天皇賞(秋)
2001/10/28 東京競馬場 芝2000m

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レース展望

出走有力馬

テイエムオペラオー
京都大賞典はステイゴールドに内から差されましたが、ステイゴールドが失格に なり繰り上がりで優勝とまたしてもツキのあるところを見せました。ただし、レ ースぶりはと言うと、3,4コーナーのズブさが目立ち、直線でもフワフワとした 走りでゴール前は前脚が上がって見えたのが気になりました。腹回りに丸みがあ り、やや余裕残しだったにしても、不利のない競馬で差し切られたのはどうなの でしょうか。昨年の強いテイエムオペラオーとは少し違う感じがしたのは私だけ でしょうか。現時点では昨年のように全幅の信頼を置くことはできないと思って います。このひと叩きでどこまで良化するか、それを見極めた上で結論を出したい と思っています。あとG1をひとつ勝てば8勝となり、シンボリルドルフを抜いて 単独トップに立ちます。今回も宝塚記念同様、マークがきつくなりそうです。
ステイゴールド
京都大賞典は、内からナリタトップロードとテイエムオペラオーを差し切り、世界 のステイゴールドという実況に負けない走りを見せましたが、斜行して失格になっ てしまいました。元々直線で追うとよれる馬なので、よれたこと自体は減点しま せんが、今回の競馬で目一杯に追いづらくなったのは確かでしょう。このあたり、武豊騎手 がどんな騎乗を見せるか非常に楽しみです。馬自身は7歳にしてようやく完成して きたといった印象で、420キロ台の小さい馬ですが首のあたりに逞しさを感じさ せ大きくみせています。これまでシルバーコレクターとブロンズコレクターと呼ば れて勝てないレースをしていた馬が、レースを重ねるごとに成長してここまで強く なったのは、桁外れた精神力と強靭な肉体があるからでしょう。凄いとしか言いよう がありません。天皇賞秋は98年と99年に2着しています。有馬記念まであと3戦、 ステイゴールドのG1制覇はあるのでしょうか。強い馬が強い競馬をするときに 力を発揮するタイプであることを付け加えておきます。
メイショウドトウ
宝塚記念でテイエムオペラオーを破って念願のG1制覇を成し遂げ、今年は ぶっつけで臨んできました。宝塚記念は4コーナーで外によれて、間接的にテイ エムオペラオーに不利を与えたので、勝つには勝ったが陣営としては完全に逆転 したとは思ってはいないでしょう。今回も陣営はテイエムオペラオーをかなり意識 しており、今度は力でねじ伏せてやろうという勢いを感じます。天皇賞秋はタフ なレースなだけに、そのあたりが不安と言えば不安です。また、今回は久々が気になる ところですが、元々休み明けでもきっちり力を出し切るタイプなので、それほど 心配しなくていいでしょう。1週前調教では少し太く見えましたが、それから馬が 競馬を意識したのか、今は絞れていい馬体になっています。左回りの2000mは 金鯱賞で楽勝したようにベストの条件です。力と力のぶつかり合い、そんなレース が見られそうです。
アグネスデジタル
地方交流G1南部杯を優勝し、賞金でクロフネを押し退けて出走してきました。 芝とダートのG1レースを勝った馬と言えば名牝ホクトベガを思い出しますが、 並みの馬ではできることではありません。能力は十分ここで通用するものを持っ ているとみています。父がクラフティプロスペクターで2000mをこなせるか が問題視されていますが、地方交流G3の名古屋優駿(ダート1900)をレコ ード勝ちしていますから、距離が長いということはありません。折り合いもつく ので距離は問題ないと思います。マイルCSでダイタクリーヴァが止まって見え た末脚を生かせるか、はたまた生きるレースになるか、展開の読みが重要になり そうです。春の京王杯SCと安田記念は不甲斐ないレースぶりでしたが、その ときとは状態が違います。一発を注意した方がいいでしょう。
イブキガバメント
天の川S、朝日杯CCを連勝し、天皇賞春に続き2度目のG1に挑戦してきま した。春は調子の良さだけで天皇賞に出走して7着でしたが、今回は朝日CC を勝っての参戦だけに力をつけていることだけは間違いありません。馬体が しっかりしてきた印象で、ややずんぐりむっくりのところはありますが迫力が 出てきました。東京コースで3戦して5,4,10着ですが、3戦ともに16 00m戦ですから、東京コースに敗因を求めるのはどうでしょうか。前々走で 新潟の天の川Sを勝っているように左回りでも何ら問題ありません。適距離の 芝2000mならそれほど劣ることもないでしょう。名牝ロジータの息子が中 央場所のG1を勝つ日はいつ訪れるのか、私も楽しみにしているひとりです。
ジョウテンブレーヴ
毎日王冠は中間熱発し順調さを欠いたわりには、直線早めに抜け出す勢いを見せ、 最後は力尽きましたが0.3秒差ならまずまずと言っていいでしょう。直線で 交わされてからは目一杯追わず余裕を残したように、トライアルらしい競馬を 蛯名騎手がしていたところが目に付きました。元々叩かれながら調子を上げる タイプなので、ひと叩きされた今回は調子を上げてくるでしょう。高速決着にも 対応できるし、パワーがあるので多少時計の掛かる馬場にも対応できるのは 心強い限りです。この秋のG1を1,3,1着と好走している蛯名騎手が騎乗 することもあり、一発を期待したくなります。
ロサード
重賞を3戦連続連対中とは、これまでのロサードからは考えられないことですが、 今年のロサードはひと皮剥けた感じがあります。3戦連続連対、2000mで 重賞制覇(これまでは1800m専門)、馬込みを気にしないなど5歳にして 精神面が充実してレースで力を出し切れるようになりました。小さな馬ですが、 秘められた勝負根性と末脚は素晴らしいものがあります。今回は一発を狙って 極端な競馬になると思いますが、超ハイペースで前崩れになれば出番がありそう です。
トレジャー
セントライト記念2着し菊花賞の出走権を得ましたが、長距離を嫌って天皇賞 に出走してきました。重賞未勝利で明らかに格下の存在ですが、前々走の日高 Sでハイペースの中2番手を進み直線で楽に後続を突き放したレースぶりから、 ここでも意外とやれそうな印象があります。高速決着になった場合に不安があ るので、馬場が荒れたり、雨が降って渋った方がレースがやりやすいでしょう。 能力は現時点ではまだ上位レベルとは差があるので、展開と馬場の助けが必要 です。
トーホウドリーム
久々の毎日王冠は見せ場なく10着に敗れましたが、結果的には叩かれながら 調子を上げるタイプだったようで気合乗りも不足していました。ひと叩きされ てどこまで調子を上げるかに掛かりますが、まだ大阪杯で外から豪快に差し 切った脚が忘れられません。2000mは3100と連対率100%なので、 今度は毎日王冠のように見せ場すらないということはないでしょう。


