでそれもファンタスティックライトを差し切って勝ってし まうとは思いませんでした。終始馬込みで揉まれる展開でしたが、直線で 外に出すとしぶとく伸びて優勝した姿は貫禄さえ感じられました。宝塚記 念は今年で4回目の出走で、過去2,3,4着と着順が下がっていますが 、今年は何かやってくれるような予感を感じている人も多いのではないで しょうか。ドバイでかなり馬体重が減っていたようなので、どれくらい戻 っているかが、まずはポイントになりそうです。サイレンススズカの2着 したときのように、ハイペースの高速決着で底力勝負になれば好走できそ うです。できれば、良馬場で走らせたい馬です。 天皇賞は5着に敗れましたが、この距離なら巻き返せそうなアドマイヤ ボスも気になります。まだ7戦しかしておらず、一戦一戦力をつけてきた 印象で、馬体もだいぶ成長してきました。大阪杯で早めに仕掛けて、テイ エムオペラオーとの叩き合いを制しただけに、この距離なら一発あっても 不思議でありません。テイエム陣営もこの馬が早めに仕掛けてくるのが、 最も嫌なはずです。瞬発力勝負ならテイエムオペラオーに引けを取らない ので、それを生かす競馬ができれば、負かすチャンスはあるでしょう。デ ザーモ騎手が騎乗するのも魅力です。 天皇賞は馬場に脚を取られ大敗しましたが、エアシャカールも気になる 存在です。良馬場で末脚勝負なら巻き返す力は十分あると思います。菊花 賞を制した後、ジャパンカップで大敗して、弱い世代のレッテルを貼られ ていますが、決して現4歳馬のレベルは低くないと思います。ジャパンカ ップは、夏の海外遠征の疲れが出て大幅な馬体減となり、本調子でなかっ たので、結果にこだわる必要はありません。直線でよれたり、パドックで 飛び跳ねたりとうるさい馬ですが、雨が降ると落ち着くタイプなので、雨 の多いこの時期は落ち着いているかもしれません。ただし、良馬場で持ち 味を生かすタイプなので、レース当日は晴れて欲しいところです。今年も G1レースで中心にいていい馬です。 あとは、大阪杯でテイエムオペラオーの連勝止めたトーホウドリームと 、金鯱賞で豪快に差し切り勝ちし復活したミッキーダンスも気になります 。トーホウドリームは、今回も安藤勝騎手で何とも不気味な感じがするし 、各馬早仕掛けで最後の坂で止まるようなことになれば、大阪杯の再現も 夢ではないでしょう。ミッキーダンスは、この時期に調子を上げるタイプ なので注意が必要です。 ■ 必勝データ (過去10年のデータを元に分析)
■ 過去のレース結果
■ ステップレース
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■ 調教診断 |
■ テイエムオペラオー A↑ 栗CWで直線一杯に追われると重心を沈めて鋭く伸び、併走馬を5馬身 ちぎりました。重馬場で6F80秒7は早いタイムで、この日の1番時計 でした。タイムより注目したいのは、追われてからの反応と馬体の張りで 、間違いなく絶好調だと思います。昨年の宝塚記念は少し調子が下降気味 でしたが、今年は上昇カーブを描いています。万全の仕上がりで出走でき そうです。 ■ エアシャカール A↑ 栗坂で一杯に追われ、ラスト12秒6の切れ味を見せ、好調をアピール しました。本来の切れ味がやっと戻ってきた印象で、最後までもたれずに 伸びたところを評価したいと思います。馬体も一段と迫力が増し、古馬の 風格が出てきました。トモの張りも素晴らしく、今回は天皇賞みたいなこ とはないでしょう。良馬場なら巻き返せると思います。 ■ メイショウドトウ A→ 栗坂で一杯に追って、力強い脚捌きで最後までしっかりと伸びました。 首を使って登坂する姿はいつも通りで、好調をキープしています。時期的 なものもありますが、だいぶ馬体がスッキリとしているように見えます。 陣営が打倒テイエムオペラオーに向け、勝負を賭けてきているのかもしれ ません。出遅れと3,4コーナーでのズブさを出さなければ、好勝負でき るでしょう。 ■ ダイワテキサス B↑ 南Wで一杯に追われ、抜群の反応を見せ、併走馬を5馬身突き放しまし た。