■ ステップレース 

日付レース1着馬2着馬
2001/01/14日経新春杯ステイゴールドサンエムエックス
2001/01/21AJCCアメリカンボスロードプラチナム
2001/02/11ダイヤモンドSイブキヤマノオーメジロランバート
2001/02/17京都記念マックロウアグネスフライト
2001/03/18阪神大賞典ナリタトップロードエリモブライアン
2001/03/24日経賞メイショウドトウマチカネキンノホシ
2001/04/01大阪杯トーホウドリームエアシャカール
2001/04/29天皇賞(春)テイエムオペラオーメイショウドトウ
2001/05/13新潟大賞典サイレントハンターオースミブライト
2001/05/19目黒記念ホットシークレットマックロウ
2001/05/26金鯱賞ミッキーダンスダイワテキサス
2001/06/24宝塚記念メイショウドトウテイエムオペラオー
2001/07/08七夕賞ゲイリートマホークマイネルタンゴ
2001/07/15北九州記念エイシンプレストンロサード
2001/07/22函館記念ロードプラチナムクラフトマンシップ
2001/08/12小倉記念ロサードトウカイオーザ
2001/08/19札幌記念エアエミネムファイトコマンダー
2001/08/26新潟記念サンプレイスエアスマップ
2001/09/08朝日チャレンジCイブキガバメントトウカイパルサー
2001/09/23オールカマーエアスマップゲイリートマホーク
2001/10/07毎日王冠エイシンプレストンロサード
2001/10/07京都大賞典テイエムオペラオースエヒロコマンダー



必勝データ (過去10年のデータを元に分析)

重賞実績重視
連対馬20頭のうち、G1馬8頭、G2馬5頭、G3馬4頭と実に17頭が重賞で 優勝経験を持っていた。重賞優勝経験がなかったのは、ステイゴールドとセキテイ リューオーの2頭で、前者はG1で2着、後者はG2で2着の実績を持っていた。 ハイレベルな一戦で重賞実績は必須条件。
宝塚記念出走組
連対馬20頭のうち、2走前に宝塚記念に出走していた馬が半数を超える11頭で、 92年以降は毎年連対している。前走で見ると毎日王冠出走馬は9頭、京都大賞典 出走馬は4頭で、92年を除き必ずどちらかが連対している。宝塚記念出走、秋に G2を1戦というのが活躍するパターン。
逃げ馬不振
連対馬20頭の内訳は、逃げ1先行9差し6追込4で先行馬の活躍が目立つ。逃げ馬 の連対は、不良馬場になった91年のプレクラスニー1頭のみで狙い目はほとんどな い。直線の長い東京コースで、ハイペースになれば、定石通り差し追い込み馬が有利。 基本的には先行馬が狙いで、強烈な末脚を持つ差し馬に注意というスタンスで臨みたい。
人気馬不発で波乱
過去10年で1番人気2連対、2番人気3連対で人気馬の信頼度は低い。3桁配当は 1,2番人気で決着した2回のみで、万馬券が3回、47倍、58倍、88倍がそれ ぞれ1回出ており基本的には波乱傾向。昨年14年にぶりに1番人気のテイエムオペ ラオーが勝ったが、データ的には高配当を狙いたい。



過去のレース結果 

日付1着馬2着馬馬連配当
1996年 バブルガムフェロー マヤノトップガン 2,500円
1997年 エアグルーヴ バブルガムフェロー 290円
1998年 オフサイドトラップ ステイゴールド 12,210円
1999年 スペシャルウィーク ステイゴールド 15,770円
2000年 テイエムオペラオー メイショウドトウ 490円