道中の手応えも十分で、馬が走る気になっています。前走はマイナス 24キロと大幅な馬体減でしたが、今回それほど戻しているようには見え ません。それでも動きは目立つもので、少し評価が難しいところです。有 馬記念で直線早め先頭の競馬で3着した実績があるので、2200mに短 縮される今回は注意が必要です。 ■ アドマイヤボス B→ 栗坂で一杯に追われ、早いタイムを出しましたが、ラスト13秒8と掛 かり、併走馬にクビ差遅れました。重馬場のためか少しフワフワとした走 りで、今回は力強さがあまり感じられませんでした。調子落ちまでいきま せんが、前走からの上積みはそれほど見込めそうにありません。叩き3戦 目で絶好調を期待していたので、少し不満が残る動きです。 ■ ステイゴールド B→ 栗芝で馬なりでしたが、ラスト軽く仕掛けられると素早く反応して、ラ スト11秒台で駆け抜けました。軽めの調教でしたが、動きはまずまずで ドバイの疲れはかなり取れているようです。ただし、本来はもっと強めに 追い切るのがこの馬のパターンなので、少し気になります。馬体はまだ少 し細く映るので、そのあたりを考慮して軽めの調教なのかもしれません。 |
■ 相馬眼予想 |
さあ、宝塚記念の最終決断。まず気になるのは阪神の馬場状態。土曜日 は雨が降っていましたが、結局芝は良馬場で行われました。土曜日の阪神 11R米子S(芝1600m オープン)の勝ちタイムが1分34秒8。 先週、良馬場で行われた900万条件の三宮特別が1分33秒8。900 万条件の方が1秒早く、上がり3Fでも0秒1上回っています。雨の影響 で少し時計が掛かっており、先週までの高速馬場と明らかに違っています 。ただし、馬場はそれほど荒れているわけではありません。天気予報によ ると日曜日は、一日曇りで気温はかなり高くなるそうです。気温が高くな るので、馬場はかなり回復すると思います。先週までの高速馬場まではい かなくても、かなりいい馬場状態で行われることになりそうです。 今年の出走メンバーは12頭。毎年多くのG1馬が参戦しますが、今年 のG1馬は、テイエムオペラオー(7勝)、エアシャカール(2勝)の2 頭のみです。メンバーを見渡すとG1馬がもっといるように思えますが、 実際2頭しかいません。また、G1で2着しているのは、メイショウドト ウ(5回)、ステイゴールド(4回)の2頭です。格からするとこの4頭 が有力ですが、急激に力をつけてきたアドマイヤボス、マックロウ、トー ホウドリームの3頭も、調子と展開次第で食い込む力があるので侮れない 存在です。 次に展開ですが、逃げると思われているホットシークレットは、今回は 本当に逃げるのでしょうか。目黒記念で差す競馬をして新境地を開いた馬 が、また元の競馬をするのでしょうか。目黒記念の上がり3Fは35秒7 で、マックロウの36秒1を凌ぐものです。最近ズブくなって前に行けな くなっていることを考慮すると、好位から差す競馬を考えているはずです 。それでは、逃げるのはどの馬なのでしょうか。候補としては、内からダ ービーレグノ、外からステイゴールドの2頭です。この2頭なら、スロー ペースは確実なので、ここではどちらが逃げるかということに固執しませ ん。最初スローペースで進み、1000mを過ぎたあたりから徐々にペー スアップする展開で、後半の1200mを如何に早く走れるかという戦い になると思います。長くいい脚を使える馬が、有利になりそうです。 今回のポイントは、テイエムオペラオーとメイショウドトウの戦いです 。これまではテイエムオペラオーが5勝で、メイショウドトウはまだ1度 も勝ったことはありません。メイショウドトウ陣営の悔しさは尋常なもの ではなく、今回は得意の距離なので、負かすならここと勝負を賭けてきて います。ムチを入れて目一杯に追った調教と絞り込んだ馬体から間違いあ りません。では、どんなレースを陣営は考えているのでしょうか。天皇賞 (春)ではテイエムオペラオーより前に行く予定でしたが、結局出遅れて 後ろからの競馬になってしまいました。