調教診断

ステイゴールド A/
栗DWで強めに追われて、軽快な脚捌きでラスト11.8秒の切れ味を見せ ました。調教では最後バタバタになることがあるよくある馬ですが、今回は いつもよりしなやかな脚捌きで、重心の低い走りが目立ちました。仕掛けら れると即座に反応して末脚を伸ばしたところにも好感が持てます。馬体が更 に引き締まった印象で毛づやも良く、前走からの上積みを感じさせます。 ほぼ万全のデキなので、力を出し切ってくれるでしょう。
ロサード A/
栗坂で馬なりで同厩のイブキガバメントと併せて、力強い脚捌きで余力十分 の走りを見せました。小さい馬ですが、馬体を大きく見せており、迫力が 感じられました。夏使われていますが、調子落ちどころか更に調子が上がっ ています。大舞台に向け、ほぼ万全の仕上がりです。
テイエムオペラオー A/
栗CWで一杯に追われると即座に反応し、併走馬を2馬身突き放す切れ味を 見せました。いつもはDWで追われますが、馬場状態が思わしくないので、 開門直後のCWで追われました。6F78.4と早いタイムを出しましたが、 タイムよりも追われてから反応が良かった点と前走より少し重心が低い走り になってきたところを評価したいと思います。前走も調子が良かっただけに やや良化といった感じですが、少しでも調子が上がってきたのはいいでしょう。 昨年の絶好調時の勢いと上下のブレのない走法は見られませんが、決して 走れないデキではありません。あとはこの馬本来の気合乗りが見られれば 不用な競馬はしないでしょう。
ジョウテンブレーヴ A/
南Wで3頭併せの最内を馬なりで進み、軽く仕掛けられると回転の速い フットワークで鋭くの伸びて先着しました。この馬独特の首を使った走り が見られ、明らかに前走より良化しています。まだ重心が高く、前脚の 上がりも高いので絶好調まではいっていませんが、この調教で更に良化 しそうな雰囲気があります。ひと叩かれて筋肉が戻ってきたのも好印象です。
アグネスデジタル A/
栗DWで一杯に追われて、豪快な伸び脚で併走馬を3馬身ち切りました。 追われてからの反応が抜群でバネの利いた走りに瞬発力の高さを感じ させます。南部杯のときも調子が良かったので、やや良化といった感じ でしょうか。末脚が生きる流れになれば、上位争いできるでしょう。
メイショウドトウ A→
栗坂で一杯に追われて、4F50.5秒、ラスト12.7秒と好タイム をマークしました。今週の坂路は時計が出やすかったので、タイム自体 はやれば出るといった印象で評価しませんが、休み明けをそれほど感じ させない走りから、久々としては仕上がりはまずまずです。それでも、 馬体は若干太めで、前脚の捌きも好調時はもっと力強く掻き込むので、 今回はG1ですからそのあたりに不満が残ります。力を出せないデキで はないですが、最後の伸びに影響しないとも限りません。少し割り引き ます。

相馬眼予想

 さあ秋のG1第四弾「天皇賞秋」。昨年はテイエムオペラオーが1番 人気で14年ぶりとなる勝利を上げましたが、果たして今年も1番人気 で勝利を上げることができるのでしょうか。今年の最大ポイントは、3 強と言われているテイエムオペラオー、メイショウドトウ、ステイゴー ルドの取捨でしょう。昨年ワンツーを決めたテイエムオペラオーとメイ ショウドトウにドバイシーマCを勝ったステイゴールドがどう挑むかと いう図式です。また今回で7度目となるテイエムオペラオーとメイショ ウドトウとの争いも見逃せません。3強の熱い戦いが見られそうですが 、京都大賞典のような後味の悪い結果ではなく、各馬が力を出し切れる 納得のいくレースを見せて欲しいと思います。

 テイエムオペラオーとメイショウドトウはG1でこれまで6回対決し て、テイエムオペラオーが5勝1敗でリードしていますが、今年の春の 宝塚記念でついにメイショウドトウがテイエムオペラオーを破ってG1 制覇を成し遂げました。今回はメイショウドトウもG1馬として対等な 立場で出走してきています。特にメイショウドトウの安田康騎手は、今 度は力でねじ伏せるという思いで臨んできています。2頭とも力の差は ほとんどないので、展開やスパートするタイミングなどで着順が変わっ てきそうです。各騎手の意識と作戦を読み切ることが重要になりそうです。

 騎手の意識と作戦は後述するとして、まず3強のこれまでのレースぶ りと調教の動きから割り引く必要があるのか、プラスするところがある のかを見極めたいと思います。

 テイエムオペラオーは、京都大賞典を結果的に優勝しましたが、4コー ナーでズブさを見せたことと内からステイゴールドに差されたことが心配 されていますが、実際はどうなのでしょうか。調教ではいい動きを見せて 久々でも仕上がりは良かったですが、元々叩き良化型なので中身が完全で はなかったことは確かでしょう。4コーナーでズブさを出したのは、ナリ タトップロードに外から早めにかわされたことと久々が影響したような気 がします。昨年もズブさを見せたことが何度かあったので、今回見せたズ ブさについては、それほど気にしなくて良いかと思います。ステイゴール ドとは、1キロ差の斤量、馬場の内外の差、ナリタトップロードをマークし ていたことなど色々な要因が重なってのもので、完全に力負けしたわけでは ありません。それよりも気になったのは、これまでのテイエムオペラオー の走りでなかったところです。上下にブレない走法がこの馬の良さですが、 少しフワフワとした走りでゴール前は前脚が上がって見えました。久々で もこういう走りは見せたことがなかったので、これまでの激しいレースに よって少し衰えてきたのかもしれません。このあたりに注目して調教を見 ましたが、京都大賞典のときより良くはなっていますが、やはり走法がこの馬 本来のものでないような気がします。ここでは結論は、調子は上がってき ているが昨年の強いテイエムオペラオーではないので少し割り引いて考え たいと思います。

 次にメイショウドトウですが、宝塚記念以来の出走になるので仕上がり 具合がポイントになります。坂路で50.5秒の好タイムを出したことで、 各マスコミは久々も不安なしと取り上げていますが、果たしてその見解は 正しいのでしょうか。今週の坂路は時計が出やすかったので、G1馬が一 杯に追えばこれくらいの時計が出て当然の感があります。現に調教駆けし ないダイタクヤマトが51.5秒を出すくらいですから、時計自体は評価 しない方が無難です。馬体は若干太めで、前脚の捌きも好調時はもっと力 強く掻き込むので、今回はG1ですからそのあたりに不満が残ります。力 を出せないデキではないですが、最後の伸びに影響しないとも限りません。 ここでの結論は、久々としては仕上がりはまずまずだが少し割り引いて考え たいと思います。

 次にステイゴールドですが、ドバイシーマCで世界チャンピオンのファ ンタスティックライトを差し切り優勝しましたが、昨年のジャパンカップ でテイエムオペラオーとメイショウドトウもファンタスティックライトに 勝っているので、やっと2頭と互 角に戦えるといった評価です。京都大賞典でよれたとは言え直線のきびき びとした差し脚はこれまでのステイゴールドのイメージを払拭するもので 、数段パワーアップしたという印象を受けました。最終調教では、しなやか な脚捌きで重心の低い走りが目立ち、仕掛けられると即座に反応して末脚 を伸ばしたように前走からの上積みを感じさせます。ただし、目一杯追う とよれるところがあるので、京都大賞典のこともあり、今回は少し乗りづ らい感じがします。そのあたりは天才武豊騎手がどう対処してくるかを 読まないといけません。ここでの結論は、能力は互角で調子は3頭の中で 最も良く、少しプラスして考えたいと思います。

 天気予報を見るとレース当日の12時頃から雨が降り出すということ で馬場が悪化する可能性が出てきました。雨が降って馬場が渋れば、 テイエムオペラオーが有利になるのは間違いありません。雨の量はそれ ほどでもないようなので、ここでは良馬場でやや時計が掛かる馬場として 予想することにします。東京の芝コースは、今週からBコースで内から 7メートルのところに仮柵が設置されています。土曜日の競馬を見る限り、 芝の状態はいいですが、芝が深くフカフカとした状態でやや力のいる馬場 になっているように見えました。内外の差はありませんが、少し時計の 掛かる馬場という印象です。雨が降って更に時計が掛かるといった感じ でしょうか。パワーがある馬に有利に働きそうな馬場です。こういう馬場 が得意なのは、内からメイショウドトウ、ステイゴールド、サイレント ハンター、テイエムオペラオー、ジョウテンブレーヴ、トレジャーです。 アグネスデジタルはダートをこなすので、走れなくはないですが、マイル CSで見せた脚の再現にはスピード馬場の方が良さそうに思えます。