今回は天皇賞(春)でイメージし ていたように、テイエムオペラオーより前に行き、ゴールまで鋭い脚が使 える位置からスパートして、後続を完封する競馬をすると思います。今回 は前々で早めにスパートする強気の競馬、それがメイショウドトウ陣営の 結論でしょう。 対するテイエムオペラオーは、調教の動きが素晴らしく、まさに絶好調 と言っていい状態です。和田騎手が「この状態で負けたら馬に失礼」と離 しており、今回はかなりの自信を持っています。この自信から、少々無理 な競馬をしても大丈夫だと少なからず思っているので、こちらも強気の競 馬をしそうな感じがあります。和田騎手は、いつも通り前を行く馬を射程 圏に入れ、直線で差す競馬をイメージして騎乗すると思いますが、今回は どうなるでしょうか。メイショウドトウが強気の競馬で早めにスパートす れば、テイエムオペラオーも間違いなくスパートするでしょう。大阪杯の ときのように、強引に捲くるようなことはしないと思いますが、メイショ ウドトウを早めに潰しにかかるはずです。こうなった場合に苦しくなるの は、メイショウドトウの方でしょう。過去に何度も苦しい競馬で勝ってい るテイエムオペラオーの方が地力は上で、天皇賞(春)からの上昇度も考 慮すると、今回もメイショウドトウを負かせると思います。 メイショウドトウは、早めにテイエムオペラオーに来られて交わされる ようだと、失速するケースも考えられます。全力で走っている馬が他馬に 交わされると、ストレスが大きくなって走る気をなくすことが良くあるか らです。その場合には、差し馬が大きく浮上します。好位を進み、テイエ ムオペラオーとメイショウドトウに力勝負を挑んで好走できる馬は、この 中にはいないと思います。実績あるステイゴールドは、得意とは言えない 休み明け、ダイワテキサスは調教の動きはいいですが、地力勝負では2頭 に劣ります。やはり差し馬に狙い目があります。12頭と頭数が少ないの で、外を捲くってもそれほどコースロスにはなりません。長くいい脚が使 える差し馬を狙いたいと思います。 その候補は、エアシャカール、アドマイヤボス、マックロウ、トーホウ ドリームの4頭です。この中で最も魅力を感じるのが、エアシャカールで す。天皇賞(春)は、馬場に脚を取られ、まともな競馬ができなかったの で、評価を下げる必要はありません。それよりも、大阪杯で2着したとき の息の長い末脚に注目したいと思います。テイエムオペラオーと同じ59 キロを背負って、実際に差し切ったわけですから、その破壊力は評価して いいでしょう。タイム的に見ても息の長い末脚はメンバー中1番で、今回 はいい頃のエアシャカールに戻っているので上位争いできそうです。大外 を捲くる競馬で、テイエムオペラオーとメイショウドトウに迫れると思い ます。 他では、アドマイヤボスが気になるところですが、調教の動きからいつ ものインパクトが感じられなかったので、強くは推せません。それでも、 能力はここでも捨て切れないものがあるので、抑えの評価をしておきます 。マックロウは、京都記念でアグネスフライトとナリタトップロードを差 し切った34秒1の脚がありますが、長く脚を使うというよりは一瞬の切 れ味を生かすタイプなので、今回は見送ります。トーホウドリームは、調 教でモッサリとした動きで仕上がりがイマイチなので、安藤勝騎手を持っ てしても連対するのは難しいと判断しました。 まとめるとラスト1000mからメイショウドトウが早めに仕掛け、そ れをテイエムオペラオーが追いかけて、直線で早めに交わす競馬。エアシ ャカールが大外を捲くって2頭に迫るということになります。本命は、テ イエムオペラオーです。絶好調で望む今回は、横綱相撲の競馬で王者の貫 禄を見せてくれるでしょう。4勝している得意の阪神コースもプッシュ材 料です。対抗は、エアシャカールです。メイショウドトウも簡単には失速 しないでしょうが、この展開ならエアシャカールの息の長い末脚を上位に 取りたいと思います。確実に状態はアップしているので、今回は持ち前の 豪脚が見られそうです。 ◎テイエムオペラオー ○エアシャカール ▲メイショウドトウ △アドマイヤボス |