 次に展開ですが、逃げるのはサイレントハンターです。今回が引退レース で自分の競馬に徹してどこまで粘れるかというレースをしそうなのでハイペース になりそうです。2番手は内からメイショウドトウ、外からトレジャーあたり でしょうか。2頭ともそれほど追いかけないでしょうから、サイレント ハンターは単騎で離して逃げることになりそうです。テイエムオペラオー は、前のメイショウドトウを射程権に入れながら好位を進み、ステイ ゴールドはテイエムオペラオーをマークして進むことになりそうです。 好位・中団には、ジョウテンブレーヴ、イブキガバメント、後方からは ロサード、トーホウドリーム、メイショウオウドウ、アグネスデジタル が進む展開になりそうです。

 サイレントハンターが離して逃げるので、仕掛けどころが難しいです が、前に行くメイショウドトウが宝塚記念で積極的なレースをして勝っただけ に早めに動きそうです。前述した通り安田康騎手は、今度は力でねじ伏せる という思いで臨んできおり、早めに仕掛けてテイエムオペラオーを完封する 強い競馬を意識しているようです。メイショウドトウが動けば、京都大賞典 でズブさを見せたテイエムオペラオーも早めに動き出し、テイエムオペラオーをマークするステイ ゴールドも動き出すので、各馬早仕掛けで最後失速して、後方一気の馬が 有利になるという考えもありますが、本当にそうなるのでしょうか。

 これくらいのことは、安田康騎手、和田騎手、武豊騎手は当然把握して いるはずで、この中で積極的に動くのは安田康騎手だけだと思います。 和田騎手は、昨年の天皇賞秋でぎりぎりまで追い出しを我慢したように ハイペースで早めに動いては差されるという東京2000mの特徴を良く 理解しています。メイショウドトウがスパートしても射程圏に入って いれば早めに動くことはないと思います。テイエムオペラオーがズブいこと を最初から考慮して騎乗すればズブさはそれほど問題にならないでしょう。 武豊騎手はペース判断が抜群でステイゴールドの末脚を計れていますから、 テイエムオペラオーをマークして行って、差せる位置からスパートする ことになると思います。テイエムオペラオーが早めに仕掛ければワンテンポ 待って仕掛けるなど、全てのパターンをシュミレートしているはずです。  以上から、3頭とも早仕掛けによって直線失速するケースは、まず考え られません。

 こんな展開で後方からの差し馬は苦しく、来るとすれば中団より前に つけて差す脚がある馬でしょう。候補としては、ジョウテンブレーヴです。 高速決着にも対応できるし、パワーがあるので時計の掛かる馬場にも対応 できるところがこの馬の持ち味です。候補には入れませんでしたが、 サイレントハンターとトレジャーもパワー型なのでこういう馬場が合う タイプです。メイショウドトウに早めに来られると苦しくなるので評価 を下げましたが、もしメイショウドトウが菊花賞のエアエミネムのように前 を捕まえに行けなければ、粘るケースもなくはないでしょう。特に サイレントハンターは2000mで9勝を上げているスペシャリストで 重賞も4勝していますから、逃げ残りがあっても不思議でありません。 ここでは印はつけませんが、少し抑えたい気がします。

 さあ最終決断を下します。本命は、テイエムオペラオーです。調教の 動きから少し割り引いて考えましたが、得意の力のいる馬場で他より アドバンテージがあることと、和田騎手のこれまでの冷静な騎乗を評価 して、今年も本命にします。力のいる馬場でハイペースになれば、この 馬のスタミナ面と底力が生きそうです。宝塚記念ではマークがきつく、 苦しい競馬でしたが、広々とした東京コースで13頭立てならマーク されてもそれほど支障はないと思います。不良馬場になるとどうかとも 思いますが、重馬場までなら自信を持って本命にします。

 対抗は、ステイゴールドです。武豊騎手は、道中テイエムオペラオー をマークして進み、直線で馬体を併せて勝負根性を駆り立て、ゴール前 で少しだけかわすことを考えているのではないでしょうか。テイエム オペラオーと併せれば、簡単にはかわせないことでずっと馬体があった ままで進めばよれることもないという発想です。まさに一石二鳥の作戦 です。あまりに雨が降って渋るようだと小柄な馬で58キロの斤量が 苦しくなりますが、やや重くらいなら大丈夫でしょう。

 あとは、ジョウテンブレーヴです。理由は前述した通りですが、調教 の動きからも前走からの上積みが感じられるので期待できそうです。 現時点でステイゴールドの方が良くみせているので3番手にしましたが、 パドックで更なる上積みを感じさせるようなら少し評価を上げたい気 がします。昨年の京阪杯でロサードを、今年のマイラーズCでメイショウ オウドウを完封していますから、古馬重賞戦線で十分に戦っていける 能力を持った馬です。毎日王冠で最後余裕を残して、最もトライアル 的なレースをしたのもプッシュ材料です。

 抑えは、メイショウドトウです。安田康騎手がハイペースで早めに 動くことが裏目に出るような気がしてなりません。宝塚記念でテイエム オペラオーを負かしたと言っても、休み明けで強引な競馬をしては結果 がついてくるか疑問です。テイエムオペラオーばかりがズブさを言われ ますが、メイショウドトウもこれまでのレースで3,4コーナーでズブ さを何度も見せています。休み明けで臨んだ今年の 日経賞でも勝つには勝ちましたが、3,4コーナーでズブさを見せ、直線 で何とか前を交わしたといった感じのレースでした。早仕掛けでズブさ を出して無理にスパートするようなら、直線で失速するケースも十分に考え られるので評価を下げました。実力があるのは分かっていますが、今回 は抑えの評価です。

 その他では、力のいる馬場で58キロは少し気になりますが、万全の 状態で出走するロサードを抑えます。展開のところでは追い込みに分類 しましたが、5歳になって馬込みを気にしなくなっているので、もし 追い込みにくい馬場になった場合は、横山騎手が追い込みにこだわらない レースをしてきそうです。

     ◎テイエムオペラオー
     ○ステイゴールド
     ▲ジョウテンブレーヴ
     △メイショウドトウ
     注ロサード



レース結果

 2001年4回東京8日( 10月 28日) 11R  
 第124回 天皇賞(秋)(GI) 
 サラ系3歳以上 2000m 芝・左  
 牡・牝(指) オープン 定量 
 本賞金: 13200、 5300、 3300、 2000、 1320万円 発走 15:35 
 天候:雨  芝:重  
 -------------------------------------------------------------------------------------------------
 着 予 枠 馬      馬  名         性齢  重量     騎手   タイム   着差       馬体重   調教師  人気
 -------------------------------------------------------------------------------------------------
  1   7 10 (外)アグネスデジタル  牡 4 58.0kg  四位洋文 2:02.0        452Kg  +7 白井寿昭  4
  2 ◎ 5  6 (市)テイエムオペラオー 牡 5 58.0kg  和田竜二 2:02.2 1馬身    470Kg  -8 岩元市三  1
  3 △ 2  2 (外)メイショウドトウ  牡 5 58.0kg  安田康彦 2:02.6 2 1/2馬身  510Kg  +2 安田伊佐  2
  4   6  8    イブキガバメント  牡 5 58.0kg  河内洋  2:02.7 3/4馬身  490Kg  +6 橋口弘次  5
  5   7 11    ダイワテキサス   牡 8 58.0kg  柴田善臣 2:02.8 クビ     478Kg  +4 増沢末夫 11
  6   5  7    メイショウオウドウ 牡 6 58.0kg  飯田祐史 2:03.1 1 3/4馬身  468Kg +10 飯田明弘  9
  7 ○ 4  4    ステイゴールド   牡 7 58.0kg  武豊   2:03.4 1 3/4馬身  428Kg  +2 池江泰郎  3
  8   8 13    トレジャー     牡 3 56.0kg  岡部幸雄 2:03.5 1/2馬身  500Kg   0 藤沢和雄  7
  9 注 1  1    ロサード      牡 5 58.0kg  横山典弘 2:03.6 1/2馬身  428Kg  +4 橋口弘次  6
 10 ▲ 8 12 (抽)ジョウテンブレーヴ 牡 4 58.0kg  蛯名正義 2:03.7 3/4馬身  490Kg +10 相沢郁   8
 11   3  3 (父)トーホウドリーム  牡 4 58.0kg  江田照男 2:04.0 2馬身    462Kg   0 田島良保 10
 12   6  9    サイレントセイバー 牡 6 58.0kg  田中勝春 2:04.2 1 1/2馬身  460Kg   0 佐藤全弘 13
 13   4  5    サイレントハンター 牡 8 58.0kg  吉田豊  2:04.8 3 1/2馬身  492Kg   0 大久保洋 12
 -------------------------------------------------------------------------------------------------
 ハロンタイム  13.6 - 12.1 - 12.2 - 12.2 - 12.1 - 12.0 - 11.9 - 12.0 - 11.5 - 12.4  
 上り  4F 47.8 - 3F 35.9 
 2コーナー  2(4,6,11,13)(1,3,12)(5,9,7,8,10)  
 3コーナー  (*2,13)12(4,6)11(5,1,3)10(9,7,8)  
 4コーナー  (*2,13)12(4,6,11)(5,1,3,10)(7,8)9  

 <払戻金> 
 単勝 10 2,000円 4番人気  枠連   5- 7 1,780円 5番人気
 複勝 10   390円 6番人気  馬連  06-10 2,790円 5番人気
    06   120円 1番人気  ワイド 06-10   850円 6番人気
    02   130円 2番人気      02-10   890円 7番人気
                        02-06   180円 1番人気

レース回顧

天皇賞秋が終って - レース直後の感想 -

シンボリルドルフがギャロップダイナに敗れた天皇賞を思い出しました。アグネスデジタル、 テイエムオペラオーに馬体を併せないで一気に突き抜ける作戦はお見事としか言い ようがありません。レース展望では4番手にマークしていましたが、予想では印がつ けられませんでした。ダート馬で重馬場をこなすのは分かっていましたが、マイル CSの末脚を使うには良馬場の方がいいと判断したからです。このあたりは反 省しないといけませんね。この春のふがいない競馬で印象が悪く人気を落と していましたが、みんなが思っているより強かったということでしょう。マイル CSに向かうと思いますが楽しみです。

テイエムオペラオーは、メイショウドトウを突き放したんですから、負けはしましたが誉めて いい走りでしょう。昨年よりいい状態とはいえない状況で昨年と同じような レースができたのですから。今年はちょっと仕上がり過ぎている気がするので、 今回もマイナス8キロだったし、JCでは馬体を維持できるかチョット心配です。

メイショウドトウは、逃げることになって、早めにスパートすることができなかった分、 負けた感じでしょうか。スローペースでの上がり勝負では、それほど切れる脚が ないのがこの馬の弱点でもあります。これを叩いて良くなるそうな感じが あるので、JCは期待できるでしょうけど、切れる脚がポイントのレースになると苦 しいかもしれません。

ステイゴールドは左によれることを対処するために直線で最内を突きラチ沿いを 走ろうとしたのか、外のメイショウドトウの方にもたれてまともな競馬が出来ませ んでした。武豊騎手もこのあたりは誤算でしょう。直線半ばで追うのをやめ ていたぐらいですから、ちょっと残念ですね。オフサイドトラップの勝った天皇賞秋 で2着したときに外から内によれてラチまで行ってもまっすぐ走らなかったステイ ゴールドの特性を知らなかったかな。ホントは外に出したかったけどスローペースで 直線で外に出せなかった(TMに併せられなかった)というのが本当のところ かもしれませんけど。




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